建築構造力学 Ⅰ


坂田弘安・島﨑和司 著

内容紹介

数学・物理が苦手な初学者にもわかりやすい

建築物を利用する主体〈人間〉を中心に据えて学ぶ、新しい建築学シリーズ。構造力学Ⅰでは、静定構造物を対象とした建築構造力学を理解するために、例題・図・写真を豊富に示し、説明した。前半は、構造物の反力および部材内に生ずる力を扱い、後半では、断面に生ずる力、部材の変形を扱っている。数学・物理が苦手な初学者でも、取り組みやすい基本テキスト。

体 裁 A4・104頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2326-8
発行日 2003-11-10
装 丁 上野 かおる

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目次著者紹介まえがき正誤情報

第1章 概論

1・1 建築物と建築構造力学

1・2 建築物に作用する外力

1・3 建築物のモデル化

1・4 節点と支点

第2章 力の基本

2・1 力の表し方

2・2 力のモーメント

2・3 力のモデル化

2・4 力の合成と分解

1 1点に作用する力の合成
2 力の2力への分解
3 平行な力の合成
4 平行な2力への分解

2・5 力の釣り合い

2・6 反力

1 支点と反力
2 反力の求め方
3 3ヒンジ系構造物の反力の求め方

2・7 構造物の安定・不安定,静定・不静定

第3章 部材に生じる力

3・1 静定トラス

1 トラス部材に生じる力
2 節点法
3 切断法

3・2 静定梁

1 梁部材に生じる力
2 梁部材に生じる力の求め方と描き方
3 荷重・せん断力・曲げモーメントの関係

3・3 片持梁

1 集中荷重を受ける場合
2 等分布荷重を受ける場合
3 等変分布荷重を受ける場合
4 モーメント荷重を受ける場合

3・4 単純梁

1 集注荷重を受ける場合
2 等分布荷重を受ける場合
3 等変分布荷重を受ける場合
4 モーメント荷重を受ける場合

3・5 静定ラーメン

1 部材に生じる力の描き方
2 片持梁系静定ラーメン
3 単純梁系静定ラーメン
4 3ヒンジ静定ラーメン,ゲルバー梁,合成ラーメン

第4章 断面に生じる力

4・1 応力度とひずみ度

1 軸方向応力度
2 ポアソン比
3 せん断変形
4 主応力

4・2 曲げを受ける部材

1 モーメントと回転量(対称断面)
2 モーメントと回転量(非対称断面)

4・3 断面の性質

1 断面1次モーメントと図心
2 断面2次モーメント
3 断面の主軸
4 断面係数
5 その他の係数

4・4 曲げモーメントとせん断を受ける部材

1 せん断応力度
2 梁の主応力線

4・5 曲げと軸力を受ける部材

1 バネに生じる組み合わせ応力
2 連続体の組み合わせ応力

第5章 部材の変形

5・1 モーメントによる変形

1 モーメントと変形
2 片持部材の変形
3 曲率と変形
4 モールの定理

5・2 せん断力による変形

5・3 軸方向力による変形

坂田弘安

1983年東京工業大学工学部建築学科卒業,1985年東京工業大学大学院建築学専攻修士課程修了,1988年東京工業大学大学院建築学専攻博士課程単位取得満期退学.トロント大学客員研究員,愛知産業大学造形学部助教授,カンタベリー大学客員研究員,東京工業大学建築物理研究センター教授等を経て,東京工業大学理工学研究科建築学専攻教授.

共著書に『鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説1999‐許容応力度設計法‐』(日本建築学会),『〈建築学テキスト〉建築構造力学Ⅱ』(学芸出版社)など.1992年日本建築学会奨励賞,2015年日本建築学会賞(論文)など受賞.

島崎和司

1977年東京工業大学工学部建築学科卒業、1979年東京工業大学大学院社会開発工学専攻修士課程修了、1995年東京工業大学大学院社会開発工学専攻博士課程修了。㈱間組技術研究所、建設省建築研究所部外研究員、米国イリノイ大学客員研究員等を経て、神奈川大学工学部建築学科教授。共著書に『鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2010』『鉄筋コンクリート構造保有水平耐力計算規準・同解説』((社)日本建築学会)『〈建築学テキスト〉建築構造力学I、Ⅱ』(学芸出版社)など。

構造力学は、建築構造物の外力下が働いたときの挙動を知る上で必要不可欠であるが、建築学を学習する中で苦手としている人も多い分野の一つである。

我々は日常生活において、力を受ける物体がどのような挙動をするのか、無意識のうちに多くの経験をしている。例えば、1)重い物でもてこの原理を使って小さな力で動かせる。2)ナットを締め付けたりゆるめたりする時に、長いスパナでを使ったほうが小さな力ですむ。3)2点で支えられた木材に載ったときに、支える点の距離が2倍になったら木材のたわみは、2倍ではすまない。などなど、このような経験をしている人は多いと思う。これらのことを感覚で感じ取るときに、その感じ方は人によって異なる。これに対して科学的な裏づけができれば、皆が同じ物差しを使ってその現象を理解することができる。その物差しの一つが力学である。

建築構造物は大規模であるし、一品生産物である。それゆえ、造っては壊してみて安全なもの、よりよいものにしてゆくというのは難しい。だからこそ、安全で経済的な建築構造物を造るためには建築構造力学が重要なものとなる。

本書では、静定構造物を対象とした建築構造力学を理解して戴くために例題・図・写真を豊富に示して説明している。前半では、構造物の反力および部材内に生じる力を扱い、後半においては、断面に生じる力、部材の変形を扱っている。執筆にあたり、これまでの講義で様々な学生と接してきたことが大いに役立っている。特に、数学・物理を受験せずに入学した学生に教えた経験が貴重であった。

本書が読者の勉学の一助となることを切望する。

執筆者を代表して 坂田弘安

正誤情報=第1版1刷(2003.11発行)

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正誤情報=第1版2刷(2007.4発行)以降/2010.11.15記載

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