描いて場をつくるグラフィック・レコーディング

有廣悠乃 編著
中野民夫・嘉村賢州・牧原ゆりえ・小見まいこ・井口奈保・荒木寿友・上田信行・稲垣奈美・青波ゆみこ・伊勢田麻衣子・三澤直加・和田あずみ・酒井麻里・関美穂子・小柳明子・グロス梯愛依子・玉有朋子・柳幸佐代美・小濱賢二郎・桂山智哉・江上昇・石本玲子・筒井大介・山本彩代・中尾有里・沼野友紀・石橋智晴・角野仁美・あるがゆう・三宅正太・樋口菜美香・奥野美里・二瓶智充・川原諭 著

内容紹介

言葉の限界を超える!描いて拓く場の可能性

グラレコってなんのために描くの?どんな現場で使っているの?議論を加速させるコツは? そんな疑問に答えるべく、バラエティに富んだ22の実践例を収録。企業の戦略会議、福祉現場の対話、100人規模のイベントまで、自分らしい可視化で場をつくるためのヒントが盛りだくさん。現場による、現場の人たちのための実践的入門書!

体 裁 B5変・144頁・定価 本体2600円+税
ISBN 978-4-7615-2776-1
発行日 2021-07-10
装 丁 美馬智


著者特製ポップレクチャー動画目次著者紹介まえがき関連イベント
著者の方々に素敵なポップを書いていただきました!

稲垣奈美さん

奥野美里さん

三宅正太さん

石本玲子さん

有廣悠乃さん

有廣悠乃×酒井麻里×青波ゆみこ×三澤直加×稲垣奈美×伊勢田麻衣子「グラレコで組織はどう変わる?モザイクだらけの現場解説」描いて場をつくるグラフィック・レコーディング刊行記念トーク Part3
有廣悠乃×川原諭×二瓶智充×奥野美里×樋口菜美香×三宅正太「対人支援・福祉ケアのコミュニケーションをよりよく 編」描いて場をつくるグラフィック・レコーディング刊行記念トーク Part2
有廣悠乃×柳幸佐代美×小濱賢二朗×江上昇×石本玲子×筒井大介「役所の業務でも使えるグラレコ」描いて場をつくるグラフィック・レコーディング刊行記念トーク Part1
有廣 悠乃×中野 民夫×嘉村 賢州×石橋 智晴「言葉の限界を超える!描いて拓くグラレコの可能性」

1章 グラレコことはじめ

第1節 グラレコって何? 可視化って何?

●対談 多様化してきた「場づくり×可視化」の手法

第2節 みんなでつくる場の始めかた

第3節 先駆者の実践に学ぶ

第4節 可視化のパターンとバリエーション

2章 ひと・ことを創発する「場づくり×可視化」の現場

1.組織づくり

・フラットな関わりしろのある社内会議づくり
・あいまいな日常作業を実効力ある仕事に変える
・ゆっくり効き出す社内対話の仕込み薬

2.事業開発

・事業構想の足場をつくる瞬発力
・2つのモードで紡ぐ、響く事業戦略づくり

3.キャリア対話

・会話で思考を引き出し、整える「可視カフェ」

4.まちづくり

・自分ごとマインドが育む住民自治の土壌
・ご近所さんと暮らしを語らい、手を取りあう
・一人ひとりの思いを地域の前進力に

5.行政改革

・役所にファシリテーションを植え付ける!
・素早い情報整理で住民対話を支える
・カタい行政をときほぐし双方向の議論をつくる

6.ソーシャル

・のびしろをシェアして未来に貢献しあう
・ズレや違いを面白がり共創できる社会へ
・線で対話し個をつなぐチームビルディング

7.教育・研究

・大人も子どもも当たり前に対話できる小学校づくり
・中学・高校と地域社会をやわらかくつなぐメモ書き
・市民に届けるプロセスが育む“研究の相互理解”

8.支援・ケア

・子どもと大人が言葉の限界を超えて歩み寄る対話の場
・きこえる人ときこえない人が集う会議のデザイン
・だれもが当事者として描く未来を創りたい
・医療・福祉・介護現場の不安が信頼のタネに!

