アグリ・コミュニティビジネス

大和田順子 著

内容紹介

農山村は資源の宝庫である。そこで自然と文化を活かした暮らしやビジネスを起こすことで、長年断絶されてきた都市と農村の交流を促し、新たなヒトとカネの流れを生みだす。本書では地域の課題解決と豊かな社会づくりに取り組む企業や自治体、新規就農者の取り組みを紹介。人も地域も輝く仕事がしあわせな地域社会をつくる。

体 裁 四六・208頁・定価 本体1800円+税
ISBN 978-4-7615-1280-4
発行日 2011/02/10
装 丁 コシダアート


目次著者紹介はじめにおわりに書評新着情報

chapter1──開墾に行こう!

1 「耕作放棄地・開墾スタディツアー」に参加する都市の人々
2 食糧危機への不安、自給に憧れる都市生活者
3 自産自消は楽しい
4 65歳を超えた農業者の平均年齢
5 マーケティング3.0

chapter2──自然資源を活かしたビジネスの新機軸

2・1 都市近郊の耕作放棄地50haを菜園に再生
マイファーム(京都府京都市)
2・2 森で周年放牧された牛たちが、ゆったり草をはむ
アミタ「森林ノ牧場 那須」(栃木県那須町)
2・3 農家、土壌、着る人の健康を考える―オーガニックコットンの草分け
アバンティ(東京都新宿区)
2・4 植物の力を暮らしに活かす―ハーブのある生活を広めて30年
生活の木(東京都渋谷区)

chapter3──豊かな地域社会づくり

3・1 都市農山村交流で限界集落の耕作放棄地を再生
えがおつなげて(山梨県北杜市須玉町増富)
3・2 土づくり、人づくり、美しい里づくりで40年
霜里農場(埼玉県小川町下里)
3・3 生物多様性を育み、地域づくりへつなげる
コウノトリの野生復帰(兵庫県豊岡市)
3・4 おむすびが人と人の絆を育む
ふゆみずたんぼ/鳴子の米プロジェクト(宮城県大崎市)
3・5 “根のある暮らし”の提案
群言堂/他郷阿部家(島根県大田市大森町)
3・6 みどりの風が吹く“疎開”の町
森のようちえん/森林セラピー(鳥取県智頭町)

chapter4──都市から移住した新規就農者たち

4・1 限界集落を女性パワーで“源快集楽”に!
キノコハウス/西会津ローカルフレンズ(福島県西会津町)
4・2 大企業社員から転身、有機にこだわる山里の農的暮らし
ひぐらし農園(福島県喜多方市)
4・3 三ツ星レストランの給仕長から有機農業事業の経営者に
ビオファームまつき(静岡県富士宮市)

chapter5──アグリ・コミュニティビジネスの始め方

1 事業プランをデザインする
2 地域の資源
3 都市生活者のニーズ
4 独自性、物語性の検討―SWOT分析
5 4つのCで考える―多様な主体の協働で地域価値をつくる
6 その他のポイント

chapter6──農山村力×交流力でつむぐ幸せな社会

大和田順子(おおわだ じゅんこ)

1959年東京都生まれ。82年学習院大学文学部哲学科卒業。東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエアなどを経て、07年より一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス(LBA)共同代表。02年、日本に初めてLOHAS(ロハス)を紹介。10年より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科「コミュニティ・ソリューション演習」兼任講師。持続可能なライフスタイルやソーシャルマーケティングの専門家として、有機農産物の普及啓発に注力するとともに、各地の農山村を歩き、農商工連携、都市農山村交流などを通じた地域活性化の研究と実践に携わる。主著に『日本をロハスに変える30の方法』(2006年、講談社)『ロハスビジネス』(2008年、朝日新書)など。

http://owadajunko.com/

日本は資源の宝庫だと思う。国土の7割ほどを占める森林、その森林に育まれた豊かな水、空気、土。樹木はもちろん、多様なキノコや山菜、薬草がある。多くの生きもの、微生物がいて、それらに助けられ毎年野菜や米を育てることができる。耕されなくなったかつての農地は数年もたてば木が生え、いずれは林に戻ってしまうほどの復元力もある。

