改訂版 図説 やさしい構造力学

浅野清昭 著

内容紹介

数学や物理が苦手だけど、初めて、あるいはもう一度、構造力学を勉強しなければならない!そんな人に向けた好評の入門教科書、待望の改訂版。すべてを手描きのイラストで図解し、丁寧な解説を心がけ、〈手順〉どおりにやれば誰でも解けるように構成。2色刷でさらに見やすく、二級建築士試験に対応した練習問題も増補した。

体 裁 B5変・204頁・定価 本体2700円+税
ISBN 978-4-7615-2655-9
発行日 2017/09/20
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史

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目次レクチャー動画著者紹介まえがき紙面見本正誤情報電子版

まえがき

第1章 構造力学に必要な算術計算

1・1 分数

1・2 平方根

1・3 文字を含んだ式

1・4 方程式(xの値を求める)

1・5 連立方程式(2つ以上の未知数を求める)

1・6 相似形

1・7 面積

練習問題

第2章 力の基礎

2・1 力

[1]力の表現

[2]力の符号

[3]力の効果

[4]力の単位

2・2 力のモーメント

[1]力のモーメントとは

[2]力のモーメントの符号

[3]力のモーメントの距離の見極め方

2・3 合力

[1]合力とは

[2]1点に作用する力の合力

[3]平行に並ぶ力の合力

2・4 分布荷重

[1]分布荷重とは

[2]分布荷重の合力

練習問題

第3章 力の釣り合い

3・1 力の釣り合いとは

3・2 回転をともなう力の釣り合い

練習問題

第4章 反力

4・1 構造物の力学モデル

4・2 構造物の支え方

4・3 単純梁の反力

[1]集中荷重の場合
[2]分布荷重の場合
[3]モーメント荷重の場合

4・4 片持ち梁の反力

[1]集中荷重の場合

[2]分布荷重の場合

[3]モーメント荷重の場合

4・5 張り出し梁の反力

4・6 ラーメンの反力

[1]水平方向の力の場合

[2]鉛直方向の力の場合

練習問題

第5章 部材に生じる力(基礎編)

5・1 部材に生じる力の解説

[1]曲げモーメント

[2]せん断力

[3]軸方向力

5・2 単純梁に生じる力

[1]集中荷重の場合

[2]分布荷重の場合

[3]モーメント荷重の場合

5・3 片持ち梁に生じる力

[1]集中荷重の場合

[2]分布荷重の場合

[3]モーメント荷重の場合

5・4 知っていると便利な関係

[1]曲げモーメント図はせん断変形の形
[2]せん断力の値は曲げモーメント図の傾き
[3]力のたし合わせ

練習問題

第6章 部材に生じる力(実戦編)

6・1 せん断力図を描く方法(矢印図法)
[1]集中荷重の場合
[2]分布荷重の場合
[3]モーメント荷重の場合

6・2 曲げモーメント図の特徴

6・3 曲げモーメント図の描き方(スパナ化法・面積法)

[1]集中荷重の場合
[2]分布荷重の場合
[3]モーメント荷重の場合

6・4 実戦例題

練習問題

第7章 トラス

7・1 トラスとは

7・2 節点法

7・3 図解法

7・4 切断法

[1]単純梁型の場合
[2]片持ち梁型の場合

練習問題

第8章 断面に関する数量

8・1 図心

8・2 断面2次モーメント

[1]中立軸に関する断面2次モーメント
[2]離れた軸に関する断面2次モーメント
[3]薄肉断面の断面2次モーメント

8・3 断面係数

練習問題

第9章 応力度

9・1 軸応力度(引張応力度・圧縮応力度)

