デザインキッチンの新しい選び方

本間美紀 著

内容紹介

脱システムキッチンの時代が来た。今、キッチンは驚くほど楽しく新しくなり、インテリアからキッチンを考えるユーザーが増えている。300件のキッチンを取材した著者が、新しい時代のニーズにワンランク上の提案ができるデザインキッチンの考え方を解説。70人の現場のプロへのヒアリング、全国のメーカー&ショップリスト付。

体 裁 A5・160頁・定価 本体2400円+税
ISBN 978-4-7615-2647-4
発行日 2017/06/01
装 丁 藤田康平(Barber)


目次著者紹介はじめにおわりに
はじめに──300件以上のキッチンを取材してわかったこと

1章 暮らしが変わって、キッチンも変わった

キッチンをインテリアから考える
家族の食事スタイルも激変
人生体験が結実するホームキッチン
日本とヨーロッパ、由来が違います
column 1 Frankfurt Kitchen─システムキッチンの母をドイツに訪ねて

2章 キッチンの新しい選び方

家具系? 住宅設備系?
脱「システムキッチン」の時代が来た
キッチンの入口はこんなに増えている
カスタムキッチン──事前に形の見えるセミオーダー
オーダーキッチン──一からつくりあげるから希望は具体的に
海外ブランドキッチン──ドイツやイタリアが主流
クチュールメイドキッチン──スタイルとファンを持つお仕立て風
デザイナーキッチン──建築家やデザイナーのオリジナル
ファッションキッチン──トレンドを敏感に反映
ファニチャーキッチン──家具ショップでも頼める
造作キッチン──工務店がオリジナルで制作
ステンレスキッチン──プロの厨房風なら
カジュアルキッチン──手軽な値段でデザインを
ホームケアキッチン──住宅設備メーカーのシステムキッチン
DIYキッチン──必要最小限に戻る
column 2 オーダーキッチンを頼む理由──キッチンデザイナーに出会った山田さん

3章 インテリアが変えたキッチンの常識

これからのキッチンは「遠目」でプランニングする
素材コーディネートが一番楽しい
キッチンの素材選びで考えたい要素
ワークトップが家具以上に大切な理由
デザインキッチンで人気のワークトップ素材
キッチンインテリアは扉材で決まる
デザインキッチンで人気の扉材
キッチンが良ければ家具が不要に?
しまう収納から生きた収納へ
美しいキッチンのなかにこんなにものが入る時代
収納はハーフ&ハーフで
ハンドルレスとインナードロワーが人気
キッチンにアクセント照明を
キッチンを光で切り替える
column 3 インテリアとキッチンを売る──ショールームが変わっています

4章 食生活が変えたキッチンの常識

デザインキッチンこそビルトイン家電を
シンクまで調理スペースになる
水栓金具はキッチンツール
ガスコンロでケーキもピザも焼ける?
オープンキッチンと好相性のIH
マルチクッキングシステムって?
大きすぎる? ビルトインオーブン
グルメオーブンでわが家がレストランに
食器洗い機は「大は小を兼ねる」で
選択のポイントはバスケット
column 4 キッチンショールーム体験会──チェックすべきことは?

5章 依頼主にアドバイスをするためのヒント

やっぱり足を運んでほしい
キッチンを決めるタイミング
カタログ写真のマジックに惑わされない
ディテールから説明しないで
デザインキッチンにいくらかけている?
依頼主が迷う場合は「暮らしの整理」を
キッチンビジネスは第三世代に突入
志向別キッチンプランのヒント。こんな提案ができれば大成功
あるキッチンプランナーの言葉

デザインキッチンリスト
おわりに

本間美紀(ほんま・みき)

キッチンジャーナリスト。早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」編集部に入社。独立後はインテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、建築家住宅の取材は300件以上、ユーザーとメーカー、両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多数。主な著書に『リアルキッチン&インテリア』(小学館)ほか。セミナー活動も多数。文学部出身ながらキッチンスペシャリスト資格取得。

