写真マンガでわかる 工務店のクレーム対応術

玉水新吾・青山秀雄 著/日本建築協会 企画

内容紹介

住宅建設需要が減退し、施主一人ひとりとの長期的な関係づくりが重要となるなか、施主の満足度を高めるために工務店は何をすべきなのか? 本書は、施主とのコミュニケーション不足から生まれるよくあるクレームを網羅し、正しい事前説明とクレーム発生後の対応をわかりやすく解説。選ばれる工務店になるためのヒントが満載!

体 裁 四六・220頁・定価 本体2000円+税
ISBN 978-4-7615-2591-0
発行日 2015/04/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史


目次著者紹介はじめに
はじめに

第1章 「建築主の気持ち」を軽視する工務店に未来はない

1-1 CIS(顧客感動満足)とは
1-2 「満足」と「不満」の分岐点
1-3 企業対応がクレーマーをつくる
1-4 クレームの予防と対応の目安
1-5 CISを高めるためのステップ
コラム1 魅力的品質

第2章 契約解除・不払いに関するクレーム

2-1 勝手に親と話を進めるな
2-2 打ち合わせ態度が悪い
2-3 追加工事の見積もりがいい加減
2-4 工事の途中で「契約を解除してくれ」
2-5 無償で補修工事をしろ
コラム2 工期遅延に関する業界のガイドライン

第3章 契約から着工までのクレーム

3-1 契約後に連絡が途絶えた
3-2 設計変更するたびに追加費用をとられるのがイヤ
3-3 契約前の説明と図面が違う
3-4 いつまで待っても着工しない

第4章 工事中の近隣からのクレーム

4-1 挨拶がない
4-2 車が邪魔
4-3 臭い・ゴミを何とかしろ
4-4 日照権の侵害だ
4-5 工事がうるさい
4-6 建物の配置を変更しろ
4-7 片付け・養生をしっかりしろ
4-8 職方のマナーが悪い
4-9 窓が隣接していて困る
4-10 境界から建物が近すぎる
4-11 境界付近の機器が迷惑
4-12 通行していたら道路に資材が出ていてケガをした
コラム3 サンクコスト

第5章 建物に関するクレーム

5-1 ボルトがずれているのでは?
5-2 構造材料が雨に濡れた
5-3 構造材に傷があるのでは?
5-4 梁や柱に足跡がついている
5-5 柱・梁のボルトがゆるいのでは?
5-6 構造材にヘンな穴が開いている
5-7 室内の養生が悪いのでは?
5-8 釘・ビスの間隔が粗いのでは?
5-9 変更が伝わっていないのでは?
コラム4 悪魔の証明

第6章 入居後の瑕疵に関するクレーム

6-1 建物が傾いているのでは?
6-2 基礎の厚さが足りないのでは?
6-3 基礎に割れがあるのでは?
6-4 新築なのになぜ不具合があるのか?
6-5 白蟻が出た
6-6 シックハウス症候群になった
6-7 建物が揺れるように感じる
6-8 排水接続の外れ・湧水がある
6-9 クロスにひび割れがある
6-10 外壁シーリングが割れている
6-11 給水給湯管が保温されていない
6-12 木材が反ってきた
6-13 床下の結露がひどい
6-14 雨が漏れた

おわりに

玉水新吾(たまみず しんご)

1953年京都市生まれ。名古屋工業大学建築学科卒業後、1976年から大手住宅メーカーにて、技術系の仕事全般を34年経験。現在は独立し、1級建築士事務所「ドクター住まい」主宰、大阪地裁民事調停委員。
HP:ドクター住まい http://doctor-sumai.com/
資格:1級建築士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級造園施工管理技士、1級管工事施工管理技士、宅地建物取引主任者、インテリアプランナー・インテリアコーディネーター、コンクリート技士、第1衛生管理者
著書:『現場で学ぶ住まいの雨仕舞い』『建築主が納得する住まいづくり』『写真マンガでわかる建築現場管理100ポイント』『写真マンガでわかる住宅メンテナンスのツボ』(学芸出版社)、『DVD講座 雨漏りを防ぐ』(日経BP社)

