現場と図面をつなぐ
図解 木造住宅の設計


半海 宏一 著

内容紹介

軸組モデル×図面で木造住宅をとことん解説

軸組モデル×図面で1軒の木造住宅をとことん解説。現場経験なしではイメージしづらい木造の骨組みや床・壁・屋根の下地、居心地を左右する内部納まりも、立体図解なら一目瞭然! 土工事、基礎工事、木工事、屋根・内外装工事、造作工事と、実務の施工順に立ち上がるプロセスモデルを使って、図面と現場を自在に行き来しよう

体 裁 B5変・128頁・定価 本体2600円+税
ISBN 978-4-7615-2826-3
発行日 2022-08-25
装 丁 木村幸央


目次著者紹介はじめにおわりに関連ニュース関連イベント

はじめに

1 基本設計

0. 設計のフロー

1. 設計依頼・打合せ

2. 敷地調査

3. エスキスとプランニング

4. 配置図

5. 平面図

6. 立面図

7. 矩計断面図

2 現場監理

8. 工事現場・業務説明

9. 地鎮祭

10. 仮設工事

11. 土工事

12. 基礎工事

13. 木工事
 1. 土台敷き
 2. 1F床下地
 3. 1F柱
 4. 2F床梁
 5. 2F床下地
 6. 2F柱
 7. 小屋組
 8. 垂木
 9. 野地

column 餅のはなし

建築概要

column 現場のタイムライン

3 詳細設計

14. 屋根工事
 1. 屋根詳細図
 2. 防水
 3. 屋根板金

15. 外壁工事
 1. 耐力壁・間柱
 2. サッシ枠
 3. 防水
 4. 外壁下地
 5. 外壁仕上

column 木摺りの結果は数十年後

16. 内装工事
 1.床・巾木
 2.外部枠まわり詳細図
 3.内部下地
 4.内部枠まわり詳細図

17. 造作工事
 1.階段
 2.玄関
 3.シュークローク
 4.キッチン収納
 5. 吹抜け・薪ストーブ

18. 仕上工事

19. 外構工事

20. 竣工・引渡し

interview 建主にきく〈吹抜けのある家〉と生活

おわりに

半海宏一 (はんかい こういち)

建築家。1983年京都府宮津市生まれ。2008年京都造形芸術大学大学院芸術表現専攻修士課程修了。横内敏人建築設計事務所勤務を経て、2014年半海宏一建築設計事務所設立。2016年より京都橘大学工学部建築デザイン学科講師。共著書に『建築デザイン製図』(学芸出版社、2018)。

木造住宅を図解する

大学を卒業して設計事務所で働きはじめると、木造について何もわかっていないことに気がついた。先輩所員の下について木造住宅を担当することになったのだが、まず図面が読めないという事実に直面した。大学の住宅課題で描いた平・立・断面図ならかろうじて理解できるが、ほかの図面は全く意味がわからない。ただ無心にトレースしていた矩計図はもちろん、基礎伏図がどう立体として立ち上がり、構造図はどう図面を読めば良いかさえ知らなかった。

訪れた施工現場ではさらに戸惑った。広小舞(ひろこまい)、登淀(のぼりよど)など部材の名称や相(あい)じゃくり、本実(ほんざね)など加工の名称について、現場で飛び交う言葉が理解できず、事務所に戻った後で必死になって調べる日々が続いた。なんとかしなくてはと手に取ったのは、40年前(当時)に出版された木造建築の入門書と用語辞典。継手や仕口のわかりやすい図解に助けられながらも、いざ図面と現場の溝を埋め合わせようとすると、現代住宅の仕様とどうしてもズレが生じる。ズレを解消するため、最新の雑誌を読み漁ったり、WEBで検索したり、メーカーに問い合わせたり……。世の中に散らばる知識を少しずつ拾い集めて、所長や先輩のもとでコツコツと6年間経験を積み、2014年に独立した。現在も日々、木造住宅の設計に向き合っている。

図面上とちがって、実務で向き合う実物の建築は大きい。原寸で考えてやっと理解できることもあれば、思いがけない制約や要請も多い。小さな図面と実物の建築の間に溝があるのは当然で、現場は経験を積むことでしか身につかない実践知に支えられている。とはいえ少しでも図面と現場を近づけ、理解を深める手助けができないか、との思いをかたちにしたのが本書だ。左頁の図面と右頁の立体図を見比べながら、建築が立ち上がるプロセスや現場の豆知識を学ぶというシンプルな構成としている。後半は室内空間の詳細な納まりも収録した。

また今回は建主にも協力いただき、引渡し後の実際の生活やメンテナンスといった竣工後の設計者の関わり方も収録した。新米所員だったころの自分、図面上の建築しか知らなかった学生の頃の自分に手渡したいと思える一冊を目指している。

この本を書きながら、〈吹抜けのある家〉の図面整理や現場写真を眺め、現場でのあらゆる場面を思い出した。竣工を目指すどの現場も、多くの職人たちに支えられているが、いつも感じることは現場監督と棟梁の存在である。現場監督の大村利和さんは、設計のこだわりをしっかり理解し、どうすれば実現できるかを一緒に考えてくれ、その意図を的確に職人へ伝えてくれる設計の良き理解者である。棟梁の千原紀明さんは、経験に基づく判断だけでなく新しい試みにも挑戦してくれる頼もしい棟梁である。私の祖父が大工だった事もあり、大工への憧れと期待は大きいのだが、それを裏切らない仕事ぶりにいつも感謝している。そして大工であった祖父も、89歳になった今でも社寺建築の施工図面を描いている。この大きな背中を見ていると、自分自身がまだまだ未熟者だと痛感させられる。現場は本当に奥深く、未だにわからないことが多い。だから現場と図面を行き来することが楽しくて仕方がないのかも知れない。

現場と図面をつなぐ図解本として、設計を志す若い世代へ向けて執筆の機会をいただき、本書を編集してくださった学芸出版社の岩切江津子さん、山口智子さん、ブックデザインを手がけてくださった木村幸央さん、手描きアイソメで空間を図解していただいた同志の政木哲也さん、このような企画に快く賛同していただいた建主とご家族の皆様に感謝申し上げます。そして、設計のいろはから、建築家としての真摯な姿勢を学ばせていただいた師である横内敏人先生に感謝申し上げます。

最後に、いつも私を支えてくれている家族に感謝の意を伝えたいと思います。

2022年7月5日

半海宏一

公開され次第、お伝えします。

開催が決まり次第、お知らせします。