アムステルダム ボトムアップの実験都市

アムステルダム ボトムアップの実験都市
Loading...

内容紹介

個人のアイデアで街を変えるプロジェクト集

低湿地に暮らすオランダ人は環境意識が高く、フレキシブルな思考力とスピーディな実行力に長けている。2000年代以降、建築家やクリエイター、市民らが始めたサーキュラー・エコノミー、リジェネラティブ・デザインの先進地では、個人のアイデアがどのように人を動かし街を変えているのか。現地建築家が紹介するプロジェクト集。


根津 幸子 著   

体裁四六判・272頁
定価本体2700円+税
発行日2025-08-05
装丁武田昌也
ISBN9784761529369
GCODE5716
販売状況 予約受付中 (店頭発売:2025年7月30日頃)
ジャンル 公共空間/不動産活用・リノベーション
目次著者紹介レクチャー動画関連イベント関連ニュース

はじめに

1章 コンパクトで寛容な都市

1 都市の成長をコントロールする

アムステルダムの街の構成
開発が盛んな注目のエリア
都市の骨格をつくる要素
サステナブルな経済を実現する都市
平らでコンパクトな自転車都市

2 低湿な土壌が生んだボトムアップ気質

干拓地単位で支えあうコミュニティ
干拓の歴史が生んだ高い環境意識
住宅不足が起こしたスクウォッタリング(不法占拠)
経済危機で生まれたコレクティブなイニシアティブ

3 多国籍な人種と文化が交錯する街

移民に寛容な街
移民の増加とソーシャルハウスの供給

4 イノベーションが生まれる風土

グレーゾーンを容認する政策デザイン
教育で目指すゴール
議論好きな人々の合意形成の手法
オランダ人の働き方
クリエイティブ産業を積極的に支援
デザインのプロトタイプを重視する見本市

2章 サステナブルなアプローチで注目される開発エリア

1 デ・クーベルとスホーンスヒップ:北部の再開発の起点

未開発で安価なエリアだったアムステルダム・ノールド
デ・クーベル:造船所跡を再開発した循環型社会の実験地区
スホーンスヒップ:ヨーロッパで最もサステナブルな水上居住区
Space&Matterが実践するリビングラボ
〈INTERVIEW〉サシャ・グラデス(Space&Matter共同創設者)

2 NDSM:元造船所をクリエイティブエリアに再生

北部の工業地帯の荒廃から大型都市開発へ
NDSM-Loods:コンテナを積み重ねたアートビレッジ

3 ベルマミーア:若者を呼び込む集合住宅地の再開発

近代建築の理想を体現した巨大な集合住宅群の改善
クライブルク:入居者がDIYでリノベーションする格安の集合住宅
ヘーステルフェルド:コンテナハウスをクリエイティブコミュニティの拠点に

4 マリーナテライン:元海軍基地に展開するリビングラボ

市街地の海軍基地跡をリビングラボとして活用
アムステルダム・シティ・スイム:運河を泳いで行う募金活動

5 街をサステナブルにするスモールプロジェクト

ミミズが廃棄物を分解して堆肥にするオブジェ
住宅街のガーデニング
雑草の使い方を伝える雑草の番人
こうもりの巣を建材に
ゲーム感覚でプラごみを清掃

3章 サーキュラー・エコノミーの実践

1 2050年に向けたサーキュラー・エコノミー戦略

サーキュラー・エコノミーとは
個人、企業、自治体、国、マルチステークホルダーで取り組む
経済成長につながる産業として輸出を視野に
アムステルダム・インスティチュート:行政と大学共創のプラットフォーム

2 サーキュラーな場のデザイン

スタジオ・ドリフト:製品を資源に解体する展示で生産過程を可視化
ピープルズ・パビリオン:建築材料を借りて返すことで廃棄物ゼロを目指した展示
ノールダーパーク・バー:中古品を使って市民が手づくりしたカフェ
サークル:銀行が解体後を視野に入れて建てた交流施設

3 サーキュラーなプロダクトデザイン

セルフィース:大気汚染のダストを採取して陶器へ
ストーンサイクリング:工業廃材をアップサイクルしてカラフルな煉瓦へ
アクチュアル:3Dプリントを使い再生プラスチックを建材へ
デフォルム/アイディッド:プラスチックを再生したフェルト生地を家具やバッグへ
ブレッドダイジェスター:余ったパンをバイオガスへ
スタッズハウト:公園や街路の伐採木を再利用

4 サーキュラーな建築設計

マテリアル・パスポート:中古建材を市場に流通させる
建築設備に対する投資とエネルギー性能指標
エネルギー消費の少ない木造建築に使われる最新技術

4章 市民がつくるパブリックスペース

1 オランダ人の公園の使い方

街に広がる子供たちの遊びや学びの場
アルド・ファン・アイクがつくった700の遊び場
6千人が楽しむコミュニティガーデン

2 住民が再生した公園や商店街

ノールダーパーク:1人のミュージシャンが始めた公園活用
ウエスターパーク:元ガス工場跡地を実験的な文化活動の拠点へ
ヤン・エベルツェン通り:寂れた商店街をプロフェッショナルな住民が再生

3 プレイン’40-’45:行政と住民をつなぐ広場づくり

4 アーティスト集団カスコランドが取り組むエリア再生

5 デジタル近隣予算:予算の使い道を市民から公募し投票で決める

6 市民のスキルを持ち寄って街をつくる

5章 インクルーシブなライフスタイル

1 日常化するシェアリングエコノミー

モノの貸し借りが当たり前の文化
街中にフリーマーケットがあふれるキングスデー
多様なコワーキングスペース

2 街ぐるみで子供を育てる

自立と個性を育てる教育システム
幼少期から政治や社会に関心を持たせるプログラム
水辺の事故は自己責任、身を守るための水泳教室
街を挙げて子供を騙す?!シンタクロース
親子で街を探索するナイトウォーキング

3 多様な生き方が豊かにするカルチャー

多国籍な料理、ビーガンフード、オーガニック食材が充実
市民が守った農地とピープルズ・キッチン
移民が始めた多国籍な交流プログラム

おわりに

根津 幸子

オランダ在住建築家。Urbanberry Design主宰。1971年東京生まれ。1996年武蔵工業大学(現・東京都市大学)大学院工学研究科建築学専攻修了。1997年オランダ政府奨学生として渡蘭。2000年ベルラーヘ・インスティチュート修了。2002年建築設計事務所Urbanberry (2008年にUrbanberry Designに改称)を設立し、アムステルダムを拠点に、建築設計、インテリアデザイン、まちづくりなどに取り組む。https://www.urbanberry.com/

開催が決まり次第、お知らせします。

メディア掲載情報

公開され次第、お伝えします。