地域に根差すパブリックスペースであるほどコロナ禍でも持続性の高い運営に 米ナイト財団が国内7カ所での調査まとめたレポートを公開

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公開日:2021/06/14/最終更新日:2021/06/21
  • アメリカに拠点を置く非営利の慈善団体「ナイト財団(John S. and James L. Knight Foundation)」が、公園やオープンスペース、レクリエーション施設など国内7カ所のパブリックスペースを対象として、地域コミュニティとの関係構築や運営の持続可能性などについて調査した結果をレポートにまとめ、発表している。
  • Adaptive Public Spaces: Places for People in the Pandemic and Beyond“(アダプティブ・パブリックスペース:パンデミックとそれ以後における人々のための場所)と題されたこのレポートは、世界的な都市デザイン企業Gehl社に委託された調査結果に基づいて制作され、3月24日に公開されたもの。
    調査は、近隣住民へのアンケート、フォーカスグループ(集団による対話形式で情報やフィードバックを得る手法)、Instagramの位置情報タグ付き投稿の分析、新型コロナウイルス感染症のパンデミック前後でのスペースの利用状況に関する観察データなどによって実施されたという。
  • 調査対象となったのは、同財団が資金的な支援を行っている以下の7カ所のパブリックスペース。同財団からの直接的な投資で500万ドル、さらにReimagining the Civic Commonsなど他の助成団体からの出資などで5,000万ドル程度が、整備や運営に投じられているという。
    1. SUMMIT LAKE PARK(オハイオ州・アクロン)
    2. Ella Fitzgerald Park(ミシガン州・デトロイト)
    3. Riverfront(ミシガン州・デトロイト)
    4. Centennial Commons(ペンシルベニア州・フィラデルフィア)
    5. Cherry Street Pier(ペンシルベニア州・フィラデルフィア)
    6. Discovery Center(ペンシルベニア州・フィラデルフィア)
    7. MOMENT(カリフォルニア州・サンノゼ)
  • レポートでは、調査でとられたアプローチとそれに基づく分析結果を以下の5つの点に要約している(レポートには個別のより詳しい解説のほか、資金提供者や運営事業者、行政ら関係主体を念頭に置いた助言もまとめられている)。
    1. Everyday Public Space:訪れる人の利用や参画を生むデザインやプログラムがどのようにつくられているか?
      →住民のニーズや(地域の)歴史的な特徴、アートを取り入れた空間であるほど、住民が定期的に訪れる傾向にあった
    2. Residents at the Center:地域コミュニティに暮らす人々のありようを反映し、彼・彼女らを受け入れ、エンパワメントする仕組みはどうなっているか?
      →地域コミュニティが参加する形でなされるプロジェクトは、住民が運営者に抱く信頼を高め、スペースへの利用率や愛着の向上に貢献している
    3. Community Ripple Effect:地域コミュニティや都市、さらにその外にどのようなインパクトを与えているか?
      →(パブリックスペースへの)投資は、革新的なアイデアに対するさらなる資金提供への呼び水になり、地元のキャパシティ・ビルディング(組織的な能力の形成)やコミュニティ・デベロップメント(住民参加型の地域開発)につながる
    4. Sustaining In the Long Run:どのようにしてこの先も事業を運営的・財政的に継続しようとしているか?
      →地元のスチュワードシップ(受託責任)や、状況に即応した運営プロセス、信頼度の高い運営者の存在は、持続可能な運営モデルを形作ったり、変化の多い状況に対応したりするうえで有益である
    5. COVID-19:住民がパンデミック下で訪れたか? 運営者が新しい状況にどう適応しているか?
      →住民を中心に考えた柔軟な空間であることへの心がけるによって、運営事業をパンデミックに適応させたり、一人向けのアクティビティや社会的な活動に安全な場所を提供したりといった取り組みがより進む

詳細

Adaptive Public Space: Places for People in the Pandemic and Beyond

https://knightfoundation.org/reports/adaptive-public-space-places-for-people-in-the-pandemic-and-beyond/

Community-Responsive Public Spaces Were More Resilient During COVID, Report Finds

https://nextcity.org/daily/entry/community-responsive-public-spaces-were-more-resilient-during-covid