9・2 曲げ応力度

9・3 せん断応力度

9・4 許容応力度

9・5 許容曲げモーメント

9・6 曲げ応力度と圧縮応力度との組み合わせ

練習問題

第10章 座屈

10・1 座屈とは

10・2 座屈荷重

練習問題

第11章 たわみ

11・1 代表的なたわみ

11・2 たわみの求め方

 練習問題

第12章 不静定構造の基礎

12・1 不静定構造とは

12・2 不静定構造の基礎的解法

練習問題

第13章 塑性解析の基礎

13・1 弾性と塑性

13・2 静定構造の崩壊と全塑性モーメント

[1]静定構造の崩壊
[2]全塑性モーメント

13・3 不静定構造の崩壊と崩壊荷重

[1]不静定構造の崩壊
[2]崩壊荷重の求め方

13・4 不静定ラーメンの崩壊と保有水平耐力

練習問題
練習問題の解答

ちょっと参考メモ

①集中荷重の位置と反力との関係
②ラーメンに生じる下向きの反力
③曲げモーメント図の段差について
④3ヒンジラーメンの水平反力の求め方
⑤トラスに生じる力 感覚を大切にしよう
⑥軸方向力が0になる部材
⑦どうしてI=bh3/12なの?
⑧縮小模型の応力度
⑨曲げモーメントは曲げ応力度の合力
⑩倍率問題対策
⑪片持ち梁たわみ式δ=Pl3/3EIから柱の水平剛性を求める
⑫ピン支点のある場合

