日本設計創立者・池田武邦設計「邦久庵」の茅葺き屋根修繕のためのクラウドファンディングをスタート
- 建築家で日本設計を創立した池田武邦さん(97)が2001年長崎県西海市に建てた終の住処「邦久庵(ほうきゅうあん)」で、その茅葺き屋根の大規模改修が今年5月に実施される。関連して、現在クラウドファンディングで資金協力が募られている。
- 邦久庵は、2001年に池田武邦さんが終の住処として大村湾のほとりに結んだ庵。日本初の超高層ビルを設計した建築家が、自然と建物の関係を見つめ直した結果辿り着いたのは茅葺き屋根の「土に還る建築」であった。長崎県西海市の「琵琶ノ首鼻」と呼ばれる小さな岬に建ち、「自然の一部として暮らす」ことをコンセプトとして設計された。湾に突き出した絶景のデッキからの眺めは、まさに絶景。デッキは真西を向いており、午後は「太陽の位置を眺めて自身が何月何日何時を生きているかを確認しながら暮らした」という。邦久庵では釘を使わずに、ほぼ全ての材を地元の木材で構成した。自然を畏怖する心を忘れてはならないと語る池田さんは、自然の一部としてふさわしい建築のあり方を追求した。その結果、自然の材料で、断熱性・調湿性に優れた茅葺き屋根は、そのシンボルとして採用されたものだ。
- 邦久庵では、有志が結成し一般社団法人となった邦久庵倶楽部(代表理事:永野真義=東京大学助教)と建物をそのままの形で保存活用することを前提に所有権を継承した株式会社SLOW LIFE JAPAN(代表:ジョナサン・デンビーさん)によるチームが、定期的に建物を使いながら保全する取り組みを続けてきた。池田さんの建築理念を伝える建物一般公開や、ゲストを招いてのトークイベントを開催。また日本古来からの自然文化・伝統文化を重んじた衣食住にまつわるイベントを、二十四節気にちなんだ雛祭り・七夕祭りといった形で開催してきた。近年は海外ボランティアを受け入れて地元の耕作放棄地を菜園として活用するなど、地域と連携した取り組みも実践してきた。
- しかし今年で築20年を迎えた上、2020年に九州地方を襲った大型台風の影響もあって、茅葺き屋根の傷みが加速度的に進んでいた。茅葺き屋根を丁寧に直し、伝統技術を継承する機会をつくるとともに、今後も「自然への畏敬」や「自然とともに暮らす」といった池田さんの建築思想をしっかりと守り伝える活動を続けたいと、邦久庵倶楽部が中心となってクラウドファンディングをスタートした。支援募集期間は5/21まで。屋根の補修・修繕は5月いっぱいでの完了を目指している。
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クラウドファンディングで茅葺き屋根の補修を行います
(邦久庵/邦久庵倶楽部)
建築家・池田武邦さんから継承した邦久庵(長崎)の茅葺きを補修したい
(邦久庵倶楽部(READYFOR)|~2021/05/21)