建築材料


加藤武彦・渡辺英彦 編

内容紹介

豊富な図表で「適材適所」がスイスイわかる

講義に沿った15章構成で初めの一歩から建築士試験まで導く〈わかる建築学〉シリーズの第6巻。材料分野に苦手意識を持つ人でも、豊富な図による説明と、各章末の練習問題、第15章の演習問題での理解確認を通して、基本と発展的内容が身に付くよう配慮した。建築物における「適材適所」がスイスイわかる、初学者必携の一冊。

体 裁 B5変・192.0頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2474-6
発行日 2009-11-10
装 丁 KOTO DESIGN Inc.

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目次著者紹介まえがき演習問題解答正誤情報

まえがき

第1章 建築材料の概要

1・1 建築と建築材料
1・2 建築材料の分類
1・3 建築材料と性能

第2章 木材

2・1 木材の種類と用途
2・2 木材の性質と特徴
2・3 製材品
2・4 木材の強度
2・5 木材加工品
2・6 その他の木材製品

第3章 コンクリート(1)

3・1 ポルトランドセメント
3・2 各種セメント
3・3 骨材の性質
3・4 混和材料

第4章 コンクリート(2)

4・1 フレッシュコンクリート
4・2 コンクリートの強度
4・3 弾性・クリープおよび収縮
4・4 硬化コンクリートのその他の性質
4・5 コンクリートの調合設計
4・6 レディーミクストコンクリート

第5章 コンクリート(3)

5・1 コンクリートの耐久性
5・2 硬化コンクリートの試験
5・3 特殊な性質のコンクリート
5・4 コンクリート製品

第6章 鋼材(1)

6・1 鋼材の種類
6・2 製法
6・3 加工

第7章 鋼材(2)

7・1 鋼材の性質
7・2 鋼材の規格
7・3 鋼材の接合
7・4 鋼材・接合の試験

第8章 ステンレス鋼とアルミニウム合金材

8・1 ステンレス鋼
8・2 アルミニウム合金材

第9章 タイル・れんが

9・1 建築用セラミックス
9・2 タイル
9・3 れんが
9・4 瓦
9・5 衛生陶器

第10章 ガラス・石

10・1 ガラス
10・2 石材

第11章 左官材料・ボード材料・シート材料

11・1 左官材料
11・2 ボード材料
11・3 シート材料

第12章 プラスチック・塗料・接着剤

12・1 プラスチック
12・2 塗料
12・3 接着剤

第13章 防水材料・建具

13・1 防水材料
13・2 シーリング材
13・3 建具

第14章 その他材料

14・1 防火材料・耐火材料
14・2 断熱材料
14・3 防音・吸音材料
14・4 その他

第15章 演習問題

章末練習問題解答

索引

編者

加藤武彦(かとう たけひこ,1章担当)

1947年宮城県仙台市生まれ. 1970年日本大学理工学部建築学科卒業.1970年㈱熊谷組入社,技術研究所.2003年技術研究所長,2009年建築事業本部副本部長.日本大学理工学部上席客員研究員.著書:『型枠の設計・施工指針案』(共著,日本建築学会,1988年),『連続繊維補強コンクリート』(共著,技報堂出版,1994年),『建設分野の繊維強化複合材料』(共著,シーエムシー出版,2004年)

渡辺英彦(わたなべ ひでひこ,2章担当)

1957年大分県久住町生まれ.1981年九州大学工学部建築学科卒業.1983年同大学院工学研究科修士課程修了.1983年㈱熊谷組入社.原子力開発室,技術本部を経て技術研究所.技術部長.著書:現場施工応援する会編『〈建築携帯ブック〉コンクリート』(共著,井上書院,2006年)

著者

田中淳一(たなか じゅんいち,3章担当)

1965年大阪府東大阪市生まれ.1990年徳島大学工学部土木工学科卒業.1992年同大学院工学研究科修士課程修了.1982年㈱熊谷組入社,技術研究所.建設材料研究グループ課長.

金森誠治(かなもり せいじ,4章担当)

1968年福岡県大牟田市生まれ.1992年長崎大学工学部構造工学科卒業.1992年㈱熊谷組入社,技術開発本部,技術研究所.建設材料研究グループ課長.著書:現場施工応援する会編『〈建築携帯ブック〉コンクリート』(共著,井上書院,2006年)

野中 英(のなか あきら,5章担当)

1975年東京都生まれ.1997年日本大学生産工学部建築工学科卒業.1999年同大学院生産工学研究科修士課程修了.1999年熊谷組入社,技術研究所.建設材料研究グループ副長.著書:現場施工応援する会編『〈建築携帯ブック〉コンクリート』(共著,井上書院,2006年)

吉松賢二(よしまつ けんじ,6章担当)

1951年鹿児島県薩摩川内市生まれ.1974年明治大学理工学部建築学科卒業.1976年同大学院理工学研究科修士課程修了.1976年㈱熊谷組入社,設計本部,技術本部,技術研究所.副所長.著書:現場施工応援する会編『〈建築携帯ブック〉コンクリート』(共著,井上書院,2006年)

濱田 真(はまだ まこと,7章担当)

1961年東京都大田区生まれ.1985年東京理科大学工学部建築学科卒業.1987年同大学院工学研究科修士課程修了.1987年㈱熊谷組入社,東京支店,技術本部,技術研究所.建築構造研究グループ副部長.

