僕ら地域おこし協力隊

矢崎栄司 編著

内容紹介

ドラマ『遅咲きのヒマワリ』で、主人公・生田斗真が演じた地域おこし協力隊。疲弊した都会を抜け出し、地域に入って、地域のために働くという協力隊員の生き方には、ドラマさながらの出会い、葛藤と感動があります。本書は協力隊をはじめ全国で活躍する地域サポーターたちの素顔を伝え、疑問に答える初めての本です。

体 裁 四六・200頁・定価 本体1600円+税
ISBN 978-4-7615-1316-0
発行日 2012/12/15
装 丁 上野 かおる


目次著者紹介まえがき

1章 日々感激! 20代女子大卒業生5人が移住──常陸太田市

私たちらしい活動で里美ファンを増やす  長島由佳さん
はじめは挨拶から。ヨソモノ目線で地域に貢献  石川明紗さん
夢は地域資源と大学生・子どもたちを掛け合わせること  笹川貴吏子さん
地域で足りないことを、自分から探して、やってみたい  野嵜真衣さん
どんな人とも率直に話し、人と人の接着剤  白石百合乃さん
行政まとめ役に聞きました 常陸太田市政策企画部企画課 山川洋史さん

2章 目ざすは起業と定住! 十人十色の隊員たち──高知県本山町

大都市のまちづくりから転進し三つの事業を展開  中井勇介さん
日本一の米を使う焼酎づくりをサポート  酒井秀輝さん
山が大好き・バックホーを操る林業女子  時久 恵さん
豊かな自然のなかでの定住を目ざす林業女子  野尻萌生さん
山の中のカフェで起業を一人で目ざす  大下健一さん
行政まとめ役に聞きました 高知県本山町政策企画課企画班 右城伸さん

3章 個性が光る! 集落に希望が灯る──新潟県十日町市

絶対住むぞと言っていたら、仕事は用意してくれる  多田朋孔さん
地域産米の直販体制で住民の生活を支えたい  宮原大樹さん
いま61歳。やりたいことを、やるべきことに  門脇洋子さん
「誰だろう? この人は」を乗り越え地域に溶け込む  大庭ひとみさん

4章 壁を乗り越える! 都市・農村のかけ橋に──秋田県鹿角市

出向いて何度も声をかけて軽トラック市を実現  内藤 尚さん
任期終了後は小さな畑を持って住み続けたい  草彅いづみさん
行政まとめ役に聞きました 秋田県鹿角市産業部観光交流課 北方康博さん

5章 エキスパート! 地域の即戦力──長崎県対馬市

生物多様性の保全に現場で取り組む  木村幹子さん
イノシシやシカを活用したクラフトワーク  山下遼さん
アートで島の魅力と資源をプロデュース  松野由起子さん
英語で島の魅力を世界の人に  村田真耶さん
一次産業の報酬アップを目ざす須澤佳子さん
行政まとめ役に聞きました 長崎県対馬市地域再生推進本部 前田剛さん

6章 全国の地域おこし協力隊から

ダンス&アートで伯方島を元気にする  鎌田利恵さん
元広告マンが家族と伊予市に移住。旋風を巻き起こす  冨田敏さん
地域おこしのプロが甲佐町で隊員に。地域の人たちと仲間なる  佐藤直樹さん
加計呂麻島中の新たな挑戦! 企業誘致から起業家誘致へ  寄稿・養父信夫さん
買い物弱者対策「唐津方式」を生んだ地元と行政と隊員の熱意  寄稿・中島淳さん
地域おこし協力隊をつなぐネットワーク「村落LLP」  寄稿・千田良仁さん
成功の条件と失敗の理由 地域再生マネージャー・斉藤俊幸さんに聞く
資料 地域で働くことを支援する制度

矢崎栄司(やざきえいじ)

アースワークルーム代表。長年有機流通・有機農業にかかわり、有機の里づくり、有機食品ビジネス、放牧農場づくり・有機畜産化などに取り組み、自然共生農業・動物福祉を推進する活動を行っている。NPO法人農商工連携サポートセンター理事、アグリネイチャースチュワード協会事務局長、農業と動物福祉の研究会世話人、カナダのNPO法人Earth Works Institute N. P. O. 発起人・理事を務める。著書に『緑の企業になる方法』『危機かチャンスか 有機農業と食ビジネス』(ほんの木)、『あなたにもできる「おいしいね!」と喜ばれる食ビジネス7つの秘訣』(誠文堂新光社)、『田舎の宝を掘り起こせ』(共著、学芸出版社)などがある。

「『あんたたちの活動で地域が変わってきた』と言われるのが、何よりうれしい」「『ここに住んでくれて、ありがとう』と言われて思わず涙が出た」と話す顔は、生き生きと輝いている。
山間地や離島・半島などの過疎地に移住し、地域に役立つ仕事をしながら田舎暮らしを実現しようとしている人たちがいる。テレビドラマ『遅咲きのヒマワリ』で主人公(生田斗真)が演じた地域おこし協力隊の人たちである。

私は、彼らを全国に訪ね歩き、生の声を聞き、活動の様子を追った。

彼らの多くは、元は普通の会社のサラリーマンだったり、地域活動に興味を持っている卒業したての若者だ。素人に何ができる!?と思われるかもしれない。

だが、訪ね歩いた多くの地域で、地元の人も、行政の人も彼らの力を実感されていた。

彼らのなかには、地域資源を掘り起こし、宝に変えて様々な新しい事業を生み出している若い女子大卒業生や、バックフォーを操る林業女子もいた。60代の方もいれば、家族とともにやってきて異色の行動で地域に旋風を巻き起こしている元広告マンもいた。ほんとうに多様な人たちが、さまざまあり方で地域に関わっていた。

いずれも池に小石を投げ込んだように、最初は小さな波が起きたにすぎなかったが、徐々に地域に波紋が広がり、いまでは地域を変える大きなうねりになっている。協力隊の努力・小さな成功の積み重ねに、地域の人たちが呼応したのだ。

もちろん、地域になじめず、思い通りにいかなくて壁の前で苦悩している人たちもいるが、それを乗り越えようとする努力は、きっと先々の人生に貴重な体験となるだろう。

いま、多くの都市生活者がグローバルな競争社会に疲れている。また豊かな自然環境のなかでの暮らしに興味を持ち移住を考えている人たちもいる。

一方、地方では高齢化・人口減少に伴う担い手不足、地域力の低下に悩んでおり、次代を担う若者や事業経験、スキルを持ったエキスパートの受け入れは緊急の課題にもなっている。

こうした双方が持つ課題にマッチングした事業として協力隊への関心が高まっている。

地域おこし協力隊は09年から始まった総務省の事業だ。都市部の人を受け入れ、最大3年間を期限として報酬を支払い、家賃などの補助を行う。総務省のアンケート調査では、昨年任期を終了した人たちの7割近くが地域に定住しているそうだ。

田舎暮らしや地域での仕事に興味のある人、地域再生に関心のある方は、ぜひ本書をお読みいただき、参考にしていただければ幸いだ。

2012年11月5日 矢崎栄司



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