建築計画〈第二版〉


浅野平八 編著

内容紹介

豊富な図表で「機能と空間の関係」がわかる

講義に沿った15章構成で初めの一歩から建築士試験まで導く〈わかる建築学〉シリーズの第1巻。住まう・集う・学ぶ・癒す・働くの機能別に、豊富な図表による説明と、各章末の練習問題、第15章の演習問題での理解確認を通して、基本と発展的内容が身に付くよう配慮した。人間生活と建築空間の対応を考える、初学者必携の一冊。

体 裁 B5変・200頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2526-2
発行日 2011-12-10
装 丁 KOTO DESIGN Inc.

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目次著者紹介まえがき第15章演習問題の解答

まえがき

1部 総論

1 建築計画と近代建築 ―《機能》と《空間》の歴史―
2 建築計画の目標
3 建築計画に求められること

2部 施設計画

住まう─居住施設の計画

近代日本住宅の歴史

第1章 独立(戸建)住宅

1 住宅設計と建築計画
2 戸建住宅の現状
3 住宅の機能
4 設計の技術
5 生活の変化とその対応方法
6 住宅の設計

第2章 集合住宅

1 周辺環境への配慮
2 住戸集合の現状
3 住戸住宅計画の要点

集う─芸術文化・コミュニティ施設の計画

コミュニティ施設の歴史 ─公民館を中心に―

第3章 美術館・劇場・ホール

1 美術館の変遷
2 美術館の機能
3 展示室の計画
4 劇場・ホールの種類
5 劇場・ホールの機能

第4章 集会施設

1 集会施設の役割
2 集会施設の機能
3 建築プログラムと空間配列
4 施設空間の構成要素
5 集会施設の全体機構
6 集会施設のネットワーキング

学ぶ─学校教育施設の計画

学校建築の歴史

第5章 幼稚園・保育園

1 幼稚園の概要
2 幼稚園の計画
3 幼保一元化の新制度
4 「習志野市立認定こども園」の取り組み

第6章 小学校・中学校

1 学校の定義(機能)
2 学校の基本条件
3 敷地条件
4 配置計画
5 平面計画
6 運営方式
7 構成要素
8 各部計画と基準

癒す─医療・福祉施設の計画

医療・福祉施設の歴史

第7章 診療所・病院

1 医学の発展と医療施設
2 平面計画
3 病棟・病室
4 診療所・病院・総合病院
5 診療所・病院の実例

第8章 高齢者施設

1 介護を目的とした高齢者施設
2 高齢者の居住施設と支援内容

働く─業務施設の計画

業務施設の歴史 ─オフィスビルを中心に─

第9章 オフィスビル

1 オフィス計画の視点
2 オフィスビルの企画立案
3 建築計画
4 各部の詳細設計
5 設備計画
6 構造計画
7 外部計画
8 施設の運用・維持

第10章 商業施設・駐車場

1 商業施設
2 駐車場

★3部 各部計画

第11章 寸法・尺度

1 自然界に学ぶ形と寸法
2 形づくりのための要素
3 比例
4 尺度・基準寸法
5 人体寸法
6 動作寸法

第12章 安全・バリアフリー

1 安全
2 生活環境整備の考え方
3 基準書に関する国際動向
4 日本での動向
5 建築的立場での「障害」の捉え方
6 バリアフリー
7 ユニバーサルデザイン

第13章 防災・避難

1 建築計画における避難安全計画
2 避難安全計画の役割
3 避難安全計画の実行
4 建物から安全に外へ避難するために
5 地震

第14章 細部計画

1 快適な建築をつくるために
2 安全・丈夫な建築をつくるために

第15章 演習問題

章末練習問題解答
索引

編著者

浅野 平八

(あさの へいはち)
1945年福岡県生まれ.1969年日本大学生産工学部建築工学科卒業,1971年同大学院理工学研究科修了.1971年同大学生産工学部副手,1989年工学博士学位取得,1994年より日本大学教授.著書:『地域集会施設の計画と設計』(理工学社,1995),『風土の意匠』(学芸出版社,2000),『木造住宅のしくみ』(学芸出版社,2011)など.

著者(執筆順)

田所 辰之助

(たどころ しんのすけ)
1962年東京都生まれ.1986年日本大学理工学部建築学科卒業,1988年同大学院博士前期課程修了,1994年同大学院博士後期課程単位取得退学.1988~89年ダニエル・リベスキンド主宰アーキテクチュア・インタームンディウムに参画.1996年日本大学短期大学部建設学科助手,現在,同准教授.博士(工学).著書:『近代工芸運動とデザイン史』(共著,思文閣出版,2008),『材料・生産の近代』(共著,東京大学出版会,2005),『マトリクスで読む20世紀の空間デザイン』(共著,彰国社,2003),『ヘルマン・ムテジウスとドイツ工作連盟:ドイツ近代デザインの諸相』(共著,京都国立近代美術館,2002)など.

藤谷 陽悦

(ふじや ようえつ)
1978年日本大学大学院生産工学研究科修士課程修了.1978年日本大学生産工学部副手,1982年日本大学生産工学部助手,1993年日本大学生産工学部専任講師,1996年東京大学より博士(工学)を取得,1997年日本大学生産工学部助教授.2005年より日本大学生産工学部教授.

