図説 わかる公園緑地計画

図説 わかる公園緑地計画
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内容紹介

豊富な図表と計画事例で丁寧に基礎を網羅

造園、都市計画など多岐分野に関わる公園緑地計画のスタンダードな入門書。歴史と制度、計画と設計、緑化・植栽、管理運営、福祉や防災等の基礎知識を、学生・自治体職員・技術者らに向け、豊富な図表と具体的な計画事例、平易な文章により解説。授業・研修での課題や反転学習にも活用できる調べ学習型の演習問題も掲載。


森田哲夫・木下 剛・赤澤宏樹・塚田伸也 編著
著者紹介

体裁B5変判・192頁
定価本体3000円+税
発行日2025-03-25
装丁KOTO DESIGN Inc. 山本剛史
ISBN9784761533090
GCODE5705
販売状況 予約受付中 (店頭発売:2025年3月19日頃)
ジャンル 造園・緑
教科書分野 造園・ランドスケープ
教科書シリーズ 図説わかる(土木工学)シリーズ
目次著者紹介はじめにおわりにレクチャー動画関連イベント関連ニュース

はじめに

第Ⅰ部 公園緑地の構成と歴史

1章 都市の構成と公園緑地

1 公園緑地とは?
2 都市空間と公園緑地
3 地域の歴史・文化と公園緑地
4 公園緑地への期待
5 市民参加社会へ
計画事例1: 本多静六博士探訪─公園設計とまちづくり
計画事例2: 都市開発における公園緑地
演習問題1

2章 公園緑地の歴史と理論Ⅰ(海外)

1 海外の歴史を学ぶ意義
2 近代の公園緑地の発生
3 都市の基盤としての公園緑地
4 自然や景観を保護する思想と制度
5 都市における歩行者空間の再生
6 エコロジーとアーバニズムと公園緑地
7 気候変動と緑地の多面的機能への期待
計画事例1: リージェンツ・パークとリージェンツ・ストリート(ロンドン、イギリス)
計画事例2: ルーム・フォー・ザ・リバー(ノールトワールト地区、オランダ)
演習問題2

3章 公園緑地の歴史と理論Ⅱ(日本)

1 日本の歴史を学ぶ視点
2 日本のオープンスペース
3 公園制度の誕生
4 都市計画のはじまりと公園
5 公園から緑地へ
6 現代社会と公園緑地
演習問題3

4章 都市計画と公園緑地

1 都市を計画するとは?
2 都市計画制度のフレーム
3 都市施設としての公園緑地
4 市街地整備事業・地区計画による公園緑地の確保
5 公園緑地に関する計画
計画事例: 品川駅・田町駅周辺における環環配慮型都市開発の誘導
演習問題4

5章 まちづくりと公園緑地

1 公園緑地の機能と効果
2 まちづくりと公園緑地
3 緑のまちづくりの視点
4 緑のまちづくりと空間
5 緑のまちづくりと市民参加
計画事例: アーバンデザインによる広瀬川河畔緑地のリノベーション(前橋市)
演習問題5

第Ⅱ部 公園緑地の計画・設計

6章 公園緑地の調査

1 公園緑地計画のための調査
2 公園緑地計画を更新するための調査
3 緑の現況と市民ニーズの把握
4 計画課題の整理
計画事例: 海外における市民ニーズの把握
演習問題6

7章 公園緑地の計画

1 公園緑地の計画とは?
2 公園緑地の計画プロセス
3 公園緑地の計画フェーズ
計画事例: 街区公園(山形県米沢市)
演習問題7

8章 公園緑地の設計

1 公園緑地の計画から設計へ
2 公園緑地を設計するとは?
3 公園緑地のカタチを設計する
4 公園緑地の性能設計
5 利活用やマネジメントと設計
計画事例: 南町田グランベリーパーク「すべてが公園のようなまち」の設計
演習問題8

9章 公園緑地の緑化と植栽

1 公園緑地と緑化植物
2 植栽の効果・効能
3 緑化植物の植栽管理
4 公園緑地と植栽基盤
5 街路樹と基盤整備
計画事例: 東京都における校庭の芝生化に対する取り組み
演習問題9

10 章 自然公園の計画

1 自然公園とは?
2 自然公園法
3 自然公園の価値を伝える手段
4 自然公園における持続可能な観光
5 世界遺産と自然公園
計画事例1: 国立公園の公園計画(奄美群島国立公園)
計画事例2: 自然公園における生態系維持回復事業(シカ食害対策)
演習問題10

