ときを感じる お宿図鑑

ときを感じる お宿図鑑 スケッチで巡るレトロ建築ガイド
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内容紹介

後世に残したい、泊まれる文化財35選!

建築を学ぶ傍ら古い宿の魅力に取り憑かれ、日本全国100軒以上を描きながら巡ってきた著者がおくるレトロ宿ガイド。東北から九州・沖縄まで、選りすぐりの35事例を掲載し、その見所を建物のスケッチと豪華な写真で徹底解剖。宿の紹介サイト「ときやど」とも連携し、頁のQRコードから詳細情報を確認できる!


ときやど 吉宮 晴紀 著
著者紹介

体裁四六判・192頁(オールカラー)
定価本体2000円+税
発行日2024-05-15
装丁美馬智
ISBN9784761528850
GCODE2338
販売状況 在庫◎
関連コンテンツ レクチャー動画あり
ジャンル 建築一般
目次著者紹介まえがきあとがき掲載宿・読者からのお便りレクチャー動画関連イベント関連ニュース

まえがき
本書に登場する宿MAP
本書の見方

東北

(山形県)赤倉温泉 湯澤屋|まるで竜宮城!? 温泉街を一望できる珍しい意匠の宿
(山形県)滑川温泉 福島屋|江戸時代の素朴な建物で秘湯を楽しむ温泉宿
(福島県)会津東山温泉 向瀧|地形を活かした庭と建物すべてが見事
column1 宿の建物用語を学ぶ

関東

(茨城県)平潟港温泉 砥上屋旅館|漁業が栄えた明治時代の雰囲気をよく残した旅館
(栃木県)北温泉 北温泉旅館|日本の湯治文化を堪能できる秘湯の一軒宿
(栃木県)三斗小屋温泉 煙草屋旅館|電気も水道も電波もきていないが絶景野天風呂が魅力的な山小屋
(栃木県)塩の湯温泉 明賀屋本館|山あいのモダニズム温泉旅館建築
(栃木県)日光金谷ホテル|日本で最も長い歴史のあるリゾートホテル
(群馬県)四万温泉 積善館|昭和初期の姿をとどめる貴重な浴場は必見
(埼玉県)町田屋旅館|ほぼ明治期のまま、地方の町中らしいコンパクトな旅館建築
(東京都)東京ステーションホテル|東京駅と共に歴史を刻む、レンガ造のホテル
(東京都)学士会館|戦前の雰囲気を残す元会員倶楽部施設
(東京都)旅館西郊|下宿から旅館、洋風から和風へ。様々な面影を残す宿
(神奈川県)ホテルニューグランド|昭和初期そのままのロビーはまるで別世界
(神奈川県)塔ノ沢温泉 元湯環翠楼|史上最高の旅館建築
(神奈川県)塔ノ沢温泉 福住楼|すべての部屋で意匠が異なり遊び心あふれる宿
(神奈川県)箱根湯本温泉 萬翠楼福住|泊まれる重要文化財。明治初期の擬洋風建築
(神奈川県)宮ノ下温泉 富士屋ホテル|まるでホテルの博物館。様々な時代のホテル建築を体験できる
Column2 宿の変遷を辿る

中部

(山梨県)下部温泉 湯元ホテル|昭和初期のホテルらしさが残るほぼ旅館の宿
(山梨県)北の勢堂|現役の囲炉裏と共に過ごす甲州兜造の古民家宿
(長野県)井出野屋旅館|『犬神家の一族』でお馴染み。堅牢な建築により100年以上愛された宿
(静岡県)修善寺温泉 新井旅館|水を活かした美しい旅館建築
(静岡県)八百甚|昭和初期のまま目抜き通りに建つ街道旅館
(愛知県)玉田屋旅館|江戸時代から街道を見守ってきた旅籠宿
Column3 宿の照明に注目してみる

