超図解!建築施工現場 〈用途別〉
内容紹介
1000点超の図版で多様な施工要点を解説
建設会社が取り扱う建物の用途・規模は多様で、必要な技術も異なる。本書は規模の大きい建物を用途別に取りあげ、設計者・施工者が知っておきたい要点を1000点超のイラストで解説。美術館、医療福祉・商業・物流施設などを14用途・100項目にまとめた。この1冊であらゆる建物の基本がわかる、建築実務者必携の書。
体 裁 B5変・240頁・定価 本体3500円+税
ISBN 978-4-7615-3279-6
発行日 2022-03-20
装 丁 フルハウス
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1章 図解! 建物用途別施工シーン
建物用途の選定について
1 業務系施設(超高層・大深度建築)
2 住宅系施設
3 福祉系施設
4 医療系施設
5 研究系施設
6 劇場・音楽ホール系施設
7 美術館・展示系施設
8 商業・交通系施設
9 スポーツ系施設
10 医薬品生産系施設
11 食品生産系施設
12 精密機械生産系施設
13 物流・貯蔵系施設
14 環境系施設
2章 解説! 厳選100知識
「厳選100知識」の使い方と分類
業務系施設(超高層・大深度建築)
1 超高層純鉄骨構造の施工
2 超高層ビルの耐震設計
3 CFT構造
4 スーパーフレーム(メガフレーム)
5 制震構造
6 自動化施工
7 揚重機(タワークレーン)計画
8 揚重管理と繰返し型工程
9 地上地下同時施工
10 潜函(ケーソン)工法
11 超高層外装カーテンウォール
12 超高層業務ビル仕上内装の着目点
住宅系施設
13 RC超高層住宅(Hi-RC)工法
14 高強度コンクリート
15 壁式(在来現場打ち・プレキャスト)工法
16 VH分離(垂直水平打設)工法
17 工業化・サイクル施工
18 サイトPC工場
19 免震構造
20 寒冷地工法
21 SI(スケルトンインフィル)住宅
22 個性派マンション・品確法対応
福祉系施設
23 多様な福祉施設
24 介護浴室・機能訓練室
25 防露・断熱
26 ユニバーサルデザインとバリアフリー
27 木質ラーメン構造
医療系施設
28 多様化・高度化する病院
29 清潔手術室
30 無菌環境
31 耐薬品性仕上げ・抗菌材
32 エックス線防護
33 粒子線治療施設
34 感染性医療廃棄物の扱い・保管
研究系施設
35 研究環境空間・実験施設づくり
36 大型構造・地震再現加振・実大構造実験棟
37 GLP(Good Laboratory Practice)対応研究施設
38 バイオハザード実験室
39 動物実験施設
40 空気清浄・微振動対応精密実験施設
41 音響実験・電磁波防御実験棟
劇場・音楽ホール系施設
42 劇場・音楽ホール系施設の種類と特徴
43 音楽専用・多目的ホールと音響施工
44 空気・固体伝播音の遮音
45 吸音構造
46 舞台装置
47 ホール・劇場の客席部
48 放送スタジオ・プラネタリウム
美術館・展示系施設
49 美術館の基本
50 博物館の基本
51 美術・博物館展示ゾーン
52 美術品収蔵庫
53 レトロフィット免震
54 展示施設と無柱空間
55 図書館と書庫
56 水族館アクリルパネル水槽
商業・交通系施設
57 百貨店建築と保存改修
58 大型複合商業施設のローコスト・短工期施工
59 ロードサイド店舗
60 エレベータ・エスカレータの据付
61 橋上駅舎・鉄道接近施設
62 立体駐車場
63 空港ターミナル・バスターミナル建築
スポーツ系施設
64 空気膜・骨組膜構造
65 開閉屋根競技場
66 陸上競技場・サッカー場
67 体育館・スポーツアリーナ
68 屋内プール
69 アイスアリーナ
70 温泉利用スポーツ健康施設
医薬品生産系施設
71 医薬品製造工場の基本
72 GMP(Good Manufacturing Practice)対応工場
73 バリデーション(製造過程の品質検証)対応
74 医療品製造設備機器と建築インフラ整備