中山間地域の棚田や、里地里山の景観は、私たちをいつも和ませてくれる。そして地域の食材を使った地域ならではの保存法、発酵食、料理の数々。祭りや年中行事など生活文化。こうした資源は日本各地にあり、しかもそれぞれがその地域にしかないオンリーワンだ。

私は東京生まれの東京育ちで、社会人になって四半世紀は主に都市部でコンシューマービジネスに関わってきた。百貨店、シンクタンクや海外の自然派化粧品ブランド事業などを通じ、新しいライフスタイルや、より良い社会をつくる買い物行動を提案する仕事に就いてきた。

また、2002年にロハス(LOHAS:Lifestyles of Health and Sustainability:健康と環境に配慮したライフスタイル)というアメリカのコロラド州ボールダーという町で生まれたコンセプトに出会い、日本に紹介した。日本ではロハスのイメージは、マスコミや専門家の間では必ずしも肯定的ではない。それは日本においては商業主義的な、エコセレブ的なイメージが意図的に作られたことに起因する。しかし、ロハスの本質を見抜き、ロハスとは名乗らずとも、ロハス的なライフスタイルを送っている生活者は少なくない。

ロハスの本質は、有機農業をベースに、健康な人・地域・地球をつくり、持続可能な社会の実現を目指すものだ。LOHASのSであるサステナビリティという概念を私は“3つの思いやり”と解釈している。つまり、子供や孫など次の世代にこの地球環境を引き継いでいくこと、発展途上国や世界的に貧困状態にある人々を積極的に支援すること、そして動植物など生物多様性を保全していくこと。この3つの思いやりで、持続可能な社会は実現すると考えている。

この思想に出会って以来、ロハスというライフスタイルを広めるとともに、そのライフスタイルをサポートするビジネス、例えば有機農産物やそれを原料とした食品、化粧品、綿製品、国産材を使った家や家具など衣食住分野を始め、漢方やアロマテラピーなど民間で伝承されてきた健康法、日本各地の農山村を訪問し、地域の人と交流するグリーン・ツーリズムなどに注目してきた。

近著『ロハスビジネス』(2008年、朝日新書)では、このロハスというコンセプトが地域活性化に活用できると提案した。都市と地方の格差を解消する方法としてロハスビジネスがあると考え、これが「産業がない→雇用の場がない→若者が都会に出ていく→地域はさらに疲弊する→さらに産業が減る」という地方や農山村が抱える負の連鎖を断ち切り、さらに逆転させることすらも可能だと思ったからだ。なぜなら農山村にある資源の豊かさに、ロハス層やロハス層の周辺にいる人たちは改めて気付かされ、さらに憧れさえもち、農山村に関わることを強く望んでいる。
出版後、私は各地の農山村を訪ね歩くようになった。それは、驚きと感動の連続だった。どこの農山村に行っても、都市にはない素晴らしい資源や魅力的な人々、地に足のついた仕事や暮らしがあった。取材を重ねるうちに、あるコンセプトを思いついた。それが、「アグリ・コミュニティビジネス」だ。

「アグリ・コミュニティビジネス」とは、農林業とコミュニティビジネスを組み合わせたものだ。図を見ていただきたい。縦軸は農林業をベースにした農山村力の軸である。まず、1段階目は農産物やエネルギーの生産という自給的側面の獲得、2段階目が農商工連携や6次産業化による経済面への発展、そして3段階目は社会・環境面での豊かさの実現だ。

農山村で暮らす個人に置き換えて考えるとわかりやすいと思う。最初に自給用の食を確保すべく野菜や米を作り、山菜や魚を取ることを身につける。エネルギーの自給も薪の利用などで、ある程度は可能だ。十分な量や質を確保できるようになると、農林産物を直売所やインターネットで販売するようになり、経済活動を始める。そして、近年注目されている農商工連携や6次産業化で加工やツーリズム、農村レストランなどを地域の仲間たちと取り組み、域内にお金が流入する仕組みをつくる。