リアルキッチン&インテリア ウェブサイト
http://realkitchen-interior.com
ブログ「キッチンのこころ」
http://blog.excite.co.jp/kitchen-journal/

300件以上のキッチンを取材してわかったこと

本書で主に紹介するのは、建築家や依頼主がキッチンを手に入れるための新しい入口です。私は住宅の取材を長く続けていますが、特にキッチンの取材に力を入れています。主に建築家の住宅やオーダーキッチンのある家庭を300件以上は取材していると思います。そのきっかけは単純なものでした。自分が料理をつくって食べて飲むのが好きだから。それだけの始まりだったのです。

そして2010年頃からでしょうか。取材でよく聞く言葉がありました。自分らしい、デザインの美しいキッチンを実現したお宅を訪ねると、「自分のなかにイメージがあるのに、設計者や工務店の勧めてきたカタログのキッチンはどこかしっくりこない、ピンとこなかった」「優れた機能やコストメリットを説明してもらっても、何か違う気がする。他に選択肢があるのではないか。そこで自分で一生懸命探した」と依頼主は言うのです。

情報を発信する側の私も、同感だったのです。雑誌やウェブサイトから執筆を依頼されるキッチンの企画は、いつも「お手入れ」と「収納」に特化したものばかり。もちろんそれは基本であり、大切なことですが、その記事をつくりながら、新しい世代のニーズには合わないと感じていました。取材に行くお宅では「てきぱき」「らくらく」の言葉が踊る記事よりも、インテリアの洋書に付箋をつけてキッチンづくりの参考にしていました。その様子も大きなヒントでした。提供される「キッチン」も、発信される「情報」も、誰もピンときていない。新しいタイプのキッチンの本を自分なりに企画し、伝えてきたつもりですが、まだまだ伝わっていないと痛感しました。

本書では「依頼主、設計者、キッチンメーカー」の3方向からの取材を通して、これからの新しい切り口を考えました。そして取材で出会った言葉に加え、キッチンに関わる仕事をする約70名にアンケートやヒアリングを行い、設計者に参考になるキッチン選びの「現場の声」を盛り込みました。

キッチンジャーナリスト 本間美紀

本書の内容は、すべて取材で出会った方々の暮らしやお話から教わったことから、分析したものです。料理の話、インテリアの話、キッチン選びの話。みなさん古くからの友人のように話して下さり、時には手料理をごちそうになることも。さっと手早く料理し、気の利いた盛りつけをして、素敵な食卓でもてなして下さいます。「みんなこんなにキッチンでの時間を楽しんでいるんだ」。取材をしながら何度そう思ったでしょうか。

専門誌『室内』の編集部にいた1995年頃は、キッチンの実例取材は料理やファッション、デザイン関係の仕事をしている人や帰国子女、富裕層の方が多く、取材地も大半は都心の一等地でした。ところが最近の取材先は郊外の住宅地が増え、地方都市でも素敵なキッチンが取材できます。取材先のお仕事も公務員、ショップ勤務や専門職、一般企業に勤務する人たちが、ウェブなどで情報を入手し、予算を上手に使って気軽に自分らしいキッチンを実現しています。

同時に、キッチンの新しいつくり方や売り方をしている人にもたくさん出会うことができました。けれどもキッチン業界のボキャブラリーはいつまでたっても同じで、キッチンのプロも依頼主も伝える言葉を持たないまま、行き違いが続いています。

ものは品質だけではなくコミュニケーションで売れていく時代です。キッチン設計のノウハウや技術的な情報は、私より詳しい人がたくさんいます。私の役割は「みんなが感じている思い」に言葉で輪郭を与えていくことだと感じています。本書ではロジカルな部分に不足を感じる人もいらっしゃると思いますが、日々の仕事で忘れがちなエモーションとノンテクニカルスキルが少しでも伝われば幸いです。

本書のベースとなっている実例は、ユーザー向けの著書『リアルキッチン&インテリア』シリーズ(小学館)にたくさん載せていますので、併せてご活用下さい。そして編集に辛抱強くお付きあい下さった学芸出版社の宮本裕美さん、ありがとうございます。

2017年5月  本間美紀

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