Q&Aで地域を再発見! 手書き地図の教科書
内容紹介
手書き地図を書くヒントが満載の超入門書
Q&A形式で気づけば地元のイイトコロを見つけてしまい、オンリーワンな手書き地図が書けるようになる一冊。「何もないまち」なんてない!手順やウラ話、50のQ&Aで、自分のまちが大好きになる超入門書
はじめに
1 基礎編:手書き地図はかっこよくなくていい
1章 この地図のここが面白い!手書き地図解剖
〇ときがわ食品具マップ~作者の個人的なおすすめ、個人的なコメントが肝~
〇横浜市新鶴見小学校 み力いっぱい工場の思い・こだわりマップ~手書き地図憲章~
〇鎌倉市西鎌倉小学校 どこで何をすれば、サッカーがうまくなるか?~自分の「好き」を追求する~
〇沼津 知れば知るほど、ずぶずぶハマる!? 底なし沼津マップ~フィルターで街の一面を~
〇佐久 ぴよぴよツアーズ旅のしおり~友達に話すように、地域のことを伝える~
2章 良い手書き地図には◯◯がない!
〇恥ずかしさがない!~手書き地図は街へのラブレターである!~
〇正確さがない!~読む人に寄り道をさせるべし!~
〇網羅性がない!~偏愛は最強の武器である!~
〇余白がない!完成がない!~素敵なものをどんどん書き加えよう!~
〇絵を描かなくてもいい!~写真でも写真のトレースでも何でもよし!~
2 アウトプット編:常識にとらわれない地図をつくる
3章 だれのための地図? 手書き地図は、街へのラブレター
〇ときがわの川崎さんはだれのために地図を作っているのか
〇知りたいのは楽しみ方。役に立つ地図より便利なネタ帳的地図
〇そのエリアを再発見したいのは「未来の自分」
4章 どうやったら書けるようになる?
〇不安と恥ずかしさを捨ててまちに出よう!
〇[マインド]よき隣人たれ!
〇[マインド]普段からポジティブなことは、相手に伝えよう!
〇[マインド]常にお腹は空かせておこう!
〇[マインド]見たもの、気になったものをとにかく声に出す!写真に撮ろう!
〇[マインド]お店の人に積極的に話しかけよう!商品の質問から、その人自身への質問へ
〇[マインド]お店にある写真や絵画はツッコミ待ちの合図
〇[マインド]心に外の人目線をもとう!地元の人でも初めて来た街だと思って歩いてみる
〇[マインド]一番大事な持ち物。「どうして?」という好奇心
〇手書き地図力を鍛えて、まち読み力を高めよう!
5章 何はともあれ書きまくろう~手書き地図ができるまでを見てみよう~
〇おもろい友達が、おもろい人を連れて来るらしい
〇 下調べと下準備(いい塩梅に)
〇その辺りを知っていそうな人にインタビュー
〇ウェルカム・マップ
〇 いよいよまち歩き。見ているものが全然違う
〇 書こう!書こう!書こう!
3 トレーニング編:手書き地図を書くためのクエスチョン50
6章 STEP1 まずは有名どころでウォーミングアップ!
1自分が住んでいるまちと所縁がある偉人っている?
2探せば出てくる?土地にまつわるエトセトラ
3よそに誇れる歴史ある建造物はある?
4まちのシンボル(神社編)
5まちのシンボル(仏閣編)
6お土産に最適!おらほ(私)のまちの名物はこれだ!
7いにしえの遺跡 パワースポットは?
8実はここってロケ地だったの知っている?
9そこにゆるキャラは居るのか?
10これが地元の超!ランドマーク「お城篇」
11これが地元の超!ランドマーク「山篇」
12体験も可能!歴史的トリビアのある場所やお店
7章 STEP2 あなたのまちの耳寄り情報を教えて!
13子育てママパパに耳寄りな情報は?
14僕らの街は歴史もないし、観光地じゃないから何もないんだと思ったら
15ほかの地域では見られないナゾの設備は?
16地元の人たちに人気のお菓子って?
17愛され過ぎてなくなると困る食べ物ってある?
18よその人は違いに驚く!?特定の人や地域の意外な食文化
19いつかはチャレンジ!?びっくりグルメ
20ここだけはなくなってほしくない自慢の場所は?
21知らないと「モグリ!」と言われる、あのお店のあの食べ物
22移住してきた人が必ず驚くまちの風習や習慣ってある?
23公園でどんな遊びが流行ってる?
24学校で聞いたまちのウワサ話ってある?
