イラストでわかる建築電気エレベータの技術
内容紹介
電気の基礎知識に重点をおいて建築電気を解説
建築物の高層化に伴い建築設備の重要性が顕著となってきた。特に空気設備や給排水設備などを含む建築設備のすべてが電気なしでは機能しない。この建築電気設備とエレベータ・エスカレータの技術について、初心者にわかりやすいよう、電気の基礎知識に重点をおいて解説した。わかりやすいと大好評のシリーズ第4弾!
体 裁 B5・208頁・定価 本体3000円+税
ISBN 978-4-7615-3034-1
発行日 1993-10-25
装 丁
1 電気の基礎知識
1・1 電気って何だろう
1 まるで水や空気のように電気を使っているのになぁ!!
2 電子が電気の泉!?
3 電気の正体見たり! 原始のカラクリ
4 導体、半導体、絶縁体も電子で決まるんだよ!!
1・2 もっとも身近な電気? 静電気
5 忍者のように忍び寄りびっくりさせる静電気
6 電気も異性が大好き! 静電誘導のはなし
7 静電気は気体放電するんだ!!
8 静電気は厄介者!?
1・3 乾電池と豆電球による電気の基礎
9 電子の移動が電流? 電流と回路のはなし
10 電流の大きさ
11 電圧は水位差と同じだ!!
12 小鳥は高圧電線に止まっても感電しない!?
13 直列と並列のはなし
14 電気抵抗物語
15 “オームの法則”とは?
1・4 電気エネルギーと仕事
16 電力とは何だろう?
17 ジューと発熱する? ジュール熱
1・5 直流と交流の違い
18 心臓は人間の電圧源? 直流と交流はここが違う
19 交流の周波数とは?
20 交流の電圧・電流の大きさは“実効値”で表すんだ!!
21 交流の電力は3つあるんだよ!!
1・6 磁気と電気の密接な関係
22 “磁気”とは?
23 電気ト磁気のロマンス
1・7 発電の原理
24 コイルと磁石で発電できる!?
25 発電機のしくみ
1・8 モータの原理は発電機のしくみと同じ
26 モータも磁石とコイルの力で回転するんだ!!
27 モータも発電機も構造は同じなんだ!!
28 交流モータのまわるカラクリ
1・9 コンデンサとコイルの性質を理解しよう
29 “ライデンびん”って何? コンデンサのはなし
30 コンデンサの働き
31 コイルの性質
1・10 変圧器のしくみ
32 電磁誘導作用を利用する変圧器のカラクリ
33 変圧器のカラクリ パート2
1・11 発電所から家庭まで、電気の長い旅
34 発電所は電気をつくる工場
35 なぜ高電圧にして送るのかな?
36 発電所から家庭への送電のしくみ
37 家の中の配線のしくみ
38 分電盤の主役は配線用遮断器
2 建築電気設備の構成と関係法律
2・1 電気設備の法律規制
39 ビルの電気設備の構成と関係法律
2・2 ビルの電気設備は自家用電気工作物
40 主な法令用語をおぼえておこう!!
41 法令上の電圧の種類、区分
3 受変電設備
3・1 受変電設備のあらまし
42 ビルにおける受電電圧と受電方式は?
43 受変電設備の構成
44 配電盤と中央監視盤の役目は重要だ!!
45 母線とは?
3・2 受変電設備を構成する主な機器
46 変圧器の結線方法
47 変圧器の要領は需要率で決めるんだ!!
48 なぜ遮断器を必要とするのかな?
49 配線用遮断器と気中遮断器はどう違うのかな?
50 ヒューズはもっとも簡単な過電流遮断器
51 断路器と負荷開閉器、同じ開閉器なのにどう違うの?
52 計器用変成器は高圧回路の計器に必要なんだ!!
53 継電器はとのような働きをするのかな? 保護継電器のはなし
54 力率改善に用いられる進相用コンデンサ
55 雷から電気設備を守る避雷器
4 予備(非常)電源設備
4・1 停電に備えた電源設備
56 予備電源設備と非常電源設備
4・2 予備(非常)電源の主力はディーゼル発電機
57 自家用発電設備の主力はディーゼル発電機
58 蓄電池設備は停電すると瞬時に給電
59 電池に関するゼミナール
5 幹線設備と動力設備
5・1 幹線設備はビル内の電気を運ぶ国道だ
60 ビル内の配電ルートは?