社会・環境面とは、農林業を通じた生物多様性の促進や、昔咲いていた花を蘇らせる、広葉樹を植えるなど、美しかった農山村の景観や暮らしを取り戻すステップである。薪やペレットストーブの普及などバイオマス利用も里山の再生・保全には有効だろう。昔の暮らしについては、資料や村のお年寄りから話を聞くといい。今の80代の方たちは、高度成長期以前の農山村の暮らしを自ら体験している世代だ。

横軸は都市と農山村の交流軸である。高度成長期の数十年間に分断された都市と農山村も、近年は交流が盛んになり、これからは両者が協働して新しい社会を創るステージに入っていくのだと思う。

あえてビジネスという言葉を加えたのは、ビジネス発想すなわち事業経営としての視点が必要だと考えたからだ。ただし単なる利潤追求のビジネスではない。コミュニティビジネスとは、地域資源、人材、ノウハウ、施設や資金を活かしながら地域課題の解決にビジネスの手法で取り組むものであり、地域に新たな産業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与するものである。

つまり、そこにしかない地域資源である“農山村力”と、都市生活者と農山村生活者の“交流力”を組み合わせ、地域の課題解決にビジネス発想で取り組む“アグリ・コミュニティビジネス”は、新しい“業態”とも言えるだろう。そして、何より重要なのは地域に利益がもたらされるとともに、関わっている人が“幸せになる”という点である。地域を豊かにしていこうという目標を共有し、その一歩一歩の実現をともにかみしめ、喜びあう関係だ。

最近は都市の企業が農業に新規参入し、農山村地域で事業を展開するアグリビジネスが増えている。それによって多少の雇用は創出されるかもしれないが、売り上げや利益が地域にもたらされることは少なく、従来の都市型ビジネスとあまり変わらない。そうしたアグリビジネスには、農山村の景観を再生しようとか、地域ならではの食文化を再現しようとか、地域の魅力を活かしたツーリズムで人を呼ぶことによって、地域に人や現金を流入させようという発想のものは少ないように思う。

単なる農産物生産の拡大を目指すだけでなく、農山村の丸ごとの豊かさをそこに住む人々とその豊かさに気付いた都市の人々が一緒になって追求する「アグリ・コミュニティビジネス」が各地に広がっていけば、豊かで美しい農山村づくりに参加したいと、新規就農者や半農半Xを志向する人たちの農山村への流入が加速する。そして、日本の農山村の持続可能性が高くなるのではないだろうか。

農山村の現状はもっと深刻だ、あまりに楽天的なシナリオだというご意見の方もいらっしゃるだろう。しかし、各地で実際に取り組まれている農山村の新しい魅力づくりの実例やネットワークの力、そして、それを支える若い世代の新しい価値観やライフスタイルに、そうした懸念を吹き飛ばすくらいの大きな可能性を私は見出して、これを多くのみなさんに伝えたくて仕方がないのである。

すでに、地域づくりに取り組んでいる人をはじめ、田舎に帰って農業を始める人や、農林業を継ぎつつ地域に貢献したいと思っている人、自治体や地域のNPOの方々に、ぜひお読みいただきたい。

本書の執筆も終盤を迎えた頃、嬉しいニュースが飛び込んできた。埼玉県小川町の下里地区が「農林水産祭式典」((財)日本農林漁業振興会)の「むらづくり」部門で天皇杯を受賞することが決まったというのだ。同地区のお米の全量買い支えを埼玉県大宮市に本社のある住宅リフォーム会社OKUTAが行っていることは3章で紹介したが、天皇杯の最終審査会に参加したOKUTAの山本社長は、同社が買い支えを行った理由を次のように語ったという。

「私たちも建築の世界で、原材料の生産から全部素性のわかるものを扱おうという方針でやっているのですが、やはり建材も流通が中に入ると何もわからなくなってしまうのです。それで生産側の一番川上のところまでいって、そこの社長と話をするんです。たとえば、壁材などの原材料の珪藻土だったら、産地の北海道稚内まで足を運び現場を確認し、メーカーに委託して製品化していくというようなことをずっとやってきました。そのバックボーンがあって今回のお米の全量買い支えにつながりました。

