クリエイティブサウナの国ニッポン


こばやし あやな 著

内容紹介

ブームに沸く日本サウナの個性を徹底解剖!

目を見張るようなサウナブームに湧く日本。その現象を一歩引いて観察すると、施設も、 過去の歴史も、マーケットも、そして愛好家も、活気とクリエイティビティに溢れている。本場の国フィンランドに暮らすサウナ文化研究家が、日本サウナのオリジナリティを徹底解剖し、すべての読者を熱いブームの舞台裏へと誘う新鮮な一冊。

体 裁 A5・176頁・定価 本体2500円+税
ISBN 978-4-7615-2802-7
発行日 2021-12-20
写 真 村瀬健一
装 丁 佐野研二郎(MR_DESIGN)曽我貴裕(MR_DESIGN)


試し読み関連イベント目次はじめにおわりに著者略歴

三章 ブームを文化に押し上げる愛好家たち

2 SAUNA×MEDIA 柳橋弘紀 【番組プロデューサー】
あるがままを映像に収め、愛好家目線で施設のこだわりを発見する

※紙面をクリックしていただくと別ウィンドウで拡大できます

開催が決まり次第、お知らせします。

終了済みのイベント

はじめに 世界が羨む、日本サウナの活気とクリエイティビティ

序章 いま、サウナにのめり込む日本人

1 サウナに夢中になる現代人、どんどん増加中
2 フィンランド・サウナと日本サウナの共通点と相違点
3 現代の日本サウナは、この四つの視点から読み解くと面白い!

一章 日本のクリエイティブなサウナたち

1 いまあるものを地道に磨く地元密着型

【File1】郷土の清水から名物娯楽を生み出した老舗スーパー銭湯 サウナ&天然温泉 湯らっくす(熊本県熊本市)
【File2】サウナと伝統銭湯のギブ・アンド・テイク 黄金湯(東京都墨田区)

2 一歩先の体験を開拓する独創型

【File3】霊山に佇む旅館がつくり出した幽玄のサウナ 御船山楽園ホテル らかんの湯(佐賀県武雄市)
【File4】大都会へのフィンランド・サウナ移植実験 ウェルビー & サウナラボ グループ(東京都千代田区、名古屋市、福岡市)

3 地域風土を活かすツーリズム型

【File5】キャンプ場に活気を招くテントサウナと滝壺水風呂 飛雪の滝キャンプ場(三重県南牟婁郡紀宝町)
【File6】人と自然と村の暮らしを紡ぎ合わせるログ造りサウナ ume,sauna(奈良県山辺郡山添村)

