改訂版 実務から見た木造構造設計


上野嘉久 著

内容紹介

木造の実用解法の全て。07年改正法令に対応

実務経験から生み出された実務設計術を、計算手順が理解しやすく、設計の参考資料としても役立つように、2、3階建の実際の構造計算書をもとに解説。必要な資料を使いやすい図表にまとめ、法令や告示、学会の規準等必要な規準の要旨を網羅している。大好評のシリーズ、待望の2007年改正法令対応版。構造設計者の座右の書。

体 裁 B5・240.0頁・定価 本体6000円+税
ISBN 978-4-7615-4090-6
発行日 2009-11-10
装 丁 社内


目次著者紹介まえがき正誤情報

目次

100 構造種別と構造設計

110 軸組構法(在来軸組工法)
111 3階建構造設計対象建築物設計図
112 3階建構造設計の一般事項
113 2階建構造設計対象建築物設計図
120 枠組壁工法(2×4工法)
130 3階建混構造
140 大断面木造建築物(集成材構法)
150 丸太組構法(ログハウス)
160 〈構造設計の定石〉構造設計基準の歴史

200 構造関係法令等の基礎知識

210 関係規定
211 構造計算が必要な木造建築物
212 構造計算に関する諸規定
220 木造の構造設計に関する「令」「告示」
230 〈構造設計の定石〉「建築基準法」「住宅の品質確保の促進等に関する法律」について

300 木材・集成材の許容応力度

310 木材の許容応力度
320 枠組壁工法材の許容応力度
330 集成材の許容応力度
340 軸組工法の部材別の樹種
341 〈設計例1〉使用材料と許容応力度

400 荷重・外力

410 荷重の組合せ
420 固定荷重
421 〈設計例2〉固定荷重の計算
430 積載荷重
431 住宅の積載荷重
432 積載荷重の低減計算方法
433 〈設計例3〉積載荷重と床荷重
440 積雪荷重
441 積雪荷重の計算方法
442 積雪荷重の低減
443 木造住宅の積雪荷重計算
444 多雪区域を指定する基準及び垂直積雪量を定める基準
445 京都市の施行細則例(抜粋)
446 京都府の施行細則例
450 地震力
451 地震力の算定式
452 地震層せん断力係数Ciの算定
453 地下(RC造)の地震力
454 〈設計例4〉木造3階建の地震力計算
455 〈構造設計の定石〉層間変形角の構造計算について
460 風圧力
461 風圧力算定式
462 屋根面のCpe算定図
463 〈設計例5〉木造3階建の風圧力計算
464 〈構造設計の定石〉屋根勾配について
465 〈構造設計の定石〉速度圧の低減
466 〈構造設計の定石〉屋根面の計算方法

500 梁の設計

510 梁の断面算定
511 梁断面算定式
512 梁のたわみ算定
520 小梁・大梁の設計
521 〈設計例6〉小梁の設計(構造用合板張り)
522 〈設計例7〉大梁の設計

600 勾配屋根の設計

610 勾配屋根の固定荷重
611 水平面スパンlでの応力算定式
612 屋根面スパンmでの応力算定式
620 勾配屋根の積雪荷重
621 水平面スパンlでの応力算定式
622 屋根面スパンmでの応力算定式
630 勾配屋根の風荷重
631 水平面スパンlでの応力算定式
632 屋根面スパンmでの応力算定式
640 小屋組の設計
641 〈設計例8〉垂木の設計① 一般区域
642 〈設計例9〉垂木の設計② 多雪区域
643 〈設計例10〉母屋の設計① 一般区域
644 〈設計例11〉母屋の設計② 多雪区域
650 〈構造設計の定石〉傾斜梁の力学

700 床組の設計

710 床組の設計例
711 〈設計例12〉根太の設計
712 〈設計例13〉大引の設計
713 〈設計例14〉構造用合板張り(根太なし)の大引設計
714 〈設計例15〉土台へのめりこみの検討

800 柱の設計

810 柱断面設計
811 「令」43条による柱の小径
820 柱断面算定
821 内柱の断面算定
822 外柱の断面算定
830 柱の設計
831 〈設計例16〉柱軸方向力の大きい内柱 1C⑥D
832 〈設計例17〉風圧力を受ける外柱 3C③A
833 〈設計例18〉耐圧壁付外柱 1C③F
840 〈構造設計の定石〉柱断面について

