実践 スポーツツーリズム 組織運営・事業開発・人材育成

実践 スポーツツーリズム 組織運営・事業開発・人材育成 
Loading...

内容紹介

スポーツに活かせる地域の資源を発掘しよう

都市部で人気が高まるBMXやスケボー、海・山・川などの自然を舞台にしたSUPやトレイルラン、歴史文化に触れる武道ツーリズムなど、スポーツを活かす観光への期待は高まるばかり。持続的な担い手の育成ポイント、司令塔となるスポーツコミッションの設立ノウハウ、経済効果や社会的インパクトの考え方などを体系的に解説した。


一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構 編 原田 宗彦 著 伊藤 央二 他著
著者紹介

体裁四六判・232頁

定価本体2300円+税

発行日2022-09-15

装丁北田雄一郎

ISBN9784761528225

GCODE5646

目次著者紹介はじめにブックガイド関連イベント関連ニュース正誤情報

基礎編

I スポーツツーリズム概論

1 ニューノーマル時代のスポーツツーリズム
2 スポーツツーリズムに必要な3つのマネジメント
3 スポーツツーリストの消費行動
4 地域資源を活用したスポーツツーリズム
5 [コラム] みるスポーツとしてのアーバンスポーツの可能性

II スポーツイベント概論

1 スポーツイベントによる地域活性化
2 スポーツイベントマーケティング
3 ステークホルダーマネジメント
4 スポーツイベントの経済的インパクト
5 スポーツイベントの社会的インパクト
6 [コラム] スポーツイベントと多様性

応用編

III スポーツツーリズムの推進組織と資金

1 スポーツツーリズムを推進する組織体制
2 スポーツツーリズムを推進する資金
3 スポーツコミッションの新たな資金獲得方法
4 [コラム] 先進的なスポーツコミッション

IV スポーツツーリズムの事業開発

1 地域資源の棚卸し
2 国内外に向けた地域スポーツコミッションによるアクション
3 スポーツを活かしたエリアマネジメント
4 地域ブランディングとしてのアプローチ
5 [コラム] スポーツ合宿施設の新潮流

V スポーツツーリズムの担い手

1 スポーツツーリズムを担う人材の確保
2 アスリートを活かした人材の開発・育成
3 観光領域の取組からみる人材開発・育成

編者

一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構

JSTAは、2011年6月に観光庁がとりまとめた「スポーツツーリズム推進基本方針」で掲げられる方針に則り、オールジャパン体制でスポーツツーリズムを推進する組織として、2012年4月に一般社団法人としてスタートしました。
また、2015年に設置されたスポーツ庁とも連携を深め、スポーツツーリズムによる地域振興に寄与すべく、スポーツ及び観光にかかわる多くの方々・地方公共団体の実務担当者の方々が、スポーツを活用した観光まちづくり、大会・合宿の招致・開催、地域資源を生かした旅行商品化などに取り組む際に、JSTAがネットワークやノウハウを提供し、幅広く活用されることを目指します。

著者(執筆順)

原田宗彦(はらだ・むねひこ)

1954年生まれ、大阪府出身。京都教育大学教育学部卒業、筑波大学大学院体育研究科修了、ペンシルバニア州立大学健康・体育・レクリエーション学部博士課程修了。大阪体育大学教授、早稲田大学スポーツ科学学術院教授を経て、2021年より大阪体育大学学長。一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)代表理事、日本スポーツマネジメント学会会長、日本バレーボール協会理事などを務める。著書に『スポーツ地域マネジメント』(2021年、学芸出版社)ほか。
●担当:はじめに、Ⅰ‐1・2、Ⅳ‐1

伊藤央二(いとう・えいじ)

1983年生まれ、東京都出身。順天堂大学スポーツ健康科学部卒業、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科修了、アルバータ大学体育・レクリエーション学部博士課程修了。和歌山大学観光学部准教授を経て、2021年より中京大学スポーツ科学部准教授。Journal of Leisure Researchの副編集委員長を務める。著書に『Meanings of Leisure in Japan
』(2018年、晃洋書房)、共訳に『スポーツツーリズム入門』(2020年、晃洋書房)など。
●担当:Ⅰ‐3・4

山下玲(やました・れい)

