新・建築職人論


松村 秀一 著

内容紹介

「つくること」の面白さがひらかれる新時代へ

千年続く“職人社会”は今、女性職人やコミュニティ大工といったかつてないタイプの技能者が自由に出入りできる時代を迎えようとしている。人手不足や高齢化で衰退する職人の世界を一刻も早く外へひらき、いかに新しい形で再興するか。ものづくりの豊かさや面白さをだれもが体現できる社会の到来に、建築の未来を展望する。

体 裁 四六・192頁・定価 本体2300円+税
ISBN 978-4-7615-2842-3
発行日 2023-03-10
装 丁 美馬智

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はじめに 埒外から建築を考える――その中で出会った職人の世界

「建築」に対する違和感
時代遅れのプレハブ住宅研究
『群居』で出会った職人社会
職人の仕事から”面白さ”が消えていく
「部分と全体」について立てた問い
「部分と全体」を往来する21世紀のクラフトマンシップ
「つくらない建築の時代」へ
「利用の構想力」、そして「場の産業」
職人社会を建築のど真ん中に

第1部|千年続く“職人社会”とその課題

1章 いつの時代も埒外が新しい価値をつくる

1節 ものづくりの文化はいつだって多中心

ひらかれた現代――ミシュランシェフとコンビニスイーツの共鳴
桂離宮と文化住宅を繋ぐもの

2節 日本の建築職人の世界――“面白さ”を伝播させた画期的な仕組み

慈照寺東求堂同仁斎から現代まで続く文化の基層
擦り減ってしまった建築職人の世界
新しいタイプのものづくり人への期待

2章 職人はどこへ行った?

1節 建築業の仕事としての可能性

答えは自分でつくる――ミース・ファン・デル・ローエの教え
仕事についての想像力が試される時
広がり続けた建築職人の世界

2節 千年をかけて万民の手に届けられた職人社会の危機

大工という職能――原始から古代に飛躍した生産の仕組み
官僚組織にただ一人いた大工
官僚から雇工へ、そして町場へ――技術ののれん分け
千年築いた基層が崩れる――わずか40年で32%に減少した大工数
「職人」をひらく理由――平均年齢54.2歳の現実

3節 建築と都市を救うのはだれか?

ものづくりの楽しさを見出せる世界へ
「職人」の埒外に目を向ける

第2部|新たなものづくり人たち――自力でひらく仕事の可能性

3章 女性職人――自発性と積極性で風穴を開ける

1節 彼女たちはなぜ大工になったのか?

あれ、女性大工が増えてない?
小さい頃から大工に憧れていた人たち
非ものづくり系の世界から転職して大工になった人たち
設計のデスクワークよりも体を動かしたいから大工になった人たち
希望を感じられる手仕事への眼差し
力がなくても大工仕事はできる
女性親方としての苦労
変わる現場の空気
建築の世界に、出入り自由な扉を開ける

2節 元外務省職員からアメリカ籍まで。個性豊かな5名の左官職人

子どもたちの遊びと繋げてみると
女性左官職人、それぞれの入り口
ググっても出てこないことの魅力
壁の向こうにある美しさを感じたかった
自然を相手にする仕事の奥深さ
アメリカ人であることよりも女性であることで驚かれる
美しいものを、つくりたい
歓迎はするけれど、勧誘はしない

3節 技能者の再興:動き出した「女性職人の会」

「女性職人の会」、集まってみる
数少ない女性職人仲間の心強さ
女性職人を支援することで建設業を変える
「やれる人がやる」スピリットでつくった協会
仕事と人生が両立できてこそ良い業界
会の名前にあえて「女性」を入れた理由
男女で職人としての能力の差はあるのか
ジェンダーを問わず職人になれる社会へ