仲宗根淳(なかそね じゅん,8章担当)

1963年沖縄県名護市生まれ.1986年琉球大学建設工学科卒業.1988年熊本大学大学院工学研究科修士課程修了.1988年㈱熊谷組入社,技術研究所.建築構造研究グループ副部長.

前川利雄(まえがわ としお,9章担当)

1965年滋賀県今津町(現高島市)生まれ.1989年筑波大学第3学群基礎工学類卒業.1992年同大学院理工学研究科修士課程修了.1992年㈱熊谷組入社,原子力開発室,技術本部,大阪支店,技術研究所.建築構造研究グループ副部長.著著:『〈若き建築構造技術者に向けて〉限界状態設計法の挑戦』(共著,建築技術,2004年)

森 利弘(もり としひろ,10章担当)

1959年兵庫県淡路島生まれ.1981年神戸大学工学部建築学科卒業.1983年同大学院工学研究科修士課程修了.1983年㈱熊谷組入社,技術研究所.地盤基礎研究グループ部長.技術土(建設部門).著書:『新・ボーリング図を読む』(共著,理工図書,2005年)

近藤祐輔(こんどう ゆうすけ,11章担当)

1979年北海道札幌市生まれ.2004年筑波大学第三学群工学システム学類卒業.2006年同大学院理工学研究科修士課程修了.2006年㈱熊谷組入社,技術研究所.

佐々木静郎(ささき しずお,12章担当)

1956年福井県福井市生まれ.1980年大阪大学工学部環境工学科卒業.1980年㈱熊谷組入社,技術研究所,北陸自動車道子不知トンネル作業所,技術研究所.地球環境研究部部長.著書:『地下構造物と地下水環境』(共著,理工図書,2002年)

石橋久義(いしばし ひさよし,13章担当)

1955年福岡県福岡市生まれ.1978年九州大学工学部建築学科卒業.1980年同大学院工学研究科修士課程修了.1980年㈱熊谷組入社,技術研究所.建設技術研究部部長.技術士(建設部門).

村上順也(むらかみ じゅんや,14章担当)

1971年神奈川県平塚市生まれ.1994年筑波大学第三学群基礎工学類物質・分子工学主専攻卒業.1996年同大学院博士課程工学研究科物質工学専攻前期修了.1996年㈱熊谷組入社,技術研究所.地球環境研究部副長.

本書は,「わかる建築学シリーズ」の建築材料編として企画されたものであり,建築初学者を対象にしている.初学者が戸惑うことのないように,基本的科目を平易にだれもが理解しやすいような内容や表現にし,解説が必要と思われる項目については,コラムをつけ,折にふれて基本の再認識がしやすい構成としている.

建築材料は,建築物を構築するための構成材料であり,人類の生活と密接に結びついている.そのため,昔は石や木などの天然材料が主に使用されてきたが,文化や産業などの発展とともに,特に,明治時代以降は産業革命などの影響を受け人々の要求性能が多様化し,従来の材料に加えて,様々な新しい機能をもった人工材料が開発され使用されるようになった.新しい建築材料の出現は,新しい意匠や構造を生み,また逆に新しい意匠や構造は,材料の改良や進歩を促してきた.このようにして建築は日進月歩の発展を続けている.建築の実務に従事されている方々や初学者の方々は,自分の専門分野を問わず建築材料に関して一般常識を養い自由に材料を使いこなす知識を習得すれば,新しい建築の出現も可能だと確信する.

また,最近の建築は,耐震性,耐久性や耐火性などの品質をどのように確保するか? どのように長寿命化をはかるか? 地球環境に対する影響をどのように軽減するか? など様々な角度からの検討が必要になっている.建築材料を選定する場合には,施主や構造・意匠技術者とも密接に連携し物理的な性能や美観だけでなく,耐久性や環境性などについても十分に吟味する必要がある.

これら多くの建築材料を使いこなすには,それぞれの材料特性を把握する必要があるが,すべての材料について専門的な知識をもつことは難しいので,これらの材料のもつ基本的特性をよく把握して使い方を間違わないようにすることが重要である.

建築材料の変遷には目まぐるしいものがあるので,常にその状況を把握して最適な建築材料を使い分ける知識・能力をもってほしいと切望するものである.

本書は,多岐にわたる建築材料を,初学者にも簡単に理解してもらうことを念頭に,図表などを用いて簡潔に説明している.また,本書の構成は,一章ずつ勉強して15回で終了する15章だてとしている.各章を地道に勉強すれば一級建築士試験に必要な基礎知識が得られるようになっているので,是非本書を活用して得意科目にされることを期待している.

各章の末尾と15章には理解度を高めるための練習問題,演習問題を設けているので,有効に活用していただければ幸いである.

末筆ながら,本書に先行する研究,書物から様々な事柄について多くを参考にさせていただいたことについて,深謝の意を表する次第である.

執筆者一同

第15章演習問題の解答

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81頁表6・4の正誤情報

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