全国のR不動産
面白くローカルに住むためのガイド

東京R不動産・稲村ヶ崎R不動産・金沢R不動産・大阪R不動産・神戸R不動産・福岡R不動産・鹿児島R不動産・山形R不動産 著

内容紹介

東京で始まったR不動産も、稲村ヶ崎、金沢、大阪、神戸、福岡、鹿児島、山形など全国9都市で活動中。本書は、全国のR不動産メンバーが、その土地の魅力やお勧めエリア・物件の紹介、実際に移り住んだ人々を取材。「住む場所も、働く場所も、もっと自由に選びたい」。そんな思いを実現した人たちの新しい価値観を伝える。

体 裁 A5・144頁・定価 本体1600円+税
ISBN 978-4-7615-1343-6
発行日 2014/10/01
装 丁 前田晃伸

目次著者紹介まえがきあとがき書評イベントブックフェア

目次
東京R不動産から全国のR不動産へ

01 鎌倉

鎌倉はむしろとても新しい街なのだ
鎌倉に住んで得られること
エリアガイド
物件特徴
事例:山と道、鎌倉投信

02 金沢

面白いことが始まりそうな予感がした
金沢に住んで得られること
エリアガイド
物件特徴
事例:GEUDA、乗越、Gloini

03 大阪

渋いビルの気持ちいい使い方
大阪R不動産で紹介したことのあるビル
事例:立売堀ビルディング、Hostel 64 Osaka
対談「“渋ビル”は大阪における戦後の町家的存在かもしれない」 小野達哉(大阪R不動産)×高岡伸一(建築家)

04 神戸

家族やコミュニティーとの関わりを大事にして暮らす
神戸に住んで得られること
エリアガイド
物件特徴
事例:atelier suzuhatar、ideas and effects、長谷川暢宏さん

05 福岡

空港→市街地→海岸がコンパクト
福岡に住んで得られること
エリアガイド
物件特徴
事例:Smart Design Association、Piton ink.、西出裕加子さん

06 鹿児島

僕らは山を選んだ
鹿児島に住んで得られること
エリアガイド
物件特徴
事例:ohtematic

07 山形

農家と大学と山形R不動産
山形で始めた新しい住まい方の実験

08 東京

鼎談「R不動産は、選択肢を広げるために、これからも走り続ける」 馬場正尊×吉里裕也×林厚見(東京R不動産)
対談 「地元目線のメディアをつくる」 兼松佳宏(greenz.jp編集長)×吉里裕也(東京R不動産)
R不動産の仲間たち
《コラム》
鎌倉で「マイクロステイ」/沖縄R不動産?/「トライアルステイ」のススメ/R不動産ヘッドラインで、今日の日本をイメージトリップ/あとがき/リアルローカル、始まる。/僕が神戸に越したワケ

馬場正尊 Masataka Baba

東京R不動産 ディレクター

1968年佐賀県生まれ。早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂、雑誌『A』の編集長を経て、2003年Open Aを設立。同時期に始めた「東京R不動産」のディレクションを務める。2008年より東北芸術工科大学准教授。建築の近作に「観月橋団地再生計画」(2012)など。近著に『RePUBLIC 公共空間のリノベーション』(2013)など。

吉里裕也 Hiroya Yoshizato

東京R不動産 ディレクター

1972年京都生まれ。東京都立大学工学研究科建築学専攻修了。不動産ディベロッパーを経て、2003年に馬場らと「東京R不動産」を立ち上げ、2004年に株式会社スピークを林と共同設立。不動産・建築・デザイン・オペレーション・マーケティング等を包括的に扱うディレクターとしてプロデュース、マネジメントを行う。

林厚見 Atsumi Hayashi

東京R不動産 ディレクター

1971年東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて経営戦略コンサルティングに従事した後、コロンビア大学建築大学院不動産開発科修了。2004年に吉里と株式会社スピークを共同設立。不動産の開発・再生における事業企画・プロデュース、新規事業開発、カフェ・宿の経営などを行う。

藤井健之 Takeyuki Fujii

稲村ヶ崎R不動産 ディレクター

稲村ガ崎三丁目不動産株式会社代表。1963年山口県生まれ。鎌倉移住の末に不動産屋として生きることを決意。最近は店を開けて山歩きをしていることも……多々。これまで28回の引っ越しと15回の起業を行ってきた。この春からは、山梨県の小淵沢に自宅を引っ越した。現在、小淵沢から稲村ヶ崎R不動産がある鎌倉に週2回通う日々。2歳児のパパとして子育ても奮闘中。「お孫さんですか?」って尋ねられることもあったりして少し悲しい気分になることも。

