建築の配置計画


宮元健次 著

内容紹介

建築計画のポイントに応える待望のテキスト

法規や敷地条件を満たすだけでなく、自然環境や都市景観、さらには祈りや鎮魂といった人間の精神性に応える建築の配置とはなにか。本書は、国内外の優れた配置計画例を自然、都市、精神社会という三つの環境対応別に分類し、その計画意図と特徴を多数の図版を用い平易に解説した。建築計画のポイントに応える待望のテキスト。

体 裁 B5・128頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2283-4
発行日 2002-04-30
装 丁 尾崎 閑也


目次著者紹介まえがき書評

本書の構成

はじめに

序章 配置計画の基本

総論
1  建築基準法による制限
2  用途別配置計画
3  環境へのレスポンス
4  風水(陰陽五行説)と配置計画

第1章 自然へのレスポンス

総論
1  光
[作品例]桂離宮/高山白川郷民家群/東三条殿(復元案)/埼玉の集合住宅/3:4:5/聖ヨハネ会桜町病院ホスピス/村のテラス/擁の家/カモフラージュハウス2/東京国際交流館

2  風
[作品例]桂離宮/名護市庁舎/微風のスペース/飯田川小学校/金山町立金山中学校/エアロフォルム/関西国際空港/竜田川の家

3  水
[作品例]旧帝国ホテル(本館玄関ホール)/落水荘/土門拳記念館/Time’s Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ期/東京都葛西臨海水族園/釧路フィッシャーマンズワーフ/プリミティブ/水の洞窟

4  地形
[作品例]修学院離宮/日光東照宮/テラス・ハウス・カウットゥア/ウルヴィノ大学寄宿舎/シラーズ美術館/八ヶ岳美術館/笠間の家/六甲の集合住宅 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ/カーニバルショーケース/三方町縄文博物館/志摩スペイン村/龍谷大学プロジェクト/聖高原サレジオの家/玄海の週末住宅/県立ぐんま天文台/天野製薬岐阜研究所/松島ヨットハーバー公園事務所/花と緑の文化館/淡路夢舞台/大田区休養村とうぶ

5  眺望
[作品例]修学院離宮上御茶屋/もうびぃでぃっく/資生堂アートハウス/高知県立坂本龍馬記念館/軽井沢プリンスホテル/大津プリンスホテル/インターコンチネンタルホテル/リゾナーレ・ビブレクラブ小淵沢・音楽の森/MAX/かんなべ湯の森「ゆとろぎ」/川西町コテージB/伊浜の家

第2章 都市へのレスポンス

総論
1  敷地形状
[作品例]京都の町並み/桂離宮/沢田画伯の家/塔の家/住吉の長屋/健康文化センター石川厚生年金会館/香椎ガレリア/目神山の家8/グリーンメゾン沢渡/スカラ・レジア/警視庁本部庁舎/Tan-1 0.2/松下クリニック/東京国際フォーラム/藻岩山麓の家/中小企業大学校

2  ノイズ
[作品例]六本木プリンスホテル/中山の家/D―HOTEL OSAKA/ポンピドゥーセンター/歌舞伎町を覆う一枚の布(プロジェクト)/風の塔/都市のエントロピーを可視化する(プロジェクト)/2/5(5分の2) House

3  交通
[作品例]紀伊國屋書店/フロムファーストビル/国立文楽劇場/スカラ・レジア/東京都立体育館/パシフィック・タワー/栃木県なかがわ水族園おもしろ魚館/有楽町マリオン

4  ランドマーク
[作品例]三愛ビル/渋谷109ビル/ミッドランド銀行/ROTUNDA/グラン・アルシュ/アサヒスーパードライビル/GRAND ECRAN/ZEUS 仁摩サンドミュージアム

5  景観
[作品例]ラウタ・タロ/ヒルサイドテラス/北九州市美術館/建築会館/VαΛ関東学院大学学生健康管理センター・α・チャペル/アラブ研究所/兵庫県立歴史博物館/那須ヶ原ハーモニーホール/アクロス福岡/奥津温泉「花美人の里」/コモンシティ星田/国立オリンピック記念青少年総合センター

