改訂版 イラストでわかる空調の技術
内容紹介
空調設備の一番やさしい入門書。改訂版出来。
親しみやすい文章とイラストで、初心者にわかりやすいと大好評。空気調和設備のしくみと考え方を学ぶ一番やさしい入門書として、現場の技術者やメンテナンスの方に読み継がれてきたテキスト待望の改訂版。最新データや法規に準拠し、イラストも含めて改訂するとともに、耐震や環境に配慮した新しい設備についても加筆した。
改訂にあたって
初版へのまえがき
1章 空気調和のあらまし
1・1|空気調和って何だろう
1空気調和とは
2温度のことを理解しよう
3空気中の水分は自在変化の忍者だ!
4相対湿度をよ<理解しよう
5不快指数とは
6結露って何だろう
7気流とは風のこと?
8清浄度とは
9浮遊粉じんが人体に与える悪影響
10一酸化炭素は猛毒ガスだ!
11人間は二酸化炭素発生器だ
1・2|熱の正体を知ろう
12“熱(鯉)の滝のぼり”はできない!?
13顕熱と潜熱の違い
1・3|騒音はいらない!
14騒音とは
15騒音の表わし方
16防音の方法は
17防振対策
1・4|換気は空気調和の大きな要素
18なぜ換気を行わなければならないか
19自然換気では換気量をコントロールできない
20機械換気でバッチリ快適換気!
1・5|煙の正体と怖さを知ろう!
21煙の正体とその怖さ
22排煙設備の構成
2章 空気調和負荷のはなし
2・1|冷房および暖房のあらまし
23冷房の方法は
24除湿によって快適冷房
25外気冷房って何のこと?
26暖房の方法
27加湿で快適暖房
2・2|空調設計において熱負荷は大切
28冷房負荷って何だうう?
29暖房負荷では室内発生熱と太陽ふく射熱を計算に入れない
3章 空気調和の方式
3・1|制御方式による空調方式の分類
30全体制御方式とは
31ゾーン制御方式は合理的
32用途別ゾーニングとは
33ホテルや旅館では個別制御方式
34単熱源方式と複熱源方式
3・2|熱媒運搬方式による空調方式の分類
35熱媒運搬方式による空調方式とは
36全空気方式とは
37全水方式は大きいダクトスペースが不要だ
38空気・水方式とは全空気方式と全水方式の併用システム
39冷媒方式とは
40空気調和設備の装置
4章 空気調和機の構成と種類
4・1|空気調和機をよく知ろう
41中央式空気調和機とは
42個別式空気調和機とは
43空気ろ過器の働き
44自動巻取り形フィルタは合理的
45空気冷却器には減湿器が不要
46空気加熱器には加湿器が必要
47加湿を行う方法
5章 熱源装置
5・1|冷熱源装置とは冷凍機なのだ
48七変化する冷媒!
49冷凍機を構成するもの
50冷凍トンって何のこと?
51蒸気圧縮式冷凍機とは
52蒸気圧縮式冷凍機の法規制
53吸収冷凍機の仕組み
54冷凍機には冷却塔が必要
55冷凍機で暖房!? ヒートポンプのあらまし
5・2|温熱源装置とはボイラなのだ
56ボイラは暖かい熱をつくり出す機械だ
57空調用ボイラとは
58ボイラの法規制
59法規制を受けなくてもよいボイラ? 温水ヒータのあらまし
5・3|ボイラの燃料
60重油と灯油は液体燃料の代表
61気体燃料はクリーンエネルギーだ
62液体燃料の燃焼方法
63噴霧燃焼方式の燃焼装置
64気体燃料の燃焼方法
6章 熱運搬装置
6・1|空気輸送の専用道路がダクトだ
65長方形ダクトは空気を低速輸送
66スパイラルダクトは空気輸送のハイウェイ
67用途によっていろいろに呼称されるダクト
68ダンパは空気輸送をスムーズにする交通整理のおまわりさん
69吹出し口は調和空気の供給口だ
70吸込み口と吹出し口が室内気流を均一にする
6・2|送風機は空気の運び屋だ
71送風機、ファンとブロアどう違うの?
72軸流式送風機とは
73遠心式送風機は水車と同じ原理
74遠心式送風機の羽根は1年ごとに掃除しよう
6・3|ポンプは水の運び屋だ
75タービンポンプとうずまきポンプ
76ポンプの揚程とは
6・4|保温は人間が健康で活動するため着物を着るのと同じだ
77保温はエネルギーの無駄使いを防ぐ
78保温材
79保冷には防湿工事を忘れないで
7章 空気調和の自動制御
7・1|自動制御のあらまし
80自動制御は花ざかり
81フィードバック制御は手動制御と同じだ
82シーケンス制御は結果について知らん顔
83インターロックは自動制御の安全弁だ!
