緑のデザイン 住まいと引き立てあう設計手法

緑のデザイン 住まいと引き立てあう設計手法 
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内容紹介

スケールを操り体験を埋め込む配植の一工夫

室内外の連続性・境界・奥行きを際立たせる木の選び方。緑の構図や木洩れ日で人をもてなす豊かな動線とシークエンス。下草や低木で馴染ませるまち並みとの接点。香りや味わい、音や足触りで愉しませる暮らしのシーン。自在なバリエーションで場の価値を引き出す庭づくりの設計アプローチと実践にもとづく技術を豊富に収録。


園三 著   
著者紹介

体裁B5変判・192頁(オールカラー)
定価本体3200円+税
発行日2020-09-25
装丁赤井佑輔・渡会芽生(paragram)
ISBN9784761532635
GCODE1068
販売状況 在庫◎
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ジャンル 住宅
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造園業

これは私のバイブルです。ステキな本に出会うことができました。感謝しております。
この本には緑を扱う者として取り入れたいものが詰まってます。これからも発信お願いします!

庭主

なんとなく良いと感じるのはどういう要素なのか。
我が家の建築、庭の計画では、まさに私の頭の中にあったことでした。それを言葉で表現する事は難しく、なかなか正確に伝わらないものです。
施主の立場からは、そのもどかしい思いを解消してくれる一冊だと思いました。写真も見て楽しめますし、細かく植物名も載っているのでとても参考になります。
当時、私たちの拙い要望書から、希望通りの雰囲気に仕上げて下さった園三さんをすごい!と思った事を思い出しました

建築家

緑と住まいとが引き立てあう手法を余すことなくわかりやすく解説してあり、とても勉強になる

デザイナー

緑のデザインって楽しくって嬉しいタイトル 何より葉の形から、名前わかるのが嬉しい(^_^)

美術講師

眺めているだけで、豊かな気持ちになります。とても美しい本です

建築家

園三さん著書の渾身の一冊

外構
プランナー
また良い1冊に出会えました エクステリアのデザイン設計をしている上で重要視しているのが 緑「植栽」 緑による建物との調和 視覚効果による立体感 緑や石を取り入れて、あきの来ない空間作り など かなり奥が深いけど 建物の外観や室内からの眺めを何倍にも増幅させてくれます。 そんな緑の使い方を解りやすくまとめてあります。

家具会社
社長
team balancoの仲間 岐阜の園三さんが「緑のデザイン」を出版されました。
いつも住まいと引き立てあう緑を魅せてくれます🍀

庭師

大好きな園三さんの本。
園三さんが作るお庭はホントに素敵でいつも完成の写真見せてもらっては惚れ惚れする😆
本をじっくり読むのが楽しみ😆

庭主

園三さんのおかげで、日々の暮らしの中で、庭の大切さをしみじみと感じています。殊更ステイホーム中は、庭で過ごす時間にとても救われました。
たくさんの素敵なお庭が丁寧にたっぷりと掲載された本の中に、我が家も仲間に入れていただき感謝です
#我が家の木々の復習に(笑)
#そうだったのか

華道家

いけばなと作庭・デザインって少し似てる所もあり、感性が磨かれます!
作庭やランドスケープデザインを勉強されてる興味のある方は、本当にお勉強になると思いますよ!

外構
プランナー
実践的な内容に驚く。これは勉強になります

庭主

素敵なお庭達ばかりです✨

庭師

岐阜が誇る造園家、園三さんの著書、緑のデザインを購入しました。
花が咲く宿根草を使う私とはデザインの方向性は異なりますが、デザインをよく熟知し、線や間は一流です。
石の使い方は痺れます。
私も刺激を受ける本です。

造園家

苦労の多かった彼の若い日々を、けれど、周りを彼を愛する仲間に囲まれていた日々を、私は知っています。
自然配植と縁の深い作庭家ですので、どこかで触れ合っていただく機会をいただければ幸甚の至りです

外構設計
事務所所長
素敵な植栽と建築のコラボ作品が満載のバイブル的著書。
世の中が山採りの木と騒ぐ前から記憶に残る作品を生み出され、植木の在り方を独自に学ばさせて頂いていた”心の植栽師匠”のおひとり。建築家先生と息の合ったコラボにより、住まい作りからしっかり計画してこそ叶う空間作りを具現化する。住まい手のことや将来を見据え考えながら、その場所に似合う植栽選定や程良い抜け感に無理の無い手法などで構成された空間がとても素晴らしく、作品に魅了されていました✨
その数多くの作品がひとつの本にまとめられ、更には、お庭の造り方に植栽のポイントまでっ!ありがたい作品集に感謝♪

陶芸家

これから住宅庭園の仕事をやっていく若い子達には面白い、立派な本です

庭主

どのお宅のお庭もバランスが良くて素敵

読者

全体的に写真が多く見応えがあり、素敵な庭の雰囲気が伝わってきました。図面も掲載されていたので、全体像がわかりすいです。新築時の庭だけでなくリノベーションの庭もあり、参考になりました。各所に散らばる手描きの表現が素敵です。

庭石店
店主
作庭例を元に解説されており理解しやすい。
事例を細かく解説されているので、これから庭を作ろうと思っている一般の方は、この本を片手に業者さんと打ち合わせをされると、失敗のない庭作りができるのではないでしょうか?