曽根 陽子

(そね ようこ)
1941年福島県会津若松市生まれ.1964年日本女子大学家政学科生活芸術科住居学専攻卒業,1971年大阪大学工学部構築工学科建築専攻修士課程修了.1964年広瀬鎌二建築研究所,1973年埼玉県住宅供給公社,1984年共栄学園短期大学,1991年日本大学生産工学部,1991年大阪大学より工学博士を取得.著書:『住宅の計画学入門─住まい設計の基本を知る』(共著,鹿島出版会,2006)ほか.

佐藤 慎也

(さとう しんや)
1968年東京都生まれ.1992年日本大学理工学部建築学科卒業,1994年同大学院理工学研究科博士前期課程修了.1994年I.N.A新建築研究所,1996年日本大学理工学部助手.2011年より同准教授.博士(工学).著書:『建築設計資料集成―展示・芸能』(共著,丸善,2003),『建築デザインの基礎―製図法から生活デザインまで』(共著,彰国社,2010).作品:「3331 Arts Chiyoda」(共同設計,2010)など.

広田 直行

(ひろた なおゆき)
1959年北海道生まれ.1984年日本大学生産工学部建築工学科卒業,1986年日本大学大学院生産工学科研究科(博士前期課程)建築工学専攻修了.1986年㈱日本工房入社,1995年日本大学生産工学部副手,1999年日本大学より博士(工学)を取得.現在、日本大学生産工学部教授.

八藤後 猛

(やとうご たけし)
1956年東京都北区生まれ.1979年日本大学理工学部建築学科卒業,1981年同大学院理工学研究科博士前期課程修了.1981年国立職業リハビリテーションセンター研究部研究員,1991年日本障害者雇用促進協会(現独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)障害者職業総合センター適応環境担当研究員,1996年日本大学理工学部助手,2004年博士(工学)学位取得,2005年日本大学理工学部専任講師.2010年より同准教授.著書:『子どもを事故と犯罪から守る環境と地域づくり』(共著,中央法規出版,2007),『生活空間の体験ワークブック テーマ別 建築人間工学からの環境デザイン』(日本建築学会編,共著,彰国社,2010)など.

橋本 緑郎

(はしもと ろくろう)
1947年北海道生まれ.1970年日本大学生産工学部建築工学科卒業,大成建設㈱入社.設計本部で設計第8部設計室長,設計第7部長,設計群統括を経て,2005年に設計本部建築設計分野統括・プリンシパルアーキテクト.2008年大成建設㈱を退社,㈱A&T建築研究所入社,代表取締役所長.1997年から日本大学生産工学部非常勤講師,2010年より日本大学研究所教授を兼任.東京建築士会評議委員.

菊池 吉久

(きくち よしひさ)
1949年神奈川県横須賀市生まれ.1972年日本大学生産工学部建築工学科卒業,1974年同大学院生産工学研究科修士課程修了.1974年大成建設㈱入社,建築本部設計部,1975年同社名古屋支店建築部設計課,1983年同社九州支店建築部設計室,1988年同社設計本部設計部,2003年同社設計本部工事監理グループ.

松井 壽則

(まつい ひさのり)
1949年福島県須賀川市生まれ.1973年日本大学理工学部建築学科卒,1975年日本大学大学院修士課程修了.1975年㈱ダーバン設計研究所,1980年日本大学工学部建築学科助手,1987年同専任講師.2001年同助教授,現在,日本大学准教授.

浅野 剛史

(あさの たけし)
1983年茨城県生まれ.2006年日本大学生産工学部建築工学科卒業,2008年同大学院生産工学研究科修了.2008年大成建設㈱入社,設計本部にて設計に従事.

建築計画について多くの書籍が既にある.さて何から読み始めれば良いのか.
建築計画とは何か,と構えて問いかけると「建築とは」という大きな問題にまで発展してしまう.

具体的には何が問題なのかというと,標題に「建築計画」とある書籍を開いてみれば,規模や寸法や動線など,そして住宅・学校・病院などの項目が並ぶ.さらには設計につながる建築計画となると,建築設計資料という膨大なデータがある.
このような知見と事例の蓄積をもとに,本書は建築計画の入門書として,総論,施設計画,各部計画の3部から構成した.建築計画分野の基礎知識をそれぞれの専門家がわかりやすく簡潔に解説することをこころがけた.

Ⅰ部の「総論」では,建築計画の成り立ちについて,歴史的観点とその対象となる事項の現況から概説している.Ⅱ部の「施設計画」では,住まう・集う・学ぶ・癒す・働く,という五つの施設系に大別して章立てをし,各施設の歴史や背景とともに,施設計画に関わる基礎的な知識をまとめている.加えて執筆者の視点から施設計画の課題を示している.Ⅲ部では,各種建築物に共通する事項を「寸法・尺度」「安全・バリアフリー」「防災・避難計画」「細部計画」に分けて解説している.
本書の特色として言えることは,建築計画学と各施設系について,その背景と歴史,沿革を丁寧に解説し,基礎知識の認識を深めたことがある.

各章の終わりには理解度を高めるための練習問題,15章には各章にまたがる総合的視点を加えた演習問題を設けている.有効に活用していただければ幸いである.
本書をまとめるにあたり,先行する研究,書物から多くの事を参考にさせていただいた.末尾ながら記して謝意を表したい.

執筆者一同

第15章演習問題の解答はこちら

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