技術士第二次試験 合格者たちの勉強法

匠習作 著

内容紹介

能力があっても、文章で表現できなければ合格できない。それが技術士試験。全てが記述式となる2019年度試験制度改正を実績豊富な対策講座講師が要点を整理。重要なのは試験方式の変更以上に「評価項目が明確になった」点だ。問題を正確に読み解き、業務で培った知識と経験、プロ意識を文章で確実に表現する術を身に付けよう!

体 裁 A5・192頁・定価 本体2500円+税
ISBN 978-4-7615-2704-4
発行日 2019/04/01
装 丁 フジワキデザイン

目次著者紹介はじめにおわりに添削サービスレクチャー動画付録・練習問題

はじめに

1章 技術士第二次試験の合格と不合格を分けるもの

01 試験内容の変更であまり悩まないこと
02 問われている能力はほとんど同じ
03 これまでの合格者たち
04 悩むよりも踏み出そう
05 勉強ではなく練習
06 絶対に落ちる書き方① 形式面
07 絶対に落ちる書き方② 論文の内容面
08 絶対に落ちる書き方③ 文章を書くスタンス

2章 新制度の試験で何が変わるか

01 試験内容が時々変わるのは技術士試験の特徴
02 これまでの変更内容
03 現在の技術士試験制度から変わるもの、変わらないもの
04 新制度試験最大の変更点
05 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)
06 評価項目を考える
07 なくなった択一問題の使い方

3章 専門知識・能力・経験の表現方法

01 Ⅱ-1はキーワード解説の延長
02 似たような解答にならない工夫と解答時間の消費
03 Ⅱ-1の解答例
04 Ⅱ-2では、条件が設定されている
05 Ⅱ-2の解答例

4章 問題解決能力と課題遂行能力

01 公務員試験の論文問題を考える
02 解答の構成力
03 問われていることは何か
04 専門家の視点で解答する
05 Ⅲの解答例
06 問題解決能力と課題遂行能力

5章 口頭試験で問われる力

01 申込書の重要性
02 業務経歴と業務の詳細
03 技術者倫理―技術士としての適性及び一般的知識
04 受験動機と過去3年間の代表的な50の質問
05 代表的な質問に対する合格者の答え
06 総合技術監理部門に関する体系的専門知識
07 平均より少し高い知識と遙かに高い倫理観

6章 頻出テーマの考え方:マスコミのデータに惑わされるな!

01 必須論文に備えよう
02 頻出テーマ① 省エネ
03 頻出テーマ② 再生可能エネルギー
04 頻出テーマ③ 生産年齢人口の減少
05 頻出テーマ④ 超高齢化社会
06 頻出テーマ⑤ 働き方改革
07 頻出テーマ⑥ 地震対策
08 頻出テーマ⑦ その他の自然災害対策
09 頻出テーマ⑧ グローバル化
10 頻出テーマ⑨ 地方活性化・地方創生
11 頻出テーマ⑩ 循環型社会
12 頻出テーマ⑪ 環境問題

7章 必須科目・練習問題集(全部門共通)

おわりに―合格してからが本当の勝負

匠 習作(たくみ しゅうさく)

1962年生まれ。函館市出身。1988年より医療機器メーカー勤務。
1991年より29歳で工場長就任。2014年まで23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。医療機器の開発では、医者との打ち合わせ、企画・設計から生産工程の管理まで、一貫して行う。一方、システムアドミニストレーターとして、工場の情報システムの構築・運用を行う。著書に『エンジニアの成長戦略 ── 一生食べていけるキャリアをつくる』日本実業出版社、『二次試験論文試験3段階ステップ必勝法』新技術開発センター。

技術士試験講座の講師として2012年技術士機械部門、総合技術監理部門に同時に合格(この年の同時合格者は1名のみ)。現在「技術士Lock-On:二次試験対策講座」を主催。

2014年から2018年までの5期で300名を超える受講生に試験対策をアドバイス。平均合格率10%程度の技術士試験で、50%近い合格率を誇る。
日本で初めて動画セミナーを使ったステップメール講座を提供し、受講生のモチベーション維持に効果を上げている。また、次世代のエンジニアを育てるべく、リアルでも技術士試験対策講座を主催、分かりやすい解説で人気講座となる(年間20回近くの講座を担当。2015年は16回、2016年は15回、2017年は20回、2018年は22回)。

私が技術士受験対策の通信講座を新設してみようと考えたのは、私自身が試験勉強をしている最中だった。私は平成23年に併願受験(機械・総監)するも機械部門が不合格で失敗。翌年、リベンジで併願合格した。

私の受験対策中は、都内の講座をいくつも受講していた。某大手講座では、1回目の添削で「これは技術士試験の解答ではない!」と一言書かれていて呆然としたこともある。おそらく、この添削で解答できるようになる人はいないと思った。

