改訂版 イラストでわかる消防設備の技術

日本建築協会 企画
赤澤正治・岩田雅之・西 博康 改訂監修
中井多喜雄・石田芳子 著

内容紹介

建築物の高層化・複雑化に伴い、その重要性を増す消防設備。その技術の全てをわかりやすいイラストで解説し、ビル管理・設備・消防関係分野で幅広く読み継がれてきた『イラストでわかる防災・消防設備の技術』、待望の改訂版。最新の法令・データに準拠するとともに、現場での使いやすさのための項目配列の見直しを行った。

体 裁 B5・216頁・定価 本体3000円+税
ISBN 978-4-7615-3229-1
発行日 2017/03/27
装 丁 KOTO DESIGN Inc.山本剛史


目次著者紹介まえがき正誤情報
改訂にあたって
改訂版へのまえがき

1章 消防設備とは?

1・1 消防設備のあらまし

1 消防用設備等とは?
2 防災管理は防災センターで集中的に行う

1・2 消防用設備等の基本的な法規制

3 検定制度と自己認証制度の仕組みおよび定期点検報告制度
4 消防用設備等の工事、整備、点検は専門家でなければダメ!

2章 ほとんどの火災は水で消火できる!

2・1 燃焼の理論と火災

5 火災に区分はあるの?
6 燃焼の3要素とは?
7 石炭や木材、ガソリンも、燃えるのは「蒸発した気体」

2・2 燃焼と逆のことをすれば火は消える!

8 消火の基礎理論
9 消火には水が一番!

3章 消火器のはなし

3・1 消火器は初期消火にのみ有効

10 水バケツも消火器具の一種
11 最も実用的な消火器具は消火器
12 消火器の適応性と種類

3・2 各消火器の性能と対応火災

13 強化液消火器と泡消火器の違いは?
14 二酸化炭素消火器は高圧ガスボンベそのものだ!
15 消火器の主流は粉末消火器

4章 屋内消火栓設備

4・1 屋内消火栓設備の種類と使われ方

16 屋内消火栓にはいろんな種類がある

4・2 1号消火栓・易操作性1号消火栓と2号消火栓・広範囲型2号消火栓

17 屋内消火栓設備が必要な建物は?

4・3 加圧送水装置について

18 消火水はなぜ水圧を高めなければならないのか?
19 加圧送水装置で送水圧力を高める3つの方式
20 ポンプ方式加圧送水装置の要“ディフューザポンプ”
21 ポンプ方式加圧送水装置の構成
22 ポンプにはなぜ呼び水装置が必要なの?

4・4 消火栓箱の構成

23 消火栓箱の構成
24 屋内消火栓の使用方法を熟知しておこう!

5章 スプリンクラー設備

5・1 スプリンクラー設備のシステム

25 スプリンクラー設備は大雨を降らせる
26 スプリンクラーヘッドのカラクリ
27 劇場の舞台には開放型スプリンクラー設備
28 閉鎖型スプリンクラーヘッドの取付け方法と配置間隔
29 スプリンクラー設備に送水口は必要なの?

5・2 スプリンクラー設備に次ぐスターは流水検知装置

30 スプリンクラーポンプ自動起動のカラクリ
31 スプリンクラーポンプの特徴は?

6章 特殊消火設備

6・1 特殊消火設備のはなし

32 特殊な消火設備と火災の適応性
33 危険物施設にも特殊消火設備の設置が必要!
34 乙種第4類危険物取扱者免状をとろう!

6・2 水噴霧消火設備のあらまし

35 水噴霧消火設備とスプリンクラー設備の違いは?
36 水を噴霧させるカラクリ

6・3 泡消火設備のシステム

37 泡は火を窒息死させるんだ!
38 泡消火設備は固定式と移動式がある
39 泡消火設備の主役は泡ヘッドだ!