二章 蒸気浴文化の再発見とアップデート

1 知っておきたい日本サウナの進化史

column 1964年東京五輪:フィンランド・サウナ邂逅ミステリー

2 ツーリズムからグッズ販売まで:産業としてのサウナの可能性

三章 ブームを文化に押し上げる愛好家たち

1 SAUNA×MANGA タナカカツキ 【マンガ家】

鮮烈な表現で負のイメージを一新し、 若者にも女性にも間口を拡げる

2 SAUNA×MEDIA 柳橋弘紀 【番組プロデューサー】

あるがままを映像に収め、愛好家目線で施設のこだわりを発見する

3 SAUNA×DIGITAL サウナイキタイ 【サウナ施設検索サイト】

人それぞれの楽しみ方を応援する 数値評価から解放されたポータルサイト

4 SAUNA×HANDCRAFT たる/SAUNA HAT FACTORY 【サウナハット工芸家】

名刺代わりのサウナハットで、裸のコミュニケーションの背中を押す

5 SAUNA×ENTERTAINMENT 井上勝正 【熱波師】

プロレス出身の熱血エンターテイナーが、熱波の力で汗と涙を誘い出す

6 SAUNA×SUSTAINABILITY 大森謙太郎 【園芸家】

国産ヴィヒタ生産のしくみをととのえ、次世代の愛好家たちに森を託す

はじめに 世界が羨む、日本サウナの活気とクリエイティビティ

2018年末に『公衆サウナの国フィンランド』を上梓してから、あっという間に3年の月日が経ちました。出版前は、こんなにニッチなテーマの本を手に取ってもらえるのかと不安ばかりでしたが、たくさんの方が関心を寄せてくださり、こころから嬉しく思っています。また前著をきっかけに、フィンランド在住ゆえそれまで縁のなかった、日本のサウナ愛好家や施設関係者の方々との豊かな繋がりをもてたことは、わたし自身にとって何よりの喜びでした。
フィンランドの公衆サウナでも、日本人客の姿を見かける頻度が格段に増えました。施設オーナーたちも「日本ってそんなにご近所の国だったっけ.」と目を丸くしていたほどです。現地観光局も、この好況を察してにわかにサウナ・ツーリズムに本腰を入れるようになり、日本人目線でのアドバイスを求められる機会が増えました。わたしの本業は通訳コーディネーターですが、出版以来、実に20以上のフィンランド・サウナをテーマにした視察や取材撮影、番組ロケに立ち会いましたし、いまでも執筆や講演のご依頼を途切れなくいただいています。
まさかここまで、母国からのフィンランド・サウナへの眼差しを実感できる時代が来ようとは……。2015年ごろ、現地大学院で公衆サウナの論文を書いていた当時には想像もできなかった未来との対面に驚きながら、両国の橋渡し役として活動の拡がりを楽しんでいます。

ところが世界は突然に、信じがたい鎖国時代に突入しました。〈サードプレイス〉を謳っていたフィンランドの公衆サウナも、ソーシャルディスタンスが標準化した社会ではその存在意義を無慈悲に揺さぶられました。前著に出てきた施設の関係者たちは、先の見通せない不安やジレンマを抱え、いまももがき続けています。唯一、界隈に明かりをともしたのが、2020年12月に届いた「フィンランドのサウナ浴文化」ユネスコ無形文化遺産登録のニュース。このときばかりは、久々に関係者の皆さんと手を取って、喜びを分かち合いました。
とはいえ、2021年になっても世界情勢は一進一退のまま。いま自分にできることで、フィンランドの公衆サウナ業界を元気づけられないものかと思案の末に思いついたのが、「日本のサウナブームを紹介する本を現地で出版する」という挑戦でした。本国にない独創的なサウナの数々に、きっとフィンランド人も刺激を受け、業界を再活性する新鮮なヒントを得られるはずだと考えたのです。
でもおそらく、日本の皆さんは首を傾げることでしょう。いくら空前のサウナブームとはいえ、本場のフィンランド人に向けて「日本サウナ」を紹介する意義があるのかと。けれどこの数年、フィンランド、日本、そのほか多くの国々の浴場文化を現地調査し、動向を追い続けるわたしが言うので信じてください。2021年現在の日本のサウナ業界は、世界のどの国よりも、クリエイティブで、エネルギッシュで、人を惹きつけるポジティブな力に溢れています。
もちろん、これは完全にわたしの肌感覚でしかありません。ですが、わずか数年の間に個性豊かなサウナ施設が全国に新設され、都会にも森にもテントサウナRが組み立てられ、メディアが専門番組や雑誌を次々生み出し、数知れない愛好家がSNSで日々アクティブに情報交換しながら、ウィズ・コロナの時代でもモラルを守って〈ととのって〉いる……そんな奇特な国が、いま他所にあるでしょうか?

しばしば、「所詮はブームで、いつか飽きられる日が来る」とか、「日本人がどれだけ創意工夫を重ねても、本場の国々に敵うはずもない」という声を耳にします。日本のサウナ施設を訪れると、「本場のサウナを知っているあなたから見たら、こんなサウナ室や楽しみ方はまがい物に見えるでしょう?」と苦笑いされる方もいます。ですが、奥ゆかしい(?)謙遜は不要です。むしろ、日本人はいままさに、サウナという異国由来の入浴スタイルが〈ブーム〉から〈文化〉へと移ってゆく歴史的転換期に立ち会っているのだと、わたしは本気で思っているのです!
一時帰国のたびに全国のサウナ施設やイベントで出迎えてくれるのは、「日本のサウナをもっと面白くしたい!」「サウナを通じて地域社会に貢献したい!」という一心で、ワクワクする事業に挑む仕掛け人たちでした。自身の専門スキルを活かしてサウナ業界を盛り上げるユニークな活動家たちにも、数多く出会いました。彼らは一様に、サウナに対する偏愛的なまでの熱意があって、しかも、フィンランドのサウナ業界では誰も考えつかないような突き抜けた発想を形にしてゆくセンスと行動力をもっています。好きであるがゆえにどんどん熾烈になる、常識
に縛られないアイデア合戦。昨今の日本サウナ業界のエンジンは、まさにそこにある気がします。そしてそれは、日本が「サウナとはこうあるべき」という重い伝統や習慣に縛られない〈サウナ新興国〉だからこそ、成し得るのだとも感じています。