3章 描くことで「場をつくる」ために

●対談 可視化で気をつけておきたいこと

第1節 現場に学ぶ場づくりのヒント

・描いて場をつくるための基礎トレーニング
・こんなときどうしたらいい? Q&A

第2節 生成的な場で描く未来のビジョン

【編著者】
有廣悠乃(ありひろ・ゆうの)
ファシリテーター。2016年立命館大学産業社会学部卒業。2018年神戸大学大学院国際協力研究科博士課程前期課程修了。在学中より教育系NPO 法人、まちづくり関係の株式会社に参画。ワークショップデザインなどの観点で事業の企画・運営に携わる。

【著者】
中野民夫(なかの・たみお)
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、ワークショップ企画プロデューサー。1957年東京生まれ。東京大学文学部宗教学科を卒業後、博報堂を経て現職。著書に『学び合う場のつくり方:本当の学びへのファシリテーション』(2017年、岩波書店)ほか。

嘉村賢州(かむら・けんしゅう)
東京工業大学リーダーシップ教育院特任准教授、NPO 法人場とつながりラボhome’s vi (ホームズビー)代表。1981年兵庫県生まれ。共著書に『「ティール組織」の源へのいざない』(内外出版社、2020)『はじめてのファシリテーション』(昭和堂、2019)ほか。

牧原ゆりえ(まきはら・ゆりえ)
一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ代表理事。Art of Hosting Japan 世話人。1972年生まれ。訳書に『場から未来を描き出す』(英治出版、2020)、『ていねいな発展のために今私たちができること』(2015)。
ブレーキンゲ工科大学大学院修士課程修了、修士(工学)。

小見まいこ(こみ・まいこ)
NPO 法人みらいずworks 代表理事、文科省CSマイスター、認定キャリア教育コーディネーター。1982年新潟市生まれ。著書に『教育ファシリテーション入門』(みらいずworks、2016)、共著書に『みんなが主役!わくわくファシリテーション授業』(新潟日報事業社、2013)。

井口奈保(いぐち・なほ)
ベルリン在住エコロジカルアーティスト。近年は南アフリカへ通い「人間という動物」が地球で果たすべき役割は、他の生き物に土地を還すことだと発見し、「GIVE SPACEアーバンデザイン方法論」を構築中。

荒木寿友(あらき・かずとも)
立命館大学大学院教職研究科教授、NPO 法人EN Lab. 代表理事。1972年生まれ。京都大学大学院教育学研究博士後期課程修了、博士(教育学)。同志社女子大学を経て現職。著書に『道徳教育はこうすれば〈もっと〉おもしろい』(北大路書房、2019)ほか。

上田信行(うえだ・のぶゆき)
同志社女子大学名誉教授、ネオミュージアム館長。1950年生まれ。同志社大学卒業後、セントラルミシガン大学大学院、ハーバード大学教育大学院で学ぶ。ハーバード大学教育学博士Ed.D.)。プレイフルラーニングをキーワードに、学習環境デザインとラーニングアートの場づくりを数多く実施。著書に『プレイフルシンキング決定版:働く人と場を楽しくする思考法』(宣伝会議、2020)ほか。

稲垣奈美(いながき・なみ)
株式会社アイ・キューブ 共創デザイナー/リサーチャー。ベビー用品、玩具メーカー商品企画デザインを経て、現職。新商品開発プロジェクトを中心にリサーチ、ワークショップデザイン、ファシリテーションを行う。

青波ゆみこ(あおなみ・ゆみこ)
ITトレーナー/フリーランスファシリテーター。短大卒業後事務職として働きながら通信制大学社会学部を卒業。企業内IT /コールセンタートレーナーの傍ら、フリーランスファシリテーターとして活動。ブログ「ファシリテーション文具案内」を運営。

伊勢田麻衣子(いせだ・まいこ)
株式会社ビジネスコンサルタントESB 本部探索事業開発グループ。1978年生まれ。西南学院大学文学部国際文化学科文化人類学専攻卒業、2000年アデコ株式会社入社、2012年カリフォルニア大学アーバイン校エクステンション留学を経て現職。

三澤直加(みさわ・なおか)
株式会社グラグリッド代表。1977年生まれ。事業創出や経営戦略に伴走しながらデザイン経営を支援する共創型デザイナー。著書に『ビジュアル思考大全 問題解決のアイデアが湧き出る37の技法』(翔泳社、2021)。

