図解 ホテル空間の演出

図解 ホテル空間の演出 シーン別 設計と運営の仕掛け
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ホテルに隠された演出アイデアを徹底図解!

ホテル選びからチェックイン、食事、入浴、睡眠、チェックアウトまで、全てのシーンに無数の演出アイデアが隠されている。ホテル体験をシーン別に分解することで、魅力的なホテル体験を支える細部の仕掛けが見えてくる!ザ・リッツ・カールトン東京、HOTEL K5、日光金谷ホテルほか47軒で採集した77アイデアを徹底図解!

小島 衆太(KOJA) 著   

体裁 A5判・192頁(オールカラー)
定価 本体2500円+税
発行日 2025-12-15
装丁 赤井佑輔(paragram)
ISBN 9784761529550
GCODE 2370
販売状況 予約受付中 (店頭発売:2025年12月10日頃)
目次著者紹介はじめにおわりにレクチャー動画関連イベント関連ニュース

はじめに──伝えたい3つのこと
本書の見方

SCENE 01 ホテル選びの演出──検索・予約

・“おひとり”ならではの贅沢をご提案
──ホテルニューオータニ
・広さではなく、“シーンの多さ”を演出する
──C&C
・最高の風景を見せるために“窓”を消す
──ザ・リッツ・カールトン東京
・部屋やプランだけでなく、色からも選べる
──toggle hotel suidobashi
・原稿を終わらせるために旅に出よう
──The Ryokan Tokyo YUGAWARA
・旅支度を左右する、驚きの貸出備品数
──ニッコースタイル名古屋
・深夜を楽しむ2時間ずらしの仕組み
──sequence MIYASHITA PARK
・住まいを美しくする“手触り”を探しに泊まる
──TACTILE HOUSE OSAKA
・たった一言のサインで、街の風景を取り込む
──sequence MIYASHITA PARK
・ゲストの定義を広げる、愛犬客室
──有馬グランドホテル DOG UP VILLA
column1:滞在したホテルをトコトン調べてみた「客室数」

SCENE 02 出迎えの演出──到着・チェックイン

・最上階の景観でお出迎え
──THE BOLY OSAKA
・バーを通ってホテルへ入ると
──ノーガホテル 秋葉原 東京
・手続きを“おもてなし”へと自然につなぐフロントバー
──モクシー大阪本町
・向かい合わずに”隣り合う”カジュアルフロント
──セトレ ならまち
・三つ子ワゴンフロント
──THE LIVELY 東京麻布十番
・廊下の照度をぐっと落とす効果
──パレスホテル東京
・客室までの長い道のりを思い出に変換
──坐忘林
・廊下で土地の形や歴史を体感する
──HOTEL GRAPHY 渋谷
・駅から離れることで生まれるロビーラウンジの価値
──HOTEL SHE, KYOTO
・「隣の客室とは離れております」
──坐忘林
column2:滞在したホテルをトコトン調べてみた「ルームキー」

SCENE 03 入室の演出──客室到着・荷ほどき

・まるで宝石箱!厚さ130mmの重厚な入口扉
──Bvlgari Hotel Milano
・視線を誘う入口のカーテン
──香林居
・サプライズクローゼット
──W大阪
・広さ感覚を左右する入り口の幅
──ノーガホテル 上野 東京
・客室の魅力を引き出す照度でご案内
──HOTEL SHE, OSAKA
・“キャリーケースさん”のベッドはこちら
──sequence MIYASHITA PARK
・服や備品、そして家具まで吊るす
──モクシー大阪本町
・レコードの音色で出迎えるために
──HOTEL K5
column3:滞在したホテルをトコトン調べてみた「天井高」

SCENE 04 お部屋で過ごす演出──客室滞在・くつろぎ

・両開き扉で寝室へ入る高揚感
──Bvlgari Hotel Milano
・窓辺の風景を最大限に活かす置き型楕円デスク
──ホテルニューオータニ
・“美肌天井”をつくる努力と効果
──Azumi Setoda
・低い家具で統一し、圧迫感を軽減
──ONSEN RYOKAN 由縁 新宿
・柱・梁を逆手に取ったベッドレイアウト
──DDD HOTEL
・“横長部屋”は窓が広い
──THE BOLY OSAKA
・コンパクトな客室でも2種類の居場所を
──ランプライトブックスホテル名古屋
・多機能観音開きデスク
──THE LIVELY 東京麻布十番
・ワガママを叶える回転テレビ
──moksa Rebirth Hotel
・正方形ソファの心地よさ
──GOOD NATURE HOTEL KYOTO
column4:滞在したホテルをトコトン調べてみた「窓の大きさ」