近畿・中国・四国

(京都府)ゲストハウス糸屋|オーナーのセンスが光る京町屋ゲストハウス
(京都府)橋本の香|遊郭の面影を色濃く残す宿
(奈良県)奈良ホテル|古都奈良に馴染む明治の和モダン建築
(広島県)いんのしまペンション白滝山荘|宣教師の家として建てられた泊まれるヴォーリズ建築
(香川県)いしや旅館|短冊敷地をうまく利用した街道旅館
(高知県)岬観光ホテル|室戸岬に佇む和洋折衷の別荘建築
Column4 宿泊の作法を心得る

九州

(長崎県)雲仙温泉 雲仙観光ホテル|外は山小屋、中は豪華客船!? スイス風クラシックホテル
(大分県)たけた駅前ホステルcue|城下町でお洒落に営む古民家ゲストハウス
(熊本県)球磨川温泉 鶴之湯旅館|球磨川のほとりに佇む木造三階建ての秘境宿
(熊本県)人吉温泉 芳野旅館|住居から料亭、そして旅館に。代々受け継がれるレトロ建築
(鹿児島県)伝泊 高倉のある宿|奄美の島暮らしを体感できる古民家宿
Column5 まだまだある!全国のレトロ宿
(岩手県)大沢温泉 湯治屋/(秋田県)乳頭温泉 黒湯温泉/(山形県)瀬見温泉 喜至楼/(千葉県)大屋旅館/(神奈川県)ホテルニューカマクラ/(神奈川県)小涌谷温泉 三河屋旅館/(山梨県)江戸屋旅館/(長野県)田沢温泉 ますや旅館/(長野県)万平ホテル/(長野県)別所温泉 旅館花屋/(長野県)渋温泉 歴史の宿 金具屋/(岐阜県)下呂温泉 湯之島館/(愛知県)蒲郡クラシックホテル/(京都府)白河院/(大阪府)天見温泉 南天苑/(熊本県)日奈久温泉 金波楼

本書に登場する宿年表
あとがき

ときやど 吉宮 晴紀(よしみや・はるき)

千葉大学で建築を学ぶ大学院生。幼少期から家族旅行で各地を旅行し、様々な宿に宿泊してきた。
小学生時代の高速道路のジャンクションの鳥観図に始まり、間取り図やパースなど立体的な絵を描き続けている。大学生になってから文化財の旅館の面白さに惹かれて情報サイトを開設し、併せて小学生のころ読んだ妹尾河童氏の『河童が覗いたヨーロッパ』を思い出しながら独自の断面パースで旅館の建物を記録してまわるようになった。
Webサイト「時を感じる宿に泊まろう~ときやど」主催者、X(旧Twitter)「建築学生の呟き」運営者。

