改訂版 構造計算書で学ぶ鉄筋コンクリート構造
内容紹介
簡単な実例でRCの基礎から実務までを学ぶ
RC造平屋、2階建の課題を解き,構造計算書にまとめあげながらRC造を学ぶ実践的なテキストの改訂版。構造力学、構法、法規、設計等を総括的に学びながら,課題を解き、実務にすぐ活かせる力を身につける。改訂版では、全ての記述をSI単位で統一し、07年改正の基準法をはじめ現行の建築法規・建築学会規準にも対応させた。
体 裁 B5変・232頁・定価 本体4400円+税
ISBN 978-4-7615-4080-7
発行日 2007-10-15
装 丁 学芸出版社
第1部 鉄筋コンクリート構造の基礎知識
1・1 概説
1・2 歴史
1・3 鉄筋・コンクリート
1・4 構造形式
1・5 構造設計について
1・6 構造計算について
1・7 耐震設計の基本理念
第2部 構造計算書に沿って学ぶ鉄筋コンクリート構造
●課題Ⅰ,Ⅱの特徴と選択方法
課題Ⅰ
課題Ⅱ
000 表紙
100 一般事項
110 建築物の概要
120 設計方針
121 準拠法令・規準等
122 電算機・プログラム
123 応力解析
130 使用材料と許容応力度・材料強度
131 鉄筋の種類と許容応力度・材料強度
132 コンクリートの種別と許容応力度・材料強度
133 許容地耐力,杭の許容支持力
200 構造計画・設計ルート等
210 構造計画
211 架構形式
212 剛床仮定
213 基礎梁
220 設計ルート
221 壁量算定のポイント
230 剛性評価
231 スラブの剛性
232 壁の剛性
240 保有水平耐力の解析
250 その他特記事項
260 伏図・軸組図
300 荷重・外力
310 固定荷重
320 積載荷重と床荷重一覧表
330 特殊荷重
340 積雪荷重
350 地震力
360 風圧力
370 その他・土圧・水圧
400 準備計算
410 柱軸方向力算定
420 地震力算定
421 建物重量 Wi の算定
422 地震力
430 風圧力
440 梁のC,M0,Q0 の算定
450 断面仮定と剛比算定
451 断面仮定
452 剛比
500 応力算定
510 鉛直荷重時応力算定
520 水平荷重時応力算定
600 耐震壁
610 耐震壁の計算外規定
620 耐震壁の条件
630 耐震壁の水平力分布係数D値
640 n倍法によるD値算定
700 2次設計
710 層間変形角rの検討法
720 剛性率Rsの検討法
730 偏心率Reの検討法
800 断面算定
801 鉄筋のかぶり厚さ
802 有効せい d
803 応力中心距離 j
804 鉄筋の使用区分
805 鉄筋本数と梁幅・柱幅の寸法
810 梁の断面算定
811 主筋断面算定式について
812 梁主筋の計算外規定
813 付着の検討
814 あばら筋の設計(梁のせん断設計)
815 基礎梁の設計
816 小梁の設計
820 柱の断面算定
821 主筋断面算定図表
822 主筋の算定方法
823 柱主筋の計算外規定
824 帯筋設計(柱のせん断設計)
830 学会規準による付着・定着・継手の検討
831 付着
832 定着
833 継手
900 スラブ・階段設計
910 スラブ設計
911 スラブ厚さ
912 スラブ応力
913 スラブ筋算定
914 スラブ筋の計算外規定
915 スラブ配筋のポイント
920 階段設計
1000 基礎設計
1010 直接独立基礎の設計
1100 構造図の書き方
1101 基本事項の確認
1102 構造図の解説
付 録 付1~付10
構造計算書(白紙シート)
課題Ⅰ演習例
コラム ① 旧・新耐震設計の考え方と比較
② 構造計算適合性判定について
③ 短柱とスリット
④ 基礎梁の剛性(剛比)
⑤ 阪神・淡路大震災に学ぶ耐震ポイント10
⑥ 鉄筋とコンクリートの応力分担
⑦ SI単位について
⑧ 単位のバリエーションと単位調整
中低層の建物はもちろん、平家建から超高層まで、近代建築はRC(鉄筋コンクリート構造)なくしては存在しない。したがって、建築を志す者はRCの基礎知識の習得が不可欠である。本書は、実務に照らして構造設計を行いながら、頭だけでなく五体で学ぼうとするものである。一般的な建物を構造設計するには、中学校で習う程度の数学で充分であり、「習うより慣れろ」が鉄則である。当書は『構造計算書で学ぶ鉄骨構造』の姉妹本であり、まずRCから学び鉄骨造へと進めるのが常道である。
本書の特徴は下記のとおりである。
1. 課題を解き、構造計算書にまとめ上げながら鉄筋コンクリート構造を学ぶ。
2. 新耐震設計のルート別の課題に沿って学ぶ。
3. 「構造計算書シート」「構造基準図」による実践的構造設計なので実務にすぐ活かせる。
4. 「構造力学」「建築構法」「法規」「設計製図」等の関連を知り、総括的に学べる充実した解説。
5. 大学、専門学校などのテキストとして、また、すでに基本を学習した初心者のための研修、自習のテキストに最適。
このように本書では、講義だけでなく構造設計演習を行い、構造設計図書を完成させる目標をもって学習する。講義中は静粛にしなければならないが、演習時は学生同士で教えたり教えられたりしながら進めればよい。
コンピュータは計算はできるが、構造設計はできない。構造設計は実践との応答にて会得できるものであり、まずは手計算で基礎知識を学んで、コンピュータを使うのが構造設計者への王道である。
昭和56年「新耐震設計法」施行後、構造計算を行う建築士が少なくなり、構造設計は専門の建築士が行うようになりつつある。本書を見ればわかるように、層間変形角、剛性率、偏心率および耐震基準等の計算が増えた程度であり、中小規模の建物は手計算で充分可能である。兵庫県南部地震では、RC造も多くの被害を出した。その原因の1つは、技術者の知識不足であった。耐久性のあるRCを後世に残していくためには、1人でも多くの建築士が構造設計の基礎的な知識を体得し、実際に構造設計に関与することが望ましい。
本書は月刊雑誌『建築知識』に連載した「実践からみた建築構造計算入門」をもとに、筆者が専門学校での教育実績をふまえてテキストに発展させたものである。
CADによる作図は大阪工業大学の戸出昭彦君が、編集の労は宮本裕美さんである。
有形無形のご協力を下さいました方々に心よりお礼申し上げます。
建築構造の根幹であるRCの基礎知識の普及に役立つことを願います。
1997年9月5日
上野嘉久
改訂版にあたって
平成9年に誕生して10年、多くの方々に御活用いただいた。
平成12年にはSI単位による建築基準法令の改正、また平成17年には構造計算書偽装事件が発覚し、生命に係わる構造設計の重要性が認識され、19年に構造計算関連法が改正された。
そこで、最新の法令・告示、学会基準に基づき全面改訂を行った。
労多き実務書の改訂・編集は、森國洋行氏、村角洋一氏によるもので、三人で本書は誕生した。
構造計算の入門書として活用されますことを念じます。
2007年9月
上野嘉久
なし