900 耐力壁・軸組の設計

901 構造計算用の耐力壁許容耐力
902 基本事項
910 軸組の種類と壁倍率の根拠(「木規」より)
911 地震力に対する壁量の根拠(「木規」より)
912 風圧力に対する壁量の根拠(「木規」より)
913 非耐力壁等の耐力について
920 耐力壁の設計に関する規定(「令」46条)
930 必要軸組長さ(「令」46条4項表2、表3)
931 〈設計例19〉「令」46条による必要軸組長さの設計
932 〈設計例20〉構造計算による必要軸組長さの設計
940 軸組設置関係の規定
941 床面積に加算する物置面積(平12建告1351)
942 〈設計例21〉小屋裏物置の面積(3階建の場合)
943 軸組設置の基準(平12建告1352)
944 〈設計例22〉軸組設置基準による検討
945 偏心率≦0.3の検討
946 〈設計例23〉3階建の1階偏心率算定
950 〈構造設計の定石〉筋かいのポイント

1000 柱軸方向力の算定

1010 基本事項
1020 〈設計例24〉柱負担面積の算定
1030 〈設計例25〉柱軸方向力の算定

1100 柱頭・柱脚・横架材の継手・仕口

1110 平12建告1460による方法
1111 告示規定による継手・仕口設計
1112 継手・仕口ディテール
1113 アンカーボルト
1114 〈設計例26〉平12建告1460による継手・仕口(2階建の場合)
1120 Nの値計算による方法
1121 Nの値計算による継手・仕口設計(算定式)
1122 〈設計例27〉Nの値計算法による継手・仕口(2階建の場合)
1123 〈設計例28〉Nの値計算法による継手・仕口(3階建の場合)
1130 構造計算による方法
1131 水平力(地震力・風圧力)と柱頭・柱脚の引抜力
1132 〈設計例29〉構造計算による継手・仕口(3階建の場合)

1200 引抜力と転倒

1210 筋かい付軸組の構造計算
1211 構造力学の基本事項
1212 応力算定の基本事項
1213 3階建軸組の算式解法の基本式
1214 風圧力による柱軸力算定における注意点
1220 建築物の引抜力と転倒
1221 転倒モーメントと引抜力の算定
1222 柱の浮き上がり力F0の算定
1230 〈構造設計の定石〉筋かいの立面配置について

1300 木造の基礎と地盤

1301 用語
1302 基礎の種類と地盤
1303 〈構造設計の定石〉捨コンについて
1310 木造基礎の構造方法
1320 木造基礎の実務設計
1321 基本事項
1322 〈構造設計の定石〉基礎スラブ設計
1330 布基礎
1331 基本事項
1332 〈設計例30〉布基礎の設計(3階建の場合)
1340 べた基礎
1341 基本事項
1342 〈設計例31〉べた基礎の設計(3階建の場合)
1350 地盤調査
1351 スウェーデン式サウンディング
1352 〈設計例32〉スウェーデン式サウンディングと許容地耐力
1353 〈構造設計の定石〉標準貫入試験とN値
1354 〈構造設計の定石〉地盤改良と杭基礎について

1400 継手・仕口

1410 基本型
1420 実務型
1430 補強金物・取付金物一覧表
1440 プレカット

1500 接合部の設計

1510 釘接合
1511 釘の種類
1512 釘の配置
1513 釘の許容せん断耐力
1514 釘の許容引抜耐力
1520 ボルト接合
1521 ボルト接合のせん断耐力について
1522 せん断力を受けるボルトの配置について
1523 ボルト接合の引張り耐力について
付録