ときを感じる宿の世界へようこそ

この本の執筆にあたっては、はじめどの宿を掲載しようかとても悩みました。どの宿にもたくさんの魅力があって、しかもそれぞれが比べられないほど個性豊かなのです。
すべてに共通しているのは、長いときを経ていること、泊まれること、そして管理する方々の愛情が伝わってくることだと思います。すべてのサービスが同じように揃ったホテルが普及しつつある世の中にあっても、長い歴史を誇る宿たちは個性豊かな文化を保ち続けています。古いものが残っていて、それがいまだに見られるどころか宿泊、体験までできるのは、奇跡的なことだと思うのです。
しかし、宿の方は口々にこう言います。「古くてすみません」。確かに管理するとなれば、厄介なことも多いのでしょう。でもよくよく話を聞いてみれば、やはり工夫しながら大切にしてきた建物への強い思い入れが伝わってくる。手作業で作られ、手をかけて改修し、維持されてきた宿は、関わってきた人々の思いがところどころに可視化されています。建物を眺めるだけではなく、現地で接することで初めてその本当の価値が感じ取れるのではないでしょうか。
当然ですが歴史あるものをすぐに作り出すことはできません。伝統文化の消滅が止まらない昨今では、この「泊まれる文化財」をとにかく守っていかなければならないのです。
近頃は「映え」を追求する風潮が広まっていて、外側は映えても内側は同じような最新設備、という宿も増えました。いろいろな文化が写真を主軸にし始めていると感じます。しかし写真で長い歴史を表現するには限界があります。私が宿で撮った大量の写真では何かが足りない。歴史が刻まれた宿に感じる魅力を、もっと別の方法で表現できないか。そう思い写真とは違った情報の伝え方をスケッチに託したのは、コロナのせいで台無しになった大学三、四年生頃のことでした。物心がついた頃から道路の絵や路線図、ジャンクションの立体図などを描いていたので、描くことは自分の一部のようになっていました。観光業の苦境を目の当たりにし、宿の情報サイト「時を感じる宿に泊まろう~ときやど」を始めたのもこの頃です。
スケッチは、宿や建物についてより深く学ぶ機会をくれました。一方でその表現については当初葛藤がありました。私は細かく寸法を書き込んだり、横文字を入れたりした絵が性に合わず、はじめは色を付けることすら躊躇したのです。
写真にはない情報を含む表現とは何だろうか。あれこれと考えて、なかなか感じ取りづらい断面方向の情報をもっと取り上げてみようと思い立ちました。描き始めてみると、平面上しか移動できない人間にとって上下方向の情報はとても新鮮で斬新な世界であり、宿の歴史的な建物は、部屋だけでなく建物全体におもしろさがあることに気づかされたのです。最初の断面スケッチは下部温泉の湯元ホテル(104頁)で、不自然な廊下のズレをどうにか表現できないものかと10日くらい構想を練って、格安スキーバスツアーの復路で描きました。
私のスケッチには特に決まったスタイルがありません。通常は無地のリングノートかコピー用紙を持ち歩いていますが、画用紙、カレンダーの裏紙、障子紙に描いたこともあります。雲仙観光ホテル(162頁)のスケッチは、部屋に備え付けてあったホテルのメモ用紙に描いているため、その模様が天地に残っています。その時の気分によって使うペンを選びますが、筆箱そのものを持参し忘れることもあり、宿のボールペンを拝借して描いた絵が本書にも混ざっています。
まずスケッチを描くかどうか、そして構図をどうするか、遠近感をどう入れるかなどすべて現地で建物を見てから決めます。どの紙とペンを使うかもその時次第、そしてほとんど下書きもせずいきなりペン描きというのは、私の自由気ままな性格をよく表していると思います。
宿で過ごす時間を大切にしたいので、現地では長くても2時間程度でほぼ描き上げるようにしています。様子のわからない範囲や特に複雑な箇所がある場合は、宿の方に尋ねたうえで帰宅後に追加の調査をし、時間をかけて仕上げることが多いです。
私なりに真面目に、建物や歴史と正面から向き合って表現したのが、本書のスケッチです。色も付けてみました。私の絵や表現に好みが合わないという方もおられるかもしれません。でも、その先にある世界に興味を持ってもらえたなら、それが本望です。
ときを感じる宿の世界へようこそ。ぜひ本書を片手に泊まれる文化財を訪れて、スケッチと見比べてみてください。きっと想像もつかない発見があると思います。

