連載|図解 本のある小空間|vol.6 REBEL BOOKS

根っからの実測好き建築家・政木哲也さんが、日本中の「本のある小空間」の魅力を解き明かすべく、測って・描いて・綴り歩きます。連載の第六回目は群馬県高崎市にあるREBEL BOOKSさんです。

空きビルを購入して開店

群馬県高崎市のREBEL BOOKSは、高崎駅から北へ20分ほど歩いた小さな商店街の中にある。店主の荻原貴男さんは元寿司屋だったというこの物件に、遊休不動産のマッチングを行う地元の会社を通じて出会う。角丸の窓が印象的な、小さな3階建てのビルを棟ごと借りて各階を使うことも考えたが、土地と上物の価格が改修に必要な費用と同等だったことから、一転して購入を決意。そのため改修コストは最小限に抑え、大工工事・電気工事・ガス工事は自らが元請けとなり、内装も可能なところは自主施工。メインの書架は建築家に図面を描いてもらい、木材は自ら手配するなどして制作した。

太い窓枠が印象的だ

自然光が入る明るい店内

間取り図

ブルーグレーを基調としたインテリア

荻原さんはデザイン学校のプロダクト科出身のデザイナーでもある。増え続ける本の置き場を確保するため、自分で図面を引いて追加の棚や什器を制作し、収容量を増やしてきたという。2016年12月のオープン時は500冊程度だった本も、取材時には2000冊に到達していた。

店内に入るとまず印象的なのがインテリアに使われている様々なブルーである。既存の天井を撤去し、むき出しとなった上階のデッキスラブ裏面をネイビーブルーに塗装したことを起点とし、1階土間床のグレーと調和するように、カウンターの側面や扉枠をブルーグレーに塗装して、個性的でありながら落ち着いた雰囲気をつくり出している。様々な既製品の家具が置かれた店内だが、ブルーとグレーのカラースキームがあるおかげで、ちぐはぐな印象にはなっていない。

窓際に設置された大きな書架

窓際の書架

「エリアを楽しむ」ために

なるべく新刊書を取りまぜたフレッシュな棚づくりを心がけるのも、大きなカウンターを活用してビールや日本酒を立ち飲みできるようにしたのも、店に来る常連客らのため。

おすすめの新刊書がてんこ盛り

本が満載テーブル

群馬は車社会と言われるが、それに抗うように、まちを歩いて楽しんでほしいと荻原さんは考えている。自店の魅力を高めることは大前提として、エリアとして楽しんでもらうことが来訪・再訪をより促進する。そのために、近隣のおすすめの店を紹介するマップを自ら制作し、配布もしている。


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