ようこそドボク学科へ!
内容紹介
学生生活を満喫する96の秘訣とハローワーク
環境工学、社会基盤工学、都市環境デザイン工学……土木と名乗らずとも“ドボク”を学ぶすべての学生必見!ドボクって何?という素朴な疑問から、多彩な授業の魅力、土木構造物鑑賞のツボまで、先輩74人が丁寧にレクチャー。ドボクの面白さと奥深さを堪能する学生生活が、この一冊で手に入る!気になるハローワークも満載。
佐々木 葉 監修/真田純子・中村晋一郎 他編著
著者紹介
まえがき
ドボクって?
1章 学科紹介
ドボク学科で学ぶこと 福井恒明
ドボク学科ならではの大学選び 中村晋一郎
幅の広さがドボクの強み 仲村成貴
ドボクの周辺学科その一――建築学とのちがい 佐々木葉
ドボクの周辺学科その二――環境学とのちがい 大西悟
ドボクの周辺学科その三――理学とのちがい 木口雅司
地方ドボク学生の醍醐味! 真田純子
高専ドボクのいいところ 高田知紀
ドボク学科で取れる資格 福井恒明
column・ドボクの魅力1――歴史的な土木構造物
2章 学校生活
入学したら
視野を広げる学び方 福島秀哉
覚える授業,感じる授業 真田純子
モチベーションこそが英語習得のエンジン 村木正幸
授業が面白くなる質問の仕方 福島秀哉
捨てられない教科書 中村晋一郎
憧れのドボク家を見つけよう 佐々木葉
日本をつくった名もないドボク家たち 西山孝樹
どぼじょの日常生活 渡邉加奈
ようこそ日本へ!留学生へのドボク的アドバイス 佐瀬優子
少し慣れてきたら
他学科の授業に潜り込もう 湯川竜馬
ドボク学生の読書術 山田菊子
ネット利用は“ほどよい”距離感で 大野峻
コンペで実力をつけよう 佐井倭裕
やってよかったインターンシップ 上口雄太郎
他大学の友達をつくろう 中島直弥
「土木学会」をどんどん活用しよう 山田菊子
専門科目が始まったら
すべての授業はひとつながり 出村嘉史
あらゆるモノの「構造」を感じよう 石原大作
数式の先に広がる「水」の世界 中村晋一郎
「測量」はドボクの基本 布施孝志
「材料」は物理と化学の合わせ技 佐藤正己
足元を支えている「地盤」に近づこう 加藤一紀
未来につながる「計画」をイメージしよう 小池淳司
都市と自然をつなぐ「環境」を考えよう 渡辺幸三
失敗しない「実験」の極意 藤山知加子
「グループワーク」は最高のドボク鍛錬 柴田久
“現場のプロ”非常勤講師の先生と仲良くなろう 崎谷浩一郎
卒業が近づいたら
ゼミ選びは先生のフィールドリサーチから 星野裕司
卒業研究って何だろう? 星野裕司
院試対策は“急がば回れ” 鍵村香澄
奨学金で拓け!自立的大学院生の道 藤山知加子
OB会はネットワークの宝庫 後藤浩
column・ドボクの魅力2――心地よい水辺の風景
3章 ドボク的日常生活
路線バスに乗って地域を知ろう 加藤博和
地形を感じて散歩をしよう 山口敬太
スマホもいいけど紙の地図 林倫子
昔の地図で時間旅行 林倫子
自転車で走ると見えてくる地域の個性 仲間浩一
気がつけばドボク的ドライブ 石井信行
川遊びで体感する水理と環境 林博徳
サーフィンで体感する波のエネルギー 岡田智秀
ゲレンデにあふれるドボク感覚 伊藤達也
恋をして,まちに出よう 馬場睦
“ドボクじゃない”人と話をしよう 岩本一将
学べるアルバイトをしてみよう 大野健太
飲み会の幹事は積極的に 山崎明日香
ドボク学生のためのファッションアドバイス 西野貴之
ドボク屋的,映画・音楽の楽しみ方 尾崎信
column・ドボクの魅力3――ドボクの創造性
4章 ドボク体験
夏休みはドボク旅 有田昌弘
現場見学会のチャンスを逃すな 八馬智
鉄ちゃん目線でドボクを究めろ! 小野田滋
イベントは自分たちで起こせる 行徳拓宏
セルフビルドで触れるものづくりの心 金子玲大
災害の現場から学ぶこと 永山悟
海外ドボク体験――途上国にみるドボクの原点 木村亮
海外ドボク体験――地震のある国,ない国 二井昭佳
海外ドボク体験――まちの日常風景から気づくこと 二井昭佳
社会参加はパブコメから 髙尾忠志
見えないドボクを想像しよう 出村嘉史
ドボク写真の楽しみ方 山田裕貴
ドボク体験の奥義はこの人に聞け! 大山顕
橋 ――上を向いてくぐろう
ダム ――ドボクのオーケストラ
港湾 ――日本の輪郭を守る最前線
河川 ――壮大で強大な友人との付き合い方
トンネル ――掘られた空間には何かが詰まっている
道路 ――「平ら」をメンテナンスする
