建築図法

佐藤健司 著

内容紹介

設計製図を始めるための基礎として、平面・立体、アイソメ・アクソメ、パース、陰影表現、着彩まで、基本的な作図プロセスを学ぶ教科書。手を動かしながら順を追って技法を習得する過程で、建築の諸図面への理解も進むよう工夫した。建築物などの実例を豊富に併載し、学習内容と実際の建築設計のつながりがわかる解説も充実。

体 裁 A4変・96頁・定価 本体2400円+税
ISBN 978-4-7615-2721-1
発行日 2019/12/10
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史

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目次著者紹介まえがき紙面見本採用特典教材

第1章 分割するということ

1. 直線の等分割
2. 角の2等分
3. 直線の垂直2等分線
4. ボロノイ図の作図
5. 黄金比
6. 正多角形
7. なわばりの幾何学
8. タイル割りと平面充填問題

第2章 円と直線をなめらかにつなげる

1. 円に外側の1点から接線を引く
2. 2つの円の共通接線を引く
3. 資生堂アートハウスの平面図
4. 疑似楕円
5. スプライン曲線・曲面
6. 「分割する」ことと「つなげる」こと

第3章 建築は箱である

1. 模型制作用図面
2. 模型制作
3. アドルフ・ロースのラウムプラン
4. 平面図・断面図の作図
5. ローマの教訓とプラトン立体
6. パンテオンとシェル(殻)

第4章 全体を俯瞰する

1. 平面図と立体図
2. 等測軸測投象図(アイソメトリック図)を描く
3. 等測図(アイソメトリック図)の簡便な描き方
4. 斜投象図(アクソノメトリック図)
5. デ・スティルとシュレーダー邸
6. 正四面体の作図
7. ル・コルビュジェの「建築家各位への覚書」

第5章 複雑な立体

1. 模型の制作
2. マレーヴィッチのアルキテクトニキ
3. 陰影を作図する
4. 平面図、断面図、アクソノメトリック図に陰影を作図する
5. コンピュータでの作図

第6章 透視図の基礎

1. 点の透視図
2. 地平面上の長方形の透視図
3. 視点位置を変更して、地平面上の長方形の透視図を描く
4. 直方体の透視図
5. 画面に対し平面的に30°回転して置かれた直方体の透視図
6. 直方体の二点透視図において視点高さを変更する
7. フランク・ロイド・ライトのプレーリー・ハウス

第7章 室内の光と影

1. 前川國男邸
2. 建築図面の構成
3. リビング・ルームの一点透視図
4. アウトラインをワトソン紙に転写して水彩で仕上げる
5. カルタゴの家
6. ピラネージの牢獄シリーズ
7. 北京国家大劇院のコンコース

第8章 印象に残る外観の描画

1. サヴォア邸
2. 直方体のボリュームの透視図
3. サヴォア邸の外観透視図とアウトラインの作図
4. ワトソン紙に転写して水彩で仕上げる
5. 「ドミノ」型住宅
6. 新しい建築の5つの要点
7. コルビュジェとカーンのアクロポリス

図版出典・クレジット一覧
参考文献一覧
巻末折図(サヴォア邸 平面図・断面図)

佐藤健司

静岡理工科大学理工学部建築学科 教授。1958年、埼玉県大宮市生まれ。1981年、東京大学工学部建築学科卒業。1983年、東京大学大学院工学系研究科建築学専門課程修士課程修了、工学修士。1983-1984年、メルボルン大学大学院留学(ロータリー奨学生)。1985-2000年、株式会社 磯崎新アトリエ 勤務。2000-2017年、有限会社 佐藤健司建築都市研究所 代表取締役。2017年より現職。

本書は、これから建築を学ぼうとする学生を対象にした「図学」の教科書である。

過去に私が学んだ一般教養課程での図学は、18世紀の数学者ガスパール・モンジュの投影法をもとにした理論重視の作図教育だった。図学は数学の一分野であり、それは当然のことであった。建築家フランク・ロイド・ライトが学生時代に描いたエンジニアリング・ドローイングは、放物線の弧を用いた回転体に太陽光線による陰影を描き出したものである。それは、まさしく伝統的な図学教育のあり方を今日に伝えている。
一方、この理論重視の図学教育にたいして、私が建築学科の初年度で学んだ図学はライトやコルビュジェの名作の透視図を、鉛筆で作図し、インクと水彩で仕上げる訓練だった。それは「習うより慣れろ」という性格のものだった。柔道やいけばなの「型」に近い。「道」と言い換えてもよいかもしれない。図学とは、一言で言えば、3次元の立体をどのようにして2次元の紙の上に表現するか、その「型」を覚えるということである。

本書では、さまざまな「図法」について、例題を通して学ぶ。しかし、それらの例題は、できる限り多くの図法を網羅するという意図で選ばれたわけではない。建築設計の現場で最低限、理解しておいて欲しいと思われる作図法に絞っている。むしろ、個々の図法が「建築」とどのように関わるのか、その解説に多くの紙幅を割いている。建築史における幾つかのトピックスについて、作図の観点から考察し、解説を加えたものである。さらに、製図板上での作図に加え、模型の作成やコンピュータを使った作図についても概要を記している。学生諸君には建築の基礎には図学=幾何学があるのだということを体得して欲しい。

本書は、静岡理工科大学での図学教育の実践に基づいて企画・制作したもので、全国の大学・専門学校等で建築を初めて学ぶ学生にとって、図学と建築概論を同時並行で習得するための教科書となることをめざしている。制作にあたって、磯崎新アトリエ、谷口建築設計研究所、前川建築事務所には、参照事例として図版の使用を快諾していただけたことに感謝を申し上げたい。

佐藤健司

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本書は、教科書としてご採用くださった方に、著作権者様のご了解のもと、以下のデータを特典としてご提供いたしております。

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