1988年生まれ、東京都出身。東海大学体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科卒業、早稲田大学スポーツ科学研究科修士・博士課程修了。東洋大学ライフデザイン学部健康スポーツ学科助教、早稲田大学スポーツ科学学術院助教を経て2022年4月より早稲田大学スポーツ科学学術院講師。日本スポーツマネジメント学会運営委員を務める。共著に『Destination Management of Sport Tourism in Japan』(2022年発刊予定、Emerald)など。
●担当:Ⅰ‐5

押見大地(おしみ・だいち)

1981年生まれ、東京都出身。早稲田大学人間科学部卒業、早稲田大学スポーツ科学研究科修士・博士課程修了。早稲田大学助教、オタワ大学客員研究員を経て、2018年より東海大学(准教授)。アジアスポーツマネジメント学会副会長、広島県スポーツ政策アドバイザーなどを務める。共著書に『スポーツ産業論第7版』(2021年、杏林書院)、プロ野球「熱狂」のメカニズム(2021年、東京大学出版会)など。
●担当:Ⅱ‐1

西尾建(にしお・たつる)

1965年生まれ、大阪府出身。関西学院大学商学部卒業、JPモルガン・チェース銀行(旧ケミカルバンク)入社。2005年退社後、英国ラフバラ大学スポーツ&レジャーマネジメント修士修了、ニュージーランドワイカト大学経営学部博士課程修了(マーケティング)。2013年からワイカト大学マネジメントスクール勤務、2018年から国立大学法人山口大学経済学部観光政策学科准教授。2020年から2年間観光庁産学連携による観光産業の中核人材・強化事業「SDGsによる山口県のスポーツ観光講座」を主催。計量マーケティングやスポーツツーリズムに関する研究多数。
●担当:Ⅱ‐2

山口志郎(やまぐち・しろう)

1985年生まれ、兵庫県出身。順天堂大学スポーツ健康科学部卒業、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程修了、和歌山大学大学院観光学研究科博士後期課程修了。流通科学大学サービス産業学部専任講師を経て、2017年より流通科学大学人間社会学部准教授。ブリッセル自由大学Sport & Society(SASO)Research Unit客員研究員、神戸スポーツ産業懇話会世話人、有馬-六甲Virtual Ride Raceアドバイザーなどを務める。共訳に『スポーツツーリズム入門』(2021年、晃洋書房)など。
●担当:Ⅱ‐3

福原崇之(ふくはら・たかゆき)

1975年生まれ、神奈川県出身。慶應義塾大学経済学部卒業、青山学院大学経済学研究科修士課程・博士課程修了、早稲田大学スポーツ科学研究科博士課程単位取得退学。青山学院大学経済学部助手、北海道教育大学岩見沢校講師を経て2015年より北海道教育大学岩見沢校准教授。共著に『Jリーグマーケティングの基礎知識』(2013年、創文企画)、『Sports Management and Sports Humanities』(2015年、Springer)など。
●担当:Ⅱ‐4

佐藤晋太郎(さとう・しんたろう)

1983年生まれ、北海道出身。北海道教育大学卒業、早稲田大学スポーツ科学研究科修士課程修了、フロリダ大学観光・レクリエーション・スポーツマネジメント学部博士課程修了。ジョージアサザン大学スポーツマネジメント学部講師、モンクレア州立大学ビジネススクール講師を経て、2019年より早稲田大学スポーツ科学学術院准教授。Sport & Entertainment Management Lab.主宰。主要論文はJournal of Sport ManagementやEuropean Sport Management Quarterlyなどの有力国際学術誌に掲載、共著に『プロ野球熱狂のメカニズム』(2021年、東京大学出版会)など。
●担当:Ⅱ‐5

秋吉遼子(あきよし・りょうこ)

1983年生まれ、東京都出身。順天堂大学スポーツ健康科学部卒業、神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程後期課程修了。東京国際大学客員講師、東海大学体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科特任助教を経て、2021年より同学科講師。公益財団法人日本中学校体育連盟:全国大会組織の在り方改革プロジェクト委員、日本スポーツ社会学会編集委員などを務める。共著に『生涯スポーツ実践論│生涯スポーツを学ぶ人たちに│改訂4版』(2018年、市村出版)など。
●担当:Ⅱ‐6

藤原直幸(ふじわら・なおゆき)