61 電灯分電盤と動力制御盤
5・2 動力設備とは電動機のことだ
62 ビルで主に使われるのは3相誘導電動機
63 3相誘導電動機の起動方式は?
64 電動機の保護装置
5・3 配線工事のあらまし
65 低圧屋内配線の方法は?
66 プルボックスって何の箱?
67 接地工事は大事なことだ!!
68 絶縁抵抗とは?
6 照明設備
6・1 電気が光に変るのは?
69 光の正体は電波?
70 白熱電球が光るカラクリ
71 蛍光灯はこうして光る!!
72 蛍光灯と白熱電球の寿命は?
6・2 照度基準
73 照度基準とは何かな?
6・3 非常用照明
74 災害時に必要な非常用照明
7 昇降機設備
7・1 エレベータはビルの幹線道路
75 昇降機設備とは?
76 エレベータにもいろいろあるね!!
77 火災時でも安全運行される非常用エレベータ
78 エレベータ内で“缶詰”になったら大変!!
79 災害時にエレベータの管制運転は?
80 エレベータの操作方式
7・2 エレベータのしくみと安全装置
81 エレベータの構成と基本的原理
82 かごに施される安全装置
83 昇降路に設ける安全装置
84 機械室の主役は巻上機だ!!
85 機械室に設ける安全装置は?
86 エレベータの制御方式
7・3 オモチャのエレベータ? ダムウェータ
87 人が乗ってはいけない! ダムウェータ
7・4 立体駐車場
88 自動車専用のエレベータが立体駐車場だ!!
7・5 輸送力が大きいエスカレータ
89 エスカレータのカラクリ
90 エスカレータの種類と配列方式
91 エスカレータのトラスと駆動装置
92 踏段と乗降口のはなし
93 エスカレータの安全装置
94 動く歩道はエスカレータの弟だ!!
付録/SI単位って何のこと?
■索引
近年における建築物の新設や更新はめざましいものがあり、とくにその高層化が進み、大都市では超高層建築物があいついで建設されるすうせいにあります。それに伴い建築物の諸設備の占める位置の重要性も、きわめて顕著なものとなって参りました。建築物と建築設備は車の車輪のようなもので、両社は不即不離の仲であり、端的に言って両者は一体のものとならなければ、いわば建築物として機能しません。
建築設備は、防災上必要不可欠な防災・消防設備、保健衛生上重要な給排水衛生設備、環境衛生上必要な空気調和設備、熱源供給上重要なガス設備、ビル内の交通機関である昇降機設備、各設備に必要な電力源や照明設備のための電気設備に大別されます。なかでも電気設備の重要性は大きく、電気は電気設備だけでなく、空調設備、給排水衛生設備なども含め、建築設備のすべてが電気の力を借りなければまったく機能しません。インテリジェントビルの普及により今後ますます電気の重要性は増すでしょう。
このような情勢下の斯界において、防災・消防設備の設計、施工およびこれの保全管理に多くの方が従事され、また斯界での活躍を希望される方も多くおられます。ところが、とくに防災・消防設備の新設や改修のための工事現場で施工を担当される方、あるいは設備の保全管理を担当される方々のための適当な入門書が見当らないのが現実です。もちろんこれらに関する書籍は多種発刊されておりますが、これらはいずれも斯界において設計や施工の管理、監督といった高級技術者を教育するための内容、レベルであり、学校において専門教育を受けておられない方々など、いわゆる初心者が独学で理解できるレベルの内容の書物は皆無といっても過言ではないほどです。とくに電気は目に見えず、具体的に据えられない抽象的な側面があり、初心者に理解しづらく、食べずぎらいの人が多いようです。
こういった現状を打破し、設備の施工現場やビル設備管理の職場へ容易に参入していただけるよう、イラストやわかりやすい図表などを用いて、電気設備および昇降機設備に関してやさしく解説した本書を執筆いたしました。
本書は初心者の方の斯界への誘いのため、そしてすでに斯界でご活躍の方々の知識、技能のより向上のため、また高度な法的資格をめざしていただくための、糧の一助になればとの願いを込めて、浅学非才の身をも顧みず執筆した次第ですが、繁簡当を得ぬところや誤謬があるやも知れませんので、大方のご叱正を賜わるとともに、本書が読者各位の斯界における実務そして勉強の一助として、お役に立てばこのうえもない幸甚です。