6・4 不活性ガス消火設備の特色

40 なぜ二酸化炭素で火は消えるの?
41 全域放出方式不活性ガス消火設備の構成は?
42 局所放出方式と全域放出方式との違いは?

6・5 窒素消火設備のあらまし

43 環境にやさしい消火剤、窒素消火剤とは?

6・6 粉末消火設備のシステム

44 粉末消火剤には4種類あるんだ!
45 粉末消火設備の構成

7章 屋外消火栓設備と動力消防ポンプ

7・1 1~2階の消火活動に有効な屋外消火栓設備

46 屋外消火栓設備は消防署の消防隊も利用する
47 屋外消火栓設備を設置しなければならない防火対象物は?

7・2 動力消防ポンプ設備について

48 屋外消火栓設備の代わりとなる動力消防ポンプ設備
49 消防ポンプ自動車も動力消防ポンプだ

8章 自動火災報知設備

8・1 自動火災報知設備の構成

50 自動火災報知設備とは?
51 警戒区域とは?

8・2 火災をキャッチするセンサが感知器だ!

52 感知器の種類と設置上の基準

8・3 火災の熱をキャッチする熱感知器

53 差動式スポット型熱感知器とは?
54 差動式分布型熱感知器のカラクリ
55 定温式熱感知器とは?

8・4 煙感知器のはなし

56 イオン化式スポット型煙感知器とは?
57 光電式煙感知器はスポット型と分離型がある
58 複合式スポット型感知器と多信号感知器の違いは?

8・5 人間が火災を知らせる装置が発信機

59 発信機には押しボタン式と電話式がある

8・6 受信機の役割

60 受信機の構成と種類
61 最も多く用いられる受信機はP型1級受信機
62 R型受信機と中継器はどんな関係?
63 火災信号を受信すれば警報音を発する音響装置
64 大切な受信機の作動テスト

9章 さまざまな火災警報設備

9・1 ガス漏れの危険性

65 ガス漏れ火災警報設備とは?
66 都市ガスとプロパンガスの違いは?
67 ガスは一歩間違えると大惨事!
68 ガス設備がない建築物でもガス漏れ火災警報設備が必要?

9・2 ガス漏れ火災警報設備の構成

69 どうしてガス漏れがわかるのかな?
70 検知器の性能基準
71 検知器はどこに設置するのかな?

9・3 漏電火災警報器

72 漏電火災警報器は木造建築物に設置するの?
73 漏電火災警報器の構成

9・4 非常警報器具および非常警報設備

74 非常警報器具と非常警報設備との違いは?
75 非常警報設備には非常ベルや放送設備などがある
76 放送設備のアナウンス次第ではパニックになる

9・5 消防機関へ通報する火災報知設備

77 119番通報は火災報知設備の基本

10章 避難設備のはなし

10・1 避難器具のはなし

78 避難器具の必要性と種類
79 ビルの消防訓練で見掛ける救助袋
80 “つるべ”を応用した緩降機
81 隣のビルへ避難するための避難橋

10・2 誘導灯・誘導標識・蓄光式誘導標識

82 誘導灯と誘導標識・蓄光式誘導標識はどう違う?
83 停電しても誘導灯は点灯している
84 避難口誘導灯、通路誘導灯、客席誘導灯

11章 消火用水について

11・1 火を消すための水源

85 消火用水は大量に確保しておかねばならない
86 消防用水の有効水量とは?

12章 排煙設備のはなし

12・1 排煙設備について

87 煙の正体とその怖さ
88 排煙設備の構成
89 特殊な排煙設備

13章 連結送水管と連結散水設備

13・1 連結送水管について

90 連結送水管はなぜ必要か?
91 連結送水管の構成
92 ホースをワンタッチで接続できる結合金具
93 乾式送水管と湿式送水管
94 バルブは配管(道路)の交通整理をするおまわりさん
95 超高層ビルの連結送水管はどうするの?

