図解 建築と設備の接点

仲本尚志・馬渡勝昭・赤澤正治 著/日本建築協会 企画

内容紹介

騒音・振動・漏水・結露・臭気・メンテしにくい…。様々な問題につながりやすい建築と設備の「接点」(取り合い)を建物のライフサイクル・建築の部位別に一覧し、トラブル予防の方法を設備別にイラストで詳細に図解。ますます重要度を増し、高度化・複雑化する設備との「融合」を目指す建築設計・施工管理技術者必携の一冊。

体 裁 A5・232頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2690-0
発行日 2018/10/30
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史


目次著者紹介おわりに

はじめに

第1部 建築と設備の接点はここだ

1 建築と設備の接点とは「取合い」

2 建物のライフサイクルでの接点

2・1 計画段階での接点
接点1 設備仕様・グレードの設定
2・2 設計段階での接点
接点2 立地条件
接点3 関連法規
接点4 設備機器の防音・防振対策
接点5 設備機器の耐震性能
接点6 建物の構造耐力
接点7 工事区分
2・3 施工段階での接点
接点8 現地調査
接点9 設備機器搬入計画
接点10 総合図作成
接点11 BIMの活用
COLUMN デジタルコンストラクション
2・4 維持保全段階での接点
接点12 設備機器類の耐用年数を考慮した更新計画
接点13 適切なメンテナンススペース

3 建築部位との接点

3・1 躯体関連との接点
1 地下階での接点
接点14 接地
接点15 地下壁貫通部の止水対策(インフラの引込み、免震継手)
接点16 各種地下水槽(蓄熱槽、汚水槽、消火水槽)
2 地上階での接点
接点17 外壁への設備配管打込み
接点18 各種貫通部の処理(床や壁、防火区画貫通部、防水層貫通部)
接点19 設備機器の振動・騒音対策、機械基礎の耐震性
接点20 シャフトの納まり
3 屋上階での接点
接点21 屋上防水層貫通部の止水対策(ハト小屋、通気管)
接点22 屋上防水と機械基礎
接点23 避雷突針、アンテナ、ゴンドラの受信障害等
3・2 仕上げ関連との接点
接点24 天井(点検口、照明計画、換気口)
接点25 壁(遮音間仕切り壁、器具取付け、防湿・防熱仕様、ガラリ)
接点26 床(配線ピット、床排水計画、防振仕様・浮基礎)
3・3 昇降機設備との接点
接点27 エレベーターの関連工事
接点28 エスカレーターの安全対策
3・4 外構関連との接点
接点29 インフラの引込み(地中壁貫通部の防水処理)
接点30 排水の公共下水道への接続
接点31 埋設配管の地盤沈下対策

4 品質トラブル予防措置

COLUMN 図式化すれば接点が見えてくる

第2部 トラブル予防のツボ100

1 設備全般での接点

001 設備の仕様・グレードの設定
002 設備機械室の適切なスペース
003 設備機器は騒音・振動のもと
004 設備配管が外壁を貫通するとき
005 設備配管は外壁に打ち込まない
006 屋上への配管取出し
007 屋上機械基礎の防水納まり
008 設備配管が内部防水を貫通するとき
009 設備機器の転倒防止
010 配管類の継手は地震に強く
011 軟弱地盤敷地での埋設管引込み
012 設備インフラを引き込むとき
013 電気室への漏水対策
014 コンピュータ室の二重床下への浸入水対策
015 ピット内の漏水は気が付かない
016 電気パイプスペースへの浸入水対策
017 集合住宅のパイプスペースの浸入水対策
018 メンテナンスを考慮したパイプスペース
019 乾式遮音間仕切りの遮音性能が低下した
020 倉庫内の露出配管は要注意
021 大型設備機器は更新を考慮する
022 防火区画貫通部の処理は確実に
023 操作機器の取付け位置は利便性と美観で
024 システム天井の設備器具が落下する
025 システム天井は音漏れに注意
026 天井吊り設備機器は防振・耐震対策を
027 高天井の点検は安全に
028 この点検口は何のため?
029 点検口が多すぎて見苦しい

2 電気設備との接点

030 高圧電気室からの騒音・振動対策
031 天井吊りの照明器具は脱落防止を
032 照明は球替え・器具替えを考慮する
033 寝室の天井照明がまぶしい
034 照明は色温度と演色性
035 軽鉄間仕切り壁内の配線は保護が必要
036 高周波による障害
037 接地極導線からの漏水
038 ゴンドラによる通信障害と振動・騒音
039 太陽光発電パネルは強風と防水に注意
040 太陽光発電パネルの反射光障害

3 空調設備との接点

041 空調屋外機は騒音対策を
042 空調屋外機は配置によって熱交換効率が変わる
043 空調屋外機が雪に埋もれた
044 冷凍・冷蔵倉庫は防熱・防湿が大事
045 定温倉庫の床が結露する
046 静電気による放電ショック
047 熱負荷は建築の断熱仕様で決まる
048 地下外壁は結露する
049 天井冷房吹出し口は結露する
050 天吊型空調機からの漏水
051 天井内スペースは空調の性能を左右する
052 空間形状に適した空調気流
053 総ガラスの開口部では冷気が降下する
054 天井チャンバー排煙は梁下空間が必要
055 電算室の床スラブ裏面は結露する
056 風除室は広くゆったりと
057 エアバランスがドアの開閉に影響する
058 換気口と給気口は一対で設ける
059 給排気ガラリは風が出れば音も出る
060 排気ガラリ取付け位置は風向きに注意
061 給排気ガラリは外壁を汚す
062 浴室は給排気バランスが大事
063 外壁ガラリからの雨水浸入防止策
064 レンジフードから漏れた排気はどうする
065 厨房ダクト内の油に火がついた
066 集合住宅の換気口には消音チャンバーを設ける
067 外気取入れダクトは断熱して結露を防ぐ
068 屋内温水プールの天井内は24時間換気
069 トイレの臭いを残さない排気
070 特高電気室の室温維持
071 厨房の臭いが事務室へまわる

