一級建築士試験 環境工学のツボ
内容紹介
新学科(環境設備)開設で、環境工学、建築設備の分野は問題数が増えた。ことにグラフの読み取りや計算問題の多い「環境工学」の分野は苦手意識の強い受験生が多いが、足キリを考えるともはや避けては通れない。本書は過去問を分析し、暗記すべき要点、問題の解法を徹底的に解説。環境工学の制覇を指南する初めてのテキスト。
体 裁 A5・160頁・定価 本体1900円+税
ISBN 978-4-7615-1283-5
発行日 2011/03/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc.
まえがき
第1章 室内気候
1 湿り空気の状態
2 温熱環境
3 室内空気汚染
第2章 換 気
1 必要換気量
2 換気方式と換気量
3 換気効率
第3章 伝熱と結露
1 伝熱
2 結露
第4章 日照と日影
1 日照
2 日影曲線と日影図
第5章 日 射
1 日射量
2 日射熱取得
3 日照調整
第6章 防寒・防暑
1 日射熱の調整
2 緑化の効果
3 パッシブソーラーシステム
4 省エネルギーの基準
第7章 採 光
1 昼光率
2 昼光率の計算
3 採光方式
第8章 照 明
1 視覚
2 測光量
3 照明計算
4 光源の種類と特徴
5 照明の要件
第9章 色 彩
1 表色系
2 色彩の心理的効果
3 配色の効果
4 安全色
第10章 音 響
1 音の性質
2 遮音と吸音
3 騒音の防止
4 室内音響
第11章 防火と防災
1 火災時の炎と煙
2 非常時の群集特性
3 避難計画
第12章 環境工学の用語と単位
第1章の用語と単位 第7章の用語と単位
第2章の用語と単位 第8章の用語と単位
第3章の用語と単位 第9章の用語と単位
第4章の用語と単位 第10章の用語と単位
第5章の用語と単位 第11章の用語と単位
第6章の用語と単位
一級建築士試験は、2009年より新制度に移行し、従来の4学科から5学科に再編成された。これにともない、従来学科Ⅰの分野であった環境工学と建築設備が、学科Ⅱ(環境・設備)として独立した。この部分の再編は、地球環境の保全の重要性がますます高まる中、社会構造を循環型に転換するうえで、「地球環境建築」や「サステイナブル建築」が、建築生産のすべての分野で不可欠の思潮になったことの反映であろう。
ところで、旧学科Ⅰにおいて25問のうち各7問程度の出題であった両分野は、新しい学科Ⅱにおいて各10問程度の出題となった。こうした変更により、学科試験全体に占める環境・設備の割合が若干増えることとなったが、環境工学または設備が苦手な人にとっては、より重大な問題が浮上した。
各学科においては、平均点よりやや低いところに合格のための最低基準が設定されている。たとえ環境工学の分野が苦手であっても、旧学科Ⅰでは3分の1を占めているにすぎなかったので、計画と設備である程度カバーすることが可能であった。しかし、新学科Ⅱでは、たとえ設備が得意であっても、環境工学の点数が悪いと、この学科の合格最低基準をクリアできない可能性が高まることになる。ましてやここ数年、設備の問題が難化傾向にあるので、むしろ環境工学で十分な点数を得なければならない。環境工学は、内容を理解しさえすれば、8~9割以上取れる分野である。単に過去問題の繰り返し学習で過去問正答率を上げるだけでなく、内容の理解に重点を置いて学習を進めていただきたい。
本書の特徴は、「必ず覚える!公式」を示し、学習の重点を明確にしていることである。計算に使用するために数式自体を覚えなければならないものと、式の内容を理解すれば文章四択問題に対応できることなどをその都度明記しているので、それを参考にして効率よく学んでほしい。また、本文を補完する内容は、「コラム」として示している。本文理解に不可欠のもの、内容が高度で出題頻度が低いもの、余力があれば身につけておきたいものなど、コラムについても学び方をその都度示している。「問題例」 は、過去の出題をふまえ、テーマに沿って効率よく学習できるよう、重複をできるだけ避けて選択肢を再構成した。このように、「ツボ」を押さえた学習によって、効率よく、効果的な学習を進めていけるものと確信している。
最後に、本書を手にされたすべての皆さんが、環境工学の分野を十分にマスターされ、一級建築士試験の合格を勝ち取られますよう、健闘をお祈りします。
2011年2月
大西正宜