『図説やさしい構造力学』(学芸出版社)の著者・浅野清昭が、本教科書の内容について、ひとつひとつ丁寧に講義する動画講座です。

コンテンツ一覧

※カッコ内は教科書の該当ページ

  • #00 勉強に入る前に
  • #01 力の表現/力の足し算(P.16-18)
  • #02 力の分解(P.18-21、問題集P.8-9)
  • #03 力のモーメント(P.22-23、問題集P.10-11)
  • #04 分布荷重とその合力(P.29-30、問題集P.14)
  • #05 力のつり合い(その1)(P.34-36)
  • #06 力のつり合い(その2)(P.36-37、問題集P.16-17)
  • #07 力のつり合い(その3)(P.37-38、問題集P.18-19)
  • #08 単純梁の反力(その1)(P.40-43、問題集P.20-21)
  • #09 単純梁の反力(その2)(P.43-45、問題集P.22-23)
  • #10 片持ち梁の反力(その1)(P.46、問題集P.24-25)
  • #11 片持ち梁の反力(その2)(P.47-48、問題集P.26-27)
  • #12 張り出し梁の反力(その3)(P.49-50、問題集P.28-29)
  • #13 ラーメンの反力(P.51-52、問題集P.30-33)
  • [まち座プラス会員限定]#14 [過去問題解説](二級建築士、H26-4)
  • #15 部材に生じる力(応力)(その1)(P.58-61)
  • #16 部材に生じる力(応力)(その2)(P.62-65、問題集P.34-37)
  • #17 部材に生じる力(応力)(その3)(P.66-67、問題集P.38-41)
  • #18 部材に生じる力(応力)(その4)(P.67-69、問題集P.42-45)
  • #19 部材に生じる力(応力)(その5)(P.70-71、問題集P.46-47)
  • #20 部材に生じる力(応力)(その6)(P.71-72、問題集P.48-49)
  • #21 部材に生じる力(応力)(その7)(P.73、問題集P.50-51)
  • #22 応力(実用的解法)(その1)(P.82-85、90-92、問題集P.52-53)
  • [まち座プラス会員限定]#23 〈限定公開〉[過去問題解説](二級建築士、H27-3)
  • #24 応力(実用的解法)(その2)(P.85-87、92-94、問題集P.54-55)
  • #25 応力(実用的解法)(その3)(P.87-88、94-95、問題集P.56-57)
  • #26 応力(実戦例題)(その1)(P.96、98、問題集P.58-59)
  • [まち座プラス会員限定]#27 [過去問題解説](二級建築士、R01-3)
  • #28 応力(実戦例題)(その2)(P.97、99-100、問題集P.60-61)
  • #29 応力(実戦例題)(その3)(P.100-101、問題集P.62-63)
  • [まち座プラス会員限定]#30 [過去問題解説](二級建築士、R03-5)
  • #31 応力(実戦例題)(その4)(P.101-103、問題集P.64-65)
  • #32 3ヒンジラーメン(P.103-105、問題集P.66-68)
  • [まち座プラス会員限定]#33 [過去問題解説](二級建築士、H25-3)
  • #34 トラスについて(P.112)
  • #35 トラス(節点法)(P.113-116、問題集P.70-71)
  • #36 トラス(図解法)(P.117-121、問題集P.72-73)
  • [まち座プラス会員限定]#37 [過去問題解説](二級建築士、H27-5)
  • #38 トラス(切断法)(その1)(P.122-124、問題集P.74-75)
  • #39 トラス(切断法)(その2)(P.124-125、問題集P.76-77)
  • [まち座プラス会員限定]#40 [過去問題解説](二級建築士、H26-5)
  • #41 断面に関する数量 図心、断面1次モーメント(P.128-129)
  • #42 図心の求め方(P.130、問題集P.78-79)
  • [まち座プラス会員限定]#43 [過去問題解説](二級建築士、H29-1)
  • #44 断面2次モーメント、断面係数(P.131-133)
  • #45 断面2次モーメント、断面係数の求め方(P.134-135、問題集P.80-81)
  • [まち座プラス会員限定]#46 [過去問題解説](二級建築士、H28-1)
  • #47 軸応力度(P.140-141)
  • #48 軸応力度の求め方(P.142、問題集P.84-85)
  • #49 曲げ応力度、せん断応力度(P.143-144)
  • #50 曲げ応力度、せん断応力度の求め方(P.144-145、問題集P.86-87)
  • [まち座プラス会員限定]#51 [過去問題解説](二級建築士、H27-2)
  • #52 許容応力度(P.146-147、問題集P.88-89)
  • #53 許容曲げモーメント(P.148-149、問題集P.90)
  • [まち座プラス会員限定]#54 [過去問題解説](二級建築士、H25-2)
  • #55 組合せ応力度(P.150-153、問題集P.92-93)
  • [まち座プラス会員限定]#56 [過去問題解説](一級建築士、H29-1)
  • #57 座 屈(P.158-161)
  • #58 座屈荷重(P.161-163、問題集P.94 -97)
  • [まち座プラス会員限定]#59 [過去問題解説](二級建築士、H30-6)
  • [まち座プラス会員限定]#60 [過去問題解説](二級建築士、H26-6)
  • #61 たわみ(P.166-168、問題集P.98-99)
  • [まち座プラス会員限定]#62 [過去問題解説](一級建築士、H30-2)
  • #63 不静定構造(P.174)
  • #64 不静定構造の基礎的解放(P175-178、問題集P.102-103)
  • [まち座プラス会員限定]#65 [過去問題解説](一級建築士、R01-3)
  • #66 不静定構造ラーメンの解き方(P.178-181、問題集P.104-105)
  • #67 静定構造の崩壊(P.184-187)
  • #68 全塑性モーメントの求め方(P.188-189)
  • #69 崩壊荷重(静定梁)(P.188、問題集P.106-107)
  • #70 崩壊荷重の求め方(不静定梁)(P.189-191、問題集108-109)
  • #71 崩壊荷重の求め方(不静定ラーメン)(P.192-193、問題集P.108-109)
  • [まち座プラス会員限定]#72 [過去問題解説](一級建築士、H20-4)

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浅野清昭「図説やさしい構造力学——著者の教室」

浅野 清昭(あさの・きよあき)

1961年京都府生まれ。京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科建築学専攻修了。㈱間組技術研究所、〈専〉京都建築大学校を経て、2009年浅野構造力学研究所設立。一級建築士。著書に『図説 建築構造力学』『図説 やさしい構造設計』『絵ときブック構造力学入門』『図解レクチャー 構造力学』(学芸出版社)。

イラスト

野村 彰(のむら・あきら)

1958年生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部住環境学科卒業。一級建築士。

学習にあたって

構造力学を勉強しているみなさん,構造力学を勉強し始めようとしているみなさん,構造力学を勉強してみて,あるいは「力学」と聞いてどんなイメージをもっていらっしゃるでしょうか.