第3章 精神社会へのレスポンス

総論
1  象徴
[作品例]ギザの三大ピラミッド/ギリシャ神殿/アンコールワット/沖縄首里城/東京駅赤煉瓦駅舎/国会議事堂/つくばセンタービル/釧路市立湿原展望資料館

2  信仰
[作品例]ストーンヘンジのストーンサークル/日本の自然暦の例/木嶋神社の三角鳥居/厳島神社/サンピエトロ大会堂/横浜中華街/ルガーノ湖を望む家/奥郷屋敷

3  鎮魂
[作品例]平安京の都市計画/桂離宮と修学院離宮/江戸の都市計画/新薬師寺/京都御苑/那珂瓜連斎場/広島平和会館/ブリオン・ヴェガ墓地

4  再生
[作品例]イギリスのレイライン/伊勢神宮/日吉大社/豊国廟/東照宮/明治神宮/カサブランカ・ツインセンター/三良坂町無縁墓地

索  引

出典一覧・参考文献

おわりに

龍谷大学国際文化学部助教授

本書は、建築設計を学ぶ学生や建築の実務に従事する方々の配置計画についての解説書として、建築の置かれる環境別にわかりやすくまとめたものです。
近年自然環境の都市化が進み、都市環境が悪化の一途をたどるにつれ、これまでの建築法規を満たすだけの独善的な配置計画では行き詰まりを見せているのが現状です。特に自然環境や都市景観の保護が叫ばれている現在、建築の立場は環境を悪化させるものとして逆境に置かれつつあり、自然や都市との共生についてより深く考える時期がきているように思われます。

一方、建築設計を行う者にとって、配置計画は平面計画を行うのに先立つ重要なポイントであることは言うまでもありません。言い換えれば、建築計画において、誰もがまず遭遇する難関であるといっても過言ではないのです。

にもかかわらず従来、建築を取り巻く環境にゆとりがあった時代には、建築の配置の考え方について、それだけを取り立てて詳しく著されるということはほとんどありませんでした。

そこで、これまで建築計画のテキストの冒頭でわずかに解説されていたに過ぎない配置計画について、より詳しい専門のテキストを作ることはできないかと考え、本書を著しました。執筆にあたっては以下の4点に留意しました。

1 古今東西の建築の配置計画について基本事項をまとめた「序章」に加えて「自然へのレスポンス」「都市へのレスポンス」「精神社会へのレスポンス」の三つの環境対応形式別に分類しました。これにより、建築の置かれる環境別にその配置の考え方を明確に理解できると考えたためです。また各章に総論として、それぞれの考え方や特徴を写真やイラストを用いてビジュアルに解説しました。

2 各章別の環境の分類をさらに4~5項に細分割し、各項扉の解説に、配置計画の考え方を身近な例を挙げて詳細に解説しました。

3 各項は8~20の国内外の配置計画の実作品例を掲げ、その計画意図と特徴を平易な文章で解説しました。

4 解説内容については、従来の建築法規や敷地条件の分析方法に加え、最近注目を集めつつある風水学や環境問題、都市景観、精神社会等の視点から多角的に理解できるよう配慮しました。

以上のような本書の特徴が、皆様の配置計画の理解に役立てば、著者として無上の喜びです。

著者

『室内』(㈱工作社) 2002.6

建築設計の際に、その建物がどんな土地に建つのか、それを無視して設計する人はいないだろう。高台なのか盆地なのか、周りは海か山か都市なのか。それらを効果的に建物に取込めるかどうかは、建物をどう配置するかが鍵になる。本書は、タイトルの通り、建築の配置計画のポイントをまとめている。西洋と日本の建築の違いを踏まえた上で、考えるべきことを項目だてて説明しているのでわかりやすい。全編モノクロだが、豊富な写真と図面(もちろん配置図、そして断面図など)が載っているのと、住宅も公共施設も高層ビルも並列で扱っているのがいい。
規格化された建築は、環境と相容れないことが、よく分かる。

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