小津誠一 Seiichi Kozu

金沢R不動産 ディレクター

有限会社E.N.N.代表/株式会社嗜季代表。1966年石川県金沢市生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。東京の設計事務所勤務などを経て、1998年京都にてstudio KOZ.を設立。京都と東京を拠点に建築やインテリアの設計を行う。2003年金沢にて有限会社E.N.N.を設立。廃墟ビルの再生と同時に飲食店 a.k.a.を開業し、東京、金沢の二拠点活動を開始。現在は本拠地を金沢に移して、E.N.N.にて建築・不動産事業を、嗜季にて飲食店事業を行う。

中谷ノボル Noboru Nakatani

大阪R不動産 ディレクター

株式会社アートアンドクラフト代表。1964年大阪市生まれ。一級建築士。マンションデベロッパーやハウスメーカーで建築設計・不動産開発・現場監督を経験したのち、1994年に株式会社アートアンドクラフトを設立。マンション、倉庫、ビルなどをリノベーションすることで、新しい都市居住のスタイルを提案しつづけている。まちづくりNPOの設立や、地域の古ビルを再生した宿泊施設の運営も手がける。2012年、アートアンドクラフト沖縄事務所を開設。

小泉寛明 Hiroaki Koizumi

神戸R不動産 ディレクター

有限会社Lusie代表。1973年兵庫県生まれ。関西学院大学経済学部を卒業後、渡米。カリフォルニア大学アーバイン校ソーシャルエコロジー学部都市計画修士号。1999年森ビル株式会社に入社、六本木ヒルズの立ち上げ業務に従事。2002年よりアメリカ・ロサンゼルスにてフリーランスコンサルタントとして活動。2006年より静岡県伊豆市のオーベルジュ「アルカナイズ」の開発と運営を中心としたホテル会社を経営。2010年神戸にてLusie代表取締役に就任。

本田雄一 Yuichi Honda

福岡R不動産 ディレクター

株式会社DMX代表。1983年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。2005年株式会社リクルートコスモスに入社。用地買収から商品企画・建築・営業まで不動産デベロッパー業務の全部署を経験し、2007年株式会社DMXを設立。2011年シリコンバレー在住を経て、2012年アートインキュベーション組織FUCA LLP、建築教育プログラムDesignBuild FUKUOKAを設立。

冨ヶ原陽介 Yosuke Tomigahara

鹿児島R不動産 ディレクター

Nuf f Craf t株式会社代表。1970年鹿児島県生まれ。大手ハウスメーカーに勤務後、2003年株式会社粹家創房を設立。住宅・店舗の設計・施工を手がける。2007年Nuff Craft株式会社を設立。家具製造、伝統的工芸品の技法を活かしたインテリア商品の企画・開発、カフェ運営などを行う。2011年には不動産事業を開始。「衣・食・住」における鹿児島の魅力を新しいカタチで発信している。

水戸靖宏 Yasuhiro Mito

山形R不動産 ディレクター

千歳不動産株式会社常務取締役。1968年山形県生まれ。1990年千歳不動産へ入社。賃貸・売買の仲介、賃貸物件の管理、資産運用コンサルティングの業務に従事。2011年馬場正尊が主宰する山形R不動産に参加。2011年父親の急逝により、家業の水戸農園の経営も始める(サクランボ、ラフランス、リンゴ、米などを生産)。平日は不動産業、休日は農業を営む兼業農家。

東京R不動産から全国のR不動産へ

馬場正尊(東京R不動産/Open A 代表)

2003年、東京R不動産は始まった。東京都心の、ちょっとクセがあるけれど、ある人にとってはたまらなく魅力的かもしれない物件を集めた不動産サイト。

今までは駅からの距離や広さ、設備や築年数などの性能情報で評価されていた物件を、R不動産では「改装OK」「レトロな味わい」「天井が高い」など感性のアイコンと、率直な文章と写真で表現した。それはおそらく都心居住や、中古物件の味わい方、リノベーションの普及に一役買ったはずだ。