読者

季節ある庭を楽しめる一冊。
元々フォローしていた園三さんの、素晴らしいお庭がわかりやすく解説してあります。他所様のお庭を勝手に見に行くわけにはいかないですが、まるでお庭を実際に見せていただいたかのように、写真が沢山です。それだけでも楽しいのに、図面や植物の葉の絵をみるとさらに方角や時間による光の当たり方などが分かり楽しいです。
私のような設計やデザインに全く造詣がない人間でも楽しめて夢が広がる一冊です。

読者

見てるだけで楽しい…おすすめの一冊

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はじめに

|第1部|建物と引き立てあう緑の設計

● 1 ● スケールを操る

1 傾斜地に立体的な散策体験をつくる HX-villa

・景色を豊かにする道路境界沿いの植栽帯
・斜面地を活かした雑木の庭
・建築の開口に合わせてモミジの景色をつくる
・テラスにつなげる庭の余韻
・斜面を切り取りリビング・ダイニングを拡張する

2 平屋に効く見え隠れのシークエンス 岐阜の家

・大判の鉄平石を用いた外玄関への階段アプローチ
・人を迎え入れるもてなしの空間
・サプライズのシダレウメ
・プライバシーを守り奥行きをつくるスダジイ
・芝生とタマリュウは鉄板で見切る
・山野の景色を切り取る小さな中庭

3 1本の木を選び抜く“疎”の景 N Residence

・1本のケヤキで魅せる
・樹形へのこだわり
・ヒメシャラと水盤の潤い
・小さな中庭に合わせたスリムなアセビ

4 小さな木立で誘う切妻屋根へのアプローチ I Residence

・奥へ誘い込む彩り豊かなアプローチ
・まちの並木を借景としてつなぐ
・日陰を逆手に取った引き算の空間
・森の中のような入浴時間

5 野趣あふれる軒と枝の取り合い T Residence

・重厚な軒の水平性、軽快な枝の垂直性
・野趣に富む路地奥の狭小空間
・樹形を引き立てる背景としてのデッキ
・植栽帯と樹形のバランス

6 石と鉄で修景する段差と動線 玄以の家

・段差を活かしたシークエンスと回遊動線
・壁越しに公私の景色をつなぐ
・地に馴染む時間を見せる
・見切りのつくりかた、飛び石のしつらえ
・雨水さえも景色にする

7 木々のレイヤーで奥行を増幅させる F Residence

・中庭のレイヤーで奥行を出す
・室内に飛び込むような樹形
・和の要素をできるだけ自然に溶け込ませる
・着座の目線を帯状の緑地で彩る

8 景色の断片を散りばめて暮らしを彩る 平屋建てのコートハウス

・袖壁を挟み2方向から楽しめる景色
・動きのある樹形を活かす
・常緑樹越しの採光がつくる落ち着き
・ステンレス板でシャープに見切る山野の景色
・背景を整え木々を引き立てる塀
・まち並みに寄与するサクラの庭