何千年に及ぶフィンランドのサウナ浴の歴史は、今日まで大事に保全されてきた自然資源や気候風土の賜物であり、絶対不動です。さらに、性善説や寛容の精神にもとづく成熟した市民社会のあり方が、フィンランド・サウナの自由でおおらかな気風をつくり出していることは、前著『公衆サウナの国フィンランド』で強調したとおりです。
ですが伝統はときに、常識や解釈を覆してまったく新しいものを生み出そう、という革新的な動きを鈍らせます。フィンランド・サウナは、工法技術こそ進化しつつも、基本的な構造や作法自体は、長らく大きな変化を遂げていません。また、全人口がたった550万人強で極北に位置するフィンランドは、国内における地域性の差異が圧倒的に乏しい上、市場も小さい。サウナ施設においても、クオリティはどこも素晴らしいのだけど個性や地域性を打ち出すのが難しい、という課題に直面しているのです。これらの点においては、日本のサウナ業界はむしろ、フィンランドが羨む大きな可能性を秘めているといえるのではないでしょうか。

そういうわけで、フィンランド人を唸らせるような日本の事例集めをコツコツ進めていたのですが、執筆を進めながら別の思いも強まっていました。日本の皆さんにこそ、いまの日本サウナを取り巻く状況のユニークさに気づいてほしい、と。取材で見聞きした日本らしい「クリエイティビティ」は、わたしのように一度母国を離れると特別なものとして目に映りますが、おそらく多くの日本人にとっては灯台下暗しなのです。だからこそ、本国の皆さんにも読んでもらいたい。そう考えて日本語に再編したのが本書です。
取材や情報収集においては、まさに2021年現在の日本サウナ業界を牽引する方々や施設に、全面的な協力をいただきました。彼らのアイデアと実践はいずれも、現代社会に呼応しつつも普遍性に満ちた、クリエイティブで示唆に富んだ事例ばかりです。
サウナ愛好家にとって、草分け的な仕掛け人たちの流儀は、今後のサウナライフをさらに楽しむヒントに溢れているでしょう。未体験だけれどサウナが気になっている人や、サウナを通じた新規事業を目論んでいる人にとっては、業界のリアルな動向や常識、最新プロジェクト、そして先駆者たちの思考と熱量を知るきっかけになるはずです。

ぜひ一緒に、日本サウナ史上もっとも面白い時代の生き証人になりましょう!

おわりに 持続可能なブームが、いつか文化になる

序章の最後で示した、【こだわり】【歴史】【産業化】【プロ愛好家】という四つのテーマの窓から眺めた「日本サウナの視察旅行」は、いかがだったでしょうか。
改めて、思いませんか? 日本人って、なんて凝り性で、器用で、直向きで、人のことを想
いやる民族なのだろう……と。
確かに、日本人はいつでも他者や他国の面白そうな事象に(やや過剰なまでに)アンテナを張り、ときに少し節操なく、見様見真似で採り入れることを厭わない民族です。けれどまもなく、そこへ驚きの独創性や新しい価値をプラスして、より自分たちの感性や風土に適ったものへと生まれ変わらせてゆく。そのやり方に抜群に長けているのです。
それをオリジナリティとかクリエイティビティと呼ぶことに、抵抗がある人もいるでしょう。けれど、模倣を出発点とする創造性は、どんな芸術分野にも存在します。わたしがいま書いているこの文章だって、所詮は先人が生み出した語や表現の集積でしかありません。
ともあれその「更新作業」の原動力になっているのが、自己顕示欲ではなく、他者や社会を慮る気持ちのほう(少なくともうまくいっている事例はいつもそう)であるのは、とても日本人らしいクリエイティビティの姿です。日本のものづくりや場づくりに宿る「想いやり」や「歓待」の精神は、新興ブームに次々新しい人を巻き込み、健全で発展性のある社会的ムーブメントへと拡げていく過程での、何よりの強みです。
日本のサウナ業界で昭和の時代から受け継がれてきた、「人は人によって癒やされる」というモットーは、まさにこの象徴です。わたしたちが日々の癒やしをサウナに求めるとき、素晴らしいサウナと水風呂と外気浴スペース……という環境に癒やされているようで、実はそれもほんの一部です。そのとびきりの〈ととのい〉の場を提供する人たちの、人間らしい偏愛やこだわりやホスピタリティにほだされ、癒やされている側面が大きいのではないでしょうか。