4章 コミュニティ大工――“面白さ”こそがものづくりの原動力

1節 鹿児島のコミュニティ大工・加藤潤氏の働き

41歳で移住、タツノオトシゴ養殖をしながらまちづくりに勤しむ
まちづくりの視点で空き家再生を始める
コミュニティ○○という肩書
素人主体の工事チームと関係人口の創出
草野球チーム的な改修工事で、地域はハード面でもソフト面でもパワーアップ
コミュニティ・ナースも学んだ現場
施主が参加することの重要性と、「ゆるさ」の強さ

2節 コミュニティ大工が地域を超えて展開し始めた

コミュニティ大工養成というテーマの地域おこし協力隊制度
県庁内にできたコミュニティ大工クラブ
空き家の売買を担う新会社の設立
増えるコミュニティ大工と電動工具の確保

3節 ものをつくりたい人たち――DIYがひらく建築業界の裾野

自由と責任を直感させる「do it yourself」
「自分でやろう」の精神を産業化したアメリカ
アメリカのホームセンターでは家を建てるのに必要なすべてが揃う
広がる日本のDIY市場とSNS
DIYで目覚めた関心を、趣味のその先へ

 

第3部|変わる建築の現場――”職人社会”の外へ

5章 オープンになった道具と技術のゆくえ

1節 電動工具とボンドはものづくりの何を変えたのか

ボンドと電動工具を多用する「大工の正やん」と技術のシェアコミュニティ
職人の適正な収入は電動工具が支えている
手刻みに憧れる女性大工
生命のはたらきの安定を失ったものは、道から見離されてしまう
道具が身体性を帯びるかどうかが分岐点

2節 ものづくり人の視点から技術の採否を決める

面倒な部分だけが人の手に残ることに納得できるか
話題系新技術への投資よりも人の育成に資金を
ものづくりの未来をひらく道具学

6章 分断と量産の時代を超えて

1節 生産の現場に生まれる新たな局面

安藤さんや隈さんのような建築家
大学が教えない建築設計事務所の経営
工務店での設計料の扱い
棟梁はどうなってしまったんだ
設計・施工を分かち難い一つのチームと捉えた”建設家”プルーヴェ
プルーヴェ・モデルの悲しい結末を乗り越え

2節 情報技術の進展と新たな業態の出現

新時代の棟梁が登場するかもしれない

終章 オープンなものづくりコミュニティがつくる世界

「未来をつくる建築」? それはだれがつくる?
擦り減ってしまった職人社会をひらかれたコミュニティに変える
「大工の正やん」の気になる一言
入り口と同じく出口もデザインすること

おわりに

松村秀一 (まつむら・しゅういち)

東京大学大学院工学系研究科建築学専攻特任教授。1957年兵庫県生まれ。1980年東京大学工学部建築学科卒業、1985年同大学院工学系研究科建築学専攻修了。1986年より東京大学工学部建築学科講師、助教授(1990年)、教授(2006年)を経て2018年より現職。2005年「住宅生産の工業化に関する研究」で日本建築学会賞(論文)、その後も2008年、2015年、2016年に都市住宅学会賞(著作)、2015年に日本建築学会著作賞、2016年に日本ファシリティマネジメント大賞と受賞多数。近著に『建築の明日へ―生活者の希望を耕す』(平凡社、2021年)、Open Architecture for the People ? Housing Development in Post-War Japan, Routledge, 2021、『空き家を活かす―空間資源大国ニッポンの知恵』(朝日新聞出版、2018年)、『ひらかれる建築―「民主化」の作法』(筑摩書房、2016年)、『建築‐新しい仕事のかたち―箱の産業から場の産業へ』(彰国社、2013年)、共著書に『和室礼讃―「ふるまい」の空間学』(晶文社、2022年)、『和室学―世界で日本にしかない空間』(平凡社、2020年)、『場の産業実践論―「建築‐新しい仕事のかたち」をめぐって』(彰国社、2014年)、『2025年の建築「七つの予言」』(日経BP、2014年)、『箱の産業―プレハブ住宅技術者たちの証言』(彰国社、2013年)など。

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