25お家にお客さんが来たら、どんなおやつでおもてなしする?
26地元にある地酒(地ビール)ってどんなのがある?
27まちの人たちがハブ的に足を運ぶお店は?
28まちに面白い研究をしている人はいる?
29まちの人なら皆知っている有名人はいる?
30なんだこれ!?わたしのまちの珍百景
31まちの中にあるかっこいいデザインってなに?
32あなたの街の珍しい動物や鳥を教えて!
33地元ならではのマンホールデザイン
34出会いスポットは文化の交差点
35どうしてこうなった?町の噂を探ってみる
36地元に長く住んでいる証?呼び名でわかる地元民かそうじゃないかの判別法
37実は不思議に思っていたシリーズ(建物編)
38実は不思議に思っていたシリーズ(文化編)
8章 STEP3 個人的な思い出やストーリーを書いてみよう!
39食にまつわる超個人的な思い出
40思い出の地元のお祭りと云われってある?
41自分だけの思い出の場所は?
42あまりに日常過ぎてその面白さに気がついてないスポットとは?
43自分だけの秘密の絶景ポイントは?
44視点を変えたら、あら壮観!
45あなただけが知っている!?人には教えたくないお店
46ひとりでぼーっとできる秘密のスポットは?
47通学路で見かけて気になっているものってある?
48地元に友だちを連れてくるときにおもてなししたい特別な場所は?
49タイムスリップして探検してみたい場所は?
50香りの記憶
おわりに
町のウワサ、暮らしのエピソード、そして超個人的な思い出。地元とあなたの“目に見えない物語”を可視化した手書き地図が、やっぱり面白い!
前著『地元を再発見する! 手書き地図のつくり方』を世に送り出したのは、2019年の夏の盛りのことでした。たくさんの方が書店で手に取ってくれただけでなく、日本中の図書館が置いてくれたり、大学の講義や地域活性化の最前線でテキストとして採用されたり、日本と同様に“ローカル”が盛り上がっている台湾で翻訳本が出版されたりと、僕らが想像する以上に反響が大きくて、なんだか嬉しくなっちゃいました。みんな、こういうのを待ってたのね!
手書き地図の良いところは、これまで可視化されてこなかったウワサやエピソード、そして思い出といった、皆さんの頭の中にしまってある“地域の記憶”と心の片隅に置き忘れていた“自分の物語”を、誰でも自由自在に地図というフォーマットに落とし込むことができる偏愛ツールだということでしょう。たとえ正確さがなくても、たとえ網羅的でなくても、字が上手でなくても、線が曲がっていても、バランスが悪くても、カタヨリが激しくても、僕らが考える手書き地図はまったく気にしません。むしろ「それ、あなたにしか書けない物語=地図じゃん!」と全肯定すること間違いなし。これまでに実施してきた数々のワークショップでも、そういう超個人的偏愛路線を突っ走っている手書き地図がやはり面白く、強く印象に残っていたりします。
初の出版を経て、もっともっと手書き地図を愛する全国の皆さんに会いに行くぞー! そうだ、台湾にも行かなきゃだぞー! と意気込んでいた矢先に起こったのが、新型コロナウイルスによる外出制限。当面のワークショップや講演会はすべて白紙撤回となり、一気にしょんぼりしたことを覚えています。ちーん。ところが、これまた予想外の流れが起こりました。そうした制限の中でも“日常を楽しむ”ということを諦めず、遠出が出来ないなら身近な場所を見直してみようじゃないかと「地元再発見」の機運が巻き起こったのです。以来、これまではただただ通り過ぎるだけだった足下の通勤通学の風景や、見過ごしてきた地元の風土の中に、まだ発見されていない宝物を見つけようというムーブメントにつながっていきました。そう、まだ見ぬ未開の冒険の地は、意外にも皆さんのご近所にあったわけです。
ということで、僕らの本の続編『Q&Aで地域を再発見! 手書き地図の教科書』が爆誕しました。前著は手書き地図の事例紹介とワークショップのレポートが中心だったのに対し、本書では実際に手書き地図を作ることを念頭に置いています。基礎編(1章、2章)、アウトプット編(3章、4章、5章)、トレーニング編(6章、7章、8章)と、考え方から作り方へとステップアップしていく構成です。