また、集合型のリアル講座では、北海道、広島、福岡などから受講者が来場していて、費用や時間的負担の大変さを目の当たりにした。

そのため、これだけIT機器や通信環境が揃っているのだから、通信教育を始めようと考えたのが始まりだ。

ここで、意外な事実を書いておこう。技術士試験対策の講師の大半は、ITツールが苦手だ。動画講座やビデオ通信など使ったことが無い人が多い。高齢者が多いと言うこともあるが、おそらく先端技術に興味がないのだと思う。今でも手書きの資料を配付している講座もある。パソコンが使えないのだ。

また、これも講座内の話だが、添削を受けるのが最も効果的な学習だが、そこに力を入れない講座も多い。集合型のリアル講座だけで終らせる講座が多いのだ。この理由は簡単だ。それが一番簡単だからだ。何度も添削を行うのは、講師の負担になるのだ。

私自身は、元々コンピューターが好きだったこともあり、講座では、Zoom、Skype、メルマガ、ステップメール、動画講座とあらゆる媒体を使っている。これは、受験者のモチベーション維持に役立っていると思う。また、添削に最も力を入れている。コースによって20~40回程度の添削を受けることができる(上限回数に達する人はほとんどいないが)。トレーニングの効果で解答力を鍛える。講座内のキャッチフレーズは、アウトプット7:インプット3である。また、これは本の中でも繰返し述べたことだ。

初受験の方は論文の書き方自体、あるいは日本語の文章能力自体をトレーニングする必要があることも痛感した。

本書は、これまでの6年間の活動から得た、技術士試験対策をまとめたものだ。実績というほどではないが、連絡を頂いた受講者の試験結果は以下のとおり。

平成26年は6名中4名合格。
平成27年は24名中13名合格。
平成28年は44名中21名合格。
平成29年は75名中34名合格。
平成30年は講師が私を含め5名体制。
101名中筆記合格が、39名。

ただし、途中で連絡がなくなってしまう人が30%はいる。

他、企業の技術士講座に講師として参加し、5年で100名以上にアドバイスしている。

企業内での研修講座の場合、1日で終る場合が多く、効果が出にくい。そのため、後日課題を送ってもらうなど追加サービスもつけている。部門は、機械、電気、経営工学、化学、上下水道、衛生工学、総合技術監理部門等だ。
受講者には、技術士を初めて受験する人、他の講座を受けて不合格だった人等、様々な人がいて、業務の内容も一人ひとり異なる。そのため、十把一絡げでアドバイスすることはできないと言って良い。学習の効果を上げるためには、1対1で対応してもらうことが重要である。おそらく、それが一番合格に繋がると思う。モチベーション維持ができるからだ。

受講者の悩みは割と同じような内容である。要するに勉強時間が確保できない、従ってモチベーション維持ができない。ほとんどこれにつきる。技術士第二次試験は、学生が受ける試験ではなく、社会人、しかも受験者平均年齢42歳と現役バリバリの人が受ける試験である。「今年は、閑だから技術士試験でも受けるか!」等と言う人はいない。エンジニアの矜持として本気で技術士取得を目指すならば、自分で勉強時間を確保するしかない。

受講者の30%は途中で止める。さらに30%近くは、ほとんど課題を送ってこない。逆に、真面目に最後までやれば大抵受かるのだ。

本書では、新制度の試験内容変更について、様々な角度から説明した。新制度の試験では、評価項目が明確になり、要求される能力がこれまで以上にハッキリしたからだ。

択一試験が筆記試験に変わったことなどより、評価項目が明確になったことの方が遙かに重要である。新制度の試験で技術士を目指す人はそこを考えて欲しい。また、もし試験対策講座を受講されるなら、その部分をしっかり教えてくれる講座を選んで欲しい。

本書中で繰返し説明しているが、要求されている能力が解答文章の中に表現できなければ合格できない。

課題と問題点の定義なども解説している本はあまりない。また、ネット時代の弊害で間違ったデータが溢れ、それが信じられている。その辺り、頻繁に見る間違いを解説した。

本書は、初めて受験される方はもちろん、何度か受験して合格できない方にも読んで頂きたい試験対策の本質が書かれている。内容を理解して、試験対策を行って頂ければきっと、良い結果に繋がると思う。それだけの準備はしたつもりである。

また、私の運営する対策講座では動画講座も公開している。さらに本書の読者限定100名の方には合格判定が出る無料添削サービスを行うこととした。ぜひ活用いただき、合格をつかんでもらいたい。