SCENE 05 館内散策の演出──共用部滞在・探索

・チャペルがロビー、ロビーがチャペル
──ザ・プリンス 箱根芦ノ湖
・距離感と特別感をつくる喫煙所への“にじり口”
──bar hotel箱根香山
・オールインワンウェア
──LINNAS Kanazawa
・雨多き地域で、コート着を整える
──ザ・プリンス 箱根芦ノ湖
・宿泊履歴をあえて見せ、歴史に思いを馳せる
──日光金谷ホテル
・あらゆるコラボプロダクトを紹介する
──ノーガホテル 秋葉原 東京
・24時間同じ曲が流れないBGM
──ニッコースタイル名古屋
・歴史的空間を“ラウンジ”へと再定義
──柳川藩主立花邸 御花
・文字と空間が引き立て合うように
──HOTEL SHE, KYOTO
・“水陸両用”スリッパ
──7132 Hotel
column5:滞在したホテルをトコトン調べてみた「HPのトップ画像」

SCENE 06 食事空間の演出──レストラン・バー利用

・“ミニバー”を設備から空間に昇華させる
──W大阪
・食事中の距離感を緩やかにつくる照明
──MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS
・全方位接客カウンター
──Azumi Setoda
・“問診”バーカウンター
──moksa Rebirth Hotel
・郷土料理をコンパクトに転換
──柳川藩主立花邸 御花
・世界観を崩さない、バックヤード境界の配慮
──HOTEL IL PALAZZO
column6:滞在したホテルをトコトン調べてみた「ディナー・バーの営業時間」

SCENE 07 入浴の演出──入浴準備・身支度

・立体パズルアメニティボックス
──メズム東京、オートグラフ コレクション
・客室内にも湯上り処を
──Azumi Setoda
・ビューバスを際立たせるために
──嵐山邸宅 MAMA
・ティッシュ“ボックス”の概念に捉われない
──ザ・プリンス 箱根芦ノ湖
・脱・脱衣室
──toggle hotel suidobashi
・ランドリールームだってひとつの客室
──Zentis Osaka
・整理整頓を促す洗面所
──ナインアワーズ 名古屋駅
・ひとり用お手軽足湯サービス
──宿一灯
・脱衣所の“あの不快感”を軽減
──TACTILE HOUSE OSAKA
column7:滞在したホテルをトコトン調べてみた「独立トイレ」

SCENE 08 眠りの演出──就寝準備・就寝

・トイレに2種類の照明を計画!?
──HOTEL INDIGO 箱根強羅
・ナイトパネルは置き型だって良い
──Bvlgari Hotel Milano
・ベッドと布団の良いとこ取り
──ONSEN RYOKAN 由縁 札幌
・コンパクトな部屋こそトイレは遠くへ
──ノーガホテル 秋葉原 東京
・スーパーキングベッド
──ニッコースタイル名古屋
・光のモーニングコール
──GOOD NATURE HOTEL KYOTO
・飾りで終わらせない、ヘッドボードの使い方
──香林居
・「私たちは寝るよりも語りたい」
──toggle hotel suidobashi
column8:滞在したホテルをトコトン調べてみた「ベッド高さ」

SCENE 09 旅立ちの演出──朝食・チェックアウト

・夜が楽しい街だからこそ、染みる朝食
──ホテルモーニングボックス大阪心斎橋
・ブッフェはドリンクも色々試せるように
──メズム東京、オートグラフ コレクション
・光や音を持ち帰り、旅の余韻を日常へつなぐ
──宿一灯
・ホテルを通して街のアンティークを受け継ぐ
──ホテルモーニングボックス大阪心斎橋
・みんなで傘を循環させる
──LINNAS Kanazawa
・朝のシーンに投資するホテル
──Hotel Noum OSAKA
column9:滞在したホテルをトコトン調べてみた「ルームウェア」