鉄塔 ――インフラのスケールを語る人型
column・ドボクの魅力4 ――人が働くドボクの現場
5章 ドボク学生のハローワーク
国家公務員(総合職) ――国の未来を描く 渡邉加奈
国家公務員(一般職) ――現場から地域社会を支える 髙橋靖
地方公務員(都道府県) ――地域を俯瞰し,地域に寄りそう 長澤将皓
地方公務員(市町村) ――まちのマルチプレーヤー 竹森祐輔
ゼネコン ――現場を束ねて未来をつくる 金井孝之
橋梁メーカー ――橋のプロ集団 鴫原志保
高速道路会社 ――道路の計画から開通まで 橘剛志
鉄道会社 ――線路がつなぐまちと暮らし 小里好臣
電力会社 ――エネルギーの現場を支えるドボク 坂田智己
海外で働く ――その国に暮らす人のために 村木正幸
総合建設コンサルタント ――課題解決の“総合病院” 中込浩樹
専門コンサルタント(都市計画) ――頼れるまちの“専門医” 伊地知大輔
シンクタンク ――課題解決のプロフェッショナル 長谷川専
不動産会社 ――まちの形を企画するプロデューサー 濱元優
総合商社 ――“ドボクの総合力”が活かせる仕事 児玉健
測量会社 ――国土を測る仕事 吉田哲也
設計事務所 ――あくなきクリエイティビティの追求 山田裕貴
NPO(非営利法人) ――社会が求める課題解決請負人 山本慎一郎
研究職 ――いつも社会のための研究を 高橋良和
写真家 ――ドボクをはみ出した生き方 大村拓也
まちの人 ――ドボクの眼をもって生きること 佐瀬優子
column・ドボクの魅力5 ――風景のなかの土木構造物
編集後記
こんにちは。ドボクの世界へようこそ。
え、別にドボクの世界に入ろうと思っているわけじゃないけど、という人もいるかもしれない。まあ、あまり気にしないで。ともかくこの本を手にとってページを開いてみたのだから、なんとなく「ド・ボ・ク」という語が気になったわけだ。ちょっとした縁だと思って、もうすこし、読んでみてほしい。
多分「土木」という言葉を聞いたことがないという人はいないだろうし、皆何らかのイメージを持っているだろう。職業のひとつとして。あるいは理工系学問のひとつとして。見方によっては「建築」と近いような、はたまたまるで違うような。でもまあ、とにかく“何かものをつくる仕事”という理解は共通しているはず。それも小さいものでなく大きいもの。体を使って、機械を使って、ときに泥にまみれて。
はい、その通り。でもじつはそれって、「土木」のほんの一面でしかないのだ。
この本は、大学などでドボクを学ぼうとする人から、「あれ、もしかするとここってドボクだったの?」と学科に入ってから感じている人、さらには、何だかよくわからないけれど、もやもやっと、建築・建設・まちづくり・環境・都市・デザイン、なんていう言葉に興味がある人、そんな人たちに向けて、「土木」を超えた「ドボク」の魅力をお伝えし、それを学ぶためのお手伝いをしようという本だ。ドボク的マインドをもった元気な先輩達総勢74名が書いてくれた。
なお、先行して『ようこそ建築学科へ!』という本が同じ学芸出版社から出ている。この本は文字通りその姉妹本である。進学に際して、土木と建築の違いがよくわかっていない人も多い。読み比べてみるのもよいだろう。土木は、建築以外にも環境系の学科との接点も多い。そもそも現代では、学問の領域がどんどん混ざり合い、広がっている。ひとつの学問分野で完結させることのほうが難しい。だから、ドアの前でうろうろしていても何も始まらない。先ずは扉を開けて前に進むことだ。
そう、この本を手に取ったのも何かの縁。この本をきっかけにして、ぜひあなたの自身の目で、あなたならではのドボクの世界を発見し、広げていってもらえればと思う。
佐々木葉
例えば直線なら最短距離のはずの高速道路が曲がっているだとか、川の中の橋脚は小判型だとか、高架道路も道路を跨ぐところは鉄だとか。それらにはすべて意味がある。ドボクを学ぶつもりではなく、実はなんとなく入ってきた学生も多いドボク学科。そんな学生にとって、ドボクの授業はおそらく苦痛でしかないだろう。でも日常はドボクであふれていて、すべてに意味があることを考えながら聞けば、きっと授業も面白い。本書の編者が集まった最初の会議は、それぞれのドボク話で大いに盛りあがった。そんな雰囲気を盛り込みたいと思った。この本を読んで、ちょっとマニアックなドボク的学生生活を楽しんでほしい。
真田純子
