SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン

高木 超 著

内容紹介

多様な主体の連携で実践する地域課題の解決

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」が、行政の政策や企業の事業、市民団体の活動等に反映されつつある。自治体・民間事業者・住民らが、互いの得意分野を活かして連携する先進地域を取材。SDGsの視点を活用し、多様な主体で地域課題の解決に取り組んでいる実例と、その実践を加速させるキーワードがわかる一冊。

体 裁 A5・240頁・定価 本体2500円+税
ISBN 978-4-7615-2807-2
発行日 2022-03-15
装 丁 北田雄一郎


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計28ページ公開中!(2.2|大都市の多様な担い手を支援する認証制度の設計、2.7|多様な連携協定を活用した脱プラスチックの推進)

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編集部より 試し読み更新情報

試し読み公開!『東京の創発的アーバニズム 横丁・雑居ビル・高架下建築・暗渠ストリート・低層密集地域』『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』

編集部より

大阪府貝塚市のローカル線「水間鉄道」の一部車両に『SDGs×公民連携』仕様ヘッドマーク! 3月3日(木)から掲示開始

編集部より

「共通言語」としてのSDGs ――『SDGs×公民連携』著者・高木超さんインタビュー

編集部より

身近にあるSDGsを見つけるカードツール「MIJI-SUSみぢさす
書籍『SDGs×公民連携』『SDGs×自治体 実践ガイドブック』限定ノベルティ

はじめに|SDGsにおける公民連携の必要性

1章|SDGsを公民連携に活かすために

特別インタビュー:内閣府地方創生推進事務局長 青木由行さん

コラム:SDGs de 地方創生カードゲーム

2章|実践から学ぶSDGs×公民連携

2.1|循環型水利用システムによる都市公衆衛生の向上
――神奈川県鎌倉市×WOTA株式会社

2.2|大都市の多様な担い手を支援する認証制度の設計
――神奈川県横浜市×ヨコハマSDGsデザインセンター×市内企業

2.3|環境債(グリーンボンド)を活用した地域主導の公共事業スキーム
――石川県金沢市×株式会社地方グリーンプロジェクト支援研究所

2.4|産官学金連携で図る里山里海の保全と経済の両立
――石川県珠洲市能登SDGsラボ×市内企業・事業構想大学院大学

2.5|エネルギーの地産地消で創る都市・山村の未来像
――愛知県豊田市×三河の山里コミュニティパワー

2.6|地元企業の経営課題克服とイノベーション促進
――滋賀県×経済界×金融機関

2.7|多様な連携協定を活用した脱プラスチックの推進
――京都府亀岡市×霧の芸術祭実行委員会/一般社団法人Social Innovation Japan

2.8|オンライン化で実現する足を運ばなくていい役所
――大阪府富田林市×株式会社グラファー

2.9|地域ぐるみで挑むゼロ・ウェイストのまちづくり
――徳島県上勝町×株式会社BIG EYE COMPANY

2.10|目指すは資源循環型のサーキュラーヴィレッジ
――鹿児島県大崎町×合作株式会社

コラム:「共通言語」SDGsの視座で海外自治体を見る

3章|これからのSDGs×公民連携を加速させる7つのキーワード

3.1|エイジング・ソサエティ――健やかな住民生活をどう維持するか

3.2|ジェンダー・ギャップ――先進諸国との深刻な差

3.3|サーキュラー・エコノミー――直線的な経済から循環的な経済へ

3.4|生物多様性――地球の限界の視点から地域を考える

3.5|ローカル指標――目標達成に向けた距離を測る

3.6|Society 5.0――地域課題解決に不可欠な都市機能の変革

3.7|Z世代・ミレニアル世代――2030年をカタチづくる次世代の視点

おわりに――公民連携を成功させるポイントと視点

高木超

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教
国連大学サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット 研究員
1986年東京都生まれ。NPO等を経て、2012 年から神奈川県大和市役所の職員として住民協働等を担当。その間、明治大学公共政策大学院を修了。17年9月に退職し、渡米。クレアモント評価センター・ニューヨークの研究生として「自治体における SDGs のローカライズ」に関する研究を行うほか、国連訓練調査研究所(UNITAR)とクレアモント大学院大学が共催する「SDGs と評価に関するリーダーシップ研修」を修了。19年4月から現職(国連大学は同年9月着任)。内閣府地域活性化伝道師、ジャパンSDGsアクション推進協議会事務局国際渉外担当ディレクター、鎌倉市SDGs推進アドバイザー、亀岡市参与(SDGsアドバイザー)、川崎市SDGs推進アドバイザー、能登SDGsラボ連携研究員等を兼務。そのほか、ミレニアル世代・Z世代でSDGsを推進する団体「SDGs-SWY」を創設し、2021年3月まで共同代表。著書に『SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』(学芸出版社)、『まちの未来を描く!自治体のSDGs』(学陽書房)など。日本評価学会認定評価士。

高木超 公式ページ / Cosmo Lab

https://www.cosmo-takagi.com/

はじめに――SDGsにおける公民連携の必要性

まちの様々なアクターをつなぐ「中途半端な位置」

まちづくりの仕事に取り組むとき、私は常に「中途半端な位置」を探しています。この「中途半端」という表現は、どうしても悪い印象を持ってしまいがちです。しかし、「誰かと誰か」「問題と問題」の間に入って、物事が良い方向に進むように調整していくことは、通常の仕事でも、まちづくりでも、そして人間関係においても重要なはずです。

自治体によるまちづくりが、地域の未来を見据えた持続可能なものであるなら、そこに暮らす市民にとって心強いことでしょう。しかし、自治体職員が、自分の部署だけで完結する取り組みばかり考えていたら、果たして「持続可能なまちづくり」を達成することはできるでしょうか。

せっかく幅広い分野の課題が集約された「共通言語」とも言うべき「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進するのですから、公民連携で取り組むことはもちろん、企業と企業、市民団体と市民団体、企業と市民団体といった複数の主体の間に入り、地域課題の解決につながるアクションを支援することも、行政が担える役割であるはずです。

多様な主体の連携を促す“共通言語”としてのSDGs

SDGsの達成年限である2030年より先を見据えた話ですが、2018年に発表された「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告(注1)」では、経営資源の制約により、自治体が従来の方法や水準で公共サービスを提供することは困難になると述べられています。同時に、こうした公共私の機能低下に対応しながら、新しい公共私相互間の協力関係を構築し、くらしを支えていくための対策を講じる必要があると提起しています。つまり自治体は「公共私のプラットフォーム・ビルダーへの転換」が求められているのです。

地域を構成する多様な主体や、地域の外に存在する主体が集う場所を構築しながら、それぞれの主体の間――まさに「中途半端な位置」――に行政がいることで、各主体の力を最大化させることができます。

この公民連携によるまちづくりを進める上で、SDGsという「共通言語」は、多様な主体の連携を促進する可能性を秘めています。

本書では、様々な可能性を秘めたSDGsを活用しながら、公民連携による地域課題解決に取り組む全国各地の自治体をご紹介します(図1)。これらの内容が、自治体職員、議員、企業、市民団体、個人など様々な立場でSDGsを推進するあなたの役に立てば、嬉しく思います。

SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン

図1 本書の構成。第1章から終章に至る各段階で、自治体がSDGsを公民連携とかけあわせながら活用するためのポイントをまとめている

注釈

注1 総務省・自治体戦略2040構想研究会「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告」〈https://www.soumu.go.jp/main_content/000562117.pdf〉(最終アクセス:2021年8月12日)

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