迷える工務店・設計者のためのココロをつかむ住宅提案術
内容紹介
顧客対応の初期段階に焦点を当てたノウハウ
ヒアリングで成功する秘訣は、単に「間取りの希望」を聞き出すことではなく、お客様が今後どのような生活をしたいのかという未来を共有することにある。顧客のココロをつかむことこそが契約への一歩だ。本書は、顧客対応の初期段階に焦点を当て、顧客と一緒に作り上げながら、顧客満足度を高めるための5つの極意を伝授する。
体裁 | 四六判・224頁 |
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定価 | 本体2200円+税 |
発行日 | 2024-07-15 |
装丁 | 金子英夫(テンテツキ) |
ISBN | 9784761528980 |
GCODE | 1097 |
販売状況 | 在庫◎ |
分野 | 建築一般 |
はじめに
1章
信頼を得る秘訣は「未来」を聞き出すこと
ヒアリングで他社を引き離す方法
2章
お客様はデザインを「感じて」いるだけ
デザインの方向性を一緒につくる方法
3章
こんな間取りはダメだ!
間取りの提案で失敗しない方法
4章
プレゼンでお客様のココロをつかむには
自社の提案をストーリーで語る方法
5章
標準仕様を「何となく」決めるのは危険
自社の標準仕様をつくる方法
おわりに
知識を持ったお客様が増えた今、私たちプロもウカウカとはしていられない!
皆さん、はじめまして。住宅系YouTuber・アミーゴ小池こと、建築総合コンサルタント「株式会社Amigo(アミーゴ)」の代表を務める小池純と申します。
私どもアミーゴは、建築・設計業務を行うほか、工務店や施工店、設計事務所の方々など住宅建築に携わるプロをはじめ、マイホームを建設中あるいは検討中のお施主様、そして不動産業者の方々など様々な人を対象にコンサルティングを行っている会社です(詳しくは222~223ページをご覧ください)。なかでも主な業務となっているのは、われわれが「施工店様コンサル」と呼んでいる住宅建築のプロの方々へのコンサルティングで、これまでに1500人を超えるプロからのご依頼をいただいてきました。
また、そうした業務と並行して、近年力を入れてきたのがYouTuberとしての活動です。2021年12月からYouTubeチャンネル『Amigo住宅ゼミ』をスタートさせ、「日本一わかりやすい建築情報チャンネル」を目指しながら、一般の方が家づくりをする際に知っておくべき様々な情報を発信するとともに、建築業界の名だたる方々とのコラボも実現してきました。
私のチョッとうさんくさい見た目とは裏腹に、マジメで役立つ情報を楽しくお届けし続けた結果、2024年6月現在、チャンネルの登録者数は1.5万人超となっています。
そんなわけで近年は、アミーゴでの「お客様コンサル」やYouTuberとしての活動を通じて、お施主様とのやりとりも増えました。そうした中で実感しているのは「知識を持ったお施主様が増えてきた」という手応えです。いわゆる「プロ施主」と呼ばれる人たちはもちろん、そこまでではないにせよ、家づくりについて自分たちでシッカリと調べてからマイホームづくりに臨む人や、自身の家づくりのプロセスやコダワリについてSNSなどで積極的に発信し情報交換を行う人が、ひと昔前に比べると格段に増えたと感じます。
では一方、プロ側はどうなのでしょうか?
このようなお客様の変化に合わせて変わってきたと言えるでしょうか?
実は、施主のあり方以外にも、今の住宅業界を取り巻く事情は、昔と比べ様変わりしています。だからこそ、われわれプロも日々学んでいかなければと、この業界に携わる一人として強く感じています。そうでなければ、厳しい現状の中、生き残っていくことは本当に難しいのです。
コンサル先の会社に提供したコンテンツから役立つノウハウを抜粋
そんな困難な局面にある建築業界で、情報や知識をシッカリとアップデートしながら生き残っていきたい! でも、コンサルティングを依頼するお金もないし、状況を打開するアイデアも自分ではナカナカ思いつかない……。そんなお悩みを抱えた建築のプロの皆さんにぜひ読んでいただきたいという思いで書いたのが、この本です。
本書では、アミーゴの施工店様コンサルで提供している「PAK(パック)システム」のコンテンツから、特に皆さんに役立ちそうな情報を抜粋してお届けします。
このPAKシステムでは、弊社が独自に作成したテキストによるコンテンツの配信と、月1回のオンライン面談を利用者の方々に行っているのですが、配信コンテンツでは顧客獲得や売り上げアップ、業務の効率化などに関する様々なノウハウを提供しています(ちなみにPAKシステムの利用者には、配信コンテンツを見て課題に取り組んでいただいたあと、弊社からのフィードバックを受けながら勉強していただいています。また、オンライン面談では、弊社から業務改善のアドバイスを行っています)。2018年4月にシステムを立ち上げ、現在87社からご利用いただけるまでになりました。
本書は、忙しいお仕事の合間に気軽に読んでいただけるよう、具体的な事例などを盛り込みながら、今のお客様・お施主様が何を考え、何を求めているのかがわかるようにまとめました。これまでの自社のやり方を振り返るきっかけになれば幸いです。
何はなくとも、まず成約。実施設計までの「初期」の段階を押さえよ
ここからは、本書のねらいや全体の構成についてお伝えします。
ハウスメーカーや工務店、設計事務所にお勤めの皆さんなら、「もっと契約を取りたい」「成約数を伸ばしたい」と思ったことが一度や二度、いやそれ以上あるのではないでしょうか?