1982年生まれ、岡山県出身。早稲田大学政治経済学部卒業、早稲田大学スポーツ科学研究科修了。番組制作会社、公益財団法人笹川スポーツ財団を経て、2019年より一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)地域スポーツ戦略ディレクター、スポーツアクティベーションひろしま市町支援戦略ディレクターを務める。共著に『スポーツライフ・データ』(2018年、笹川スポーツ財団)、『スポーツ白書』(2017年、笹川スポーツ財団)など。
●担当:Ⅲ‐1・2・4

赤嶺健(あかみね・けん)

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学社会学部卒業、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。大手広告代理店などを経て、2017年にスポーツ・ローカル・アクトを創業。ふるさと納税などを活用した地域支援を行う。
●担当:Ⅲ‐3

中山哲郎(なかやま・てつお)

1956年生まれ、大阪府出身。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒業。株式会社JTB、公益財団法人日本オリンピック委員会(出向)などを経て、2012年より一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構事務局長、一般社団法人日本ゴルフツーリズム推進協会評議員などを務める。
●担当:Ⅳ‐2、5

永廣正邦(ながひろ・まさくに)

1960年生まれ、熊本県出身。法政大学工学部建築学科卒業、1989年株式会社梓設計に入社。現在は同社常務執行役員、プリンシパルアーキテクト、スポーツ・エンターテインメントドメイン長を務める。主な作品に、FC今治里山スタジアム、金沢スタジアム、釡石スタジアム、横浜みなとみらいKアリーナ、横浜文化体育館などの多数のスタジアム・アリーナの設計のほか、TOTOミュージアム、山梨市庁舎、垂井町役場、つくばみらい陽光台小学校など数々の設計に従事。受賞歴に、BCS賞、日事連国土交通大臣賞、グッドデザイン賞、サスティナブルデザイン賞、日本建築学会作品選集、東京建築賞最優秀賞、JIA環境建築賞・優秀建築選、公共建築賞優秀賞、AACA賞優秀賞ほか。
●担当:Ⅳ‐3

井上滋道(いのうえ・しげみち)

1983年生まれ、新潟県出身。日本大学芸術学部卒業、住宅設計会社、広告代理店を経て、2017年より株式会社梓設計に入社。同社スポーツ・エンターテインメントドメインのマーケティング担当として、全国のスタジアムやアリーナのコンセプトメイク、企画構想提案、スポーツビジネスにおける他企業連携や新規事業推進を務める。2018年早稲田大学スポーツMBA Essence修了。
●担当:Ⅳ‐3

小西圭介(こにし・けいすけ)

1969年生まれ、大阪府出身。東京大学教養学部卒業。米国プロフェット社、株式会社電通のシニアディレクターを経て、2020年より株式会社ニュースケイプを設立、代表取締役を務める。著書に『ブランドコミュニティ戦略』(2013年、ダイヤモンド社)、訳書に『リッスン・ファースト』(2012年、翔永社)、『顧客生涯価値のデータベースマーケティング』(1999年、ダイヤモンド社)など。
●担当:Ⅳ‐4

滝田佐那子(たきた・さなこ)

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。株式会社リクルート、ゼビオ株式会社などで採用・人材育成業務に従事。2020年より一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)に参画。スポーツをテーマに活動する地域おこし協力隊のネットワークである地域おこしスポーツ協力隊ネットワーク(LSN)設立発起人・アドバイザーを務める。
●担当:Ⅴ‐1

髙橋義雄(たかはし・よしお)

1968年生まれ、東京都出身。東京大学教育学部卒業、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。名古屋大学助手、講師、エジンバラ大学客員研究員を経て、筑波大学准教授。筑波大学博士(スポーツウエルネス学)。一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)理事、公益財団法人国際親善協会評議員、スポーツ庁スポーツキャリアサポートコンソーシアム会長などを務める。共著に『国際スポーツ組織で働こう!』(2016年、日経BP社)ほか。
●担当:Ⅴ‐2

岡本純也(おかもと・じゅんや)

1968年生まれ、埼玉県出身。横浜国立大学教育学部卒業、横浜国立大学大学院教育学研究科修士課程修了、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学。一橋大学商学部講師、同大学大学院商学研究科准教授を経て、2018年より同大学大学院経営管理研究科准教授。2013年より公益社団法人日本観光振興協会「産学連携観光推進委員会」「産学連携・人材育成委員会」委員、2020年より「日本スポーツ政策学生会議」企画委員を務める。共著に『現代社会とスポーツの社会学』(2022年、杏林書院)、『12の問いから始めるオリンピック・パラリンピック研究』(2019年、かもがわ出版)。
●担当:Ⅴ‐3