第Ⅲ部 公園緑地の活用と管理運営

11 章 歴史的・文化的空間の公園緑地

1 空間の保全活用に関する計画
2 近代の庭園・公園等の保全と制度
3 歴史的空間の保全と制度
4 文化的景観の保全と制度
計画事例:金沢城公園(石川県金沢市)
演習問題11

12 章 防災と公園緑地

1 災害に対する公園緑地の役割
2 地震に備える公園緑地
3 水害に備える公園緑地
4 気候変動時代に備える公園緑地
計画事例1: 京町公園(滋賀県彦根市)
計画事例2: 麻機遊水地(静岡県静岡市)
演習問題12

13 章 福祉・健康と公園緑地

1 なぜ福祉と健康なのか?
2 福祉とは 健康とは
3 福祉の増進・健康づくりと公園緑地
4 公園緑地を役立てる仕組みづくり
計画事例1: 公園からの健康づくり
計画事例2:公園処方箋(Park Prescriptions)
演習問題13

14 章 公園緑地の管理運営

1 公園緑地の管理運営に関わる社会的背景
2 都市公園の管理運営と官民連携に関わる諸制度
3 都市公園の管理運営の実際
4 パークマネジメントへの展開
計画事例: 新宿中央公園(東京都新宿区)
演習問題14

15 章 多様な主体の参画と協働

1 公園緑地の公共性の変遷と協働の考え方
2 公園緑地の管理主体と制度
3 管理運営における参画と協働
4 公園緑地のルールとマナー
計画事例1:兵庫県立有馬富士公園(兵庫県三田市)
計画事例2:尼崎の森中央緑地(兵庫県尼崎市)
演習問題15

おわりに~これからを生きる皆さんへ~
索引

編著者

森田哲夫(モリタ・テツオ)

前橋工科大学工学部環境・デザイン領域(土木・環境プログラム主担当)教授。1991 年、早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻(都市計
画分野)博士前期課程修了。博士(工学)。(財)計量計画研究所、群馬工業高等専門学校、東北工業大学勤務を経て、2016 年より現職。編著
書に『図説わかる交通計画』『図説わかる都市計画』『図説わかる土木計画』(いずれも学芸出版社)など。

木下 剛(キノシタ・タケシ)

千葉大学大学院園芸学研究院ランドスケープ・経済学講座教授。1996 年、千葉大学大学院自然科学研究科環境科学専攻修了。博士(学術)。千葉大学園芸学部助手、助教授、准教授を経て現職。この間、文部科学省在外研究員としてエディンバラ・カレッジ・オブ・アートに留学、英国の計画制度について研究。共著書に『市民ランドスケープの展開』(環境コミュニケーションズ)、『ランドスケープ批評宣言』(LIXIL 出版)など。

赤澤宏樹(アカザワ・ヒロキ)

兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授、兵庫県立人と自然の博物館主任研究員。1997 年大阪府立大学農学研究科農業工学専攻修了。兵庫県
立人と自然の博物館研究員、兵庫県立大学講師・准教授を経て現職。専門はパークマネジメント。共著に『造園学概論』(朝倉書店)、『パーク
マネジメントがひらくまちづくりの未来』(マルモ出版)、『パークマネジメント 地域で活かされる公園づくり』(学芸出版社)など。

塚田伸也(ツカダ・シンヤ)

前橋市都市計画部都市計画課長。前橋高等職業訓練校造園科講師。前橋工科大学客員教授。博士(工学)、技術士(建設部門)。1992 年、日本
大学卒業。2003 年、前橋工科大学大学院工学研究科建設工学専攻(都市計画分野)修士課程修了。1992 年、前橋市に入所し現職。共著書に『群
馬から発信する交通・まちづくり』(上毛新聞社)、『図説わかる都市計画』(学芸出版社)など。

著者

武田史朗(タケダ・シロウ)

千葉大学大学院園芸学研究院ランドスケープ・経済学講座 教授

小野良平(オノ・リョウヘイ)

立教大学観光学部観光学科 教授

村上暁信(ムラカミ・アキノブ)

筑波大学システム情報系 教授

加我宏之(カガ・ヒロユキ)

大阪公立大学大学院農学研究科緑地環境科学専攻 教授

福岡孝則(フクオカ・タカノリ)

東京農業大学地域環境科学部造園科学科 教授

水庭千鶴子(ミズニワ・チズコ)

東京農業大学地域環境科学部造園科学科 教授

武 正憲(タケ・マサノリ)

東洋大学国際観光学部国際観光学科 教授

丸谷耕太(マルヤ・コウタ)

