まちづくりデザインゲーム
内容紹介
この地区はどんなまちにしていったら良いのか、そこではどんな暮らしができるのか、そのためにはどんな問題があるのかなど、難しくて分かりにくい「まちづくりの将来像」が、役割(ロール)ゲームと模型、CCDカメラで誰でも体感的に理解できるワークショップのノウハウを公開し、その後の「まちづくりの将来像」に関わるデザインゲームの基礎を築いた名著。2015年現在はオンデマンド版を提供しております。
なお書籍に付属していたCD-ROMに納められた映像は貴重なものですが、これらを発展させたものは早稲田大学佐藤滋研究室のサイト等で公開していますし、また今後もネット等で公開される予定ですので、オンデマンド版ではCD-ROMは省いております。
体 裁 B5変・128頁・定価 本体3000円+税
ISBN 978-4-7615-3127-0
発行日 2005-03-30
装 丁 前田 俊平
はじめに
本書のねらいと構成
1 まちづくりデザインゲームとは
1・1 市民参加のまちづくり手法
1・2 まちづくりデザインゲームとは
1・3 まちづくりデザインゲームの構成
コラム ワークショップを活用したまちづくりにおける専門家の役割
2 まちづくりデザインゲームの手法
2・1 まち歩きとガリバー地図づくり
2・2 目標イメージゲーム
2・3 貼り絵ゲーム
2・4 町並みデザインゲーム
2・5 建替えデザインゲーム
Q&A まちづくりデザインゲームの企画にあたって
3 まちづくりデザインゲームのパーツ
3・1 ガリバー地図のための大きな地図
3・2 生活シーンカード
3・3 目標イメージカード
3・4 まちづくりメンバーカルテの台紙
3・5 貼り絵ツール
3・6 町並み模型
3・7 仮想街区模型
3・8 建替えパーツ
3・9 敷地設定カード
3・10 ライフスタイルカード
3・11 きっかけカード
3・12 メッセージカード
3・13 着眼点カード
3・14 まちを語るカード
3・15 クジ
4 ワークショップの運営方法
4・1 ワークショップ企画時の心得
4・2 ワークショップの進行の心得
4・3 ファシリテーショングラフィック
4・4 会場レイアウト
4・5 基本的に使用する機材と備品
Q&A デザインゲームの実施にあたって
5 まちづくり情報の活用
5・1 まちづくり情報のマネジメント
5・2 まちづくり情報帳
5・3 まちづくり活動拠点
Q&A 実際のまちづくりにあたって
6 デザインゲームを活用したまちづくり事例
6・0 事例の読み方
6・1 町並みデザインゲームによる街路の基本デザイン
6・2 都心居住地における環境保全型ルールづくり
6・3 商店街活性化のためのまちづくり協定づくりへの展開
6・4 県条例に基づく景観協定の締結と建替えデザイン協議
6・5 デザインゲームによる広場の基本計画づくり
6・6 密集市街地のまちづくりビジョンと住環境イメージの編集
解題1 まちづくりデザインゲームの時代 佐藤 滋
解題2 まちづくりのシミュレーション・ゲーミング 有賀 隆
参考文献
まちづくりデザインゲームの開発に携わったメンバー
付録CD-ROMについて
誰でも自分のすまいやまちはこうあったらいい、こうなってほしいというイメージは持っています。住宅であれば、専門家に依頼しても自分でデザインして望みどおりのものが手に入れられるのが普通です。しかし、住むまちに関しては漠然とした希望はあっても、それを自らの手で実現できるとはなかなか思えないでいます。
しかし、「まちづくり」においても、市民組織や地域社会が主体的に、行政や専門家と協力し、住民が自らの手でまちをデザインする可能性が出てきています。
本書は、このような、まちを自らデザインし、まちを運営し、まちに働きかけようとする住民と専門家に向け、みんなでまちをデザインする方法を紹介した手引き書です。
ここで紹介する「まちづくりデザインゲーム」は、私たちが十余年にわたり、まちづくりの現場で、住民、専門家、行政職員とともに試行錯誤を繰り返して作り上げてきたシステムです。ほぼ実用の域にまで達したと考え、これを公開し利用していただくためのマニュアルとして編集しました。
例えば、商店街で個性的な町並みを整えながらゆったりと過ごせるスペースをデザインしたいとか、木造住宅密集地域で防災や日常の生活環境を整備するために、まちづくり協議会などで具体的なまちの将来像をデザインしたいとか、あるいは共同建替えを街区程度の範囲でみんなで考えてみたいとか、生活や活動の新しい像と具体的な空間像とをいっしょにイメージしデザインしようとしたとき、ここで紹介する「まちづくりデザインゲーム」は有力な武器になります。
住民の方々がこの本を手にして興味を抱かれたら、行政や専門家に相談するとか、行政の担当の方ならまちづくりコンサルタントと相談して、この実施方法を考えてみるとか、していただければ幸いです。あるいは、専門家の方であれば、仲間といっしょにまちづくり団体と相談して課題地区で実施してみるなど、とにかく、実際に使っていただければ幸いです。
決して難しいものではありませんが、それぞれの地域で課題に応じた様々な工夫は必要かも知れません。本書の最後の6章は、まちづくりデザインゲームを適用して持続的にまちづくりを展開している具体例を示していますので参考になると思います。
最後になりましたが、このまちづくりデザインゲームの開発過程に参画してくださったまちづくり組織の皆様、行政関係者の方々、そして専門家の皆様に心から感謝いたします。また、編集段階で著者グループを叱咤しこのような本にまとめてくださった、学芸出版社の前田裕資様、デザインをご担当頂いた村角洋一様に心から感謝いたします。本書が、専門家と住民、行政とによる協働のまちづくりデザインを飛躍的に進め、より良いまちづくりのために貢献することを、願ってやみません。
執筆者代表 佐藤 滋
2005年2月
『地域開発』((財)日本地域開発センター)2005.10
本書は、筆者たちが開発した市民によるまちづくりのための合意形成ツール「まちづくりデザインゲーム」を紹介している。
デザインゲームの特長は、街並み模型や写真の貼り絵などの視覚的なパーツを使いながら将来予見されるまちのデザインをシミュレートすることができるということである。視覚的に街並みを体感することで、市民間の意識共有が促進され合意形成へと繋がっていく。また、非常に実践的な内容となっており、まちづくりを始めようとする人が本書を読んですぐにこのゲームを実践できるように、ゲームの手順は細かく記述されている。またパーツも基本データセットが付録CD-ROMに採録されている。さらに、6章には豊富な適用事例も紹介されていて手法の確立を伺わせる。
誰しも自分のすまいやまちはこうあったらいい、こうなってほしいというイメージを持っているだろう。そして今日では市民自らの手でまちをデザインする可能性も出てきている。本書は、このような住民とそれをサポートする専門家にぜひとも活用していただきたい一冊である。
メディア掲載情報
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