国内の旅行業界においては、コロナ禍からの回復が大きな課題となっているが、注目すべきは変化した人々の価値観やライフスタイルである。大勢の人との接触を避け、日常的にマスクを装着し、健康とレジリエンス(回復力)に配慮した生活は、「旅の嗜好」にも大きな影響を及ぼした。

大型観光バスを使って、短期間に名所旧跡を巡るマスツーリズムは、コロナ前からすでに退潮の兆しがあったが、今では少人数(もしくは一人)や家族、そして友人や仲間で旅行を楽しむ「個人旅行」(FIT: Foreign Independent Travel)が主流になっている。そのような時代に注目を集めているのがスポーツツーリズムである。

スポーツツーリズムは、スポーツを「する」「みる」だけでなく、文化や観光と融合することによって、幅の広いフィールドを形成している。マラソン大会や自転車イベントに参加するだけでなく、普通の旅行で、旅先の名所旧跡を徒歩で訪れる「アクティブツーリズム」もあれば、山道をクロスマウンテンバイクで駆け降りる「アクションツーリズム」、そして大自然の中で文化に触れながらシーカヤックやラフティングを楽しむ「アドベンチャーツーリズム」もある。さらに最近では、日本の伝統的資産(柔・剣・弓道場、有段者、師範等)を活用した「武道ツーリズム」や、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「2020年東京大会」)後に注目を浴びている「アーバンスポーツツーリズム」に対する関心も高まっている。

スポーツツーリズムが持つ競争優位性は、旅行商品の造成において場所を選ばない点である。スタジアムやアリーナがあれば、それらを活用したスポーツ大会の誘致が可能であるが、ない場所においても、公道を使ったマラソン大会や自転車レース、そして境内を使った流鏑馬などのイベント開催が可能である。また都市近郊や中山間地域では、廃校を利活用したスポーツ合宿や、多様な自然資源を活用したアウトドアスポーツも注目を集めている。

本書は、2015年に刊行した『スポーツツーリズム・ハンドブック』を全面改訂した実践書であるが、当時に比べスポーツツーリズムを取り巻く状況は大きく変化した。特に2019年の冬に起きた新型コロナウイルス感染症の蔓延は、2019年のラグビーワールドカップ、2020年東京大会、そして2021年のワールドマスターズゲームズといった、3つのメガスポーツイベントを契機としたスポーツツーリズムの発展という計画に見直しを迫るものであった。しかしその一方で、スポーツコミッション設立に向けた動きは加速化し、2022年度には、スポーツ庁の目標を上回る177の組織が確認された。今後必要とされるのは、スポーツツーリズムの質的な発展を支える人材の育成であり、本書が刊行された最大の理由がそこにある。

本書の中身は、基礎編と応用編に分かれており、前者は、Ⅰ「スポーツツーリズム概論」とⅡ「スポーツイベント概論」から構成されている。後者は、Ⅲ「スポーツツーリズムの推進組織」、Ⅳ「スポーツツーリズムの事業開発」、そしてⅤ「スポーツツーリズムの担い手」から構成されており、実際の事業展開に必要な情報提供を目的としている。その中でも特にⅤは、今後のスポーツツーリズム業界の発展を支える人材の確保、開発、育成に関連するもので、前回のハンドブックにはなかった新しい領域である。本書を企画した一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)も、今後、スポーツツーリズムの発展に寄与する人材の育成システムを構築する計画だが、本書には、育成カリキュラムの入門書としての役割も期待されている。

最後に、本書の出版にあたっては、株式会社学芸出版社の松本優真さんに大変お世話になった。ここに感謝の意を表したい。

原田宗彦
一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)代表理事
大阪体育大学学長

クリックするとPDFをダウンロードできます

メディア掲載情報
その他のお知らせ

公開され次第、お伝えします。

本書に下記の誤りが含まれておりました。お詫びして訂正いたします。

PDFで表示

建築・都市・まちづくりの今がわかる
ウェブメディア「まち座」
建築・都市・まちづくりの今がわかるウェブメディア「まち座」
学芸出版社では正社員を募集しています
学芸出版社 正社員募集のお知らせ