時を感じる宿に泊まろう~ときやど 主催者
吉宮晴紀
令和六年三月

スケッチで巡る宿の世界はいかがでしたか。

本書に登場した数十軒を通して、一つとして同じような宿がなく、それぞれが独自の特徴を持っていることが伝わったのではないかと思います。「世界」としてまとめてしまうのが憚られるくらい興味深い世界を、こうして一冊の本に著せたことを大変喜ばしく思います。あらためて、掲載をお許しくださったすべての宿の皆様に感謝いたします。そしてこれまで宿と建物を維持してこられたすべての方に敬意を表します。宿の方とやり取りする中では、学ぶことや感動することもたくさんありました。
実は今回の出版にあたって、掲載したくてもそれが叶わなかったところもいくつかありました。私が歴史ある宿を巡る趣味を持ったのはここ数年ですが、その短い期間に廃業した宿がいくつもあったのです。
もともと「ときやど」の活動は、コロナ禍で観光業が苦境に立たされている状況を目の当たりにして始めたものでした。しかし当時宿を訪れると、「影響は大きいが、お客さんが少ないこの機会に修理や改築をしてしまおう」という前向きな話もありました。
近頃廃業したいくつかの旅館では、コロナ以外にもっとやむを得ない問題があったといいます。中でも一番よく聞かれるのは後継者不足です。総務省の統計からも、宿泊業界は慢性的な人手不足に悩まされていることがわかります。
ただ、次の世代や継ぐ人がいないほど魅力のない業界なのでしょうか。少なくとも私は魅力にあふれていると感じますし、将来は自ら開業したいとも思います。たくさんの宿を訪れる中で、本当の問題はこの世界の魅力があまり知られていないことではないかと思いました。とにかく情報が足りていないし、こんなに多彩な宿の業界を表現できるような場がまだないのです。
数年前、解体が決まったある旅館の建物を保存しようと活動に参加したことがあります。大きな舞台や望楼があって素晴らしいものでしたが、結局解体を止めることはできませんでした。所有者とは連絡を取ることすらままならず、はじめは無力感や悔しさを覚えていたのですが、その物件の所有者への批判的な意見を見るにつれ、それらは反省へと変わりました。
当時の私は建物を残すということばかりに目が行っていて、本来そこにあるはずの商売や所有者の思いはあまり考えていなかったのです。解体の話が出る前に消費者に訴えて魅力を発掘し、その建物を活用するという機運に持ち込まなければならないと、改めて思い知らされました。
その反省を活かし、問題の解決に少しでも近づきたいと活動してきましたが、「ときやど」の開発やラジオ・テレビへの出演、本書の出版など、歩んできた一歩一歩は、すべて周囲の方々の多大なるご協力のお陰です。
家族には、奮発して高級な宿に泊まる機会を何度ももらい、特に叔母には、この本の全てにわたってさまざま助言をもらいました。そして「ときやど」の活動を共にしてくれている門上正樹さん、大学での研究を後回しにして活動に専念する私を温かい目で見守ってくださった林立也先生に、心から感謝を申し上げます。多くの方々の応援はたいへん大きな原動力になりました。
また、出版にあたっては学芸出版社の山口智子さんには本当にお世話になりました。非力な私は様々なことで困らせましたが、年齢が近いこともあって遠慮なく気取らずやり取りをさせていただきました。デザイナーの美馬智さんにも、お礼申し上げます。ところどころ字の入ったスケッチと縦横ばらばらの写真で、配置には大変なご苦労をおかけしたかと思いますが、このような見栄えの良い本に仕上げていただき、大変満足しております。
最後に、『ときを感じる お宿図鑑』をお読みくださり、ありがとうございました。本書を通して、少しでも社会に良い影響を与えられることを期待しています。そして、ときを感じる宿が皆様の旅行の行先候補にもっと当たり前に挙がって、多彩な楽しみ方が生まれることを願っています。
宿として使い続けるために、必要に応じて更新されていくことで刻まれる時の流れは、本当に美しいのです。

