一級建築士試験 構造力学のツボ
内容紹介
要点整理&過去問徹底解説で合格へ一直線!
一級建築士試験・学科Ⅲ(建築構造)において構造力学は合否の鍵を握る分野であり、避けて通ることはできない。一方、同じ型の問題が繰り返し出題されており、要点さえ理解すれば確実に得点できる。本書は単元別に出題頻度を分析し、暗記すべき要点を整理し、過去問の解法を徹底解説。ツボを押えた学習で全問正解を目指せ!
第1章 力学の基本事項と公式
1 力と力のモーメント
2 力の合成と分解
3 力のつり合い
第2章 静定ばり・静定ラーメンの応力
1 構造物の静定・不静定の判別
2 静定ばりの応力
3 静定ラーメンの応力
第3章 静定トラスの応力
1 切断法によるトラスの解法
2 節点法によるトラスの解法
3 クレモナ図解法によるトラスの解法
第4章 はりの変形
1 たわみ・たわみ角
2 モールの定理
第5章 不静定ばりの応力
1 不静定ばりの解法
2 各種はりの最大曲げモーメント
第6章 不静定ラーメンの応力①
1 剛度と剛比
2 分配モーメント
3 固定モーメント法による解法
第7章 不静定ラーメンの応力②
1 長方形ラーメンの応力
2 単ラーメンにおける柱の反曲点と曲げモーメント図の関係
3 柱のせん断力と材端モーメントの関係
4 長方形ラーメンにおける水平荷重の柱への配分
第8章 層間変位・水平剛性と柱の負担せん断力
1 層間変位
2 水平剛性
3 柱の負担せん断力
第9章 断面の係数と応力度
1 断面の係数
2 各種応力度・ひずみ度
3 各種ひずみ度・ヤング係数
第10章 全塑性モーメント
1 全塑性モーメントのみが作用する場合
2 全塑性モーメントと軸方向力が作用する場合
3 鉄筋コンクリート造のはりの場合
第11章 崩壊機構・崩壊荷重
1 崩壊機構(崩壊メカニズム)
2 崩壊荷重
第12章 座 屈
1 座屈と座屈軸
2 弾性座屈荷重
第13章 固有周期・振動
1 固有周期
2 バネ定数
3 応答スペクトル
「一級建築士試験」は,建築物の設計,工事監理を行う技術者のための国家試験である.この国家試験が,「耐震強度偽装事件」が起きたことによって受験資格の見直しが行われ,ますます難関となる傾向にある.
この難しい「一級建築士試験」に合格するためには,「苦手科目を作らない」ことである.そのためには各科目まんべんなく得点することが大切となる.しかし,その中でも学科Ⅲの構造力学・構造計算の分野を最も苦手とする受験生が多い.この原因は,数学と同様に,学習に「理論的な積み重ね」を必要とするからである.また,単なる断片的な知識の積み重ねだけでも合格はおぼつかない.系統立った学習が必要になってくる.
構造力学や構造計算の分野の問題を無視して合格できるかといえば,それは無理である.例年,25問中,この分野の問題は7~8問が出題されている.また,学科Ⅲの合格基準点は13~14点と高く,構造力学の得点なくして合格レベルに達することは難しい.
そこで,本書は,構造力学・構造計算の分野にしぼり,これらを克服するために,基本的な事項から順にレベルアップが図れるような系統立った構成とし,微分や積分などの高等数学を用いることなく徹底してやさしく解説した.
本書の特徴としては,「必ず覚える! 公式〇」,「必ず覚える! 重要事項」,「必ず覚える! 約束事」と題して,構造力学を解くに必要な公式や重要事項・約束事を覚えるべき要点として掲げた.これらを暗記することである.暗記することによって,問題解決の糸口をつかむことができると確信している.
また,「ちょっとMEMO」,「ちょっと発展」などを随所に挿入し,その公式や内容に関連した事項をMEMO的に,または発展的内容として記載したので,学習の参考にしてほしい.
次に,「解法の手順」と題して,要点を整理し,問題解決の手順の「コツ」として示した.出題例の問題の意味をつかみ,どのようにして解くかを理解するために,この解法の手順を繰り返し,繰り返し読み返し,その後に,過去問に挑戦し,解答を自分のものにすることによって,苦手としていた構造力学の分野を得意分野に変え,学科Ⅲを克服してほしい.
本書では,これらの内容をまとめて「構造力学のツボ」とした.「ツボ」を押さえた学習をすることによって,構造力学の全問正解を目指し,かつ,合格ラインに達するまで学習を進めれば,目標としていた一級建築士試験の合格が見えてくるであろう.
また,本書を十分に活用されることによって,一級建築士試験合格の栄光を勝ち取られることを願ってやまない.
2007年1月
著者 植村 典人