有機農業で作られた下里米を、5kg2600円で買っています。生産者の方には1kg400円が入るようになっています。この値段でこういうものが手に入るということ、そして地域の有機農業に貢献できることは大きな価値だと、私や社員は思っているんです」

思えば、2008年の秋に農水省の補助事業である「有機農業普及啓発推進事業」に委員として参加する機会を得て、その委員長である金子美登さんと出会った。同じ頃、「えがおつなげて」が主催する「えがおの学校」で、埼玉県小川町で活動をするNPO法人生活工房「つばさ・游」の高橋優子さんと出会った。

翌09年の1月に、私はOKUTAの山本社長をお誘いして「霜里農場」見学会に参加した。それが山本さんと金子さんとの出会いとなった。その場にもいた高橋さんは、その出会いから生まれた買い支えの可能性にいち早く共感し、農家を一軒一軒回り、お米の袋詰めから発送、稲の生育状況に関する情報発信、エコツアーの受け入れなど、現地できめこまかくコーディネートやマネジメントしてくださった。志高い生産者とそれを販売する能力をもつ企業との出会い、それをつなぐコーディネーターとの連携で、下里地区のお米の全量買い支えは実現したのだ。
不思議なご縁である。きっと必然があって、これらの出会いと有機的人間関係の継続があるのだとも思う。金子さんや高橋さんに山本さんを紹介できたことで、このような物語が展開し、その一端に参加できたことは本当に嬉しい。

私は二十数年会社員をしていたが、5年前に辞めた。今は東京に拠点を置きながら、各地の農山村や地域を取材し、都市農山村交流に関する仕事をし、野菜を家庭菜園で育て、お米を仲間と一緒に作り、夏休みは東京の離島八丈島で過ごし、自分の時間では三味線(端唄・俗曲)の稽古をしている。

各地域で静かに取り組まれている、豊かで幸せな地域づくりの物語を一人でも多くの人に伝えたいと本書を執筆した。しかし、「きれいごとにすぎない。うまくいっている事例ばかり取り上げているだけだ。農山村の現状はもっと深刻なんだ」というお叱りの声も聞こえそうだ。が、都市部に生まれ、都市部で育ち、企業で二十数年仕事をしてきた私にとっては、この数年間に各地で見せていただいたこと、聞かせていただいたいことは、驚きの連続で、本当に心から感動し、自分に何かできることはないかと考えるきっかけになった。これは、田舎のない自分自身の田舎探しなのかもしれない。田舎があることで、いかに深い安心とワクワク感がもたらされるか。それを私は身をもって知ることができた。

そこで、まずは自分でそうした農産物を買うことから地域との付き合いを始めた。次に、「限界集落の視察ツアー」や「開墾スタディツアー」を企画した。また、話したり、書いたりする機会があるごとに事例として紹介した。そして、都市部の企業と農山村をつなぐことや、各地の有機農産物の販路を開拓することなどに努めた。都市に住む私たちでも、そうした地域の農産物を購入し、現地を訪問し、地域の人と交流し、農作業を手伝ったりすることができるし、それが地域の役に立つにちがいないと考えたからだ。

すでにこれまでにこうした活動をなさってきた方はたくさんおられるだろう。でも、これが私の地域とのお付き合いのスタート、私のタイミングだった。私は、映画のメインキャストではないが、たとえば、映画に通行人として参加することにも似て、物語の進行に関われたことがとても楽しく、良い映画にしたいとあれこれ工夫することに夢中で、多くの人々に宣伝して回りたい気持ちでいっぱいなのである。

そして、自分が関わっている、応援しているプロジェクトが成果を挙げた時、地域の人と一緒に祝杯をあげることは本当に嬉しく楽しく勇気がわく。一人でも多くの人がそのような体験をし、そうした感動が広がっていくことを心より願っている。

