1.屋台をつくり、動かす人たち──屋台実践者インタビュー
1 生きる選択肢としての屋台 今村謙人(カモメ・ラボ)
2 世界に幅と揺らぎあれ──抗い、作り、街に出る モリテツヤ(汽水空港)
3 生活範囲を走る!自転車屋台 鈴木有美(パーラー102)
4 毎夜東京をさまよう屋台 神条昭太郎(TWILLO)
5 医者、街に出る──屋台でウェルビーイングを 孫大輔(家庭医)
2.屋台のある風景
3.屋台再考──専門家レクチャー
1 失敗したらトンズラすればいい──その日暮らしの屋台学 小川さやか(文化人類学)
2 現代屋台の社会学 南後由和(社会学)
3 日常の小さなことに寄り添う 鞍田崇(哲学)
4 闇市の発生から都市が再生する 石榑督和(建築史・都市史)
5 ギブ・ギブ・ギブ!やることなすこと根拠なし 栗原康(政治学)
4.橋ノ上ノ屋台の一日
5.対談 屋台のある風景(は増えるか)
阿部航太「街は誰のもの?」+笹尾和宏「PUBLIC HACK」
6.編集後記 屋台本ができるまで、できてから
中村睦美+今村謙人+又吉重太
●編者
中村 睦美
編集者。1993年生まれ。編集プロダクションを経て独立。建築批評、思想、文化などの領域を中心に、書籍やwebの企画・編集・制作を展開。
今村 謙人
カモメ・ラボ。1985年生まれ。設計事務所、現場、飲食店、工務店、世界一周、ホテルの住み込み、韓国語留学を経て独立。「とりあえずやってみる」状況を屋台でつくっている。
又吉 重太
おお企画室。1985年生まれ。滋賀で建築を学び、島根の地方コンサルを経て2020年に独立。米子の温泉街での「ぐるぐるかいけ」、広島電鉄の「生活沿線 宮島線」など、プロジェクトの企画やデザインを通じてまちに関わる。
●著者
今村 謙人
カモメ・ラボ代表 、橋ノ上ノ屋台共同店主。1985年生まれ。新卒で入った設計事務所をクビになり、仕事を転々とする。夫婦で世界一周旅行後、大阪へ。自らつくった屋台で営業するかたわら、全国のまちづくり、社会実験にも関わっている。
モリ テツヤ
汽水空港店主。1986年生まれ。幼少期をインドネシアと千葉で過ごす。2011年に鳥取へ漂着。2015年から本屋「汽水空港」を運営するほか、農耕、建築、執筆、焼きいもの販売、本の売買等、様々なことをして生き延びてきた。2025年から湯梨浜町町議会議員として議員活動もしている。
鈴木 有美
パーラー102調理・運転担当、竹城台一丁団地寺子屋代表。1981年生まれ。高校卒業後、東京の飲食企業でコックとして働く。2015年、夫の故郷である大阪府堺市へ移住。自転車で移動できる範囲と積載量で商売することをモットーにパーラー102で屋台営業をする。将来の顧客獲得として始めた子どもの居場所づくりの活動が認められ、2022年度から金髪の民生委員長として地域福祉に真面目に取り組む。
神条 昭太郎
TWILLOオーナー。1972年生まれ。大学卒業後、地方銀行に勤務するも、2年で退職。以降、さまざまなアルバイトを経験し、衆議院議員公設秘書の後、飲食の世界に入り、2006年にモバイルサロン「TWILLO」を立ち上げる。固定の店舗を持たず、屋台で都内を移動しながらTwitterやFacebookでその日の居場所を告知するというスタイルで営業している。
孫 大輔
鳥取大学医学部地域医療学講座准教授、一般社団法人コミュニティウェルビーイング研究所代表理事。2000年東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院、虎の門病院腎センター内科等での勤務を経て、2008年より北足立生協診療所にて地域医療に従事。2012年から東京大学医学教育国際協力研究センター講師として医学教育に携わる。2020年より鳥取大学医学部地域医療学講座に着任し、2024年より准教授。家庭医療専門医・総合診療専門医・医学教育専門家として、臨床・教育・研究を横断的に実践している。医療と人文学を架橋する研究に加え、地域における文化的処方や対話実践の普及にも尽力している。
小川 さやか
立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。1978年愛知県生まれ。専門は文化人類学、アフリカ地域研究。主な著書に『都市を生きぬくための狡知──タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社、2011年)、『「その日暮らし」の人類学──もう一つの資本主義経済』(光文社新書、2016年)『チョンキンマンションのボスは知っている──アングラ経済の人類学』(春秋社、2019年)など。
南後 由和
法政大学デザイン工学部建築学科教授。1979年生まれ。専門は社会学、都市・建築論。主な著書に『建築の際』(編著、平凡社、2015年)、『商業空間は何の夢を見たか』(共著、平凡社、2016年)、『ひとり空間の都市論』(ちくま新書、2018年)など。
鞍田 崇
明治大学理工学部准教授。1970年生まれ。専門は哲学、環境人文学。主な著書に『民藝のインティマシー──「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会、2015年)、『民藝のみかた』(監修・解説、作品社、2024年)など。
石榑 督和
関西学院大学建築学部准教授、中央研究院臺灣史研究所訪問學人。1986年岐阜県生まれ。専門は建築史・都市史。主な著書に『戦後東京と闇市──新宿・池袋・渋谷の形成過程と都市組織』(鹿島出版会、2016年)、『津波のあいだ、生きられた村』(共著、鹿島出版会、2019年)など。
栗原 康
東北芸術工科大学非常勤講師。1979年生まれ。専門はアナキズム研究、政治学。著書に『はたらかないで、たらふく食べたい──「生の負債」からの解放宣言』(ちくま文庫、2021年)、『死してなお踊れ──一遍上人伝』(河出文庫、2019年)、『サボる哲学──労働の未来から逃散せよ』(NHK出版新書、2021年)など。
阿部 航太
デザイナー。1986年生まれ。廣村デザイン事務所を経て、2018年よりデザインと文化人類学を指針として独立。2018年から19年にかけてブラジル・サンパウロに滞在し、現地のストリートカルチャーに関する複数のプロジェクトを実施。2021年に映画『街は誰のもの?』を発表。2022年3月に高知県土佐市へ活動拠点を移し、外国からの技能実習生と地域住民との交流拠点及びクリエイティブスタジオ「わくせい」を運営している。
笹尾 和宏
橋ノ上ノ屋台共同店主、認定SHIKAKIST。1981年生まれ。水辺のまち再生プロジェクト事務局、NPO法人とんがるちから研究所研究員。著書に『あたらしい「路上」のつくり方──実践者に聞く屋外公共空間の活用ノウハウ』(共著、DU BOOKS、2018年)。『PUBLIC HACK──私的に自由にまちを使う』(学芸出版社、2019年)など。平日は建設会社に勤務。