図説 わかるコンクリート構造

井上 晋 監修/武田字浦・三岩敬孝 他著

内容紹介

初学者に必要なコンクリート構造の基礎知識を、豊富なイラストと丁寧な解説でまとめた最新入門書。構造力学の復習に始まり、コンクリートと鋼材の力学的性質、曲げ・軸力・せん断力の特徴まで「必要な内容を確実に理解する」ことを目指してコンパクトに編集。耐久性、腐食、疲労など高度な内容はトピックとして掲載している。

体 裁 B5変・176頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2595-8
発行日 2015/05/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史

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目次著者紹介まえがき電子版
まえがき

1章 鉄筋コンクリート構造の基本的な考え方と設計法

1 身近なコンクリート構造物
2 コンクリート構造の種類
3 コンクリート構造物の設計法

2章 構造力学・材料力学の基礎

1 断面力
2 応力とひずみ
3 断面の性質
4 曲げを受ける部材に生じる応力とたわみ

3章 コンクリートと鋼材の力学的性質

1 コンクリート
2 鋼材
3 コンクリートと鉄筋の付着特性

4章 曲げモーメントを受けるRCはりの力学挙動

1 RCはりに関する基本事項
2 曲げひび割れ発生以前の状態における応力度と曲げひび割れ発生モーメント
3 曲げひび割れ発生から鉄筋降伏までの状態における応力度と曲げ降伏モーメント
4 鉄筋降伏以降の挙動と終局曲げモーメント
5 曲げを受けるRCはりのひび割れと変形

5章 軸力と曲げモーメントを受けるRC柱の力学挙動

1 中心軸圧縮力を受けるRC柱の中心軸圧縮耐力
2 偏心軸圧縮力を受けるRC柱の破壊形態と断面耐力
3 一定軸圧縮力作用下における終局曲げモーメント
4 軸力と曲げモーメントの相互作用曲線と破壊形態

6章 せん断力を受けるRCはりの力学挙動

1 RCはりの破壊形態とせん断応力度
2 せん断力に対する抵抗のしくみ
3 せん断耐力の算定

7章 構造細目

1 かぶり
2 鉄筋のあき
3 鉄筋の曲げ形状
4 鉄筋の継手
5 鉄筋の定着

演習問題の答え
付表
索引

監修者

井上 晋(いのうえ すすむ)

大阪工業大学工学部都市デザイン工学科教授

執筆者(担当)

上田尚史(うえだ なおし、4・5章)

関西大学環境都市工学部都市システム工学科准教授

内田慎哉(うちだ しんや、7章)

立命館大学理工学部環境システム工学科講師

武田字浦(たけだ なほ、1・3章)

明石工業高等専門学校都市システム工学科准教授

三木朋広(みき ともひろ、6章)

神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻准教授

三岩敬孝(みついわ よしたか、2章)

和歌山工業高等専門学校環境都市工学科教授

編集協力

熊野知司(くまの ともじ)

摂南大学理工学部都市環境工学科教授

鶴田浩章(つるた ひろあき)

関西大学環境都市工学部都市システム工学科教授

山本貴士(やまもと たかし)

京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻准教授

土木系の大学や工業高等専門学校における「鉄筋コンクリート構造」に関する教科書は、これまでに数多く出版されています。いずれも教科書としては非常に優れていますが、近年、教科書の使われ方は二通りあってもよいと感じるようになりました。

1つは、鉄筋コンクリート構造の基本的な理論に加え、設計で用いる式やその背景にある実験データ等が豊富に示され、卒業後にも専門的・実務的な知識を調べる際の参考書としての役割を有する教科書です。鉄筋コンクリート構造のこれまでの教科書はほとんどがこの考え方に基づいて執筆されています。

もう1つは、鉄筋コンクリート構造について、大学あるいは工業高等専門学校で最低限、身に付けてほしい内容に限定し、わかりやすい図を用いて基本理論やそのメカニズムを学ぶとともに、例題・演習問題によって、学んだ知識を確実に身に付けるための教科書です。

本書では特に後者を意識して、執筆に際して以下の点に主眼を置いています。

  • (1)できるだけわかりやすい文章となるように努力しました。すなわち、記述に当たり読者にとって親しみやすい文調、いわゆる口語調としています。
  • (2)内容に合致するイラスト、工夫をした図表を多く取り入れています。
  • (3)随所に「コラム」欄を設け、内容に関係する「難解な専門用語の解説」、「難解な式の背景にある考え方」など、ちょっと深い話をわかりやすく説明しています。
  • (4)例題、演習問題を豊富に取り入れ、理解を助けるとともに、復習により知識が確実に身に付くよう配慮しています。
  • (5)計算式は理論や実験から導かれる一般的な式を示し、例えば、土木学会コンクリート標準示方書による算定式については、あくまでも参考として示しています。
  • (6)鉄筋コンクリート構造で用いる構造力学の知識を復習するための章を設け、理論の理解がスムーズにできるよう配慮しています。
  • (7)大学の講義回数に合わせて、「15回」で内容の説明が終わるような内容・章構成にしています。また、最も重要な「曲げモーメントを受けるRCはりの力学挙動」の部分に多くのページ数を割り当てています。

執筆は、大学や工業高等専門学校において実際に授業を担当されている新進気鋭の先生方にお願いしました。また、編集においては、経験豊富な先生方にご協力いただき、内容に関して忌憚のないご意見をいただきました。本書が読者の皆さんにとって、本当の意味で「わかる コンクリート構造」となることを願っています。

最後に、本書の出版の機会を与えていただき、編集に際しては献身的なご協力をいただきました学芸出版社の井口夏実氏、森國洋行氏に厚くお礼申し上げます。

2015年3月

監修 井上 晋(大阪工業大学)

本書は電子版も発行しております。大学・専門学校等の教科書、もしくは研修等のテキストとしてのご採用をご検討の場合は、こちらをご覧ください。