84自動制御系の構成
85制御動作って何のこと?
86自動制御方式は自力式と他力式
7・2|自動制御の基本
87室内の温・湿度制御は定風量方式
88温度制御は温度調節器と自動弁が活躍
89湿度制御の仕組み
90外気取入れ制御とは
91空気調和機の制御回路
8章 空気環境測定
8・1|環境測定になれよう
92空気環境測定は定期的に実施する
93空気環境測定を行う場合の基本的条件
94浮遊粉じん量の測定
95一酸化炭素含有率の測定
96二酸化炭素含有率の測定
97アスマン通風乾湿計による温・湿度の測定
98気流の測定
付録
- Sl単位って何のこと?
- 冷媒ガス種ごとの製造許可等、冷凍保安責任者選任等および定期自主検査
- 燃料・電気の使用による二酸化炭素(CO2)排出量
索引
初版へのあとがき
改訂版へのあとがき
改訂にあたって
建築物の構成要素として、一般的に「意匠」「構造」「設備」の三要素に大別されています。「意匠」「構造」に関しては、名称通り、「意匠」は建物のデザインであり、「構造」は建物の骨格に携わる分野ですが、「設備とは何か」はなかなか一言で言い表わせないものであります。ある辞書には、「建築物の機能を果たすために、建築物に備えつけられたもの」と解説され、建築基準法では「建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙もしくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機もしくは避雷針」と記載しています。また、建築設備は「電気設備」「給排水衛生設備」「空気調和設備」「昇降機設備」「その他設備」と機能別に分類されてもいます。この本はその設備機能の一つである「空気調和設備」に関し、初心者の方にも理解しやすく表現した解説書であります。
今回この本の改訂監修のお話をいただいた時は、建築設備を目指している方々へ何かお役に立つのであればと思い引き受けることに致しました。しかし、2011年3月11日に未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生し、大きな津波が次々と人・車・建物・農作物等を呑み込んでいく様子をメディア等で見た時、その脅威と虚しさと悲しみで強いショックを受け、少し時間をいただくこととなりました。わが国においては、このような自然災害がきわめて高い頻度で発生しています。とくに地震に関しては、1995年に阪神淡路大震災、2004年に新潟中越地震、そして2011年に発生した東日本大震災と大きな被害を伴った災害はいとまがないほどです。我々ができるその対策としては、設備機器等の耐震性能の向上と確実な施工が不可欠であると考えています。
一方、地球環境負荷の低減に向けた取り組みが世界的規模で行われています。2005年に発効された「京都議定書」で約束したCO2をはじめとする温室効果ガスの1990年比6%減の約束期限である2012年が今来ているのです。建築分野の中では空気調和設備が、この温室効果ガスの削減に極めて大きく影響を及ぼしているといっても過言ではありません。
建築に携わる建築士・設備エンジニア並びに建物を運営・メンテナンスをしている方々にとって、この空気調和設備の基本を知っておくことは、これからの社会に非常に重要で必要なことになってくると確信するものです。
この本が出版され20年、法規制も大きく改訂され、各種の単位も国際基準に統一されてきました。また、新しい省エネルギーシステムも誕生し、新技術は日進月歩進化してきています。そこで、この20年を一つの区切りとして、法規制・単位の見直し・新しい設備等の加筆をポイントに改訂をしました。まだまだ、至らないところもあるかと思いますが、読者の方々の一助としてお役に立てれば幸いでございます。
最後に、この「空気調和設備とは何か」をわかりやすく解説されている素晴らしい本を書かれた中井多喜雄先生、並びに魅力的なイラストを描いていただいた石田芳子先生に敬意を払うとともに、このたびの改訂を快く御承諾いただき進めることができました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2012年2月
田ノ畑好幸
改訂版へのあとがき
ご周知のごとく何れの分野における斯界においても“日進月歩”であり、空調技術の分野においてもその例外ではありません。
今回、空調技術における権威である田ノ畑好幸先生のご指導により“前著”において説明・解説不足の事項について改訂した本書を執筆させていただいた次第ですが、初めて空気調和を学ばれる皆様方の学習書・参考書としてお役に立てば、筆者として望外の喜びであります。
なお、最後になりましたがご指導、ご鞭撻の労をたまわりました田ノ畑先生に御礼申し上げます。
2012年2月
中井多喜雄