図説 日本庭園のみかた
内容紹介
鑑賞の術がわかると庭の楽しみが見えてくる
この本を持って名庭を訪ねよう
初めて日本庭園を巡る人、どこがよいのかわからないという人にそのみかた・見どころを平易な文章と多数の図版で解説した。洲浜、築山、雪隠など庭園を構成する要素を図解するとともに、厳選48庭園を紹介。入門書として、名庭訪問必携のガイドブックとして庭園の魅力発見を助ける。
体 裁 四六・192頁・定価 本体1900円+税
ISBN 978-4-7615-1160-9
発行日 1998/06/10
装 丁 尾崎 閑也
はじめに・・本書の特徴
第一章 自然風景式庭園
自然風景式庭園の種類
自然風景式庭園の要素
池/中島/遣水/滝/橋/苑路/塀/垣/建物/借景/舟着/荒磯と洲浜/刈込み/芝生/庭木/庭石/季節的性格
コラム
庭園と他界
クローズアップ
庭園のバイブル『作庭記』
1・・浄土式庭園
1.平等院
2.鳥羽殿遺跡
3.法金剛院
4.浄瑠璃寺
5.円成寺
6.称名寺
7.山科南殿遺跡
8.毛越寺遺跡
9.観自在王院
10.無量光院遺跡
11.白水阿弥陀堂
コラム
日本文化と色彩
クローズアップ
伊勢公林賢
奥州平泉の庭
2・・寝殿造系庭園
12.神泉苑
13.大覚寺嵯峨院
14.一乗院遺跡
15.水無瀬殿遺跡
16.金閣寺(鹿苑寺)
17.三井寺(園城寺)
18.仁和寺寝殿
19.厳島神社
コラム
金閣寺の再建
厳島神社と西欧文化
3・・書院造系庭園
20.銀閣寺(慈照寺)
21.桂離宮
22.修学院離宮
23.醍醐寺三宝院
24.二条城二の丸
25.西本願寺書院・飛雲閣 26.曼殊院
27.詩仙堂
28.仙洞御所
29.小石川後楽園
30.水戸偕楽園
31.兼六園
コラム
銀閣寺造営への義政の執念
桂離宮の西欧手法
後水尾院の人生と修学院離宮
二条城と西欧文化
鬼門軸の謎
西本願寺と西欧手法
クローズアップ
『都林泉名勝図会』
九山八海石
八条宮智仁親王
ブルーノ・タウト
金地院崇伝
听(きん)叔顕啅
鳳林承章
小堀遠州
賢庭
大名庭園
第二章 枯山水
枯山水の特徴
枯山水の前期式と後期式
枯山水庭園の要素
石/普陀落山/須弥山/三尊石と守護石/影向石/十六羅漢石/座禅石/楽器石/築山/野筋/方丈/平庭/借景/枯山水の塀/苔と羊歯
1・・前期式枯山水
32.天龍寺
33.西芳寺(苔寺)
34.常栄寺
2・・後期式枯山水
35.南禅寺方丈
36.大徳寺方丈
37.大徳寺大仙院
38.龍安寺
39.妙心寺
40.円通寺
41.南宗寺
コラム
龍安寺の作庭者は?
クローズアップ
石立僧と流派
夢窓国師
第三章 露 地
露地とは
三茶匠の露地の変化
桂離宮浮月の手水鉢
桂離宮浮月の手水鉢
露地の要素
露地門/外露地と内露地/腰掛(待合)/雪隠/手水鉢/飛石/石灯篭/沓脱石/茶亭と茶室
1・・千家の露地
42.表千家不審庵
43.裏千家今日庵
44.武者小路千家官休庵
45.堀内家長生庵
46.妙喜庵待庵
2・・織部・遠州の露地
47.薮内家燕庵
48.大徳寺孤蓬庵
年表
参考文献・写真提供・協力
おわりに
[附録]
索引
訪問庭園リスト
訪問庭園マップ
仙洞御所・桂離宮・修学院離宮参観申込要領
近年、庭めぐりや庭造りがブームとなり、平等院や醍醐寺、あるいは厳島神社が世界文化遺産に指定される等、日本庭園への興味が急速に高まりつつあります。しかし、そのやや抽象的な難解さゆえに、現在それらを解読・鑑賞する術が十分に普及しているとはいえません。
そこで、本書は日本庭園の見方、見どころを、数多くの実例をあげて、平易な文章と多数の挿し絵でわかりやすくまとめたものです。読みものとしてもおもしろく、またガイドブックとしても使い易いものを意図しました。
特に都市生活に疲れた方々は本書を手にして、春には匂いたつ花々を、夏ならば青々とした新緑を、秋には燃えるような紅葉を、冬ならば純白の雪を愛で、心を癒してみてはいかがでしょうか。
本書が皆様の庭園の魅力発見の助けとなれば、著者として無上の喜びです。
本書のもとになったのは、龍谷大学国際文化学部の講義「日本の庭園」及び社会人向けの龍谷エクステンションセンター1998年度講座「庭園入門 みかた・楽しみ方」の講義録であり、初心者にいかに庭園の魅力を伝えるかを目的として著しました。
また、近年日本の庭園がぞくぞくと世界文化遺産に指定されつつあるため、中国の陰陽五行説や西欧文化の影響等といった、従来は余り強調されることのなかった日本庭園の国際性についても言及してみました。
今回、本書をまとめる契機を与えてくださったのは学芸出版社の京極迪宏氏であり、また、直接編集においては同社編集部の越智和子氏のお手を煩わせました。
さらに挿絵を担当した小保方貴之、鶴田真理子両君に厚く感謝致します。
平成10年5月 宮元健次
本書には、庭園を形づくる要素を示す図と庭の全体像がわかる有名庭園の鳥瞰図が200点あまり掲載されています。