通しで一気に読んでもいいし、好きな章だけ読んでもちゃんと成立します。グループワークも楽しいし、ソロワークも楽しいんだよなあ。毎回大いに盛り上がる手書き地図推進委員会のワークショップを、ぜひ読みながら机上体験してみてください。特に「どうやったら書けるようになる?」という心構えについて触れた4章と、反復練習になる「手書き地図を書くためのクエスチョン50」をまとめた6章~8章は、前著にはなかった要素。ワークショップの現場で実際に飛び出したティップスやヒントを惜しみなく収録したので、読み終えるころにはあなたオリジナルの“空想マップ”が出来上がるくらいには脳内イメージが整っていることでしょう。
手書き地図推進委員会の講演会やワークショップで必ず話すことの1つに、「今日は今日の音を奏でる」というフレーズがあります。それはバンドのセッションのようなもので、常にミスなく楽譜に忠実に演奏する必要はないという意味です。毎回正確さを求めていたら、当たり前ですが同じようなものばかり出来てしまいますよね。そうではなく、今日は今日の気分と調子でいきましょう。毎回異なるものが出来ることが面白いし、その積み重ねとレイヤーがあなたの物語と町の記憶のリアルな姿なのですから。
2024年2月吉日 手書き地図推進委員会 研究員 大内征
早速、ペンを持ち画用紙に向かった皆さんへ、でも書き出せないあなたへ
ここまで読み進めていただいた皆さん。ありがとうございます。また、1人で、みんなで早速手書き地図を作ってみようと思っていただけたのなら、もう書き始めているなら、とてもとても嬉しいです。
手書き地図推進委員会を結成したのはもう10年前になります。この活動がご縁で様々な場所へ出向いて皆さんとワークショップを重ねてきました。結成当初は商店街の方から、「地図を作ってくれるの? うちの商店街の地図頼むね!」とご依頼の相談もありました。その際、「我々は作りませんよ、作るのは皆さんなのです」と返すと、狐につままれたご様子。
皆さんお分かりのように、手書き地図推進委員会は手書き地図作成のプロセスである、「手法」や「気づき」をワークショップ形式で伝授し、さらに委員の面々も参加の皆さんとそのプロセスを一緒に楽しんでしまう団体なのです。このような取り組みは、ある程度メソッドを体系づけることができても、やはりワークショップを実行するにあたっては準備と時間などエネルギーがかかるものです。長く続けてこられたのも、委員の面々が純粋に楽しんでいるから。また、ワークショップで出来上がった地域の魅力あふれる手書き地図や、参加した皆さんの充実した笑顔が、僕らのエネルギーになっているからに違いありません。
さて今作の『手書き地図の教科書』いかがでしたか? 数々の視点は、その新鮮な角度にハッと気づかされることもあったかと思います。何回もパラパラとお好きな所をお読みいただき、楽しく活用いただけることを願っています。でもこの本を読んでいただいても、「一緒に作る仲間がいない」、「なかなか絵が描けないわ」と、まだまだ逡巡して書き出せない方がいるかもしれませんね(いやーいるはず。そうです、手書き地図推進委員の面々は心配性なのです)。今すぐ飛んでいってお話をしたい所ですが、そうはいかないので最後にもう一つだけ。そんなあなたへOne more thingです。
たとえば、日記が原稿用紙やノートに「言葉」で書かれるものなら、模造紙や画用紙やメモ帳に「地図」というフォーマットで書く手書き地図もまた、日記のようなものと気楽に捉えてみてはどうでしょう。
街の魅力は皆さんの感じた楽しさ、美しさ、美味しさ、面白さの中にあります。些細なことも大きなことも。ずっと変わらないものもあれば、皆さんの生活の中で日々更新されていくもの、失われていくものもあるでしょう。そうです。いつも「あなた」の中にあるのです。
1日の終わりに、今日はどこに行ったかなとミニミニ手書き地図をちょっとだけ日記のように気軽にメモ帳や日記帳に書き留めてみてはいかがでしょうか。どうですか、これだったら書けそう? 書けそうですね。うんうん。よかった!(としておきましょう)
手書き地図作成の楽しみに終わりはありません。皆さんが生活している限り、それが同じ場所であったとしても、日々いつも作る楽しさと喜びがあると思います。
いつか僕たち手書き地図推進委員会とワークショップでお会いすることがあれば、その際には、この本を読んで作った「あなただけの地図」をぜひ見せてくださいね。楽しみにしています。
最後に学芸出版社、編集の岩切江津子さん、沖村明日花さん、岩崎健一郎さん、前作に引き続き今作も素敵な装丁をデザインしてくださった美馬 智さんに最大の感謝をいたします。
あ、そういえばアジフライにはウスターソース一択だよ 大内研究員!
2024年2月 手書き地図推進委員会 研究員 川村行治
開催が決まり次第、お知らせします。