超図解! 建築施工現場
内容紹介
現場の疑問に答える!建築実務者必携の1冊
建設工事において、現場監督や設計者・施工者が知っておきたい知識を、工事段階ごとの厳選100項目による見開き構成で具体的に掘り下げて解説。現場の疑問に答えるQ&Aを各項に設けた。1000点を超えるイラストで現場がイメージでき、要点が一目瞭然。建設会社技術部門で50年間勤め上げた著者が贈る施工管理の智恵。
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1章 超図解! 紙上建設ストーリー
紙上建設モデル
1 着工・仮設・山留め壁
2 杭地業・掘削山留め
3 基礎躯体・地下鉄骨建方
4 地下躯体・埋戻し杭抜き
5 地上鉄骨建方本接合
6 床構築・耐火被覆・外装
7 内外装仕上げ・設備・外構・検査引渡し
8 完成・運用
2章 解説! 厳選100知識
100知識の選定
1 新築施工現場の準備開設と初動
1 朝礼から始まる作業所コミュニケーション
2 作業員の命を守る保護具・服装・安全帯
3 熱中症に備える
4 品質造り込みに施工図・QC工程表を活用
5 墨出し誤差との戦い
6 作業所ロジスティクス(物流・人流)
7 戦略を訴える工程表
8 工事騒音振動の抑制
9 工事中の建築工事祭式
10 賢い現地調査と土質調査の見方
2 杭地業と掘削山留め施工
11 狭隘境界寸法での山留め壁設置
12 重機の転倒を防ぐ
13 自立山留め壁・頭繋ぎ
14 重要な山留め壁の維持管理
15 安全な乗入構台
16 法面安全確保
17 杭支持力確認
18 杭精度の理解
19 安定液の働き
20 スライム処理の苦労
21 場所打ち杭鉄筋かご配筋
22 トレミー工法
23 水平切梁架構を安定させる
24 水平切梁プレロード
25 確実な床付け
26 掘削底面の異常
27 地下水排水能力維持
28 山留め計測管理
3 構造躯体(鉄骨・鉄筋コンクリート)の構築
29 基礎・地下躯体型枠
30 鉄骨の定着
31 コンクリート製造
32 コンクリート運搬
33 コンクリート打込み
34 コンクリート養生
35 コンクリート検査
36 各種コンクリートの使い分け
37 鉄筋加工・組立ての基本
38 鉄筋継手
39 パネルゾーン配筋
40 鉄筋先組み工法
41 型枠組立ての基本(柱・壁 在来V工程)
42 型枠組立ての基本(床・梁 在来H工程)
43 打放し型枠の作法
44 型枠転用
45 地下階の防水・止水
46 埋戻しの原則
47 鉄骨製作工場との連携
48 鉄骨先付け金物
49 鉄骨防錆塗装
50 鉄骨製品検査
51 鉄骨建方方式
52 鉄骨建方
53 鉄骨工事場接合
54 鉄骨専用足場
55 デッキプレート
56 鉄骨耐火被覆
4 構造躯体の基本性能確保
57 施工欠陥による構造体の地震被害抑制
58 構造スリット
59 施工不良による非構造部材地震被害の抑制
60 外壁のひび割れを低減する
61 鉄筋かぶり寸法確保
62 耐火防火の丁寧な施工が命を守る
5 屋根・外部仕上げ施工
63 外部足場
64 陸屋根防水
65 カーテンウォールの基本
66 シーリング防水
67 異種金属の接触腐食
68 パネル系外壁法
69 外装仕上げ塗り材吹付け
70 陶磁器質タイル工事の基本
71 陶磁器質外壁タイル張り
72 外壁張り石工事
6 内部仕上げ施工
73 内装用足場
74 スチールドア取付け
75 アルミ製建具取付け
76 内部区画・間仕切り壁パネル
77 RC構造内の造作木工事
78 内壁張り石工事
79 内装鋼製壁・天井下地
80 内装壁・天井表面材張り
81 内装床仕上げ
82 建築用仕上げ塗材とセメントモルタル壁下地
83 陶磁器質内壁タイル張り
84 セメントモルタル塗り床下地
85 陶磁器質内装床タイル張り
86 左官塗り床仕上げ
87 ガラス施工
88 現地塗装の基本
89 代表的な3つの現地塗装
90 接着剤
91 汚れ・キズを減らす(工事中・運用後)
7 外構・竣工引渡し
92 外構舗装・造園
93 検査受検と竣工引渡し
94 竣工時祭式・定礎
8 建築設備工事との連携
95 建築設備関連工事
9 新築施工現場の課題と将来
96 建設廃棄物ゼロエミッション
97 建設現場の地球温暖化対策
98 工期短縮ノウハウ
99 コストダウンノウハウ
100 Iot・ICT・AIは建設現場を変えるか
本書は、日常的な建築施工場面で、疑問を持たれがちな事柄、注意すべき点など、技術者にとって欠かせない知識をまとめ、施工管理項目の意義・大切さを再認識することをねらいとしている。施工の基本を正しく理解し、正しく行われなかった場合の影響も斟酌する施工管理の“智慧”を読者が獲得できれば幸いである。
そのため、標準的なオフィスビルの建設段階を、あたかも、自ら建設に参加している感覚をもってもらえるように、紙上建設ストーリーイラストとして最初に提示した。続いて、その各段階から、100の知識テーマを厳選、イラスト・図を多用し、見開き構成で、わかりやすく解説することを試みている。各項目にQ&Aを設けることで、現場で生じる疑問に答えるようにした。イラスト総数は約1000点、Q&Aは343項目を展開した。
この本は、初学者向け入門書ではない。また、すべての手順を網羅したマニュアルでもない。ある程度学習・経験を経た技術者が、さらなる高みに臨む時のきっかけとなる要点説明書である。重要なキーワードと簡潔な説明、図解により、施工現場の流れに従い、各工程のポイントをまとめている。したがって、幅広く知識を履修し、技術レベルを高度化するためには、他著と併読されることが必須である。
さて、日本建築学会『建築工事標準仕様書(JASS)』は、関係識者・団体が長期にわたり、施工現場を背景に、科学的・実務的に議論し練り込んできた、偏りのない最高度のものである。
本書は、このJASSを深読みし、施工に関する記述を、実務目線で図解説明したものである。決して、著者の「新説」「奇説」ではなく、JASSの基本記述を引用・参照させていただいた。この本は、JASSの補助書・図解書といっても間違いはない。
著者は略歴にもあるように、建設会社の技術部門で50年間勤め上げたが、その多くを、建設現場の係員・職長・作業者、設計者と、施工について検討し、最善の施工要領を極めることに費やしてきた。
その時、多くの識見・示唆を与えてくれたのが、建築工事標準仕様書(JASS)であった。著者は、他の人より1頁でも深くこの仕様書を読み、1日でも早く最新施工情報を収集し、1社でも多く専門工事業者からヒアリングすることで、これらの課題に対応してきた。
日常の施工業務に忙しい読者の皆さんは、この宝物である仕様書を読み込む時間は取りにくいので、その肝どころ・要点をコンパクトに案内する本書が役に立ち、前記のねらいを達し、さらなる自己啓発の一助・きっかけになれたら幸甚である。著者の永い間の経験・知識をぜひ伝えたい。
最後に、執筆の機会を提供いただき、無理をお願いした、学芸出版社の中木女史ほか関係各位、ならびに指導助言をいただいた諸氏に、この場を借りて深謝し、本書が世の中で役立つことを、ともに祈念したい。
令和2年5月吉日 稲垣秀雄