9 高木の列植で厚みのある陰影をつくる 名古屋の家

・建築の重厚感に負けない緑
・木洩れ日を拡散させる水盤
・鉢植えを見切ってつくる景色
・無機質なコンクリートの印象を和らげる

● 2 ● 体験を落とし込む

10 細道空間を活かした緑のトンネル 石畳のある家

・足触りを楽しめる石畳
・木の懐をくぐりぬける細道空間

11 下草を密植して瑞々しさを可視化する 楓の庭

・開放的な“疎”の庭
・和室の景をつくる“密”の庭
・庭の背景となる板塀と簾
・「不等辺三角形」による作庭と修景

12 五感をともなう空間体験を点在させる 春日井の家

・暮らしを彩る四つの庭
・緑の目隠しでプライベートを保つ
・庭の主役は大きな既存木
・食卓が楽しく・美味しくなる庭
・古いブロック塀はツルで緑化

13 キッチンガーデンには余白と高さをつくる 別棟のある家

・ドライな植生に仕上げる
・キッチンガーデンには背丈のある植木を
・インドアグリーンとプライベートガーデン

14 居室に馴染むワッフル状のインナーガーデン 羽根北の家

・室内に溶け込む植栽
・躍動的な緑

15 3坪の空間に設える茶事動線 ガエまちや

・梯子で茶室に上がる露地の庭
・混植したコケの変化を楽しむ

16 花見座敷をはめ込む滞留のデザイン 長良川の二世帯住宅

・浮遊感のある花見座敷
・風情ある溶岩石の築山
・駐車スペースを兼ねるファサード
・明暗のあるくの字のアプローチ
・水の景色、タケの景色、山野の景色

● 3 ● ロケーションに寄り添う

17 既存庭の引き算でつなぐ内外の抜け 刈谷の家

・既存庭の森を最大限に生かす
・通り土間へ抜けるアプローチ
・裏庭からの視線の抜けを連続させる
・見える景色を適切に間引く

18 地元の植生を引き継ぐという選択 つくばの家

・成長する緑のトンネル
・四季を彩る大きなモミジ
・地元の木を使うという選択
・階段室の景
・視線を覆い隠すケヤキ

19 通りや家人の記憶を起点に修景する M Residence

・既存樹木の残し方
・水音の風情を引き立てる修景
・和の景色と素材の取り合わせ

20 異国情緒を愉しませるディテール 岡崎の家

・石のペイブメントと下草の賑やかな列植
・南国の植生を楽しむ仕掛け

21 住まいの履歴と風情を組み合わせる 理科まちや

・元住人の履歴を引き継ぐ石畳
・既存庭を利用しながら景色を再構築する
・植物の成長のコントロールで蘇る景色

● 4 ● まちにひらく

22 公私のバッファーとなる緑 O-clinic/O-house

・来院者を出迎える躍動感ある緑
・ デッキに広がる伸びやかな木々の枝ぶり

23 木立に佇める通りの顔をつくる TG Residence

・まちを豊かにする駐車場の緑地帯
・木陰が主役のしっとりした雑木の庭
・季節の花を楽しむ
・小さな開口部から緑を感じさせる

24 まちの森に育つ原っぱの庭 志賀の光路

・庭が延長した芝生の駐車スペース
・開口の少なさを利点と捉える

column1  商店街の小さな森 Yanagase forest project
column2   リハビリのための緑道 近石病院

|第2部|作庭の進め方

1 敷地と建築を読む

・庭だけでは完結しない
・現地調査のポイント
・庭主との対話

2 木を選ぶ

・その場にふさわしい木を考え抜く
・木に立つ瀬を与える
・役割の見極め方
・木の育った環境を想像しよう
・庭の主役になる樹木
・ファサードを彩る
・“隠す”から“楽しむ”への価値転換

3 移ろう景色をつくる

・自然を切り取ったかのような居心地
・木洩れ日の美しさ

4 素材の選び方

・低木・下草類
・グランドカバープランツ
・石の選び方
・植物以外のグランドカバー

5 事例で読む木の役割

・緑でつなぐ立体的な回遊動線:ガレリア織部
・庭ができるまで① 土入れと景石据え付け
・庭ができるまで② 木を植える

全物件植物リスト

おわりに

園三

(本名:田畑了・たばたさとる)
株式会社園三代表取締役。京都芸術大学通信教育部ランドスケープデザインコース非常勤講師、武庫川女子大学建築学科・大学院非常勤講師。1975年岐阜市生まれ、京都芸術短期大学(現 京都芸術大学)ランドスケープデザインコース専攻科修了後、岐阜の造園会社に就職。2005年、現事務所を設立。イタリア・コモで行われる国際ガーデンショーOrticolario2016にて金賞を含む3賞を同時受賞。

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まちを歩いていると、なんとなく雰囲気がよくて住まいと引き立てあっているなと感じる庭に出会うことがあります。この「なんとなくいい」という空気感には、建築のスケールやボリュームに合ったバランスのいい緑量があったり、庭主の緑への愛情が感じられる空間があったりするのではないでしょうか。

目を凝らして見てみると、こうした庭はじつにたくさんの要素で成り立っていることに気づきます。例えば、室内外の連続性・境界・奥行きを際立たせる木の選び方。緑の構図や木洩れ日で人をもてなす豊かな動線とシークエンス。下草や低木で目を喜ばせるまち並みとの接点。香りや味わい、音や足触りで楽しませる日常のシーン。これらの要素により構成された庭は魅力的で、外に向けた場所ではまち並みに寄与し、内に向けた場所では日々の暮らしでの豊かな時間を紡ぐことでしょう。そうした「なんとなくいい」と感じるものを紐解きながら、空間構成をさまざまな角度から解説していくことがこの本の目的です。

