イラストでわかる 建築現場のチェックポイント
内容紹介
構造躯体・雨漏り等のチェックポイントを解説
建物の欠陥責任について民法上の「不法行為責任」(除斥期間20年)が問われる時代に入り、設計者・施工者にとって、施主とのトラブルによるリスクが高まっている。本書は、地盤構造・構造躯体・外装仕上げ・雨漏りについて、現場での工程内検査及びメンテナンス時に瑕疵の芽を摘むためにチェックすべきポイントを解説する。
体 裁 A5・236頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2808-9
発行日 2022-03-10
装 丁 フルハウス
はじめに
序章 不法行為責任20年時代の建築トラブル
1 欠陥建物の責任は10年で終わらない
2 欠陥建物の責任は誰が取るのか
3 裁判・調停に見られるトラブルの特徴
第1章 地盤構造編
1 地盤調査の進め方
2 地盤調査法の選定
3 住宅基礎工事のチェックポイント
4 建物沈下調査のチェックポイント
5 液状化のチェックポイント
第2章 構造躯体編
1 レディーミクストコンクリートの工場選定
2 納入伝票のチェックポイント
3 受入れ時のチェックポイント
4 打込み前のチェックポイント
5 打込み後のチェックポイント
6 構造スリットのチェックポイント
7 エキスパンションジョイントのチェックポイント
第3章 外装仕上げ編
1 外壁タイルを巡る情勢の変化
2 外壁タイルの紛争事例と設計者・監理者の責任
3 タイル張り施工時のチェックポイント
4 タイル張り建物の劣化現象
5 アフターフォローによる調査(タイル・モルタルの剥離調査)
第4章 雨漏り編
1 雨漏りの発生しやすい部位
2 屋根下葺き材のチェックポイント
3 外壁下葺き材のチェックポイント
4 通気層のチェックポイント
5 サッシ・出窓まわりのチェックポイント
6 配管まわりのチェックポイント
7 シーリング材のチェックポイント
8 結露のチェックポイント
9 雨水による床下の水たまり
10 漏水と劣化現象
11 鉄骨造の雨漏り
12 鉄筋コンクリート造の雨漏り
Column ソーラーパネルと雨漏りリスク
おわりに
2000年4月施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)により、建物の「構造」と「雨漏り」については、保証期間が10年となりました。2020年の民法改正より前、建物等の瑕疵担保責任期間は木造で5年、その他の構造で10年とされていたものの、実際には一般的に広く行われた民間連合協定「工事請負契約約款」により、木造住宅は1年、石造・金属造・コンクリート造、土地の工作物、地盤は2年、故意または重大な過失による場合はそれぞれその5倍とされていたことから、品確法は建て主の保護と建物の長寿命化を求めたものであったと言えるでしょう。
また、2020年4月1日の改正民法では木造であるかコンクリート造であるかにかかわらず、工事目的物については、原則として契約不適合を知った日から1年以内に通知をすればよく、損害賠償等の権利行使は、消滅時効の一般原則により、不適合を知ってから5年以内、引渡しから10年以内までできることになりました。
2011年の最高裁判決では、「品確法」だけでなく、「民法の不法行為責任」の観点から判断が示されました。不法行為責任の時効は20年ですので、契約不適合の内容によっては、20年にわたって責任を追及される可能性が出てきたことになります。これは建築業界にとって画期的な判例です。
建築の不具合撲滅は、建築主の満足度向上、施工者の経営上のリスク回避の上で、大きな意味を持つため、充分に配慮されてしかるべきものですが、次のような原因で建築紛争・不法行為につながることがあります。
・職人が親方から急がされて施工し、検査・確認が疎かになる。
・利益を優先して技術者のプライドを失う。
建築現場では、地盤構造・構造躯体・外装仕上げ・雨漏りの不具合によって、国土交通省告示、建築基準法および品確法の基・規準に不適合となることがあります。この場合は、建物としての基本的な安全性を損うので「契約不適合責任」が生じるのが通常ですが、同時に「不法行為責任」も生じることがあるのです。
本書では、地盤・構造・外装・雨漏りの4章に分けて、「不法行為責任20年」時代にも十分耐えられるレベルを目指すためのチェックポイントを整理しました。施工過程・手順ごとの重要ポイントを基準に施工計画を作成し、各工事における契約不適合責任・不法行為責任を問われる事態をなくすために本書をご活用いただきたいと思います。
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