4 給排水設備との接点

072 厨房の床仕上げ材
073 集合住宅の受水槽の騒音・振動対策
074 集合住宅の排水管の騒音・臭気対策
075 集合住宅の洗面室・浴室からの漏水対策
076 給水配管のノッキングによる騒音・振動
077 ジャグジーバスの振動音が下階に伝わる
078 ピットの汚水槽は腐食する
079 防火・準防火地域内にある外部受水槽
080 水景施設を美しく維持する

5 ガス設備との接点

081 煙突の不具合
082 ガス器具の給排気

6 防災設備との接点

083 消防活動用開口部は有効寸法を確保する
084 消火水槽の有効容量
085 屋内消火栓の位置は使われ方を想定する
086 消火器は普段から目につく場所に置く
087 非常用発電機の燃料搬入経路
088 オイルタンクの油漏れ対策
089 低い位置のスプリンクラーヘッドは防護する
090 避雷導体設置のポイント
091 避雷導体が外壁を汚す
092 避雷針は風で振動する

7 昇降機設備との接点

093 エレベーターの関連工事
094 エレベーターピットの湧水対策
095 エレベーター昇降路に雨水を入れない
096 エレベーター昇降路は煙突と同じ
097 エレベーター昇降路内の温度は40℃以下に
098 集合住宅エレベーターの騒音・振動対策
099 エレベーターのインジケーターは必要か?
100 エスカレーターの安全対策

附表 トラブル種別・予防のツボ一覧
おわりに

仲本 尚志(なかもと たかし)

1947年生まれ。1970年大阪工業大学工学部建築学科卒業。同年株式会社竹中工務店入社、設計業務に従事。2012年退職。神戸大学大学院経営学研究科修士課程・社会人MBA科目履修。2007年3月、放送大学大学院文化科学研究科修士課程修了。atelier UNI-SUPPORT(主宰)、一般社団法人 日本建築協会出版委員会委員。
著書:『建築工事の祭式』『建築品質トラブル予防のツボ』『図解 一発で通す!確認申請』(共著/学芸出版社)

馬渡 勝昭(まわたり かつあき)

1947年生まれ。1970年武蔵工業大学建築学科卒業。同年株式会社竹中工務店入社、設計業務に従事。梅田スカイビル実施設計などを担当。2011年退職。2012年 1月、一級建築士事務所Atelier・YOU設立。
著書:『建築品質トラブル予防のツボ』(共著/学芸出版社)

赤澤 正治(あかざわ まさはる)

1954年生まれ、1973年広島県立尾道工業高等学校卒業。同年株式会社竹中工務店入社、設備設計業務に従事。海遊館、ハービスOSAKA等を担当。2015年TAKシステムズ大阪支店設備担当、現在に至る。
著書:『改訂版 イラストでわかる消防設備の技術』(共著/学芸出版社)

『建築品質トラブル予防のツボ』を出版した後に、建築と設備との取合い部においてもトラブルが多いので、このことを書かなければいけないのではないかということで本書を企画した。

設備機器や配管配線は必ず建築に取り付けられる。床に設置され、壁、天井に取り付けられる。その取合い部すなわち「建築と設備の接点」において、設備は性能・機能を発揮すると同時に、様々なトラブルも発生する。本書は設備単独のトラブルでなく、接点でのトラブル事例を明らかにし、その原因と対策を示すことで、より良い建物をつくることに役立てばという思いで書いている。この本を書きながら、なぜトラブルは起きるのかを考える中で、大事なことが二つあることを改めて認識した。一つは、「相手のことを思いやる」ということ。まずは建築主の思いを理解し、その実現へ向けてベクトル合わせができていることである。次に建築は設備のことを、設備は建築のことを互いに尊重し、思いやり、コミュニケーションを取ることである。これは設計から施工、そして維持管理まで、すべてのプロセスで大事なことだ。

もう一つは、「トラブルを予測する」ということ。トラブルを予測できれば、対策が検討できる。完成形をイメージできれば、どうしたら実現できるか考えることができる。このことはものづくりの基本で、設計の早い段階で検討し、遅くとも施工に着手する前には検討が済んでいることが重要である。本書がトラブルのない建物を実現することに少しでも役に立てば幸いである。

本書の出版に際し、一般社団法人 日本建築協会ならびに同出版委員会委員長西博康氏をはじめ、委員会の方々には多大なご支援、ご指導をいただいた。また、一般財団法人 日本建築総合試験所・平沢隆志氏からも貴重なご意見をいただいた。特に学芸出版社の岩崎健一郎氏には出版に向け多くの提案をいただき、また校正に献身的なお力添えをいただいた。ここに深く感謝する次第である。

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