プロが教える住まいづくり

井上まるみ 著

内容紹介

人生をかけた大金が動く住まいづくり。しかし、住宅の計画が進む途中で、あるいは完成してから、「これでいいのだろうか」と気づき、「しまった」「困った」との想いを強く持つ建築主がいます。……それはとれも残念なことです。「納得の住まいづくり」のツボを、家政学士である女性建築家が教えます。

体 裁 A5・168頁・定価 本体1800円+税
ISBN 978-4-7615-1335-1
発行日 2014/03/15
装 丁 前田俊平


目次著者紹介はじめに
はじめに

第1章 「暮らしの器」を求めた建築主たちのドラマ

1 着工1週間前にもう一度考え直すことにしたMさん
2 自然素材を使う業者と契約したもののプランに疑問を持ったSさん
3 設計者に「そんな希望は無理」と言われても諦めなかったNさん
4 打ち合わせの度に落ち込んで疲れきってしまったYさん
5 伝えたことは入っている図面だが、「この設計で希望の暮らしができるだろうか」と気になったKさん

第2章 困ったことにならないための第一歩

1 建築主としての心がけ5ヶ条

まずは学ぶこと
依頼先により「普通」の基準は異なる
住まいは商品とは異なる
□コラム 「板」は「木が反る」と書く
軸足をしっかりと持つ
判断・決断するのは建築主
□コラム 強引な彼についてゆくか?別れるか?

2 納得のいかない住まいとなったのはなぜ?
3 納得のためのチェックシート
4 先輩建築主の困った姿に学ぶ

自然素材と付き合ったことがない
「こんなものだとは思わなかった」
友人やネットの情報を鵜呑みにする
にわかデザイナーになる
次々と変更を繰り返す
□コラム 図面はそんなに早く描けない
最後は「素人ですから」
会話のルールが守れない
モデルハウスに憧れてしまう
□コラム 図面の打ち合わせはせめて1/50で
□コラム 部分にこだわりすぎると…

第3章 賢い建築主になるために

1 住まいづくりはいつ始めるといい?

新築マンションを購入後すぐにリフォーム
リフォームを思い立ってから12年が過ぎて…
新築を思い立ってはや10年以上…

2 「見た目」だけで決めない

重要なのはデザイン?暮らし?
重要なのはデザイン?建物の寿命?
□コラム 設計者に1週間我が家で生活を共にしてもらったが
□コラム 人間の能力をUPさせる住まい、DOWNさせる住まい

3 「若い夫婦」「子育て家族」「終の棲家を求める世代」へのメッセージ

これから子育てをする若い夫婦へ①
これから子育てをする若い夫婦へ②
□コラム 現場の職人さんへのおやつも大切
子育て中の家族へ
「終の棲家」を求める世代へ
□コラム 地鎮祭・上棟式も大切に

4 建築士の選び方

建築士のいる会社によって設計内容は違う
建築士だから暮らしがわかるとは限らない
似合わない設計者にはどう伝えても無理
合う設計者かどうかを判断するヒント
□コラム 設計事務所紹介サイトでは施工会社を選べないことも
女性の建築士、男性の建築士
まずはノックしてみよう
□コラム よい設計者は、よい運転手

第4章 住まいの提案事例から

1 あなたの図面(プラン)、これでいいのですか?
2 水まわりのプラン変更依頼を受けたN邸
3 仕事を持つ主婦を応援する住まい
4 南・北・西に3階建てが聳える、細長い土地の快適な2階建て
5 趣味を楽しむ60歳代夫婦の住まい
6 暮らし方の提案事例より
7 仮設住宅に想う

第5章 設計者・施工者へのメッセージ

1 設計者(建築士・建築家)へのメッセージ

建築家は暮らしを読む力を
建築主の声に耳を傾けて
建築士の考えをきかないのは困った建築主?
□コラム 自己満足の指揮者に施工者はついていけない
思い込みで設計を進められても…
□コラム 街に乱暴なことをする建築家・住宅メーカーも
わからない時は「わかりません」

2 施工業者へのメッセージ

設計者の声に耳を傾けよう
建築主の声に耳を傾けよう
打ち合わせのルールを守ること

おわりに
謝辞

井上まるみ (いのうえ まるみ)