とくに心躍るのは、若い人たちの参加だ。「えがおつなげて」の曽根原さんや、「ビオファームまつき」の松木さん、「生活の木」の重永さんは50歳前後だ。鳥取県智頭町で「森のようちえん」の西村さんは30代、「マイファーム」の西辻さんはまだ20代だ。こうした若い層が農山村に関心を寄せ、ビジネス的発想を取り入れた新しい取り組みを始めている。
さらに半農半Xやダウンシフターズなど30代~50歳前後で地に足のついた暮らしや仕事へと進路を変える人が増えている。この新しい潮流は徐々に太く、大きく、力強い流れになってきていると思う。

本書を読んで、共感してくださった方、関心をもってくださった方と、ぜひご一緒に豊かで幸せな農山村の地域づくりをしたいと心から願っている。

最後に、各地で取材にご対応くださり、現地を案内くださった皆様には大変お世話になった。心からお礼を申し上げたい。また、学芸出版社の中木保代さんには執筆のご提案をいただいてから早1年、辛抱強くおつきあいいただいた。まちづくりや建築の専門出版社である学芸出版社から本書を出版することができたことを誇りに思っている。

そして、「妻は留守でも元気であればいい」と取材で留守がちな私を温かく見守ってくれた夫に感謝したい。

2011年1月1日 八丈島にて

このたびの3・11大震災は、それ以前とそれ以後のモノの見方を変えてしまった。とくに福島第一原発の事故はこれまでにもまして食の安全への強い関心を引き起こし、遠隔地の食糧を買わざるを得ない都市住民たちに、なんとか安心で安全な食糧を手に入れる方法を探したいという欲求をかきたてた。

本書はそうした欲求に、それはまず自分が食糧生産の現場に近づくこと、生産者と消費者の距離をもっと近づけること、そして可能ならば農産物生産やその加工の担い手になってしまうこと、しかもそうすることでビジネスとして成功している例がたくさんあり、それが農村と都市、生産者と消費者のあり方を変え、より持続可能な未来を招くのだということを13の事例を示しながら応えてくれる。

たとえば4年前に耕作放棄地と農業をやりたいひとのマッチング会社(株)マイファームを起業した西辻一真さん(28歳)。農家を説得し全国50箇所、50haの荒地を緑の貸し菜園に変えた。会員数は2500世帯。いまや斡旋だけでなく“畑師”の養成も始めている。

バブル崩壊を機に経営コンサルタントから山梨県の耕作放棄地の開拓農家に転身した曽根原久司さん。地域に溶け込みながら都市住民と農山村の交流事業「NPOえがおつなげて」を展開し、「地域交流振興特区」の認定を受け、内閣総理大臣賞や日本の里100選を受賞し、地域の元気パワーを引き出した。

“よそもの”の成功例だけでなく埼玉県小川町で有機農法40年の金子美登さん(61歳)のような根っからの農業者の有機の里づくりの実際も紹介されている。

著者は日本に初めてLOHASを紹介し、持続可能なライフスタイルやソーシャルマーケティングの専門家で農商工連携の研究と実践にも携わっている。どの事例も活動のリーダーとフォロワーたちそして地域住民の関係の結ばれ方に視点を置き、農山村をベースにしたコミュニティ規模のビジネスがもたらす“幸せな社会”のあり方を足で調べて書いている。事例ごとに一頁もののビジョンやノウハウのまとめがついているのもうれしい。
そうだ、あすは農山村に行ってみよう、そして安心な未来を引き寄せよう、という気にさせる本である。

(地域総合研究所所長/斉藤 睦)

担当編集者より

本書は「農」をベースとした小さな取り組みが、地域づくりへとつながっている様子を数多く紹介している。いずれも大和田さんが足繁く通い、志をともにし、つながっている人々だ。

これまで地域づくりは行政任せであったり、金銭問題を語りにくい風潮があったように感じられるが、農山村が元気になるためには、主要産業である「農」を成り立たせることが不可欠だと思う。持続可能にするためにはビジネスの視点も欠かせない。

自らの感性と行動力により、楽しみながら、都市と農村、生産者と消費者のマッチングを見事にはかっている著者の視点は、これからの地域づくりに元気を与えてくれる。
地域を遠方から支える都会人の役割は大きい。それは、この震災の復興においても同様だと思う。多くの課題解決への第一歩として、シフトチェンジを図るきっかけにしていただきたい本だ。

(Nk)

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