青山秀雄(あおやま ひでお)

1945年大阪府生まれ。大阪工業大学建築学科卒業後、大手住宅メーカーにて、工事管理・工場製造管理・生産管理・品質保証を担当。品質保証本部(品質保証・建築主サービス室)などを経て、2010年3月退職、10月に青山CSプランニング開設。
HP:建築クレームの予防と対処 http://www.cs-aoyama.sakura.ne.jp/
これまでに1500件以上の住宅クレームに対応してきた。現在も建築主・工務店双方から、住宅の各種クレーム相談に応じている。

○マンガ

阪野真樹子(ばんの まきこ)

神戸女学院大学卒業、大手住宅メーカー勤務後、イラストレーターとして活躍。

日本国内では、世界でも類をみないスピードで少子高齢化が進んでいます。その結果として、住宅を新築しようとする需要が減少しています。2014年には、既に空き家戸数は、全住宅の13.5%にあたる820万戸と、過去最多を更新しています。建物の質は別として、量は充分に余っているのです。住宅を建てようとする人が、過去のように大きく増えることはありません。

工務店の立場からすると、今後は一人ひとりの建築主の重要性がより高まることになります。建築主に満足を与え、クレームによる損害を防ぐとともに、良好な関係を継続することが重要となります。場合によっては、紹介受注の可能性もあります。過去に縁あって建築した建物のメンテナンスを責任をもって継続していくことは、建築主に対する工務店としての責務です。

住宅現場では、建築主の知識不足や工務店側の説明不足、建築主の気持ちへの配慮不足、建築主の要求内容の確認不足などによるクレームが発生しています。

品質管理の行き届いた工場製品と異なり、住宅建設に使う材料は、農林産物である木材や、湿式材料であるコンクリート・モルタルといった、乾燥収縮を伴う特性をもつものです。職方による現場施工となると、人によるバラツキもあります。つまり建築現場では、若干の不具合は必ず存在するものと言えます。材料にも誤差があり、施工にも誤差があります。大半の不具合は補修することが可能ですが、事前の説明によって建築主に理解してもらうべきところもあるかと思います。

屋外単品受注生産である住宅産業は、昔から“クレーム産業”と呼ばれてきました。建物に実際に住んでみて初めてわかることも多いので、クレームは起きるのが普通です。

工務店の工事管理者や各職方が同じレベルの建物品質、同じレベルの建築主対応をしても、建築主が大変満足する場合もあれば、逆に大変不満に思う場合もあります。この点が難しいところです。

一言で言えば、コミュニケーション不足です。コミュニケーションがあれば、問題点の早期発見につながり、対応方法もあります。人と人の問題ですから、バラツキがあり、まったく同じ場合はありません。
多くの建築現場を掛け持ちする工務店側の工事管理者にとっては、その現場はあくまでも多数の現場の内の一つであり、自分の家がすべてである建築主とは温度差があります。この温度差が、クレームに大きく影響します。住宅は、メンテナンスを繰り返すことにより、半永久的にもたせることが可能です。メンテナンスを継続するためには、建築主と工務店は良好な関係を継続する必要があります。主導するのはプロである工務店でなければなりませんが、建築主側にも努力が必要です。建築主が工務店を気に入らないという理由で、簡単に交代させるべきものではありません。

クレームは、調停や裁判といった争いになる前に解決したいものです。建築主からのクレームを減らす対応、次に、起こってしまったクレームを解決するための対応を考えます。建築主への対応はどうあるべきか、事例を含めて解説していきます。現場はすべて異なり、人もすべて異なるため、個別事例をそのまま適用することはできませんが、解決のヒントになると思います。

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