著者紹介

上野嘉久〔うえのよしひさ〕
1958年 大阪工業大学建築学科卒
株式会社吉村建築事務所、京都市住宅局建築課建築主事、
構造審査係長、営繕部等の主幹を経て
1989年 上野建築構造研究所設立、同所長
1990年 大阪工業大学講師
一級建築士、建築主事
著 書 『行政からみた建築構造設計 PARTⅠ』
『行政からみた建築構造設計 PARTⅡ』
『行政からみた建築構造設計 PARTⅢ』
『行政からみた建築構造設計 PARTⅣ』
『行政からみた建築構造設計』別冊
『行政からみた建築構造設計 基本事項』(以上㈱建築知識刊)
『実務からみたコンクリートのポイント10・ノウハウ20』(㈱オーム社刊)
『改訂版 実務から見た基礎構造設計』(㈱学芸出版社刊)
『改訂版 実務から見たRC構造設計』(㈱学芸出版社刊)
『第三版 実務から見た鉄骨構造設計』(㈱学芸出版社刊)
『第三版 構造計算書で学ぶ鉄骨構造』(㈱学芸出版社刊)
『改訂版 構造計算書で学ぶ鉄筋コンクリート構造』(㈱学芸出版社刊)
『構造計算書で学ぶ木構造―金物設計の手引き』(㈱学芸出版社刊)

昭和62年の建築基準法の改正により、従来、防火・準防火地域では禁止されていた木造3階建が、準防火地域で建てられることになった。それを機に、土地の高度利用によるゆとりのある住宅の実現、及び同じ3階建でも鉄骨造と比較して低廉といった理由から、木造3階建が急増し、特に建売住宅の主流となった。

しかし、木造3階建の構造設計・施工技術の伝承が途絶えていたため、町に建設されている木造3階建を調べてみると、木造2階建の感覚で施工されていて、地震や台風時に危険なものが多かった。実際、平成7年の阪神・淡路大震災での多くの木造住宅の被害に鑑み、平成12年には建設省告示にて仕口・継手の接合金物が規定されている。

木造3階建の設計図書の作成に当っては、構造計算によってその構造が安全であることを確かめなければならない。そのため、構造図は鉄骨造と同じく構造計算結果により作成することになる。したがって、大工や棟梁まかせであった木造も建築士が作成した設計図に基づいて施工することになった。

法的には木造2階建では構造計算は必要ないが、構造計算を行うことによってより合理的な設計ができ、コストも削減できる。そのため2階建の構造計算も徐々に広まりつつあるようである。

しかし、木造の構造計算においては、これといって決定的な指針がなく、実務設計者は法令や規準を前に戸惑うことが多かったが、本書はこれらを実務的な観点から整理し、これ1冊で実務設計が可能なように必要な情報を整理することをめざした。すなわち、本書は一般には公開されていないが実際に広く行われている実務設計法と、法律的な、あるいは学問的な設計法を総合し、安全かつ経済的な木造構造を設計するうえで、実務上もっとも便利な設計法は何かを示したものである。

そのほかの本書の特徴は以下の5点である.

1. 構造設計の定石: 実務経験から生み出された実務設計術をまとめたものである.
2. 実務図表: 構造設計に必要な資料を使いやすい図表にまとめたものである.
3. 設計例: 2階建、3階建の実際の構造計算書をもとに解説し,計算手順の理解に役立てるとともに,設計参考資料としても役立つものとした.
4. 法令を網羅: 関係する法令,告示の要旨を掲載した.
5. 必要な規準を網羅: 日本建築学会の規準,日本住宅・木材技術センター及び住宅保証機構の設計方法の要旨を網羅した.

これらの構造設計術は(財)住宅保証機構の性能保証住宅検査での「技術住宅」「現場審査」を通して知り得た実務設計のポイントを提示したものである。
おわりに、「検査」「資料提供」に御協力下さった多くの方々にお礼申し上げます。また、労多き実務書の編集・校正は、森國洋行氏・村角洋一氏が担当下さいました。ありがとうございました。1ページでもお役に立つことを願います。

平成16年4月25日

上野嘉久


改訂版にあたって

平成16年に初版を発行して以来、第4刷まで多くの読者にご活用いただきました。
平成17年に発覚した構造計算偽装事件に伴い、平成19年には構造計算関連法令が改正され、このたび本書も全面改訂いたしました。
改訂・編集は、森國洋行氏・村角洋一氏が担当下さいました。ありがとうございました。

前版と同じく、実務者座右の書として末永くお役に立つことを念じます。

平成21年9月

上野嘉久

改訂版第1刷(2009年11月10日発行)

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