「むずかしい」「物理学は高校のとき勉強していないからちょっと…」

そんなご意見が多いのではないでしょうか.しかし,構造力学は決して私たちからかけ離れたところにある学問ではないのです.それどころか構造力学で扱う力は,私たちの身近な存在なのです.目を閉じてみなさんの幼少のころを思い出してみてください.みなさんはヤジロベイを作ったでしょう,シーソーに乗ったでしょう,綱引きをしたでしょう.私たちは力を使って遊んできたのです.そうです,力は私たちの幼なじみなのです.私たちは遊びの中から「力の感覚」を身につけてきたのです.構造力学を学習する際,みなさんのつちかわれた「力の感覚」を大切にしてください.

「でも数学が必要でしょう.私は文系だから…」

それもご安心あれ.小・中学程度の算数が理解できる人なら,本書で扱う構造力学をきっと理解していただけるはずです.

本書の特徴

本書では他の力学書にない手法をとりあげています.「力のイラスト化」「矢印図法」「面積法」「スパナ化法」.名前は私が付けましたが,手法自体は以前から語り継がれてきたものばかりです.どれをとっても優秀な手法です.にもかかわらずなぜ他の書物に掲載されなかったのでしょうか.小手先の手法で本質的でないと判断されたからでしょうか.しかし,力を身近に感じながら学習していただければ,決して小手先手法ではないことに気付いていただけるはずです.これらの手法は力の本質を見抜いたところにあり,それでいて短時間で答えを導くことができるという優秀性をも兼ね備えているのです.色々な場面,特に建築士資格などの試験会場でその威力を実感していただけるはずです.

特に「スパナ化法」は私の秘蔵っ子でした.私のオリジナル手法だと思っていたのですが,原口秀昭氏の著書『構造力学 スーパー解法術』(彰国社)で「スパナ法」として,すでに掲載されていました.先だってスパナの利用を考えられた原口秀昭氏に敬意を表します.本書ではスパナのイラスト化をするということで「スパナ化法」とさせていただきました.

本書を通して,構造力学をめぐる先人の様々な工夫を実感してみてください.私自身,本書をまとめるにあたって,基礎構造力学のさらなる可能性を感じずにはいられませんでした.

本書の構成

本書は「力の感覚」を重視して,構造力学の基礎部分のみに絞り込んで解説をしております.

したがって対象読者としては,
・建築系専門学校,高等学校で構造力学を学ぶ方々
・2級建築士などの資格をめざしている方々
・1級建築士受験の基礎作りをしたい方々
・大学課程構造力学の基礎作りをしたい方々
といった方々の学習用に利用していただければさいわいです.

また本書では「解ける喜び」を大切にしております.例題には〈手順〉を示し,手順通りに解いていけば答えが得られるような構成にしています.私は経験から,理論を突き詰めていく学習法には限界があると感じています.問題をたくさん解き,「解ける喜び」を感じたその向こうにこそ理論の理解,新しいひらめきがあると信じてやみません.皆さんにもぜひ「解ける喜び」を感じていただき,理解へと結びつけてください.

さらに向学心旺盛な読者のために,知っていると便利なこと,よくありそうな疑問への解答,発展的内容を〈ちょっと参考メモ〉として散りばめました.学習の一助としてください.

本書を通して力学を身近な存在として感じとり,理解し,そしてみなさんそれぞれの目標を達成していただければ,著者にとってこのうえない喜びです.

本書作成に尽力いただいた学芸出版社知念靖広様,イラストを担当いただいた野村彰様,作成にあたってご意見をいただいた赤井英稔様,宗林功様,この場をもって厚く御礼申し上げます.

平成16年9月1日 浅野 清昭

改訂にあたって

早いもので初版の出版から十数年がたちました.その間,多くの方々に本書をご愛用いただき,誠にありがとうございました.当初,難しいと思われがちな「構造力学」をなんとか理解していただきたいという思いで作成した本書ですが,このたび改訂の運びとなりました.内容の増補はもちろんのこと,注目していただきたいところには色を加え,練習問題も増やしてみました.

「なんだ,構造力学って簡単なんだ!」
と思っていただけるよう,今後も工夫を重ねていく所存です.

平成29年8月1日 浅野 清昭

第1版1刷~第2版2刷

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