金沢大学融合研究域融合科学系 准教授

村上修一(ムラカミ・シュウイチ)

滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科 教授

竹田和真(タケダ・カズマ)

大阪産業大学デザイン工学部環境理工学科 准教授

柳井重人(ヤナイ・シゲト)

千葉大学大学院園芸学研究院園芸環境科学講座 教授

本書は、公園や緑地に関する大学学部や学校の初学者、自治体や団体の職員、コンサルタント技術者向けの基礎的なテキストです。
公園は、まちなかの公園、住宅地の公園、大規模な公園、運動公園、国立公園・国定公園などを思い浮かべてください。緑地は、公共施設や学校の植栽や庭園、道路の植樹帯、緑道、社寺の緑や庭園、ビルの屋上緑化、工場の緑地などをイメージしてください。本書ではこれらの公園や緑地について学びます。
公園や緑地に関しては、大学・学校の造園学、農学、土木工学、建築学、都市・社会工学、観光学、環境学などの多くの分野で学ばれています。学ぶ内容は、公園緑地の歴史、計画の理論・制度、調査・計画・設計手法、緑化・植栽、公園緑地の再整備・管理運営、自然公園、防災計画とのかかわり、市民参画、公園緑地をめぐる新しい考え方など広範におよびます。
近年は、地球環境問題の深刻化、都市環境問題への対応の必要性、少子高齢化社会や人口減少下における地域づくり、歴史・文化を活用したまちづくり、自然災害の多頻度・激甚化、市民参加や産官学連携による地域づくり、地域づくりにおける公園緑地の位置づけの高まり、福祉や健康づくりにおける公園緑地への期待などの社会情勢から、公園緑地の重要性がますます高くなっています。
大学・学校における公園緑地に関連する授業科目は、造園学概論、公園・緑地デザイン、公園・緑地マネジメント、緑地環境、都市緑化計画、緑の都市計画など様々です。本書は、これらの科目の基礎的な内容を広くカバーしています。
本書の特徴は、次の3 点です。
(1)公園緑地を学ぶ人に最も基礎的な内容を伝えていること
(2)図表を多く用い、わかりやすい文章で解説していること
(3)授業と社会の関わりを理解してもらうため実際の事例を紹介していること
読者の皆さんが公園緑地に興味をもち、公園や緑地について考え、公園緑地に関する仕事に就きたくなってもらえれば望外の幸せです。

森田 哲夫

~これからを生きる皆さんへ~

都市や地域の社会基盤としてグレーインフラが整備されてきた時代から、公園緑地によるグリーンインフラへと重点がシフトしてきています。拠点としての公園緑地に加え、緑のネットワーク化が重要であり、グリーンインフラが都市や地域の構造を規定する時代になってきました。

本書の4 章(都市計画と公園緑地)では、コンパクトシティの考え方を解説しました。少子高齢化・人口減少社会において、市街地をコンパクトにし、地域の活力を維持しながら医療・福祉・商業等の生活機能を確保していくという考え方です。コンパクトシティを実現していくためには、これまでの市街地を縮退することになりますが、縮退エリアには住民や、地権者、事業者等がおり、容易なことではありません。国土交通省は縮退エリアの土地利用について明確には示していません。縮退エリアを今後どのように利用していくかは、我われが考えなければならないようです。皆さんは、大学や学校で、造園学、農学、土木工学、建築学、都市・社会工学、観光学、環境学などを学んでいます。公園や緑地の分野からまちづくりを考えていきましょう。

1 章で紹介した本多静六博士は、日本の造園学の創始者であるだけでなく、蓄財家としても知られています。苦しい家計の中で「収入の四分の一の天引き法」を実践し続けました。蓄財家といっても自分の財産を増やすためではなく、社会や事業に投資したのです。
本多博士は、生涯に、専門書や人生などに関する書籍370冊以上を残しました。多くの著作の中から、これからを生きる皆さんに、本多静六の人生訓のいくつかを紹介し、本書の結びとします。

本多静六の人生訓

○人を批判するときは必ず代案をだせ
○左手で本業をおさえ、右手で好機をつかむ
○施した恩はあてにするな、受けた恩は忘れるな
○仕事の面白さは努力の質と量に正比例する
○人生の最大の幸福は職業の道楽化にある
○人生すなわち努力、努力すなわち幸福
○幸福の尺度を固定してはならない

森田 哲夫 木下 剛 赤澤 宏樹 塚田 伸也

開催が決まり次第、お知らせします。

メディア掲載情報

公開され次第、お伝えします。