〈まち座〉2023年春のカバーイラストは信濃八太郎さん作!編集部Yからのこぼれ話
みなさま、お気づきでしょうか…? そうです、5月から、学芸出版社がお送りするウェブメディア〈まち座〉のカバーイラストが更新されているのです!
今年のイラストはイラストレーターの信濃八太郎さんにお願いしました。京都の河井寛次郎記念館で編集部Yが撮った写真から、信濃さんが「キュンとした」という猫の写真を題材に…。
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信濃さんにお願いしたのは、『GINZA』2月号(マガジンハウス)の連載で信濃さんが描かれた東京ジャーミイのイラストに一目ぼれしてしまい…。すぐにメールを送ってお願いしました。打合せで、春夏秋冬の更新ごとに京都の何かをテーマに書こうということになり(ざっくり笑)、まずはYが好きな河井寛次郎記念館の写真をお送りすることに。
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数枚の写真から信濃さんが選んでくださったのは、看板猫えきちゃんがくつろいでいる一枚。よほど喉が渇いていたのか、花瓶の中に手をつっこんで水をつけてペロッと舐める をちまちまと繰り返していたえきちゃんです笑 このえきちゃん、もとは野良猫だったそうですが、いつの間にか住み着くようになったとか…。
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「猫は唯物主義だと云われている。
その説によれば、猫は飼主に属するよりも、より多く飼家に属するそうである。・・(省略)・・だから、三日飼われてその恩を三年忘れない犬と反対に、猫は三年飼われてその恩を三日にして忘れる。云いかえれば、三年飼われてその家を三日にして忘れる犬と反対に、猫は三日飼われてその家を三年忘れないとか。」
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豊島与志雄「猫」の冒頭です。
ある日たまたまこの家にたどり着いて、あまりの心地よさに離れられなくなってしまったのでしょうか。私もここにいつきたい。その愛らしさですんなりと(かは分かりませんが笑)住むことを許されてしまう猫ちゃんがなんともうらやましいです。
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河井寛次郎記念館には各部屋に小さな花が生けてあるのですが、訪れるごとに花瓶も変わっていて、私はそういうささやかなしつらえに毎回キュンとしています。長くなってしまいましたが、春のヘッダーイラストのこぼれ話でした。夏の更新もお楽しみに。
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信濃八太郎(しなの・はったろう)さんプロフィール
イラストレーター。1974年生まれ。日本大学芸術学部演劇学科舞台装置コース卒業。現在、WOWOWシネマ『W座からの招待状』にて小山薫堂さんと案内人役を務めるほか、『W座を訪ねて』では全国の単館系映画館をご紹介。wowow noteにて、イラストレーター・信濃八太郎が行く 『単館映画館、あちらこちら』連載中。