75 室圧制御・陽圧管理
食品系生産施設
76 食品製造工場と「食の安全・安心」
77 HACCP(危害分析重要管理点)対応
78 防虫防鼠と異物混入防止
79 ドライフロアとウェットフロア
80 見学者通路
81 植物工場
精密機械生産系施設
82 精密部品組立工場
83 FA(Factory Automation)工場
84 生産工場内の物流
85 精密機器設置床
86 工業用クリーンルーム(ICR)
87 恒温恒湿・ドライルーム
物流・貯蔵系施設
88 物流センター
89 立体自動倉庫
90 物流マテハン(Material Handling)機器への建築対応
91 物流倉庫耐摩耗床
92 定温・冷蔵・冷凍倉庫
93 ドックシェルターと防熱ドア
環境系施設
94 清掃工場・廃棄物処理工場
95 清掃工場の騒音・悪臭対策
96 自然エネルギー利用
97 電力貯蔵施設
98 緑化建築
99 ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)
100 ZEB(ネットゼロエネルギービル)
施工技術者は、施工建物の用途、規模が異なっても、基本技術を駆使し、不足部分を補足学習し、専門業者の力を借りるなどして、施工を遂行できる、幅広い対応力・技術力を持たねばならない。いわゆる、建築施工技術のグローバリストであることが要求される。
前著となる『超図解! 建築施工現場』では、中規模事務所ビルをモデルとして、基本となる技術を、おおむね工事別に、日本建築学会標準仕様書に準拠して解説する形で著述した。どんな建物の工事でも必須の工事別基本技術を扱った、いわば、縦糸の技術である。
一方、例えば、高度衛生性を要求される医薬品製造工場の現場では、医薬品としての厳しい品質基準(GMP)に対応し、品質を工程で造り込むことが求められる。結果は、製造段階の品質検証(バリデーション)要求に応じ、文書化する必要がある。
このような技術は、建物の機能・特性に対応する用途別商品(施工)技術であり、設計力・エンジニアリング力、技術開発により高度化されている。
これら難度の高い施工にあたっては、ベースの工事別基本技術の縦糸に、これらの用途別商品(施工)技術を、横糸として縫い合わせて、確実に顧客要求を実現しなければならならない。
この点に鑑みて、本書では、対象建物・規模を拡大し、このグローバルな施工技術者として最低限知るべき、用途別商品(施工)技術の施工ポイントについて、図・イラストを多用し、前著のスタイルで説明した。初めて取り組む用途の施工では、「どんな建物で、何を顧客が望んでいるか」「それを解決するにはどんな技術が必要か」「より詳しい専門家は誰か」をあらまし理解でき、行動・学習に役立てられる要点説明書をめざしている。
個々の用途別商品(施工)技術テーマは、専門性が高く、一つを取り上げても分厚い本になる。もとより本著は、その着目点を幅広く俯瞰的に図解するもので、マニュアルでも便覧でもない。前著に比べ、やや高度化し間口が広がり、深度は浅くなっている。読者の建築施工技術者にとって、現場に入る前に、最低限知るべき知識を幅広く集約した、このような読み物は必須と考えている。
また、読者対象として、建設会社・エンジニアリング会社の現場係員・スタッフ部門技術者、設計会社の監理担当技術者を主に考えているが、題名に惑わされず、建築設計担当者や営業担当者にも読んでいただくと有用であると思う。
高度化する建築施工現場で、基本技術の縦糸に、用途別商品(施工)技術の横糸を縫い合わせることで、よい建物を満足感をもって完成いただくことを切望し、本書が、その役務にいくらかでも貢献することを期待している。
最後に、再び執筆の機会を提供いただき、無理をお願いした、学芸出版社の中木女史他関係各位、ならびに指導助言をいただいた諸氏、資料を参照させていただいた諸兄に、この場を借りて深謝し、この著が世の中で役立つことを、ともに祈念したい。
令和4年3月吉日
稲垣 秀雄
メディア掲載情報
開催が決まり次第、お知らせします。