第二版 地域共生の都市計画
内容紹介
人間と環境が共生するまちづくりのテキスト
住民と企業、高齢者・障害者・子供たち・様々な人々、人間と環境が共生する「まちづくり」のための都市計画テキスト。社会実践としての都市計画の基本的な仕組みを解説するとともに、都市政策・まちづくりにかかわる思潮や計画技法について、大幅内容刷新。専門家や実務者のための事典としても最適。用語集・図版多数収録。
体 裁 B5変・192頁・定価 本体3000円+税
ISBN 978-4-7615-3129-4
発行日 2005/03/30
装 丁 前田 俊平
はしがき
Ⅰ 人間居住と都市計画の発達
1 現代の人間居住と都市計画
1・1 都市化する世界
1・2 都市化と新たな貧困への対処
1・3 環境共生型の都市づくり
1・4 現代における都市計画の課題
1・5 地域共生の都市計画・まちづくりを担う人々
Ⅱ 都市づくりの思想と空間形態
2 近代以前の都市づくり
2・1 先都市(pre-urban)時代の集落空間
2・2 古代都市文明の空間形態
2・3 中世から近世への都市と空間形態
2・4 西欧バロック都市から近代都市計画へ
3 近代以降の都市づくり
3・1 産業革命と理想社会論の系譜
3・2 近代の都市計画論
3・3 モダニズム都市計画の展開
Ⅲ 都市の総合基本計画
4 地域計画と都市計画マスタープラン
4・1 地域計画の基本論理
4・2 地域計画における都市計画の位置づけ
4・3 都市計画マスタープラン
4・4 都市の空間構成計画
4・5 開発プロジェクトと都市計画
5 土地利用計画
5・1 土地利用の考え方
5・2 土地利用計画に呼応する都市計画
5・3 土地利用マスタープラン
6 公園緑地の計画
6・1 人間と緑地
6・2 公園緑地計画の方法
7 都市交通および脈絡系施設の計画
7・1 都市発展と都市交通計画のはたらき
7・2 交通サービス需要の把握
7・3 都市計画と総合的交通体系
7・4 道路網・街路空間の計画
7・5 都市循環系施設の計画
8 景観基本計画とアーバンデザイン
8・1 景観と風景の考え方
8・2 景観にかかわる行政制度の経過
8・3 地域景観の空間構成を理解する
8・4 景観形成計画を策定する
Ⅳ 市街地の整備と居住地設計
9 コミュニティと居住地計画
9・1 現代のコミュニティ
9・2 居住地の変動と持続
9・3 居住地整備ためのプログラム
10 市街地の開発・再開発と整備計画
10・1 空間的基盤としての市街地
10・2 市街地を開発する仕組み
10・3 市街地のストックと保全・改善・再開発
11 建築行為・開発行為の社会的コントロール
11・1 建築の自由と不自由
11・2 建築のための敷地の条件
11・3 地域地区制と建築物の用途コントロール
11・4 建築物の形態コントロール
12 市街地の安全と防災都市づくり
12・1 安全と安心の保障
12・2 災害発生・拡大のメカニズム
12・3 防災計画の論理
12・4 防災都市づくり
13 地区計画などミクロの都市計画
13・1 まちづくりの仕組み
13・2 地区計画制度
13・3 さまざまな「まちづくり」の手法・制度
13・4 まちづくり目標への誘導手法システム
V これからの課題
14 地域共生の都市計画にむけて
14・1 地域共生の意味
14・2 予測される社会変化とその影響
14・3 21世紀都市計画への課題展開
14・4 都市計画の科学と教育
用 語 集
参考図書
索 引
あとがき
第二版 はしがき
1997年の初版以来,本書は多分野の方々に読まれ,第7刷までかさねてきました.しかし8年を経過したいま,かつてない次元に入りつつあるわが国社会と都市計画をめぐる21世紀の課題にこたえるべく,初版を全面的に見直し,新しい動向の紹介と評価を加え,都市計画ハンドブックとして活用しやすい「第二版」を作成いたしました.人間居住論をベースとする本書の基調に変化はありませんが,都市計画の新しい動き,たとえば「景観法」を取り上げて,その意義と活用プログラムを書き加えました.現代都市計画を理解するうえでの市民・入門者テキスト,専門家のハンドブックとして活用いただきたく存じます.
2005年3月
著者
初版 はしがき
都市計画・まちづくりの講義は,これまで大学の建築・土木・造園などの建設系の学科では必須科目となってきた.さまざまな建築物の設計や都市施設の建設さらに公園緑地の整備などにたずさわる専門家たちにとって,都市計画についてのはば広い知識や技術が素養として求められてきたのである.
しかしながら20世紀後半の都市計画の仕事は,上のような建設系の専門を中核としながらも,きわめて多様な分野との協同作業ですすめられるようになった.ひとつの都市開発プロジェクトを起こすときでも,健康,衛生,環境,自然などの生活環境,コミュニティ,福祉,教育文化,芸術といった社会環境,雇用,産業,財政,投資といった経済環境,住民参加,情報公開,分権,法制度などの政治環境など多分野との連携が常に求められる.
それだけに今日,これら多分野の専門家にとっても,市民・ボランティアにとっても,共通に用いられる都市計画テキストが求められているといえよう.
本書は,こうしたニーズに応えようと,京都大学で「都市設計学(全学共通講義)」を担当してきた著者が,最近の内容を中心に図表や事項を大幅に加えて,学習テキストとしてまとめ直したものである.内容では,社会実践としての都市計画といういとなみの基本的な仕組みを論述するとともに,並行して都市政策・まちづくりにかかわる近年の思潮や計画技法についても紹介しているので,専門家や実務者のための事典としても役立つことと思う.
いうまでもなく都市計画という本来からして多分野的総合の世界の紹介は,著者単独でできることではない.執筆にあたっては,多くの関連分野の専門家の成果および政府・自治体等の資料を引用させていただいた.また,各地のまちづくり運動からも新しい発想を学ばせていただいた.かならずしも準備万全でなかった毎回の講義を通して学生諸君からも逆に教えられることも少なくなかった.さらに友人諸君には原稿を点検し補正する手間をお掛けした.これらのことを記して感謝の意を表するものである.
1996年11月
著者