分断された都市
内容紹介
取り残された衰退地区再生の方策を提言
アメリカの都市で起きているジェントリフィケーションが注目されているが、実際に起きているのはほんの一部で、大部分の地域は衰退し苦闘しているのが実態だ。富裕層のための都市再生ではなく、取り残された地域を再生するための方策を豊富なデータに基き提言。分断されるアメリカの今がわかるとともに、日本の都市政策にも示唆を与える一冊。
アラン・マラック 著 山納 洋 訳
著者紹介
体裁 | A5判・288頁 |
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定価 | 本体3500円+税 |
発行日 | 2020-11-01 |
装丁 | 中川未子(よろずでざいん) |
ISBN | 9784761532666 |
GCODE | 5587 |
販売状況 | 在庫◎ |
関連コンテンツ | レクチャー動画あり |
ジャンル | 都市・中心市街地再生 |
序文
謝辞
まえがき 再生と不平等
第1章 アメリカ工業都市の盛衰
第2章 ミレニアル世代、移民、縮小する中流階級
第3章 工場から高等教育・医療へ
第4章 人種・貧困と不動産
第5章 ジェントリフィケーションと不満
第6章 転落―近隣の変化のもう一つの側面
第7章 脱工業化時代のもう一つのアメリカ―小都市、工場町、苦闘する郊外
第8章 空き家問題に直面する近隣地区
第9章 雇用と教育―貧困の罠から逃れるための苦闘
第10章 権力と政治―変化への意志を求めて
第11章 社会的包摂とチャンスへの道筋
参考文献
訳者あとがき
多くの日本人には、この本に描かれているアメリカ諸都市の現状は、対岸の大火事のように思えるでしょう。日本には人種をめぐるここまで複雑な歴史的経緯はなく、空き家は800万戸以上も存在し、公営住宅のストックも多く、ホームレス化のリスクは大きくは顕在化していません。国民は皆保険制度や福祉政策に守られ、所得の再配分によって基幹産業のない地域も支えられており、アメリカほどに深刻な状況になることは近い将来にはないだろう。多くの人はそう思っているのではないでしょうか。
僕自身もそうであることを望んでいます。ですが、かつて“国土の均衡ある発展”を目指した国土政策は、再生が見込める地域に特化した経済成長政策に取って代わり、高齢社会化による社会保障費の増大は、行政に大きな負担を強いる可能性が高まっています。さらに「市や市民に利益がもたらされようともたらされまいと、企業社会やビジネス界には利益がもたらされる」大規模開発プロジェクトが、経済エンジンとしてその存在感を高めています。日本でも今後、何らかの形で社会の公平性を第一義としない政策がまかり通るようになるという、現代アメリカの写し絵のようなシナリオが出現しないとは言い切れません。アメリカ都市の分断の現状を多くの日本の人が知ることは、その予防線として有効に違いない。そんな動機から、僕はこの本を訳しました。
山納 洋
開催が決まり次第、お知らせします。