実際、アミーゴの施工店様コンサルで、プロのお客様から最も多く受ける質問が、「今より契約を取れるようになるには、どうしたらいい?」です。
ホームページの作成やSNSの投稿に力を入れる工務店経営者は多いですが、そうした方法で集客が増えたとしても、自社に能力や商品が備わっていなければ最終的にはお客様を失うことになります。
あるいは、他社よりも値下げすることで成約数を伸ばそうとする会社もあるかもしれませんが、今は建築資材が値上がりしているうえ、人材不足で人件費も上がっています。つまり「値引きした分、たくさん売ればいい」といったことが簡単にできる世の中ではなくなっているので、成約欲しさに安さで勝負することは、会社の存続が危ぶまれるといった結果を招きかねません。
実は、大切なポイントは、もっと別のところにあります。本書では、家づくりにおける初期の段階に焦点を絞って、お客様に成約いただくためにどんなことが必要なのかをシッカリお伝えしていきたいと思います。
ちなみに、初期の段階というのは「来店したお客様から話を聞き取り、聞き取った内容をもとに間取りを提案して、その提案が採用されて成約をいただくまで」のプロセスになります。実施設計や現場での工事が始まる前の一番最初のプロセスですが、私からしますと、この初期の段階でお客様とどのように関わっているのかを見るだけでも、その会社の本質やプロとしての姿勢がわかると言えるくらいに重要なプロセスだと思っています。
建築のプロに求められているのは“いい家を建てる力”だけじゃない
私、アミーゴ小池が皆さんに伝授したい「顧客満足度を高め、成約に結びつけるための方法」は、次の5つです。
・「ヒアリングでお客様の未来を引き出す方法」 → 1章でお伝えします
・「デザインの方向性をお客様と一緒につくる方法」 → 2章でお伝えします
・「住んでから後悔しない、失敗のない間取りを提案する方法」 → 3章でお伝えします
・「自社の提案をストーリーで語る方法」 → 4章でお伝えします
・「得意なデザインの標準仕様をつくる方法」 → 5章でお伝えします
現代の建築のプロには、いい家を建てる以前にもいろいろなスキルが求められています。それは一体どんなスキルなのか、本書を読めば感じていただけるはずです。
もう前置きはいいから、サッサと教えろよ!と、皆さんお思いですよね。
続く1章からは、うさんくさい見た目のアミーゴ小池が、様々な事例や実践演習を交えながら、具体的なノウハウを、熱く、マジメにお伝えしていきたいと思います。
契約後も家づくりは続く。お客様とのコミュニケーションの重要性も増す
ここまで読んでくださった皆さん、たいへんお疲れ様でした。
本書でお伝えした内容には、今後の建築業界を生き抜いていく上で欠かせない、大切なエッセンスばかりを詰め込みました。また本書では、家づくりにおける「初期」の段階、つまり、お客様との契約を交わす前の段階に絞って、プロとして大切なことをお伝えしました。初期の成否を決めるカギとなる、お客様とのコミュニケーションの取り方や、デザインに対する考え方は、会社のあり方にも関わる最重要ポイントでもあるため、そこに内容を絞ったわけですが、当然ながら、契約を結んだあとのプロセスにおいても、より心してかからねばならない局面はたくさんあります。
多くのお客様は、契約後に数百万円もの手付金を支払います。なかには、そのあとに何かしらのトラブルが発生して、解約を申し入れられることもあれば、家を建てている最中に「全然イメージと違った」といったクレームを受けることもあります。ですから、「契約さえ取れればOK」ということは、決してありません。
また、会社によっては、そうしたトラブルが起こった際に、お客様に対して「こういうものですから、大丈夫です」などとパワープレイで押し切ってしまうパターンも見受けられますが、これからの時代、それはカナリ危険です! 近年は知識をつけたお客様が多いうえに、弊社のようにセカンドオピニオンを請け負う会社なども増えているので、下手をすると問題が大きくなって、裁判になったり、建て替えしなければならなくなったりする可能性もあるからです。
では、代わりにお客様とどのように関わっていけばいいのか? 本書で学んでくださった皆さんなら、もうご想像いただけるようになっているのではないでしょうか?
本書が皆さんにとって、変化の多い時代を生き抜くための支えとなれば幸いです。
開催が決まり次第、お知らせします。