1972年相模女子大学学芸学部食物学科卒業。同年三重県立の高等学校教諭として、食物・被服・保育・家庭経営・住居を教える。退職後、公立学校の講師・養護教諭・栄養士を経て建築・インテリアを学び、建築関連企業に籍を置く。1980年キッチンのコンサルタント事務所開設。1987年住まいの研究室主宰。住宅設計・キッチン設計・キッチンスペシャリスト養成セミナー・リビングセミナー開講、インテリア専門学校講師・NHK文化センター講師・大阪府衛生対策審議会専門員等を務める。現在、大阪府建築士会理事(建築相談委員・総務広報委員・住生活研究会・シックハウス研究会・女性委員会)、東京都建築士会会員、インテリアプランナー協会評議員・事業委員、日本建築協会出版委員、家庭電気文化会幹事、日本住宅会議会員

住まいづくりでは、人生をかけた大金が動きます。ですから、お金の使い方を有効に考えることが大切です。

住まいは、手にしてしまうと、「しまった」と思ってもそう簡単に建て替えやリフォームできません。ですから納得の住まいで長く住み続けたいもの。

住まいは、一旦暮らし出すと、アッという間に10年、15年、20年、25年が経ってしまいます。ですから、長い目で空間・構造を考えておくことが大切です。

そして、次のようなことも意識しておくことが大切です。

住まいに合わせて暮らすのではなく、家族の暮らしに合った住まいにしたいものです。ということは、暮らしをよく考えた設計が大切です。

住まいは、人を変える大きな力を持っています。ですから、空間の設計・インテリアの設計はじめ、多角的に考えることが大切なのです。

住まいには、手入れ(メンテナンス)が必要です。ですから、メンテナンスのしやすさや後に発生するメンテ費用のことを考えた設計も大切です。

このように(これ以外にも…)、大きな意味を持つものですから、よく考えることが大切なのです。ですから、建築主の方が、「一生懸命勉強しなければ!」と動き出します。住まいに関する情報源には、本・ネット・友人・住宅展示場・DM等々たくさんあります。

それらをもとににわか勉強をし、「わかった」と思い、その判断を元にどんどん住まいづくりを進めていく建築主の方や、わからないので、ある日出会った施工業者や設計者に頼ってその方主導でどんどん進めていく建築主の方が多いように思われます。

しかし、じっくりと、多角的に、よく考えてみると、「わからない」「難しい」「何がよいのだろうか?」「何を基本に考えるといいのだろうか」…「わからない」ということがわかってきます。

「わからないことがわかる」これは、「納得の住まい」を手にしようとする方にとって素晴らしい意識の一歩だと思うのです。

だって、人生の中で何度も体験することのない「住まいづくり」についていくら多くの情報が目の前に転がっているといえども、そして、急に考えようとしても、そう簡単なものではないからです。

住まいづくりがスタートする前に、住まいづくりに関する全体像や考えるポイントがはっきりわかっていればいいのですが、残念ながら、モヤのかかった中で(本人はモヤの中であるとは気づいていないことが多いのですが)スタートを切っており、動き出してから、「イヤ待てよ! これで本当にいいのだろうか?」「何かもっと考えておかなければならないことがありそうだ」等々のことに気づき出す方々もいるのです。住まいづくりを考えている建築主の方々には「納得の住まい」を手にしていただきたく思うのです。しかし「納得の住まいづくり」を実現させるためには、実に多くの条件を、専門的な知識をもとに同時に検討していくことが必要なのです。

「そう言われても…。いったいどうすれば納得の住まいを手に入れることができるのですか?」との問いに答えるものの一つとして本書をまとめました。

「私達が暮らす納得の住まい」を手にしたいとの願い(夢)を捨てずに、とてもとても多くのエネルギーや費用を使い願いを手にした方々がいます。しかし、これからスタートする方々には、もったいないエネルギー・費用をかけず、「納得の住まい」を手にしていただきたいと願うものです。

また本書は、2013年3月に出版した『住まいづくりのウソ?ホント?』(学芸出版社)の姉妹本として書きました。「納得の住まい」の道標として、あわせてお読みいただくことを希望するものです。

住まいの研究室 井上まるみ

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