とりわけ日本人は、はっとするアイデアと、こころ動かされるストーリーとがかけ合わさったときに、それらを共有し応援したいという衝動に突き動かされ、熱狂し始めます。つまりブームとは、つくり手が受け手のことを想い、受け手がつくり手のことを想うことで共感や協調が生まれ、やがて両者の立場を分け隔てるボーダーが崩れ始めたときに、一気に活力と求心力が増すものなのです。
昨今の日本における「サウナブーム」は、まさにつくり手(施設)のクリエイティビティと受け手(愛好家)のレスポンスとが噛み合い、ボーダーレス、すなわち両者が共に互いを支え合う世界になりつつあります。だからこそ、ここまで絶大な盛り上がりを見せているのだろう、というのがわたしの見解です。意欲とリソースをもつ人が、もっと面白いサウナをつくり運営する。愛好家たちは、個人的な体験や感動をSNSで逐一言語化し、波及させる。さらにプロ愛好家たちが、専門スキルや影響力を駆使して産業化の可能性を押し拡げてゆく。つまり、サウナが好きだという想いで集ってきた多様な人びとが、それぞれの立場で無意識に役割を果たし、とても良好な生態系が築かれているのが、日本サウナブームの実態なのです。
序章で、そんな日本サウナの有り様を〈巨大コロニー〉みたいなものだと例えました。けれどそれは、新規参入しづらい閉鎖的な世界だという意味ではありません。サウナはいつも誰もを等しく癒やしてくれるあたたかで心地良い居場所です。だからまずはサウナに足を運んで、ご自身のこころと体で、その感覚体験の真髄を味わってください。「サウナが好き」という純粋な気持ちこそが、コロニー参入のための唯一にして絶対的なパスポートです!

実はここまで、わたしは一度も日本サウナ〈文化〉と呼ばず、敢えて〈ブーム〉と表現してきました。おそらく多くの人が、日本のサウナはこのままブーム止まりなの? 一体いつになったら文化と呼んでよいの? とヤキモキしていると思います。
文化かそうでないか、それを分かつための納得いく定義づくりは、どんな高名な学者にもできません。ある意味で、「名乗ったもの勝ち」の世界かもしれません。けれど最後に、曲がりなりにも肩書をサウナ「文化」研究家としているわたしの個人的な思いに、少しだけ耳を傾けてくだされば、幸いです。
文化と呼べるものごとに欠かせないのは、「風土との相性」と「持続性」だと、わたしは考えています。近代に日本が「文化」という訳語を充てたドイツ語「クルトゥール(Kultur)」、つまり英語のcultureという語の起源は、ラテン語のcolore(耕す)という動詞です。作物の収穫のために土を耕す行為が象徴するのは、第一に自然現象ではなく「人の営み」であること。それから、その場所の「気候風土に寄り添う」知恵と工夫が必要であること。そして、その土地を繰り返し「使い続けてゆく」ための作業であること。この三つのエッセンスが受け継がれているのであれば、それは「文化」と誇ってもよいのではないでしょうか。
いまの日本サウナの在り方は、現象として非常に日本的であり、かつ個々に見ても、それぞれの地域風土の特色を味方につけたユニークさを内包していることは、これまで紹介してきたとおりです。近年は、地域風土を活かしたサウナづくりから、サウナを活かした地域風土づくりに活動が及んでいることからも、すでにサウナは日本という国に根を張り、この風土で豊かな実りをもたらす存在になってきているのは間違いありません。
いっぽう「持続性」という観点ではどうでしょうか。二章で紹介したように、古来日本人は蒸気浴の独自文化を育んできました。ですが、フィンランドのように何千年と持続させてきた「伝統」のたくましさと比較しては、やはり熟成期間が浅く軟弱だったのは否めません。