和田あずみ(わだ・あずみ)
株式会社グラグリッド勤務。共創的なデザインプロセスづくり、クリエイティブ人材育成のプロジェクト等で、プロジェクトマネジメント、ワークショップデザイン、ファシリテーションを担当。HCD-Net 認定 人間中心設計専門家。

酒井麻里(さかい・まり)
Resonant Sign 代表。IAF 認定プロフェッショナルファシリテーター。企業にてSE、人財開発、事業企画などに従事。2019年にコンサルタント、ファシリテーターとして独立。共著書に『いのちにつながるコミュニケーショ
ン 和解の祝福を生きる』(いのちのことば社、2021)。

関美穂子(せき・みほこ)
鹿児島大学文化人類学専攻卒業。旅行代理店、地域おこし協力隊(鹿児島県甑島)を経て2017年に独立。 個人向けサービス「可視カフェ」を軸に思考の整理や言語化のための視覚化を実践中。

小柳明子(こやなぎ・あきこ)
NPO 法人市民プロデュース理事。1977年生まれ。対話の場づくりを軸として、中山間地域の地域づくり・ボランティア活動・市民活動などの支援に携わる。広報講座講師、話し合いを見える化するグラフィック・ハーベスティ
ングの実践など。

グロス梯愛依子(ぐろすかけはし・あいこ)
2015年九州大学統合新領域学府ユーザー感性学専攻修了、修士(感性学)。上毛町フィールドワークやArt of Hosting&Harvesting の実践を続け、かけはしあっちこっち研究所を主宰。チャイルド・ライフ・コミュニケーター。じわくら、CO-LABO 共同創設。

玉有朋子(たまあり・ともこ)
徳島大学 ファシリテーター。徳島大学大学院修了、 修士(工学)。大学内の事業ビジョン作成や事業連携等に携わる。共著書に『The Visual Facilitation Field Guide』(THE VISUAL CONNECTIONPUBLISHERS、2019)、『はじめてのファシリテーション』(昭和堂、2019)

柳幸佐代美(りゅうこう・さよみ)
尼崎市役所環境保全課、尼崎市役所ファシリ部部長。市役所職員同士のコミュニケーションに興味を持ち、ファシリ部に入部。

小濱賢二朗(こはま・けんじろう)
尼崎市役所住宅政策課、尼崎市役所ファシリ部。1988年生まれ。大学にて建築学を学び、建築業界の世界に入る。不動産、工務店、ハウスメーカーというカラーの違う企業を渡り歩き、現在に至る。”リノベーション” の可能性を追及するために日々勉強中。

桂山智哉(かつらやま・ともや)
尼崎市役所自主研修グループ「ファシリ部」。元漫才師、ピン芸人。現在は、夜カツ、元漫才師公務員のお笑い行政講座、わろてら!などで活動中。

江上昇(えがみ・のぼる)
尼崎市役所こども青少年課、尼崎市役所ファシリ部。1978年生まれ。元松竹芸能所属の漫才師。桂山とともに、お堅い行政の話を漫才でわかりやすく伝える「お笑い行政講座」に取り組む他、複数のNPO、任意団体で活動中。

石本玲子(いしもと・れいこ)
高砂市役所勤務。1976年生まれ。兵庫県高砂市出身。国立明石工業高等専門学校建築学科卒業。一級建築士。1997年高砂市役所に建築技術職として入職。2016年から公共施設マネジメントに取り組む。2018年からcode for harima のメンバーとしても活動している。

筒井大介(つつい・だいすけ)
芦屋市役所勤務。1981年生。岐阜県岐阜市出身。2007年より現職。2016年にCode for Kobe へ参加。総務省地域情報化アドバイザー、NPO 法人ファンローカルメンバー。

山本彩代(やまもと・さよ)
NPO 法人場とつながりラボhome’s vi 勤務。1990年生まれ。2015年より現職。NPOや企業や大学のビジョン形成・プロジェクト伴走・次世代型組織変革・ABD 読書会を行う。共著書に『はじめてのファシリテーション』(昭和堂、2019)。

中尾有里(なかお・ゆり)
ファシリテーター、グラフィック・ハーベスター、ピースワーカー。1988年生まれ。非暴力コミュニケーションなどを通じ身近なサイズで平和のリーダーシップを育む。共著書に『こんな学校あったらいいな 小さな学校の大きな挑戦』(築地書館、2013)。