収録されている24の庭は、造園家である筆者が作庭に関わったものですが、庭をつくるのは造園家だけではありません。住宅の庭づくりにおける造園家の役目は、建築設計者が用意してくれた見せ場にどんな緑を配し、庭主のためにどんな体験の舞台を用意するのかを考え、具現化することです。つまり、建築設計者や庭主の皆さんが居住空間の一部として庭を捉えてくれる状況と、建築・庭・暮らし手の三者の協働があってはじめて、庭のある豊かな暮らしのシーンがかたちになるということです。

住宅設計者や造園関係者の方には、互いを引き立てあう庭と建築のコラボレーションの実践事例として、これらの事例を読み解いていただければと思っています。

また庭主の皆さんには、緑のデザインが豊かにする暮らしのバリエーションに触れ、自分の暮らしはどんな要素で豊かになるのかを探すきっかけとしていただけたら嬉しいです。

第1部は、居室と庭との関係性がわかる豊富な写真と平面図で、24事例を詳しく紹介しています。「スケールを操る」「体験を落とし込む」「ロケーションに寄り添う」「まちにひらく」という4つの大きな分類を手がかりに、興味のわくものから読み進めてみてください。もっとも、一つの言葉ですべての庭の構成要素や魅力は言いつくすことはできません。さまざまな庭の個性を少しでも参照しやすいように、〈行為別のアイコン〉でも整理しています。

続く第2部では、実際に庭をつくるための手法や技術、材料、工程を紹介しています。作庭の大きな流れはもちろん、庭主との対話や植える木の役割、石や低木・下草類、グランドカバープランツの選び方まで、庭をつくる際に考えていることの全体像を掴んでいただけたら嬉しいです。

読み終えたとき、「私ならこうしたい」と本書が皆さんにとって次のアイデアにつながるきっかけとなり、ゆくゆくはまちに緑豊かな空間を少しでも増やすお役に立てれば幸いです。

2020年8月 園三

木々を増やすだけでなく、ときには無くすことで良いバランスが生まれることや、一つの要素だけを見るのではなく、取り巻く環境同士が互いに歩み寄れる関係をつくることが大切だと教えてくれたのは、学生時代に指導を受けた恩師でした。庭をデザインする仕事をしていると、つい庭だけに目が向きがちになり、建築と庭を別の空間として見てしまうことがあります。しかしそれぞれを切り離して考えるのではなく同じ空間として捉えて見るようにすると、建築の美しさを引き立たせる木々のあり方が自ずと見えてきます。作庭の計画を立てるときも、現場で木を植えるときも、常にこの「庭と建築の調和」について考えてきました。

「園三」という会社を設立してからは、恩師の教えを体現するデザインを探求しながらも、ただひたすら庭づくりの現場に向き合い、日々の仕事に没頭してきました。そんな日々を送っていたある年末に、学芸出版社の岩切江津子さんから建築に合う庭のつくりかたを本にできませんか、というお話をいただきました。それからの岩切さんとの度重なる打ち合わせは、日々私の頭の中で考えていることをどんどん引き出してくれ、気付けば5年も経ってしまいましたが「なんとなくいい」という景色を丁寧に紐解いた本ができました。

造園業を営んでいた両親は「世界を緑にしたい」という大きな夢を掲げ、私も子どもの頃からそれを聞いて育ち、迷うことなく造園業の道に進みました。独立してからは、一軒の庭からほんの少しでもまち並みが変わり、それがつながり、世界を緑にしていく足がかりとなると信じて庭をつくってきました。緑の景色は、その美しさを眺めるだけでなく暮らしの場を拡張させることで、さらに生き生きとした「空間」として時を紡いでいきます。そしてその暮らしが続いてこそ、緑の世界も広げることができるのだと思います。庭主や建築家との当時のやりとりを懐かしく思い起こしながら、時には楽しく時には反省しながら長い時間をかけてできたこの本の中に、全てではありませんが、これまでの多くの経験と知恵を詰め込みました。本書をきっかけに、これからも、庭主、建築家、庭をデザインする私たちとともに、緑のある暮らしを広げていけたらと願っています。

2020年8月 田畑了(園三)

謝辞

まず、この本の制作にご協力いただいた庭主・建築家の皆さまには、心より感謝申し上げます。そして、いつも作庭に携ってくれている職人の皆へ。皆さんがいなければ、目指す庭はかたちになりません。また、ぼう大な収録資料を作成してくれたスタッフに。手を煩わせました。そして、推薦の言葉を寄せてくださった永江朗さんと、編集を担当してくださった岩切江津子さん。ありがとうございました。

園三×玉木直人×曽和治好「造園家と建築家 現場でおさえておきたい協業のコツ」