東京R不動産が始まって3年が経った頃、「金沢でR不動産をやってみたい」と、サッカー仲間の小津さんから切り出された。本職は建築家、でも金沢で飲食店を経営したりとやんちゃな先輩だ。それが全国へ展開するきっかけになった。

その後、福岡からは20代の若者が突然やってきて、「オレに福岡R不動産、やらせてください!」と、ほとんどこちらに選択肢を与えない勢いで話を進めた。その本田さんは独立したばかりで、新しい人生をこれにかけていた。

稲村ヶ崎では、これまでの人生で15の会社をつくり、そのうちの二つを上場させ、28回の引っ越しを重ねた経験豊かな藤井さんが、なぜか「次は、R不動産をやる」と言いだした。

神戸では、森ビルでの勤務や、ホテル会社の社長という、およそR不動産の世界とは似つかわしくない経歴を持つ小泉さんが、究極の住み処を求めてたどりついた街で、その価値観を表現すべく神戸R不動産を始めた。
この動きは山形、房総、大阪、鹿児島へとつながっていく。

R不動産という名前は共有しながら、誰ひとりとして似たようなキャラクターはいないし、始めた動機も、ベースとなる職業も、そして都市の規模も課題もさまざまだ。共通しているのは、自分たちの街を圧倒的に愛していることと、その街での生活をもっと楽しく変えていきたいと思っていることだ。

この本はその想いの集積によってできあがった。

R不動産は、こうして少しずつ全国に広がり、現在9都市で活動をしている。拡大は目的ではないけれど、共感してくれる仲間が増えていくのは嬉しい。住むことに対する新しい価値観を一緒につくっていきたいと思っている。この本が、R不動産という媒体を通し、日本をいかに面白く過ごすか、そのヒントになってくれればいいと思う。

R不動産の仲間たち

吉里裕也(東京R不動産/スピーク共同代表)

「ウチの街でもR不動産をやってみたいんです」

ありがたいことに、僕らのところには、全国からこんな相談がある。その相手も不動産会社、デザイン事務所、建築家に加えて、地元の工務店、出版社、まちづくりNPOなどさまざまだ。R不動産というメディアがどんな動機で、何のためにつくられているのか、僕ら自身にとっても教えられるところが大きい。

そして僕は、できるかぎり直接お会いして話をうかがうようにしている。

それは、「どの街で行うか?」よりも「誰と行うか?」が大切だと思っているからだ。地方でR不動産が最初に始まった場所は金沢だった。それは、僕自身がかつて住んでいたので地域のことをよくわかっているということもあったけれど、何より小津さんという素晴らしいパートナーに出会えたことが大きかった。

不動産はそれぞれの地域ごとに、独特の特性や古い体質があったりするので、そこを一緒に変革していくローカルパートナーの存在はとても重要なのだ。その後、いろんな地方でそんな出会いに恵まれ、R不動産が少しずつ増えていくことになった。ただ、無闇に増えればいいとは思っていない。僕らにとってもパートナーにとっても、時間もかかるし覚悟も求められるからだ。最短でも半年、長いところで準備に2年以上かかったエリアもある。

パートナーは、お客さんを物件に案内したり、契約や管理といった不動産業の一般的な業務の体制が必要なのはもちろん、それ以外に物件を発見し、取材し、写真を撮り、文章を書いて伝えるというスキルを習得しなければならない。

感覚の共有も重要だ。僕も必ずその街に行って動き回る。街の空気や大きさを自分の足で感じ、物件をいくつも回り、その街の魅力をパートナーと一緒に発掘していく。その過程の中で、どんな物件が魅力的で、物件のどこがグッとくるのかなどを皆で共有し、各エリアの特徴を切り取った「アイコン」に落としこんでいく。

そして、最も難しく、一番重要なのは、魅力的な物件を「継続」的に紹介していくことだと思っている。僕らはメディアとして、常に新しい視点で物件を発掘し提供し続けていかなくてはいけない。

すぐ成果が出るものでもない。マス向けではないから、ある程度の人口規模や都市性がなければ難しいだろう。

ただ、R不動産というのは、自分たちの街に対する愛着があり、なおかつ、もっと楽しく変えていきたいと思っていて、そこに住んでほしいと真摯に考えている、そんな人たちによって運営されてきたし、これからもそうした仲間たちと一緒に続けていきたいと思っている。