2019年2月
技術士Lock-On:二次試験対策講座 代表
匠 習作

合格してからが本当の勝負

「これは一体何だ!まさか日本じゃないだろう?」

平成28(2016)年4月22日。夕食時のテレビに映し出されていたのは、道路と橋を跨いだ巨大な橋の片方が無残にも崩れ落ちた映像だった。

見た瞬間、どこか外国の映像なのではと思った程だ。しかし、すぐに「本日16時27分頃、神戸市北区道場町平田の新名神高速道路の有馬川橋の工事現場で、長さ約124m、重量約1350 tの鋼鉄製の橋桁の西側が、約15m下の国道176号に落下しました」と言うアナウンサーの声によって、混乱する筆者も状況を把握することができたのだった。

落下の状況は付近の店舗の監視カメラに映っていて、橋桁が一度上下にゆっくり揺れ、その後、数回弾んで落下している様子だった。この映像はYouTubeでも見ることができるため、ご覧になった人も多いかもしれない。

現場では50名程の作業員が新設工事の作業をしていたが、そのうち10名が事故に巻き込まれ、うち2名が亡くなったという。2人ともまだ働き盛りの30代だった。こういう事故が起こる度にいたたまれない気持ちになる。

日本では、産業事故(いわゆる労働災害)が毎年発生していることは、あまり知られていないかもしれない。厚生労働省等が発表している統計データを見る限り、死亡事故は昭和36(1961)年の6712名をピークに年々減少しているものの、直近の平成29(2017)年では978名。1/7まで減ったことは喜ばしいかもしれないが、それでも1年に1000人弱、平均で毎日2.6名の人が亡くなっていることは無視できない。

これから技術士を目指す人にはぜひ考えて欲しいことがある。朝「いってきます」と言って家を出た家族が、日本のどこかで毎日2.6名亡くなっているという現実を。彼らは二度と「ただいま」と言って帰宅できないのである。

何も「事故が技術士のせいだ」と言っているのではない。しかし技術士には作業の安全性に配慮する明確な義務と責任があるということを決して忘れてはいけないのである。技術士試験を目指す人なら「技術士法」をご存知だと思う。そこにはこう定められている。

 (目的)
第一条 この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者をいう。

技術士は、「科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的」にして、その「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価またはこれらに関する指導の業務」を行う専門家である。これは口頭試験でも質問されるため覚えておいてほしい。

事故を減らすということは、「国民経済の発展に資する」ことである。安全技術の向上にもつながるかもしれない。まさに技術士の役目であろう。

冒頭から試験に直接関係ないことを長々と書いたのには理由がある。これらを理解せず技術士を受験する人が、近年多くなっていることを痛感するからだ。彼らは共通して、試験合格を目的とする故に試験のノウハウだけを知りたがる、あるいは必ず当たる予想問題を知りたがる。「何がなんでも受かりたい!」という気持ちは分かるが、「技術士」という資格がほかの工業系資格とは一線を画すところがあることを理解した上で受験してほしいのである。

技術士試験の決め手はやはり論文である。知識としていくら公共の安全に言及しても、論文を読めば、その人が真の意味で目的のために努力する気概があるのか明白に分かる。中途半端な気持ちで受けると「アラ」が出るのだ。

試験対策はあくまでも技術士になるための戦略であり、通過点に過ぎない。むしろ合格してからが〈本当の勝負の始まり〉である。

Where there’s a will, there’s a way. ―意志あるところに道は開ける

アメリカ第16代大統領 エイブラハム・リンカーン

2019年2月 匠習作

『技術士第二次試験 合格者たちの勉強法』の読者で、お申込みいただいた先着100名様限定に、著者・匠習作 氏(「技術士Lock-On:二次試験対策講座」主催)による解答(論文)の無料添削サービスを実施します。

必ず「■申込み~添削までの流れ」を良くお読みいただき、お申込みください。

申込み~添削までの流れ

①下記の申込みフォームに必要事項を記入し、申込みをします
②担当者から受付完了メールが届きます(申込みから2~3営業日以内)
※営業日は月~金(土・日・祝日は休業)
③ご購入いただけたことを確認させていただくため、切り取ったチケットの写真(またはスキャニング)を受付完了メールに添付し、お送りください
④受付完了から1か月以内に論文を提出して下さい

論文提出の注意事項

問題はご自身でお選びください。本の中の問題でも構いません
必ず、出題年度と問題番号・部門・選択科目をご記入ください
解答用紙は下のフォーマットをダウンロードし、ご使用ください
作成した解答は「word」で保存してください
手書きの場合は、文字がはっきり読み取れるようにスキャンし「pdf」で保存してください

※提出が1か月を過ぎた場合は受付をキャンセルさせていただきます(メールで通知)。その後も募集中であれば再度申し込みが可能です。

⑤受付完了メールに論文のデータを添付し、返信する
⑥担当者からデータ受取完了のメールが届きます(2~3営業日以内)
⑦後日、担当者から匠先生の添削入り解答が届きます(2週間程度。申込み状況によって前後します)

《 解答用紙のダウンロードはこちら 》

申込みに関するお問い合わせはinfo(at)gakugei-pub.jpまでご連絡下さい
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