ドボクに足を踏み入れて15年。今思うのは「ドボクって楽しい!」ということだ。その理由を本書の編集を通して考えていた。結論としては「ドボクは難しい」からだと思う。土木工学は「Civil Engineering」、市民工学である。市民の幸せとは? その幸せのために何ができる? それを考えるのがドボクであり、土木技術者だ。人や地域、それぞれに異なる“幸せ”を理解するのは難しい。だからいろんな場所に行き、人に会い、対話し、理解しようとする。答えが出るときもあれば、出ないときもある。だけど、人とのつながりからこの難題に向き合うことが、今は楽しくて仕方がない。皆さんにもドボクをとことん楽しんでほしい。この本がその一助になれば幸いだ。
中村晋一郎
ドボクという分野があることを知ってはいるけれど、人々の生活に密着した分野らしいけれど、何となく漠然とした感じがして大学で何を勉強するのかよくわからない、といった声を耳にすることが少なからずある。そんな声への回答のひとつがこの本だ。私自身もこの本でドボクの魅力を再認識できた。普通に、何の問題もなく利用できて“当たり前”の土木施設には、さまざまな技術が用いられ、多くの先輩たちが知恵を絞って携わっていることを誇りに思ってもらいたいし、積極的に仲間に加わってもらいたい。そういった思いを少しでも伝えられたのであれば、この本の編著に携わったひとりとして幸せに思う。
仲村成貴
大学では学びはじめたばかりの学生にドボクの全体像を伝える機会があまりない。それが学生の興味喪失や漠然とした不安感につながるのではと気になっていた。しかし、たとえ機会を与えられたとしても、多岐にわたるドボク分野のなかで、ひとりの教員が全体を語ろうとすることには躊躇がある。正規カリキュラム以外での時間の使い方、広い意味での勉強の仕方については断片的にしか伝えられないことをもどかしく感じていた。そういった意味で、この本は私個人としても待望の本だ。この本が多くの学生諸君にとってドボクの広さと面白さ、楽しみ方を知るきっかけになることを願う。
福井恒明
※イベントは終了しました
2015年4月12日 出版記念セミナー
ドボク学生生活を100倍楽しむ方法!
佐々木葉・真田純子・中村晋一郎・仲村成貴・福井恒明ほか
《イベント感想・抜粋》
- すごく楽しかったです。自分の持ってた不安は自分だけじゃなくて、先輩方、著者の方たちも持っていたと知り、少し安心しました。色んな経験をしようと思いました。(学生)
- 皆さんの愛に溢れるお話が聞けて楽しかったです。大学に入ってどうすべきかわからないなかで、このような本に巡り合えて本当に運が良かったと思っています。最近授業が楽しめていなかったので、現場にでてみよう!と思います。ありがとうございました。(学生)
- 質問タイムではとてもためになることを親切に答えていただき、嬉しかったです。懇親会でもたくさんの方と楽しくお話ができ、土木のことをより知ることができました。(学生)
- 様々な方のお話がきけて良かったです。とてもためになりました。このイベントをきっかけにもっといろいろな方と話してみたいという気持ちになりました。(学生)
- ドボク関係外でしたが、非常に面白い話を聞くことができました。(会社員)
- ドボクと環境保護は大変関係が深いと思います。(環境系勤務)
- 土木についてほぼ全く知識がなかった私ですが、土木の魅力、実態を詳しく、生の声を聴けて本当に貴重な経験ができました。なんとなく大学生活を過ごすのではなく、自発的に積極的にいろんなことにチャレンジしようと思いました、ありがとうございました。(学生)
- 改めて土木に関する話を聞くことができ、刺激になりました、今年度から新社会人として生活するうえで、必要な知識を得ることができた気がします。(新社会人)
- 私は最近ドボクの世界に飛び込んだので、アウェー感を感じるかな……とびくびくしながら参加いたしましたが、先生方の熱い想いとあたたかいお話に心地よさを感じました。本日のことを参考に私のドボク愛を見つけたいと思いました。(土木業界勤務)
- 土木愛を感じた。自身の、土木学科⇒造園(院)⇒土木就職という出身として、土木という広大な(目に見える)構造物が好きな一方で、あまりポジティブに関わりたくない土木の部分もあったので、土木=橋とか、構造物、ダムとかだけを想像してほしくないなと思った。(土木業界勤務)
- 多くの学生が参加しているのがすごく印象的で嬉しかったです。改めて「ドボクの仲間」のつながりの強さを感じました。(土木業界勤務)