時を感じる宿に泊まろう~ときやど 主催者
吉宮晴紀
令和六年三月

掲載宿・読者の皆さまからお寄せいただいた本書へのご感想をご紹介します。


掲載宿からのお便り

古い建物を楽しみに、ぜひ泊まりにいらして下さい。
(山形県)赤倉温泉 湯澤屋
人里離れた一軒宿で、非常に不便な場所にありますが、目の前には滝などのダイナミックな風景と絶品の濁り湯をお楽しみいただければと思います。
(山形県)滑川温泉 福島屋
『ときを感じる お宿図鑑』へ選んでいただき、ありがとうございます。実に詳しく、楽しめる建物の解説をつけていただき重ねて感謝申し上げます。玄関部分の3階構造もイラストにするとよくわかりますね。昭和の改装前の縁側のことや扉がななめについていること、建物が歴史を物語っています。「菊の間」は江戸の工匠技術と、越後の建築文化の融合といわれております。これからも大切に磨いて参ります。力強い応援ありがとうございます。
(福島県)会津東山温泉 向瀧
田舎で何もないところですが、お風呂とお食事と目の前の絶景をゆっくり楽しんでいただけたらと思います。ぜひ泊まりにいらしてください。
(茨城県)平潟港温泉 砥上屋旅館
建築学生ならではの視点で描かれたスケッチは、現地に来たことがない初めての方でも空間を想像できるよう、物の質感、建物の状態をきめ細かく描いており、本を手に取っていただいた方にプチ旅行を感じさせてくれます。素敵なスケッチをありがとうございます。
(栃木県)北温泉 北温泉旅館
気に入ってます(笑)。絵には写真とは違う魅力がありますね。煙草屋はボロでも、お客さんにとって魅力的な宿でありたいなーと思っています。宿主は多くは語らず、お湯、夕焼け、星空…自然のおもてなしに癒されてください!
(栃木県)三斗小屋温泉 煙草屋旅館
現在の太古館は2代目の建物で、初代の太古館は2階建てでした。大正初期に来館した徳富蘇峰(※1)が、「静かなること太古の如し」と当館の環境をみて言ったことから「太古館」の名が付きました。ぜひ建物を楽しみにご来館ください。
※1: 文久3(1863)年生まれ。評論家、歴史家、政治家、ジャーナリストなど様々な顔を持ち、明治から昭和戦後期にかけて活躍した近代日本を代表する大記者である。弟は小説家の徳富蘆花。
(栃木県)塩の湯温泉 明賀屋本館
この度は、日光金谷ホテルをご紹介いただき誠にありがとうございます。金谷ホテルは2023年6月に創業150年を迎えました。吉宮さんが描かれた本館は明治26年に建てられ、多くのお客様にご利用いただいております。実は、現在の2階3階部分が明治期の建物で、1階部分は昭和11年に増築された場所になります。読者の皆様も日光にお越しの際は『ときを感じる お宿図鑑』をご覧になりながら、日光金谷ホテルでの時間旅行をお楽しみいただけましたら幸いです。
(栃木県)日光金谷ホテル
積善館は、建築当時そのままの姿を残す部分、改築や増築を重ねた部分が上手く共存し、様々な時代の面影を見ることができます。スケッチを拝見し、改めてその複雑さ、おもしろさを実感いたしました。皆様にも是非一度ご来館頂き、当館ならではの特別な空間をお楽しみいただければ幸いです。
(群馬県)四万温泉 積善館
吉宮さんのスケッチは写真で見るよりはるかに写実的に描かれ、極めて現物に近い情景を醸し出しており、見る者がまるで建物の中に居るような感覚に誘われます。スケッチを見るだけで明治の時代を想像し、そこでの暮らしぶり、人々の声や動きなどの日常を感じることができます。創建当時の建物と間取りに拘り、頑なに今に至るまで守り通して参りました。
(埼玉県)町田屋旅館
お客様が楽しく話す声が聞こえてきそうな、想像が広がるイラストレーションで、構造やインテリアも細かく描きこまれ、天井高の違いや間取りの変遷など、建築に造詣の深い方ならではの視点が、とても興味深く新鮮でした。東京ステーションホテルは、335mもの全長がある駅舎のなかにあり、それゆえの長い廊下には、東京駅やホテルにまつわるアートワークが100点以上展示されています。 『ときを感じる お宿図鑑』を片手に館内を巡り、ゆっくりと散策を満喫していただきたいです。
(東京都)東京ステーションホテル
吉宮さんがお描きになられたスケッチは、お部屋の隅々まで丁寧に正確に再現されながらも、写真のリアルさと異なり何かほっとする温かさが感じられ、嬉しく拝見致しました。私共は昭和初期の創業以来、時代のニーズにお応えすべく営業形態を変え御利用いただいております。国内外からのお客様と、都区内からも気分転換にと多くの方々に御来館いただき、“東京ではない雰囲気” “実家に帰った様な気分”と木造の小さな宿をお楽しみいただいております。
(東京都)旅館西郊
本館のクラシックな内装は落ち着いた雰囲気があり、上質を知る方にこそ味わっていただきたい安らぎに満ちた空間です。タワー館は全室ハーバービューの素晴らしい眺めを一望できる客室となっており、多彩な“横浜時間”をお楽しみいただけます。本館1階ザ・カフェにて、当ホテル発祥メニューである「シーフードドリア」「スパゲッティナポリタン」「プリン・ア・ラ・モード」をお召し上がりいただくのもおすすめです。
(神奈川県)ホテルニューグランド
銘木をふんだんに使用した古式スタイルの日本旅館です。温泉は掛け流し、食事は夕・朝食とも部屋食でご用意しております。
(神奈川県)塔ノ沢温泉 元湯環翠楼
故安井清※1先生によりますと、当館は初期の数寄屋造りで、先生の知る限りでは、現在も残っている初期の数寄屋は当館と京都の民家一軒とのことです。完成された形の数寄屋は大本山天龍寺の塔頭寺院、宝厳院※2と伺っております。建物、お風呂はもちろんですが、早川の対岸に屏風のようにそびえたつ湯坂山の借景も立地の特徴でしょうか。