おわりに
掲載ホテル一覧

小島衆太(KOJA)

九州大学卒、横浜国立大学大学院 Y-GSAで学んだのち、建築設計事務所で図書館を中心とした複合施設の設計・監理に従事。その後、ホテルの企画・運営会社へ転じ、知見を広げる。一級建築士。
現在は、設計×運営の視点で空間とサービスを横断して読み解き、編集とデザインで気づきを形にするスタジオKOJAとして活動。各地のホテルに滞在を重ね、創造につながる手がかりを日々拾い集めている。
X:@kojatter Instagram:@kojakojagram

はじめに──伝えたい3つのこと

本書を手に取ってくださった方は、様々な理由からホテルについて詳しく知りたいと思っているはずだ。これからホテルを作る設計者・運営中のホテルを改善したいホテリエ・ホテルが好きでより深く学びたい人・ホテル業ではないがサービス業に携わる方など、多岐に渡るだろう。

私は建築設計事務所で約5 年半勤めたが、当時ホテル設計の実務は経験しなかった。のちにホテル業界に転職し、ホテルについて学び始めた頃、体系的に学べる書籍にほとんど出会えなかった。今になるとわかるが、“ ホテル”とは定義が広く、要素も複雑で多いため、整理自体が難しい。思考が具体化せず、漠然とした印象に留まってしまうことも多い。そこで私は現地へ足を運び、徹底的に調べ、体で覚えてしまおう!と決め、行動に移すことにした。休みの度にホテルに泊まり、その場で次のホテルを予約し…数年間続けた結果、現地で取った大量のメモがノートにただ蓄積していた。

がむしゃらなメモのままでは自分以外には活かせない。整理し、誰かの役に立つ形にしたい、数年前の自分と同じ境遇の人に向けて情報をまとめたい――と考え始めた矢先、出版の話をいただいた。そして本書という形で、現地で収集した膨大なメモを “ ホテルの演出アイデア” として再編集し、詳細スケッチと共に体系化するに至った。
本書を読む上で、事前に伝えておきたいメッセージは下記の3点だ。

point1.

ホテルには、まだ気が付いていない無数のアイデアが潜んでいる
全体ではなく「部分」に目を向ければ、新たな発見が生まれること。

point2

.詳細図解により「なるほど! 」と楽しく学べる
本書を読めば、ホテル事例を構造的に理解し、アイデアとして吸収できるよう編集したこと。

point3

設計×運営の視点で現地を徹底リサーチ
設計と運営両分野の横断的な知見をもつ私が、日々多くのホテルに滞在し、現地で得た気づきを大切に厳選、編集した事例を紹介していること。

演出アイデアをすぐに知りたい場合は SCENE01から読み進めていただいても構わないが、前提を押さえることで理解はさらに深まる。次ページで上記3点をもう少し掘り下げているので、先に進む前に、ぜひ目を通してもらえると嬉しい。

ホテルをシーン別に丁寧に覗き込むと、各シーンに無数の工夫が潜んでいることがお分かりいただけただろう。とはいえ、滞在を終えたゲストの記憶には、細部は残りにくいこともある。では、そのディテールへの努力には意味がないのだろうか。

私が設計事務所のスタッフだった頃、夜遅くまで詳細図面を検討しながら「この細かい違いに誰が気付くのだろうか」、「建築家のエゴになっていないか」と不安に感じることが幾度もあった。やがてホテル業界に移り、最前線で働くホテリエの所作や会話に触れて気付いたことがある。ホテルの現場でも、挨拶の仕方やタイミングから、ティッシュの折り目、空調の設定、香りの強弱、チェックイン導線、案内文言の一文字といったごく細かいところまで――現場ではそれらを日々議論し、試し、更新しているということ。とても繊細な業務であり、些細なほころびが時にネガティブな評価となって跳ね返ることもある。
細部の演出は、記憶の「主役」にならなくても、ホテル体験における「脇役」として確実に働く。脇役の台詞をはっきり覚えていなくても、その存在がなければ物語が成り立たないように。だからこそ、「部分」の作業そのものに意味を見出そうとしていた設計事務所時代の自分に伝えたい。細部の検討は全体のストーリーを支える重要な演出に繋がっていることを。設計や運営など分野に関わらず、同じような迷いがある方はぜひ参考にしてほしい。また、接客だけがサービスではない。バックヤードの段取りや事前の清掃、セッティングまで、すべてが立派なサービス。そして空間の設計そのものも「事前演出」というサービスと考えることができる。関係者がこの意識を共有できれば、ホテルのクオリティはますます高まっていくだろう。