13・2 地下室火災に備えた連結散水設備

96 連結散水設備は地下室火災の消火を容易にするんだ!
97 連結散水設備の送水区域と送水口

14章 非常コンセントと無線通信補助設備

14・1 非常コンセント設備とは?

98 非常コンセント設備の役割

14・2 無線通信補助設備とは?

99 無線通信補助設備の役割

付録 Sl単位ってなんのこと?
索引
初版へのあとがき

改訂監修者

赤澤正治(あかざわ まさはる)

株式会社竹中工務店大阪本店設計部部長(設備担当)。日本建築協会編集委員会設備分科会委員。

岩田雅之(いわた まさゆき)

清水建設株式会社関西事業本部設備第一部長。

西博康(にし ひろやす)

清水建設株式会社関西事業本部建築技術部長。日本建築協会出版委員長。

著者

中井多喜雄(なかい たきお)

1950年京都市立四条商業学校卒業。垂井化学工業株式会社入社。1960年株式会社三菱銀行入社。現在、技術評論家。「イラストでわかる」シリーズ他、建築設備関係の著書多数。

石田芳子(いしだ よしこ)

1981年大阪市立工芸高校建築科卒業。二級建築士。現在、石田(旧木村)アートオフィス主宰。「イラストでわかる」シリーズでイラストを担当。

改訂にあたって

1993年に発刊されました『イラストでわかる防災・消防設備の技術』は、中井多喜雄先生の解りやすいユーモラスな説明と石田芳子先生の親しみやすいイラストで、これまで、大変多くの方に愛されて参りました。初心者にも大変わかりやすく、消防設備の設計・施工・点検・保全管理に携わる方に活用されてきたことと思います。(一社)日本建築協会は、本書の持ち味を生かしつつ、このたび、(1)現行法令との合致、(2)使いやすさの見直し、(3)本書の名称の3点に注目し改訂を行いました。

消防設備は、我々の生活を守るために極めて重要なものであることは言うに及びませんが、そのことを痛感させられる大きな災害が生じるごとに、消防関連法令が改定されてきました。

2001年の新宿区歌舞伎町の雑居ビル火災では、死者44名、負傷者3名に及ぶ大惨事となりました。この火災を契機に消防機関による立入検査及び措置命令に係る規定や、防火対象物定期点検報告制度、避難・安全基準の強化などが行われました。

2009年には、老朽化した消火器の破裂事故が発生し、類似の事故が多発しました。これを受け、消火器に関する規格や基準が見直されました。
2012年には、広島県のホテル火災(死者7名・負傷者3名)、2013年には、長崎市の認知症高齢者グループホーム火災(死者5名・負傷者7名)、福岡市の診療所火災(死者10名・負傷者5名)が発生したこと等により、スプリンクラー設備や自動火災報知設備の設置基準や消防機関へ通報する火災報知設備に関する基準の見直しが行われました。

さまざまな状況の中で、消防関連法令は常に見直しをされていますが、今般改めて記載内容の現行法規への一致を行いました。

また、消防設備の設計・施工に携わっている方には、広く利用されています『建築消防advice』(建築消防実務研究会編、新日本法規出版株式会社)の参考図書としても活用しやすいように、本書の記載順序の見直しを行いました。

「防災」という概念は、1995年の兵庫県南部地震以降、地震・津波・土砂災害・洪水・火山噴火など多様な領域に広がっております。本書は消防設備の解説に特化したものですので、『イラストでわかる 消防設備の技術』というタイトルにいたしました。

これまで以上に、本書を多くの技術者に活用いただき、また災害防止の一助になれば幸いです。

最後に、本書の原著者であられます中井多喜雄先生、並びにイラストのご担当であられます石田芳子先生には、改めましてご功績に敬意を表しますとともに、このたびの改訂に快く御了承いただき進めることが出来ましたことを厚く御礼申し上げます。

2017年1月 一般社団法人 日本建築協会 出版委員会
上原正行 西 博康

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