ただしここで目を向けるべきは、経年数ではなく、「未来に繋げる意思や努力があるか」ではないでしょうか。つまり、いまだけ楽しければよい、ではなく、将来の世代の人たちがサウナの恩恵を受け続けるために、自分は何ができるかを考えることです。
少し先の世界を想いやるという営みが、まさに現代においてさかんに議論される、サステナビリティやSDGsといった価値観の原点です。昨今はフィンランドでもサウナに限らず、本当に良いものだけを残し、自らの消費生活や企業や社会を少しでも持続可能な体質に変えていこうとする動きがとても活発です。

「はじめに」でも弁解しましたが、もともとこの本は、フィンランド人に日本サウナのいまを知ってもらいたいという動機で取材し、綴り始めたものです。日本らしいサウナ施設や活動の事例を見つけるのは、ある意味でとても簡単でした。ですがひとつだけ最後まで腐心したのが、現代のフィンランド人がもっとも関心や期待を寄せるテーマでもある、【サウナ×サステナビリティ】の観点で、日本での先進的な取り組みの事例を探すことでした。
日本人は、いま目の前にいる人たちを癒やし楽しませようとする熱量は抜群ですが、さらに未来の人や社会を見据えた活動に重きを置く人は、もしかしたらまだ少ない(目立たない)のかも知れません。そんななかで、大森ガーデンの大森謙太郎さんが、30年後のサウナ愛好家のために黙々と白樺の木を植え続けているというエピソードは、日本サウナの未来にとっての貴重な希望の種に思えたので、全章の最後に紹介させてもらいました。
日本のサウナブームは、地域風土との相性という面ではすでに十分、文化としての素養をもっています。だからあともうひと押し、この素敵な営みを持続し「ブーム」を「文化」へと昇華させるために、施設側も愛好家も、おのおの何ができるかを考えて実践する……そんな最終段階にあるように思います。

繰り返しますが2021年現在、世界中の公衆浴場産業が未曾有の感染症問題で等しく苦しみ、暗いムードを払拭できていないなかで(もちろん日本でも残念ながらこの期間に廃業を余儀なくされた店舗もありましたが)、こんなにも希望を失わず活気に満ちた温浴業界が存在するのは、まさに日本くらいなのです。わたしは日本人としてこのことを誇りに思い、日本サウナ発のアイデアや熱量を、今後フィンランド人にも伝え還元してゆかねばと思っています。まもなく「日本サウナ文化」の姿が誰しもの眼にはっきりと映る未来を想像し、それをこころから楽しみにしながら。
最後に、前著に引き続き全力伴走してくださった編集者の岩切江津子さん、今回も素敵な装丁を纏わせてくださった佐野研二郎さんと曽我貴裕さん、ご多忙のなか最初の読者となってくださった原田泰造さん、親身に取材協力くださったエキスパートの方々、そして魅力的な写真と日々の対話で執筆作業を励まし続けてくれた、カメラマン兼ベストパートナーの村瀬健一さん。皆さん、本当にありがとうございました。またどこかのサウナで会いましょう!

2021年12月某日こばやしあやな

こばやし あやな

サウナ文化研究家。1984年岡山県生まれ、大阪・神戸育ち。大阪大学大学院に在学中、フィンランド・ヘルシンキ工科大学(現アールト大学)建築学科に留学し、帰国後にフィンランド語の独学を始める。東京で雑誌編集者として働いたのち、2011年フィンランドに移住しユヴァスキュラ大学人文学部で芸術教育学を学ぶ。同時期に「Suomiのおかん」の屋号を掲げ、在住コーディネーター、ライター、通訳翻訳者としての活動を開始。「フィンランド公衆サウナの歴史と意義」というテーマで執筆した修士論文が話題になり、2016年に同大学院修士課程を首席で修了。卒業後に起業しコーディネート業務を続けるかたわら、サウナ文化のエキスパートとして、日フィン両国のメディア出演や講演活動、諸外国の浴場文化のフィールドワークを行なっている。2018年に著書『公衆サウナの国フィンランド』(学芸出版社)を出版。

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