※1:大正14(1925)年京都生まれ。建築家。大学を卒業後、家業の安井杢工務店に入社。数寄屋を中心に伝統建築を手がけ、国宝の茶室・如庵の移築、桂離宮の昭和の大修理など、第一級の伝統建築に数多く携わる。京都の数奇屋大工の技術を伝える「清塾」を主宰した。 ※2:宝厳院の書院は大正8年に建てられ、近代数寄屋建築の礎を築いたとされている。
(神奈川県)塔ノ沢温泉 福住楼
和室のしつらえや建具のシルエットなど、電気のない時代に外の明かりを活かして美しく見せていた内部仕上げの数々と日本の建築文化をぜひお楽しみください。
(神奈川県)箱根湯本温泉 萬翠楼福住
明治24年の竣工以来、幾度の増改築を経て現在に至るまで富士屋ホテルの顔としてお客様をお迎えし続けている本館。和洋折衷の特徴的な外観と館内には、いたるところに見どころがあり、レトロ建築がお好きな方はより一層お楽しみいただける建物です。『ときを感じる お宿図鑑』を片手に富士屋ホテルに是非お越しください。
(神奈川県)宮ノ下温泉 富士屋ホテル
さすが建築の方だけあって、普段私たちが気にも留めないところに着目されていて興味深く拝見しました。今では創業当時の人は残っておらず、古い写真を見てもあまり実感のない遠い過去の印象でしたが、このスケッチを見ていると往時の建物の様子が想像できます。それとともに、モダンな宿にしたいという願いを込めて「ホテル」と名付けた創業当時の人たちの意気込みのようなものも感じられる気がしました。
(山梨県)下部温泉 湯元ホテル
今回この様にご紹介いただき本当にありがとうございます。写真では表せない魅力を描いたスケッチにとても感動しました。紹介されている旧館の他に本館・別館と合計三棟あり、受付は本館で行っています。また、冬季は寒すぎるため、夕食のみ囲炉裏で食べ、宿泊は他の棟の暖かいお部屋をご用意します。当宿は民宿です。ホテルや旅館と違い、まるで田舎の親戚の家に帰った様な雰囲気を味わえます。「ただいま」と是非帰って来て下さい。
(山梨県)北の勢堂
令和6(2024)年で100年目を迎える当館は、長い間多くの人に愛され、大切に受け継がれてきました。この歴史ある建物を後世へと紡ぐべく現在再オープンに向け準備中です。繊細に表現いただいたスケッチを拝見し、価値ある存在を守っていかなくてはと再確認することができました。当館がある望月という地は、心地よい風が通り抜け、空に映える月がとても綺麗な場所です。皆様のお越しをお待ちしております。
(長野県)井出野屋旅館
「水を活かした」という言葉は、当館を的確に表していると思います。温泉場を貫く清流「桂川」に沿って建ち、その景観を借景に、川音を枕に歴史を紡いだ「水と共に生きる宿」が新井旅館です。文化財となるような旅館ですが、単に古さを誇るのではなく、利用客の居心地を勘案して建具の更新を行いました。歴史的建造物への造詣が深い吉宮さんから、「ぴっちりとした木製建具!良い!」と言っていただけて、ほっとしています。
(静岡県)修善寺温泉 新井旅館
昭和初期の雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。
(静岡県)八百甚
イラストもとても細かく描いていただいて気に入りました。ありがとうございます。
(愛知県)玉田屋旅館
一般的に京町家は奥行方向の断面が多いなかで間口方向の断面には衝撃をうけました。二件の町家を比較するうえでは最適解であるということに感服せざるを得ません。また間口方向の断面には奥行をイメージさせるという思考をくすぐるおもしろさがあることにも気づかされました。ぜひ実際の奥行を体感しに来て下さい。
(京都)ゲストハウス糸屋