なお、建築電気設備には自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、非常コンセント設備、無線通信補助設備、誘導灯も含まれるのですが、これら消防法により規制される“消防用設備等”に関する設備については、姉妹編である「イラストでわかる防災・消防設備の技術」で説明しておりますので、本書では割愛させていただきました。この点あらかじめお含み下さい。
最後になりましたが、素晴らしいイラストを描いて下さいました木村芳子先生のご尽力に対し厚く御礼申し上げます。
1993年9月
中井多喜雄
電気設備およびエレベータの施工あるいは運転、保全管理の業務に参入を希望される初心者の方々に、これらに関する技術をスムーズに理解していただければとの思いを込めて、イラストレーターの木村芳子先生のご協力のもと、本書を執筆した次第ですが、初めて電気や昇降機を学ばれる皆様方の学習書、参考書としてお役に立てたでしょうか。
本書は肩が凝らないよう、初歩的なレベルで関係技術を解説しましたので、なにか物足りない感は否めないと思いますが、この書で学んでいただいたことをバネにして、専門的な知識にチャレンジして下さることを念願してやみません。
斯界での飛躍の糧となる専門的な学習書、参考書は多種出版されており、これからの勉強のための書物の選択には少し戸惑われると思いますが、筆者が本書を執筆するに際して、参考にさせていただいた書籍をつぎに示しておきます。(順不同)
1. 北大路 剛著「実用電気用語」廣済堂科学情報社
2. 日本規格協会編「JIS用語辞典電気編」日本規格協会
3. 東京電機大学編「電気設備技術基準」東京電機大学出版局
4. 古川英夫著「絵とき電検三種マスターシリーズ電気法規」オーム社
5. 関 昭雄著「電気の常識なるほどゼミナール」日本実業出版社
6. 古川修文著「やさしい電気の一般知識」新星出版社
7. 高田 陽著「電気電子のことがわかる事典」西東社
8. 仁平幸治、坪井常世、武藤信男共著「建築電気設備」鹿島出版会
9. 田尻陸夫「図解Q&A建築電気設備」井上書院
10.中村守保、岡本 徹、田中友衛、中川康彦、中川 紘共著「建築電気設備一問一答」明現社
11.建築設備検査資格者講習テキスト」日本建築設備安全センター
12.設備と管理編集部編「ビル管理用語500選」オーム社
13.塩澤忠義著「絵ときビル設備管理実務用語早わかり」オーム社
14.渡部 要、柳町政之助、井上宇市編集「建築設備ハンドブック」朝倉書店
15.木村利雄著「エレベータ・エスカレータ・立体駐車場」学芸出版社
16.中井多喜雄著「ボイラ技士のための自動制御読本」明現社
以上の他、イラスト作成のために下記の書籍も参考にさせていただきました。
17.技能士の友編集部編「技能ブックス20金属材料のマニュアル」大河出版
18.日本建築学会編「建築環境工学用教材 設備編」日本建築学会
19.「保全マン必携 電気保全作業べからず集」日本プラントメンテナンス協会
20.緒方興助、小賀由章、新井芳明、多田正美共著「図説電気・電子用語事典」実教出版
21.ケルビン・コズネル著「メカニック大図解10原子力発電所」福武書店
22.「別冊宝島 原発大論争!」JICC出版局
23高橋洋一、曽根 悟監修「学研の図鑑 電気」学研
24押田勇雄監修「学研の図鑑 エネルギー」学研
25.樋口健治監修「学研の図鑑 機械」学研
26.電気と工事編集部編「絵とき高圧電気設備の工事・保守の実務知識」オーム社
27.中部電気保安協会編「電気設備の測定実務とトラブル対策入門」オーム社
関連の専門書は以上の他、多種ありますが、ご自分の希望職種やレベルに適したものを選択されるのが良いかと思います。そして、斯界で活躍されるには関係する法的な資格を必要不可欠とします。電気設備や昇降機に関連する主な法的資格は次のようなものです。
電気主任技術者(1種、2種、3種)、電気工事士(1種、2種)、建築設備士、建築設備検査資格者、建築物環境衛生管理技術者、電気工事施工管理技士(1級、2級)、昇降機検査資格者、危険物取扱者(甲種、乙種、丙種)。
いずれにいたしましても、本書をマスターされた後、斯界における専門家をめざして、チャレンジされますことを祈っております。
1993年10月
メディア掲載情報
開催が決まり次第、お知らせします。