色彩学の実践


渡辺安人 著

内容紹介

仕事に活かす理論とコツを丁寧に解説した

インテリアコーディネート、建築設計、景観計画など、環境色彩の分野を志す人のための1冊。仕事に活かすことを前提とした色彩理論の解説、選色・配色のコツ、具体的な作業手順など、実践手法や心構えもふくめて、環境色彩のプロを目指す人のために解説した。本書を読み、理屈で考え、センスアップに励めば本当のプロになれる。

体 裁 B5変・176頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2358-9
発行日 2005-03-10
装 丁 上野 かおる


目次著者紹介

Ⅰ部 色の基礎と応用

1章 色を伝える方法

① 色名

1 慣用色名
2 色名の発展
3 系統色名
4 表色系による色表現

② 表色系

1 色の三属性
2 マンセル表色系
3 PCCS(日本色研配色体系)
4 オストワルト表色系
5 NCS

2章 色彩調和

① 混色・色彩調和に関する歴史

② ゲーテの色彩調和論

③ シュブルールの色彩調和論

④ オストワルトの色彩調和論

⑤ ムーン・スペンサーの色彩調和論

⑥ ジャッドの色彩調和論

⑦ ヨハネス・イッテンの色彩調和論

⑧ PCCSの色彩調和論

⑨ 実践配色調和の考え方

1 美しさの条件
2 配色調和の2分類
3 色選びの考え方

3章 美的造形手法

① 西洋の美的形式

② 配色デザイン用語

③ 色彩センスアップ方法

4章 色と心理

① 色の生理・心理効果

② 色彩連想・象徴

③ 色彩嗜好

④ 嗜好色調査

⑤ 流行色

⑥ 色と癒し

5章 目の構造と視覚

① 色と波長

1 色知覚
2 光とは
3 屈折、散乱、回折、干渉
4 赤外線と紫外線

② 目の構造

1 各部の名称と働き
2 視細胞
3 情報の伝達経路
4 近視・遠視・老人性遠視・弱視

③ 色覚特性

1 三色型色覚異常
2 二色型色覚異常

④ 目の老化

1 老化による見え方の変化
2 見えの変化への対応方法

⑤ 色の知覚

1 同時対比現象
2 継時対比現象
3 同化現象
4 視認性
5 誘目性
6 順応
7 恒常性
8 主観色
9 ベゾルト‐ブリュッケ現象
10 アブニー効果
11 スタイルズ-クロフォード効果
12 記憶色

6章 混色と測色

① 色と波長

1 加法混色
2 減法混色
3 中間混色

② 色の測定

1 測色条件と測色値表示方法
2 測色器による測色方法
3 色差
4 自然光で色を観察する条件

7章 人工光源と色

① 光の色みの表示方法

1 色温度

② 演色

1 演色性
2 演色評価数
3 条件等色

③ 照明ランプの種類

1 人工光源の分類
2 ランプの光色による分類
3 ランプの演色性による分類

④ 和風照明の魅力

Ⅱ部 色彩設計の実践

8章 インテリアのカラーコーディネート

① カラーコーディネートの必要性と効用

② インテリアイメージと配色

③ インテリアカラーコーディネートの手順

1 施主の要望を把握する
2 色彩仕上表をつくる
3 空間イメージの想定
4 色彩イメージの設定
5 ベースカラーを選ぶ
6 サブカラーやアクセントカラーを選ぶ
7 色彩仕上表を仕上げる
8 コーディネート案をビジュアル化
9 プレゼンテーション

④ カラーコーディネートのコツ

1 類似調和でまとめる
2 面積(ボリューム)バランスを考える
3 質感を大切にする
4 面積対比を念頭に色選定する
5 色の確認方法に注意する
6 明度差を意識する
7 ナチュラルカラーハーモニーを意識する
8 ウォームトーン、クールトーンのどちらかにそろえる
9 無彩色の効用
10 高齢者、弱視者、色覚特性へ配慮する
11 演色性に配慮する
12 季節感を大切にする

9章 外観の色彩設計

① 外観色彩設計の考え方と効用

1 色彩設計の考え方
2 色彩設計の効用

② 建物の用途と色彩

③ 外観色彩設計の手順

1 前提条件の整理
2 立地条件の調査・分析
3 色彩コンセプトの決定
4 具体色の選定デザイン
5 プレゼンテーション

④ 外観色彩設計のコツ

1 外壁に適応しやすい色を選ぶ
2 塗装しない部分との調和を考える
3 ナチュラルカラーハーモニーを意識する
4 外構との関係を考える
5 植栽との関係を考える
6 方角を考える
7 素材を考えた色使いを行なう
8 塗料の色指定の注意点
9 退色を考慮する

10章 景観調和と色彩

① 街並景観の課題点

② 街並景観の良好点

③ 都市の色彩景観計画

1 行政の色彩景観計画
2 風土色
3 シンボルカラー
4 行政との色彩コミュニケーション

④ 景観を重視した外観色彩設計

1 シンボル的建築物について
2 景観不調和にならないために

⑤ 屋外広告物

1 屋外広告物の考え方
2 行政の屋外広告物の誘導

11章 気候風土と色彩文化

① 自然素材の色

1 木材、土の色
2 自然色再現のポイント

② 気候風土と色彩感覚

1 時間経過を含めた色認識
2 質感の重視
3 グラデーション好み
4 縁取りのデザイン
5 多色配色美とこだわりの色

実習台紙

実習台紙1 《色相環》
実習台紙2 《季節の色彩イメージ1》
実習台紙3 《季節の色彩イメージ2》
実習台紙4 《季節の色彩イメージ3》
実習台紙5 《季節の色彩イメージ4》
実習台紙6 《色の三属性の理解》
実習台紙7 《色彩心理》
実習台紙8 《対比現象》
実習台紙9 《イメージ表現1》
実習台紙10 《イメージ表現2》
実習台紙11 《イメージ表現3》
実習台紙12 《トーン一覧表》
実習台紙13 《明度構成》
明度スケール

渡辺安人(本名:渡邉康人)

アーキタイプ工房代表
1953年生まれ、大阪芸術大学環境計画学科卒業、グラフィックデザイン、建築などの職歴を経て、1986年㈱日本カラーテクノロジー研究所設立、同社専務取締役を経て、現在フリーランス。
色彩を切り口にした企業コンサルティング、建築・土木構造物・大規模プラントなどの色彩設計、「大阪市色彩景観計画」など都市景観の色彩計画、プロダクツの色彩計画。企業社員研修、近畿大学建築学科非常勤講師、カラリストスクール・ワムI.C.I、大阪ガスインテリアデザインスクール、スペースデザインカレッジ、京都伝統工芸専門学校ほかで色彩教育にも携わっている。㈱コラムデザインセンター代表取締役・宮後浩氏との共著『建築と色彩』(学芸出版社)がある。