分断された都市
再生するアメリカ都市の光と影

アラン・マラック 著
山納洋 訳

内容紹介

取り残された衰退地区再生の方策を提言

アメリカの都市で起きているジェントリフィケーションが注目されているが、実際に起きているのはほんの一部で、大部分の地域は衰退し苦闘しているのが実態だ。富裕層のための都市再生ではなく、取り残された地域を再生するための方策を豊富なデータに基き提言。分断されるアメリカの今がわかるとともに、日本の都市政策にも示唆を与える一冊。

体 裁 A5・288頁・定価 本体3500円+税
ISBN 978-4-7615-3266-6
発行日 2020/11/01
装 丁 中川未子(よろずでざいん)


推薦文目次著者紹介訳者からのメッセージ関連イベント

コミュニティデザイナー・山崎亮氏(studio-L)推薦!

本書は、都市のごく一部で起きている極端な「盛」を描くとともに、
その他の大部分で起きている「衰」からどう回復するのかについて提言している。
回復の重要な要素のひとつとして挙げられた
コミュニティの「集合的効力感」という概念は、
一介のコミュニティデザイナーである私を強く勇気づけてくれた。

序文

謝辞

まえがき 再生と不平等

第1章 アメリカ工業都市の盛衰

第2章 ミレニアル世代、移民、縮小する中流階級

第3章 工場から高等教育・医療へ

第4章 人種・貧困と不動産

第5章 ジェントリフィケーションと不満

第6章 転落―近隣の変化のもう一つの側面

第7章 脱工業化時代のもう一つのアメリカ―小都市、工場町、苦闘する郊外

第8章 空き家問題に直面する近隣地区

第9章 雇用と教育―貧困の罠から逃れるための苦闘

第10章 権力と政治―変化への意志を求めて

第11章 社会的包摂とチャンスへの道筋

参考文献

訳者あとがき

著者

Alan Mallach(アラン・マラック)

ワシントンにあるCenter for Community Progressの上席研究員。都市計画家、著述家。住宅政策・地域開発・都市再生に関する著作と、全米各地の自治体と協力した都市再生の取り組みで知られる。イェール大学卒業後、ニュージャージー州トレントン市の住宅経済開発局ディレクターとして活躍。現在はニューヨーク市プラット・インスティテュート大学院にて都市計画を教える。

訳者

山納洋

1993年大阪ガス入社。神戸アートビレッジセンター、扇町ミュージアムスクエア、メビック扇町、大阪21世紀協会での企画・プロデュース業務を歴任。2010年より大阪ガス近畿圏部において地域活性化、社会貢献事業に関わる。現在同社近畿圏部都市魅力研究室室長。一方でカフェ空間のシェア活動「common cafe」「六甲山カフェ」、トークサロン企画「Talkin’About」、まち観察企画「Walkin’About」などをプロデュースしている。2018年~2019年6月まで米ハーバード大学に留学。

著書

『common cafe』(西日本出版社、2007年)、『カフェという場のつくり方』(学芸出版社、2012年)、『つながるカフェ』(学芸出版社、2016年)、『地域プロデュース、はじめの一歩』(河出書房新社、2018年)、『歩いて読みとく地域デザイン』(学芸出版社、2019年)

多くの日本人には、この本に描かれているアメリカ諸都市の現状は、対岸の大火事のように思えるでしょう。日本には人種をめぐるここまで複雑な歴史的経緯はなく、空き家は800万戸以上も存在し、公営住宅のストックも多く、ホームレス化のリスクは大きくは顕在化していません。国民は皆保険制度や福祉政策に守られ、所得の再配分によって基幹産業のない地域も支えられており、アメリカほどに深刻な状況になることは近い将来にはないだろう。多くの人はそう思っているのではないでしょうか。

僕自身もそうであることを望んでいます。ですが、かつて“国土の均衡ある発展”を目指した国土政策は、再生が見込める地域に特化した経済成長政策に取って代わり、高齢社会化による社会保障費の増大は、行政に大きな負担を強いる可能性が高まっています。さらに「市や市民に利益がもたらされようともたらされまいと、企業社会やビジネス界には利益がもたらされる」大規模開発プロジェクトが、経済エンジンとしてその存在感を高めています。日本でも今後、何らかの形で社会の公平性を第一義としない政策がまかり通るようになるという、現代アメリカの写し絵のようなシナリオが出現しないとは言い切れません。アメリカ都市の分断の現状を多くの日本の人が知ることは、その予防線として有効に違いない。そんな動機から、僕はこの本を訳しました。

山納 洋

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新刊『分断された都市 再生するアメリカ都市の光と影』(アラン・マラック 著 山納 洋 訳 )がコミュニティデザイナー・山崎亮さんのnoteで紹介されています

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