どの本の感想を書くとしても、立場の表明は大事だろう。僕は、この本を「鹿児島」に住む者として読むことができた。しかし、インタビューが掲載されたのは、「鹿児島の事例2」ではなく「東京」の章だった。それは本当に今の僕らしいと思ったし、「面白くローカルに住めているだろうか?」という手厳しい問いを突きつけた。うーん、答えは、まだない。言い訳っぽいものを挙げていけば、きっとキリがない。

僕は秋田に生まれ、大学で上京し、昨年、子育てをきっかけに妻の実家がある鹿児島に移住した。2016年からは京都精華大学の先生になることもあり、近々の京都移住も考慮している。秋田を出てから16年間で、数えて引っ越し13回。誰に言われたわけでもないのに、いわゆる”転勤族”を自演している。そんな移り気な僕にとっての、終の棲家はどこになるのだろうか? もっと踏み込んで言えば、兼松家のお墓はどの丘に建つのだろうか?

そんなことまでもぐるぐる思わせるほど、鎌倉→金沢→大阪→神戸→福岡→鹿児島→山形→東京と続く日本各地のショートトリップは、どれも眩しかった。人の魅力、風景の魅力、歴史の魅力。いずれも甲乙つけがたいし、移住を希望する者にとって、選択肢は無限にあるように思える。ときにその豊かさは、人を迷わせる。

この本はきっと、何色にも染まっていない若い世代にとって希望になるだろう。そして誰よりも”自分ごと”としてど真ん中に響きそうなのは、東京に住む30代後半以降の、比較的自由に仕事ができるようになってきた男性なのかなと思う。

この本に登場する素晴らしい生き方をしている人たちが、ほとんど男性なのは示唆的だ。おそらくパートナーがいて、ひとによっては子育ての真っ只中だったり、両親の介護が間近に迫っていたり。そんな人生史に残る大事な時期に、”移住”という選択肢が強烈な現実感を持って訪れる。

だからこそ葛藤するのは当たり前だ。そして葛藤こそ祝福すべき恩恵なのだと思う。子どもをどこで育てるのか、両親とどんな距離感で過ごすのか。移住を機に、大切な家族との対話の中で気付かされる”絶対に外せない条件”こそ、無限の選択肢を図らずも狭めてくれる。都会でも田舎でも、海外でも、呼ばれたかのように住む場所を選べたら、それ以上の喜びはない。

我が家の庭が七色に輝いていれば、いつだって隣の庭は青いままでいい。そんな世界各地の美しさを分かち合いながら、縁の地に根を下ろして、面白くローカルに住んでいきたい。そんなことをタイミングよく思わせてくれた、とても意味のある一冊でした。

担当編集者より

昨年の夏、金沢で行われた「R不動産サミット」に、全国(東京、金沢、福岡、稲村ヶ崎、山形、神戸、大阪)のR不動産の運営者が集まった。「R不動産」というネットワークを組みながら、メンバーのキャラクターも年代も、街の規模も、扱う物件も、力を入れている活動もバラバラ。ただ、共通していたのは、強烈な地元愛。統一感はまるでない、けれど目的や価値観の深いところで共鳴している不思議な集団、R不動産の企画はここから生まれた。

40代以下の若い世代の地方への移住志向が、3.11以降加速している。本書に登場いただいた移住者の方々も、働きざかりの世代で、フリーランスのデザイナー、ウェブ制作会社の社長、ショップオーナーといった、働く場所や住む場所を自由に選べる人たち。そうしたスキルを持って全国を自由に移動できる人々はまだ限られているけれど、彼らが移住することによって街に新たな動きが起これば、その街を面白くするコトが増えてヒトが自然と集まるようになる。

住み方や働き方の価値観は多様化している。そうした新しい価値観を持つ人々が地方を元気にする時代。それを実感できる一冊。

(宮本)

出版記念トークイベント「住む場所・働く場所の自由な選び方」

(終了しました)
吉里裕也×安田洋平×岡崎麗×小泉寛明×長谷川暢宏
2014.10.28@大阪・スタンダードブックストア心斎橋

出版記念トークイベント「R不動産の移住相談会」

(終了しました)
吉里裕也×安田洋平×小津誠一×乗越萠
2014.11.8@東京・代官山蔦屋書店

※終了しました

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