沼野友紀(ぬまの・ゆき)
株式会社沼野組代表。電子書籍取次営業、ウェブディレクターを経て、株式会社グラグリッドに勤務。2020年よりフリーランスのビジュアルファシリテーターとして活動中。同年8月にはボーナブルセグメントに特化した合同会社トライアドを共同設立。

石橋智晴(いしばし・ともはる)
横浜市立公立小学校教諭。NPO 法人EN Lab. 理事。1990 年生まれ。学びを通した自己や組織の変容に興味があり、学生時代より場に立ち続ける。現在は、横浜市の公立小学校の教員として、クラスと職員室の組織開発を実践中。

角野仁美(かくの・ひとみ)
NPO 法人みらいずworks 理事(勤務)。NPO 法人わかもののまち理事。認定キャリア教育コーディネーター。1994年生まれ。 子どもと地域社会を豊かにつなぐ、対話をベースにした学びづくりを探究・実践している。

あるがゆう
コミュニケーション支援会社新規事業部所属。新規サービスの立ち上げ等に取り組む。1994年生まれ。京都女子大学家政学部卒業。個人として活動しながら、まちの人事企画室専属グラフィック・ファシリテーターも務める。

三宅正太(みやけ・しょうた)
NPO 法人山科醍醐こどものひろば勤務。かくしかLab. 世話人。 小学生・中学生と一緒に活動づくりをしながら、グラフィックを現場からイベントに活用する。 1995年兵庫県生まれ。

樋口菜美香(ひぐち・なみか)
京都ぎょくろのごえん茶勤務。手話エンターテイメント発信団oioi 所属。1991年生まれ。現職でPR 担当として勤務をしながら、個人でグラフィックレコーディング・ファシリテーションの現場にて活動中。

奥野美里(おくの・みさと)
株式会社オーティサイト コクリエ事業部(コクリエ・ラボ)。凸凹フューチャーセンター共同代表。生涯学習財団認定ワークショップデザイナー。ファシリテーター、グラフィッカーとして対話の場づくりを行う一方、そのスキルやマインドを伝える講座を開催。インタビュー手法として洗練させるべく「きくかくラボ」を共同主宰している。

二瓶智充(にへい・ともみつ)
アサヒサンクリーン株式会社勤務。介護福祉士。1977年生まれ。筆談や文字盤などのコミュニケーションツールとともに、絵と文字によってその場で要約するグラレコに可能性を感じ描き手になる。Samurai Graphic Recorder( 筆使用)としても活動している。

川原諭(かわはら・さとし)
介護老人保健施設ライフ明海勤務。介護支援専門員。1978年兵庫県生まれ。福祉の枠にとらわず、様々な方々と“誰かではなく誰もが大切なものを大切に”を一つのモットーに豊かな社会の実現のため活動中。

本書の読み方

良い話し合いとはどんなものでしょうか。チームのビジョンや可能性が展望できたり、問題の原因究明や課題に取り組む道のりが見えたり。ようは、“肚(はら)落ちする議論の場づくり”とも言えます。本書は、そうした話し合いを「グラフィック・レコーディング(通称・グラレコ)による可視化」で実現しようとする人たちの実践的入門書です。なんだか難しそうですが、そんなことありません。経験がなくても、絵心がゼロでも、描いて場が創発される面白さや、まず描いてみることの大切さを伝えるのが目的です。

1章は「話し合いの可視化」が生む効果、場づくりの歴史、基礎知識などをまとめています。2章は多様な分野で日々描き続けている実践者の皆さんに、企業、事業開発、行政、まちづくり、教育、福祉現場での手ごたえや試行錯誤を自ら紐解いてもらいます。3章は描いて場をつくるためのアドバイスを詰め込みました。紹介する多様な実践例やアドバイスは、そのすべてを習得することがゴールではありません。探求の道に終わりもありません。自分の特性や立場に合った手法を選びとって、あなたならでは/その場ならではの可視化を楽しんでください。

読み進めていただく前に、ひとつ、問いを送ります。
「あなたはなんのために、グラレコを描きますか?」
可視化は目的ではなく手段です。自分らしい可視化実践に向けた試行錯誤を繰り返しながら、多くの人が場を創発し続けてくれることを願っています。楽しい探求の旅路を!Have fun!

2021年6月
有廣悠乃

開催が決まり次第、お知らせします。

終了済みのイベント