本書では理解しやすいように、想像力をかき立ててもらうために丁寧なスケッチを添えたが、現地リサーチに整った絵は要らない。走り書きの矢印、違和感を覚えた殴り書きのメモなど、即興の記録ほど有効なことが多い。AI 時代だからこそ、ウェブに載っていないことや、言語化しづらいこと、想定外に現場で偶然起きた出来事にこそ価値がある。
だからこそ、現地へ。泊まり、触れ、味わい、測る。建築やホテル体験のように要素が多い対象も、まずは目の前の一つのシーンに注目して観察すれば解像度は跳ね上がる。アイデアとは、具体的に考えること、すなわち細部を徹底して考えることから生まれるのだ。

本書の制作にあたりお世話になった皆さまに、この場を借りて感謝をお伝えしたいと思います。
まずは、温かいご理解のもと、掲載を許可してくださった各ホテルの皆さまに深く感謝いたします。企画の意図を汲み、細部の確認まで丁寧にご対応いただきました。また、数々の演出を実際に生み出してこられた設計者・運営者の皆さまにも、感謝をお伝えします。日々、現地で学ばせていただきました。
推薦文を快く引き受けてくださった株式会社水星 代表・ホテルプロデューサーの龍崎翔子さん。「秘密が科学され尽くしている」という端的な一言で本質を表現いただき、推薦文にとどまらず、私の執筆の指針を改めて明確にしてくださいました。幅広い視点でホテルづくりに関わる方に届けたい、という私の願いに、力強く背中を押していただいたと感じています。本当にありがとうございました。
装丁と紙面デザインを担ってくださった paragram の赤井佑輔さん。毎回素晴らしいデザインを仕上げてくださっただけでなく、本の核となる価値について一緒に議論してくださいました。装丁デザインにおけるコマ割りの構想は、内容の骨格と呼応するご提案で、「これはいける!」と確信させてくれた重要な転換点でした。
折にふれて相談に乗ってくれた友人、そしてホテル本著者の先輩でもある、『東京ホテル図鑑 実測水彩スケッチ集』(学芸出版社)の著者・遠藤慧さん、『おひとりホテルガイド』(朝日新聞出版)の著者・まろさん。そもそも書籍の企画とはどんな流れで進めるべきか、というところから助言を数多くいただきました。特に困ることなく、原稿作業に集中できたのはお二人のおかげです。
一緒に伴走してくださった、学芸出版社の沖村さん。このプロジェクトは、沖村さんからのお声がけで始まりました。ベースの専門性は私と異なるものの、約1 年半の間楽しく議論し、やってこられたのは、ホテルへの熱い思いという点で一致していたからだと感じています。著者として私は全体の骨格・流れ・方針を組み立てましたが、その意図を丁寧に読み解き、言葉の精度を上げ、読者体験を向上させるための“ 演出”を随所に仕込んでくださったのは沖村さんでした。空間と異なり、言葉とは良くも悪くも直接的に伝わるもの。丁寧に表現に向き合いながら、本書の価値を磨き上げてくださいました。
そして、毎日のように執筆に追われる私を温かく見守ってくれた妻にも、この場を借りて感謝の気持ちを述べさせていただきます。

最後に、ここまで読み進めてくださった読者の皆さまへ。本書で紹介した素晴らしい演出のエッセンスを参考に、ご自身の現場やプロジェクトへと繋げていただければ幸いです。また、素敵なホテルの演出が見つかれば(もしくは創作される場合は)、SNSで共有いただくもよし、差し支えなければ私にも教えていただけると大変嬉しいです。お気軽に DM をお寄せください。
より良い知見が建築やホテルの現場で育ち、発信され、業界が盛り上がっていくことを願っています。

2025年11月 小島衆太

開催が決まり次第、お知らせします。

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公開され次第、お伝えします。

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