遊郭として建てられた当館は、普通の住宅とは異なり造りが豪華で見どころも多いです。解説付きの見学もお受けしているので、ぜひ歴史を感じにご来館下さい。
(京都)橋本の香
とても詳細に描かれており、びっくりいたしました。115年の歴史が育んだ空間を上手く表現していただき、ありがとうございます。
(奈良)奈良ホテル
なんて素敵なスケッチ!斜面を利用して建っていることが一目見てとても分かりやすく、館内案内図にさせていただきたいくらいです。実用的で住む人に寄り添ったヴォーリズ建築、そのぬくもりがスケッチを通して伝わってきます。これからも多くの方々にお越しいただけるよう、この建物を守り次世代に繋げ、あかりを灯し続けて行きたいです。皆様のお越しを心よりお待ちしております。
(広島県)いんのしまペンション白滝山荘
昔の建物の特徴をうまく表現されています。近代建物の様な便利さはあまりありませんが、部屋内の渡り廊下・各所の欄間・波打つガラス戸・四季折々の坪庭等各所に昔の面影を残しております。平成16年には文化庁より登録有形文化財の認定を受けています。
(香川県)いしや旅館
スケッチを見てお客様や中居さんの声が今にも聞こえてきそうだと感じました。古い建物ですが、今までかかわってきた来た人の思い出や優しさ、温かい心が染み付いていてその心と一緒にお出迎えしたいと思っています。室戸岬の空と海、満点の星空、爽やかな潮風を吸ってゆっくりとした時間の流れをお楽しみ下さい。
(高知県)岬観光ホテル
建物の構造を含め、私たちのこだわりを細部までスケッチしていただき、とても嬉しいです。たくさんの人たちと力を合わせ、築90年以上の古民家をリノベーションしました。ご宿泊される皆さんに懐かしさと居心地の良さを感じていただけるよう、既存の建物に残された古材や古道具などを再利用し、古さの中にも新しい価値を見出せるように工夫しています。ぜひ本を見開きながら、cueへ足を運んでくださいね。お待ちしています。
(大分県)たけた駅前ホステルcue
この度のご出版をお祝い申し上げます。いつもSNSでスケッチを拝見するのを楽しみにしていました。出版される本を今から楽しみにしています。より一層のご活躍をお祈りいたします。
(熊本県)球磨川温泉 鶴之湯旅館
スケッチを見て大変感心いたしました。細かい所まで描写してあり、旅館の雰囲気をとても良く表現されています。芳野旅館は、令和2年の水害により、1階の床や壁、建具、また食品類や昔から伝わる小物等失った物もたくさんありますが、建築当時のものや雰囲気を後世に残せるように再建し営業しております。皆様のご来館をお待ちしております。
(熊本県)人吉温泉 芳野旅館
『ときを感じる お宿図鑑』へ選んでいただきありがとうございます。伝泊は「伝統的・伝説的な建物と集落文化を次の時代に伝える」ことを使命に、奄美群島のまちづくりに取り組んでいます。「伝泊 古民家」では、建物とそこに住んでいた人が紡いできた「とき」の流れや、集落の日常を感じられるような滞在をお愉しみいただけます。新しい切り口のご紹介を通じて、新たな出会いがあることを心待ちにしています。ぜひ奄美へいもりんしょ~れ。
(鹿児島県)伝泊 高倉のある宿

 

読者の皆さまからのお便り

繊細な描写で、古い旅館・ホテルが残されていることを知りました。イラストがとても丁寧で見応えがありました。 奈良ホテル、雲仙観光ホテルは泊まったことがあります。T.Eさん(大阪府和泉市)

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吉宮晴紀×政木哲也「旅をしながら空間を描くこと」
メディア掲載情報

その他、各所でご紹介いただいています

・岐阜県 高山市図書館「図書館だより」2024年7月号
ほか